カラーパープル (集英社文庫)

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レビュー : 37
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087601176

感想・レビュー・書評

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  • 先日、南アフリカのノーベル賞作家ナディン・ゴーティマの作品をながめていると、その解説がじつにふるっています。ゴーティマが心血を注いだ人種差別問題と、本書のアリス・ウォーカーが傾倒したジェンダーおよび女性の自立、この二人の女性作家を比較しながら興味深い指摘をしていました。これにて長く「積読」状態だった『カラーパープル』への一押しをしてくれました。解説(翻訳)者の柳沢由美子さんに感謝♪

    ナディン・ゴーティマは南アのアパルトヘイト・人種差別について、まことに切れ味鋭い作品を書いていて、読んでいるさなかに行間から血が滴り落ちそうですが(汗)、なるほど解説のとおり、男女格差やジェンダーについて、彼女はほとんど触れていません。それに対し、ピリッアー賞・全米図書賞作家のアリス・ウォーカーは、黒人女性ということもあって人種差別についてもさることながら、なによりジェンダーのほうに傾倒しているようで、いずれも才気あふれた作家たちだと感激します。

    ***
    主人公の黒人女性セリーは生まれからして複雑な人間関係の中で生きています。幼いころに生き別れになった妹ネッティをひたすら恋慕いながら、彼女らの苦難に満ちた生きざまをじつに面白く読ませます。次々におこる父や夫の暴力、レイプ、近親相姦、人種の相克……なんでこんな不条理なことが……と嘆息やら息をのむ場面も多いのですが、不思議なことに決してジメジメしたものにはならない。こんな世界にも生きる希望が溢れている、そんな元気がわいてくるような色鮮やかできらきらした物語です♪

    「セリー、ほんとうのことを言って、あんた、いままで神を教会で見つけたことある? あたしはない。あたしが見たのは、神が現れるのを待つ人々の群ればかり。あたしが教会で神を感じたとすれば、それはあたしの中にあったもので、あたしが持って教会に入ったものなの。他の人たちもそうだと思う。人は教会に神を分かちあうためにやってくるの、神をみつけるためではなくてね」

    こうした作品を読む前は、必ずしも多人種・多民族の国とはいえない日本で、これらの苦悩を身近に感じることができない歯がゆさや焦燥感のようなものからついつい「積読」してしまうのです。……が、いちど本を開くことができれば、そんな憂いはいつのまにか雲散霧消してしまい、世界の多様性とその深遠さに感激しちゃいます。う~だから読書は楽しくてやめられません。ということで、机の片隅でぶつぶつぼやいているほかの「積読本」も、そろそろ真面目に手にとってみるかな(^^♪

  • こんなに深く愛というものを学ぶことがあるのだろうか。途中でなぜ泣いているのかすら分からないことがあるぐらいだった。随分読み進めるまで、物語の行き着く先が全く分からず、こんな本があるのかと驚愕した。前半部分は特に、無教養な主人公が淡々と語る中に無教養さが垣間見え、全体の把握が分かりにくく、言葉足らずな印象を受けた。展開は早く、起きていることも衝撃的なため、読みにくさを感じつつも読み止めるのが難しいと言ったところ。進むにつれ、全くの無教養な主人公に対して嫌悪感を抱かずにはいられない描写もあるものの、だんだん変化していく主人公と読者が同時に学んでいくように愛について知っていく。同性愛についての描写もあるが、人を愛することにこんなに性別や何もかもを超越したものがあるのだろうか、と感銘を受けた。主人公がだんだん自立していく展開から、物語は終焉のようなものも見えてくること、宗教色が突然強くなったことから、前半ほどの面白さを感じなくなってきてはしまったが、人生の教訓についてストーリーから多くを得ることが出来る。登場人物みんなが問題を抱え、生きていくことすら辛いが死ぬことすら出来ない状況であったことを経て、そのあとに得たもの、他人から与えられたものではなく、自分から考えて得たものの大きさに気付いたこと、それが彼らは自分の人生をかけて学んだんだと思うと、これから自分の人生をどうやって生きようか、と考えた。それほどまでに考えることのたくさんある小説だった。たびたびある衝撃的な描写よりも、繊細な心の微妙な変化に大きく衝撃を受けた。

  • 女を嫌い蔑み、その実恐れている。愛せなくても愛されたがる。うまくいかないと暴力を振りかざす。そうした男たちが、この物語のなかではまるで障害物のようだった。実際に、「男がぜんぶだめにしちゃうんだ」というような台詞がある。
    男たちと対照的に「愛にこたえられる」シャグ。セリーは彼女に出会い愛を知る。そんなシャグを指して「男らしい」と称した(つもりなのだろう)アルバートに、セリーは「とても女らしいと思うけどね」と言って返す。シャグは繊細で誇り高く強い。最後まで読むと、女たちは皆そうだ。繊細で誇り高く強い。お互いに影響しあい成長を重ねる。男たちはいつでも邪魔をするのだが、その度乗り越えてより結束を強める。結束した女ほど強いものがあるだろうか。
    しあわせを作り守るという平和な強さ。登場する女が皆愛おしく、また勇気をくれた。読んでよかった。

  • 明るい未来性のある物語の割りにはパッとしなかったような。
    見えた黒人社会の歴史には驚きばかり。

    精読したい。

  • ネッティーの支えはいつもセリーだった。心の支えがあることで毎日頑張れる。

  • 初めて読んだジャンルでした。
    読みだしたら止まらなく、とても心に残る作品。
    主人公と自分を合わせてみると、ポッと心に火が灯りました。

  • 姉のセリーがしたためる手紙が作品の大部分を占めているが、これは何かを読むという感覚とは少し違う。例えるなら、一人の女性と対峙しているイメージだろうか。ボソボソと聞き取りづらく低い声で俯きがちに語る彼女に、一心に耳を傾ける感じだ。
    暴力や差別に満ちた彼女の境遇と向き合うのはかなりの忍耐が必要だった。
    とりとめのない姉の手紙と、理路整然とした妹の手紙が対照的で、とても丁寧に書き分けられていた。

  • たまには黒人文学を、と思ったけれど、黒人+女性という蔑視のなかの蔑視を描いたものには、正直胸焼け感がある。この本は、わたしはこんなに辛かった、と悲劇的に差別の現状を嘆くのではなく、二重差別のなかでいかに生きていくかというポジティブな面に目を向けたものだったので、その点が新しく感じられて最後まで楽しく読めた。黒人女性、さらにレズビアンというセンシティブな問題を扱っていながらも、全体を通じて力強い印象。かなり苛酷な内容含んでいて、こんなことが、と息を呑む場面もあった。翻訳の面でちらほらよく分からないところがあった気がした。


  • 内容は気になるが、途中で断念。日記形式の作品は苦手と気付かされました。読了せず。

  • 女は、男に従属して生きるのが当たり前の時代の話。
    とても昔のようだけれど、現代とあまり隔たりのない頃の話。

    主人公の女性は、貧しい黒人で、家族や他人からとても軽んじられている。
    ひどく愚かな男に嫁ぎ、人生を諦めている。

    その主人公が恋をする。
    自分の足で歩き出す。

    人間の強さと脆さと優しさとしなやかさで、
    中盤から最後まで、胸がいっぱいになり通しでした。

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