イリュージョン (集英社文庫)

  • 集英社 (1981年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (216ページ) / ISBN・EAN: 9784087600681

感想・レビュー・書評

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  • 救世主である前に
    エンジンオイルを選んだ
    不思議な救世主
    「私は自分が好まない道は歩くまいと思う。
    だから君たちも人に頼ったりしないで
    自分の好きなように生きなさい。
    そのために私はどこかに行ってしまおうと
    決めたんです」

    こんなふうに
    救世主に言われたら
    誰もが
    自分の足で立ち上がるしかないのです
    だだ祈ることばかりが
    未来を駆け抜ける方法ではない
    自分を信じて
    自分の足で‥‥

    そんな救世主と、飛行機乗りの
    不思議な旅
    やがて飛行機乗りも
    救世主となりうるのか?

    まさにイリュージョンな物語
    村上龍さんの翻訳

  • とても素敵な小説でした。
    高校生の頃、友達に借りたこの小説。
    四半世紀以上経って、はじめて読みました。

    退屈した救世主と、とある飛行機乗り。
    まるで、作者のリチャード・バックのニヤリとした笑い顔とウインクが目に浮かぶような、チャーミングなおはなしでした。

    読み終わって、訳者の村上龍さんが解説で指摘している通り、ボンヤリしてました。
    暖房がまだついていない居間で、毛布に包まり膝に乗った猫のゴロゴロとフミフミを感じていました。
    顔だけ寒くて、鼻水をひっきりなしに啜りながら、目からは熱いものが流れました。

    「イリュージョンだ、リチャード。この世の全てはイリュージョンだ。何から何まで光と影が組織されて、像を結んでいるだけなんだ、わかるかい?」p77

    なんかブッダみたいなこと言ってるような気がしました。(曖昧)

    軽妙で示唆に富んだ元救世主ドナルド・シモダことドンと、飛行機乗りリチャードの会話は愉快で、尚且つ考えさせられます。

    村上龍さんの解説も素敵です。
    リチャード・バックの人となりを知ると、読んだあとの感慨もひとしおです。

    『かもめのジョナサン』が、飛行機乗りが飛行機乗りになる物語なら、『イリュージョン』はリチャード・バックがリチャード・バックという作家になるまでの物語、ということになるのでしょうか。

    Oさん、貸してくれてありがとう!
    面白かったよ!

    • 土瓶さん
      5552さん、おめでとうございます^^
      ついに、とうとう、長い積読から抜け出したんですね。
      しかもそれが素敵な小説だったなんて。

      もう一度...
      5552さん、おめでとうございます^^
      ついに、とうとう、長い積読から抜け出したんですね。
      しかもそれが素敵な小説だったなんて。

      もう一度、おめでとうございますヽ(`▽´)/
      2022/11/24
    • 5552さん
      土瓶さん

      土瓶さんの談話室の質問のおかげですよ!
      長年のしこりが解消されてスッキリしました。
      寝かせたぶん旨味が出ていい塩梅になり...
      土瓶さん

      土瓶さんの談話室の質問のおかげですよ!
      長年のしこりが解消されてスッキリしました。
      寝かせたぶん旨味が出ていい塩梅になりましたよ。
      読んでよかったと思える小説でした。
      お祝いの言葉までいただき、嬉しさが増し増しです。
      ありがとうございました!
      2022/11/25
  •  アメリカ中西部の草原に吹く風、夏の雲、そして飛行機(しかも古い複葉機!)。これだけの舞台装置がそろってそこに退屈している救世主が登場するのだから、おもしろくて素敵な物語が始まらないわけがないでしょう。

     今から40年近く前、私が大学生だった頃に初めて読みました。その時はすっかり感化されて、自分はこの世界で自由だし、何でもできるんだって単純に信じました。今は歳をとったから、世の中そんなに甘いもんじゃあないよって分かっているけど。
     今読み返して気付くのだけれど、世界の何たるかを直感的に見通してしまった若者の視点でこの物語は書かれていると思う。そのような直感に基づく新鮮な世界観を、経験の乏しい者の浅薄な見方だと感じてしまう年寄りの部類に、自分も属してしまったんだなあと思うとすこし寂しい。

