ミッドナイト・ミートトレイン (集英社文庫)

  • 集英社 (1987年1月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784087601251

作品紹介・あらすじ

かすれた声…深夜の地下鉄には、世にも恐ろしい悪魔が棲んでいる。吊り皮につるされた死体、床にあふれる血の臭い!話題の新鋭が描く恐怖と戦慄の第1弾。世界幻想文学大賞・英国幻想文学賞受賞

みんなの感想まとめ

恐怖と異界の描写が織りなす独特の世界観が魅力のホラー短編集で、日常から一歩踏み出した先に潜む恐ろしさを鮮烈に表現しています。著者は、地獄やスプラッタ描写を通じて、読者に深い感動を与えつつ、恐怖の概念を...

感想・レビュー・書評

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  • 文章によってどこまで地獄を幻視できるのか、どれだけ地獄を振り撒けるのか、作者が描こうとしているのはそういう絵画なのだと思う。
    ホラー。日常の先にある恐怖。死への想念。闇を愛で、死と戯れることを良しとする冒涜的なジャンル。日常という場所を異界にする装置。
    クライヴ・バーカーは絵を描く。地獄の絵を。
    主人公たちは日常の世界から恐ろしい場所へと連れていかれるわけだが、一様にそこから帰ることはできない。帰る道など無い。
    ”地獄”は彼らを”需要する”。
    これを読むと今まで読んできたホラー小説が急に生ぬるく感じてしまう。それくらいにクライヴ・バーカーが作り出す異界は凄まじい。
    恐怖という概念をここまでビジュアルで表現できるものなのか。地獄ってこんなに魅力的なものなのか。
    『丘に、町が』でミックが感じた気持ちがよくわかる。自分がいままで生きてきたのは、この地獄を見るためだったのかもしれない、だとしたら、たとえこの身が朽ち果てようともそこにたどり着きたいと思ってしまう、あの気持ちが。

    ここ1ヶ月ほどホラー小説を読んできたけど、飛び抜けて良かった。5編どれも夢中になった。「肉体」と「承認」にまつわる話が多いのも癖にドンピシャ。中でも『ミッドナイトミート・トレイン』『丘に、町が』は傑作。後者はホラー短編のベスト企画があったら投票したいくらい。
    スプラッタってある地点を通り越すと芸術になるんですね。ビジュアル描写が強烈すぎて、鮮明すぎて感動しました。
    この本と出会うためにこの期間はあったのかもしれない、そんなふうに感じてしまうほどに。

  • ミートトレイン目的で読了。
    肉として解体される人、その現場に乗り合わせた主人公。解体されものとして車内で吊るされた死体の描写は細かく、グロテスクを目的としているのがわかる。死体ではなく肉としての描写に切り替わると、より異様さが目立った。クトゥルフ的な世界、人が主ではなく、残酷さと汚穢とで塗り固めていく。
    好きな作品ではあるけれど、特定の電車、システム的な準備、とあるのに人の選別や継承方法が適当でなんだかチグハグな印象になる。それが怖いのだろうか。
    丘に、町がも人で作ったゴーレムの話は面白いけれど、盛り上げるためか劇的な言葉が多く読んでて疲れてしまう。人と町とがちぎれていく描写は好き。

  • [ミッドナイト・ミートトレイン]
     このシリーズでは一番スプラッタな作品。でも、切り裂かれた背中に手を突っ込んで背骨にさわるところ除くと、「殺人鬼」や「エイリアン怪描伝」を読んじゃった今となっては、あっちが影響を受けてる可能性もあるにしても、それほどグロいとは感じなかった。血という単語はたくさん出てくるけど、それほど血まみれの印象はないんだよなあ。それにラヴクラフトなんかが、邪神を徹底的に異質なものとして描くのに対して、バーカーは恐怖の対象の方に愛情をそそいじゃうから、怖さという意味でもいまいち。まあフィクションでホントに怖い小説にはなかなかお目にかかれるもんじゃないけど。
     ”大父祖”はクトゥルー神話の邪神なのかな。口のいっぱいある奴っていたっけ。ショゴス?

    [下級悪魔とジャック]
     基本的には馬鹿話。悪魔がこんなに人間くさいんじゃなあ。会社員がノルマを果たすために仕事してるみたいな感じで、全然怖くないじゃん、と思ってたら、ポロが実は悪魔にちょっかいを出されているのを知っててそれを気づかれないようにふるまってた、というのがわかってちょっとびっくり。ただ、こんな切れ者が奥さんが浮気をしてるのを知ったり、自殺したりしたときにも全く無関心なはずはないと思うんだけど。

    [豚の血のブルース]
     ちょっとよくわかんないなあ。最初の暴力教室っぽい雰囲気はとりあえずどうでもいい。で、自殺したケビィンが、豚に食べられることによって豚に乗り移ったというのはありがちだけど、これもいいとしよう。けどレイシーはまだ食べられてないわけだから、最後にしゃべってるのはケビィンということになる。そうなるとレイシーは豚に乗り移ってるわけはないのに、なんで豚の鳴き声をしてるのかわからん。レイシー(の魂)はどこいったの?それにこのときのしっぽって本物?レッドウッドを食べてどうしよっての?
     論理的に考えたらだめなのかなあ。もうわけわかんない状態でいいってこってすか。でもその辺がはっきりしないと怖くならないと思うけどなあ。まさか単に二人ともケビィンの餌だった、なんてんじゃないだろうな。だったら最悪。