     この物語は、人生を語るには確かにすこし軽めだけど、生きるためのエネルギーをもらうのには最適です。

     夏に始まり、季節が秋に変わる頃には儚く終わってしまうこの物語の結末はすこし寂しくて、それでいて爽やかで少しの希望さえ感じさせる。

     ドナルド・シモダの説く「俺達は好きなことを何でも自由にやっていいんだ」っていう考え方は、一つ間違えば単なる利己主義(エゴイズム)に終わってしまうだろうけど、この物語では過激で刹那的なドナルド・シモダに対してリチャードが冷静で抑制的なので救われていると思います。リチャードはきっと素晴らしい救世主になれるでしょう。

     村上龍の大胆な訳が素晴らしい。原作を超えちゃっている!?

  • この本を通じてリチャード・バックが伝えたかったのは、あとがきの最後の文章だと思った。
    「これからの神というのは、決してわれわれに信じて貰うことを要求するのではなく、この世の中は一つのゲームであって、そのゲームをできるだけエンジョイするためにわれわれは生きているんだということを認識させるために存在する、そういう形の神でしかあり得ない、と僕は思っている。」

    人生はエンジョイするものだし、自分を取り巻くものは全てイリュージョンで、縛るものなんて何も無い。
    手を離して、流れに身を任せればいい。

  • 不思議な不思議なお話

    ドンは本当に救世主だったのか
    ドンが起こした奇跡全てはリチャードが見た幻、長い長い夢だったのではないか…なにせこの作品のタイトルは「イリュージョン」
    そんなことを思いながら読んだ

    全ての事象は自分の意思ありき
    何もかも自分の自由にすればいい
    世の中の人間は全て、自分以外の誰かのフリをしてるいかさま師だ、など印象に残る文章もたくさんあり

    救世主=預言者を、現代のSNSやネット世界の著名人やインフルエンサーに置き換えて自分は読んだのだが
    解釈の幅の広い、読み返しがいのある作品だと思う
    お酒を飲みながらほろ酔いで読み進めるのが楽しそうな作品でもある

  • 映画みたいな本だ

    頭の中に「俺は自殺すべきかそうでないか」って思い浮かべて、なんでも良い手近にある本を開いて、精神を集中させてそれを読めばギターの教則本が自殺に関する答えを出してくれる っての好きだった笑

    1回目、楽しい楽しいで読み進めたけど
    2回目読んで吸収したいな

  • 三歩先を見る能力を常に活用せよ。さもなくば、常に三歩後を歩む事になる。

    どこから来てどこに行くのか、最初の地で、君が自ら身を投じた混乱の渦がある。その混乱を引き起こした理由が何であったか、忘れてはいけない。君たちは恐ろしい死を遂げる。それもまた忘れないように。

    君にふりかかること全ては訓練である。訓練である事を自覚しておけば、君はそれをもっと楽しむ事ができる。

    三歩先を歩く事のできない生き物達は、ギロチンに首を突っ込んだまま笑う君の事を理解できないだろう。君は狂人と呼ばれる。

    学習は、すでに知られている事を見つけ出す事。行為は学習の証明。教育とは、被教育者に、君らも教育者と同じ程度の事を知っているのだと気付かせる事。

    君達はもちろん学習者であり実行者であり教育者であって、いかなる種類の生や死を選ぼうとも自由だが、義務というものがあるとすれば、自分に忠実でなければならないという事それ一つだけである。

    他人や他の事情へ忠実である事は不可能。

    最も学ぶべき事、それを君は最もうまく教えることができるだろう。

    友人は君について君の知人が千年かかって知るよりはるかに多くの事を、出会いの1分間で知るだろう。

    責任を回避する一番の方法を伝える。「私はすでに責任を果たした」そう大声で言いたまえ。

    君の中は何種類もの生き物によって構成されている。君がある方向へ一歩を踏み出すのは、その中の学習意欲旺盛な一匹によるものである。好奇心、それが君だ。

    君達にはいつでも選択が任されている。別の未来、そして別の過去も。

    いかなる種類や程度のものであっても、困難は君に何かを与える。

    想像せよ、宇宙は美しく完璧であると。預言者は君達よりうまくそれを想像するだけである。

    雲は知ってはいない、なぜこの方向にこのスピードで動いていくのかを知らない。しかし、空は全ての雲の秩序を把握している。君達にもその事がわかるだろう。地平線の向こう側が見える程の高みに立った時には。

    ある願望が君の中に生まれる。その時、君はそれを実現させるパワーが同時に在る事に気付かねばならぬ。しかし、そのパワーの芽は、きっとまだ柔らかい。

    君達全ての者に告げる。君達が遭遇する事件は全て君達自らが招き寄せたものである。その事件の発展の方向を決めるのはもちろん君達であって神ではない。

    やりたい事だけをやり続けていくと、俺たちから何かを学ぼうとする人たちを惹きつける。そして俺たちもまたその人達から何かを学ばなくてはいけない。

    君達が自己に忠実に話す時、そこに過去や未来は関わりなく、真実は永遠に光り輝く。自己に忠実に話す、それのみが真実の正当な有様なのである。

    俺は他の人が好きなように生きるのを認めるし、俺自身が好きなように生きるのも認める。

    世界の遊戯に寄与する君達の使命が終了したかどうかを判断する簡単な基準がある。もし、君達が生きていれば、瀕死の重傷でかすかに息がある場合でも生きていれば、まだ使命は終わっていない。

    自由と生きるためには、退屈と戦う必要がある。退屈を殺し、灰にしてしまうか、退屈に殺されて家具になるか、激しく根気のいる戦いである。

    さよならの時に、うろたえてはいけない。別れは再び巡り会う前になくてはならないものだから。そして再会の時は必ずやってくる。君とその友人のために、ある時間を経て、いくつかの人生を巡った後に必ずやってくる。

    自分の話に他人が関心を持つだろうと期待するのは、他人に自分の幸福を依存するのと同じ。自分の言う事が相手に通じようが通じまいが関係ない。

    二つは比例する。君達の知力と君達が悲劇の存在を認める度合い。

    毛虫が終末と思うその形態、救世主は蝶と名付けた。

    人間が本当に愛するものを見つける事はとても大変な事で、それが全て、要するに人生の中心だと思う。一生かかっても、ついにそれが見つからない人も多いと思う。だけど、ドアが閉まっていてもいつか絶対に自分の好きなものが見つけられると、そういう風に導かれているのだと信じる事。だいたいはどこも閉まっていると絶望的になるが、あっちこっち叩いているうちにどこかのドアがポンと開く。そしてまたその先には全てのドアが閉まっているのだが、必死に叩いているとまたひとつだけ開く。そして、いつかものすごい光が自分の中に出てくる。

    この世の中は一つのゲーム。そのゲームをできるだけエンジョイするために我々は生きている。

  • 自分の思い込みや世の中の当たり前に捉われず、本気で実現したいと思うことは叶えられるよ、と伝えてる本だと感じた。「思考は現実化する」の小説バージョンみたいだなって印象を受けた。
    今日観てきた謎の映画「エストニアの聖なるカンフーマスター」はこの本に影響されてるのかも。(映画は始終めちゃくちゃで何を観せられてるんだ感強かったけど、この制作携わってる人はめっちゃ楽しいんだろうなって思った笑)

  • 飛行機乗りは自由でかっこいい

  • いかなる種類の生や死を選ぼうとも自由だが、義務というものがあるとすれば、自分に忠実でなければならないということそれ一つである。

  • 私の聖書です。

  • 何度でも反芻して、解釈を重ねたくなる本。
    個人的には、カモメのジョナサンよりも、厚みがあると思う。

    映像を思い浮かべやすい内容であり、一方で言葉にも重層的な余韻を残す、なんとも言えない塩梅の文章。ポカポカした大草原で寝そべって空を見ながら、考え事をしたような気分。

    深く読み取らなくても面白いし、読み取り切るには相当な時間がいるのかもしれない。人生において考えなくてはいけない話が詰まっているから。忘れないように絵にでもしたいと思った。

    「自由に生きるためには
    退屈と戦う必要がある。
    退屈を殺し灰にしてしまうか、
    退屈に殺されて家具になるか、
    激しく根気のいる戦いである。」

  • 一世一代の傑作。

  • 姉が持っていたこの本を高校時代に読み、感化され、「カモメのジョナサン」これに続く、「one」を読み、世界は自分の思い通りになるのだ、、とたぶんずいぶん勘違いし、訳の分からない自信と共に楽しい学生生活を送ったように思う。大人になるにつれ、いつの頃からか離れて封印してしまった本だけど、私が楽しい50代をおくれているのはこの本に触れたせいかもしれない。もう一回読んでみようかなと思ったけど、どこいっちゃったかな。最初に手に取った本はハードカバーの黒っぽい不思議な装丁だったような気がする。若い時読んでよかったのかも。少しは分別のついた今では素直に楽しめなかったかもしれない。

  • 本当のオトナになると読めない魔法がかかっている不思議な本なので、20代のうちに読んだ方がいいと思います

  • 人に薦められて読んだ。不思議な本で、読んだことのないタイプだと感じた。

    サビがあるとすれば、村上が「解説」で触れてる

    「じゃまかな?じゃまなら消えるけど」
    彼は、少し笑って言った。
    「いや、待ってたのさ、君をね」
    それを聞いて僕も微笑みを返した。
    「そうかい、遅くなってごめんよ」

    だろうが、俺は1の33

    「救世主は群衆の間を抜け、エンジンオイルの匂いの方へとお歩きになった。不思議なことに、救世主が群衆の中に混じった時には、その中の一人一人と見分けがつかなくなってしまった。」

    の方が好きですね。不思議で、それでいて「そりゃそうだろう」と膝を打つような情景だと思った。



    これは唐突な皆さんへの悪口ですが、どうせ村上龍が好きで、それが翻訳している、「ちょっと雰囲気のある海外の小説」として消費しているんでしょう。気に食わないです。『ライ麦畑でつかまえて』の村上春樹訳でもそう思いました。なぜこんな悪口を書くかと言うと、上にあげた節の前者は、「日本語の表現」としての妙の要素が強いし、実際とても良い表現だと思うが、訳者が黒子に徹せずにいると白けちゃうんですよね。主客転倒とでも言いましょうか。その意味で、後者も日本語としてよい表現だと思いつつ、原作者と訳者の主客が適切な状態であると感じます。

  • 4.2

  • どゆこと⁈ってなる部分があったりした。

    こないだ観に行った君たちはどう生きるかに雰囲気似てるみたいな(わかってくださる人いますでしょうか)
    不思議な話でした。

    よくわかんない部分となんとなくわかる部分とか、共感できる部分、が入り乱れてる感じ。

    大いに自分の頭の中で画にしないといけない作品な気がしました!

    想像力!


    読者を惹きつけたり離したり、掴みどころのない、イタズラ小僧みたいな小説だと思いました。

    家族と血の所は共感できました。
    あの教科書は自分で決めればいいんだな。


    読み終わったあとしばらく考えると、星五にしたくなっちゃうマジで不思議な本

  • PSGの「いいんじゃない」と同じニュアンスの内容だった

  • 読んでると頭がおかしくなった気がしてくる。けど、いろいろ考えさせられて、結局笑えてくる。

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著者プロフィール

1936年、アメリカのイリノイ州に生まれる。空軍パイロット、郵便飛行士、エアショーや遊覧飛行をしながらの地方巡業を経て作家になる。代表作として、ヒッピーのバイブル的小説となった『かもめのジョナサン』の他、『イリュージョン』、『ОNE』などがある。2012年、自家用飛行機を操縦中に墜落して瀕死の重傷を負ったが、一命を取りとめ、現在はリハビリに励んでいる。

「2013年 『ヒプノタイジング・マリア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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