    [セックスと死と星あかり]
     バーカーの演劇趣味がちょっと苦手なもんで、あんまり期待してなかったんだけど、なかなかよかった。幽霊屋敷もののわりには、全然怖くないけど。もうバーカーに恐怖を期待するのはやめよう。いかに突拍子もない話を書いてくれるかが勝負だな。
     死人が墓場から演劇を見に来て、そのまま何事もなく帰っていく、ってところがいかにもバーカー。劇場が焼けて役者は死んじゃうけど、別に悲惨な感じはないんだよなあ。視線が人間の側からじゃないんだよな。
     作者が劇作家だった経験があるからかもしれないけど、他の短編に比べるとちょっとリアルな雰囲気。昔天才少年だったキャラウェイって、バーカーのことっすか。

    [丘に、町が]
     バーカーって、読んでて怖いかという点で、世間でいわれているようなホラー作家というより、血の飛び散るファンタジー作家じゃないかって気がするから、そういう意味では、「血の本」シリーズ全体を代表する短編かもしれない。オリジナリティの点でもばかばかしいという意味でもだけど。普通思いついても書かないよな、この話。人を組み合わせて巨人を造って、それが倒れたってだけだもんな。
     リアリティがあるという訳ではないんだけど、読んでいるうちに、雲を貫いて巨人が立ってて、その体の表面からポロポロと人がこぼれ落ちている絵が容易に想像できて、しかも不思議にそれが気持ちいい。ボッシュやゴヤがこういう絵を描いてるんなら見てみたいという気がする。
     ただ他の作品でもそうだけど、同性愛の雰囲気ってちょっと苦手なんだよな。

  • ホラー短編集。ものすごいスプラッタ、という情報だけ得ていた作品でしたが。そんなもんなじゃない。たしかに凄惨なスプラッタもあるのだけれど、それ以上にぶっ飛んだ発想と展開に度肝を抜かれます。個人的に恐怖はそれほど感じなかったのだけれど、なんか凄いもん読んだという意識が強いです。
    初っ端の「ミッドナイト・ミートトレイン」がド派手で凄いし、印象強いけれど。やっぱり「丘に、町が」のわけのわからない凄まじさに呑み込まれた気がします。観光に訪れたゲイのカップルが目撃したもの。十年に一度、町を挙げて総出で行われる競技にして戦いの、その威容に満ちた姿とそれが突如として迎えた結末。圧倒的なイメージに翻弄されました。
    ホラーとして好きだなと思うのは「セックスと死と星あかり」。これまた予想外の展開を迎える劇場ホラーです。でもどこかしらほっこりさせられるんだよなあ。「死者も娯楽を必要としている」てのがなんだか良いです。

  • 書いてあることは物凄く、気持ち悪いのだけれども、何故か何度も読んでしまう一冊。

  • 取り敢えず表紙が怖い、すこぶる気持ち悪い、小学生の時だったら寝れなくなるくらいグロい。しかし最早小学生ではないし、グロ描写が大盛りマシマシ状態なのでご飯のお供に、間違って買った割にページがサクサク進む。とは言え、こんな悪趣味な表紙、フランス書院レベルで持ち歩きづらいことこの上無い。
    ちなみに表題作は笑ってしまうほどスプラッタだけど爽やかハッピーエンド。『豚の血のブルース』は屍臭と糞尿がプンプン。『セックスと死と星あかり』はブラッドベリにエログロを追加注文。『丘に、町が』は社会主義をアンチンボルド若しくはボス風味。1冊を通して読後感は悪くないので休日の午後のエレガントな読書タイムに紅茶と共に。

  • おいおいこの表紙のキモいおっさんは出てこないじゃないか。これはよくあるB級ホラーのあるある詐欺ですよもう訴えるしかないな。
    と言ってもこういう絵で表現されるとむしろイマイチだけどちょっと想像してみるとやばい感じのお話も出てきて、最後の町がって話とか想像すると夜も眠れなくなるわこれ。足の裏の人はキツかろうに。なんかベルセルクの人が描いたらいけそうだけど。
    というわけで概ねレトロスペクティブな展開で、クトゥルフとかそういうのを思い浮かべたり。こういうお話って最近は全然流行らないから貴重だわよ。

  • 表題作は、 街とその歴史に対する愛と敬意が、クトゥルフ的で冒涜的な大いなる存在による承認と結びつけられ、確かに読んでいても”清々しい”ものであるかのように感じられた。 自分は、例えば生まれ故郷の街に対する愛着なんて持ち合わせていないのでそういったものを感じたことはなかったのだけれど、”郷土愛”というものが強い人にとって世界はこういうふうに映っているのかもしれないな、と思った。

    また、最後に収録された「丘に、町が」も非常に得体の知れない気持ち悪さがあって良い。
    巨大な生命体としてはクトゥルフ的な恐怖でもあるのだけれど、その構成要因が……とあればそれは全く違ったきみの悪さになる。

  • ここまで気持ちの悪い描写を、文字だけでどうして表現できるのか。グロテスクの描写力ではバーカーの右に出るものはいない。バーカーの初期の作品はストーリーが凄いのではない。描写が凄いのだ。

  • 「われわれは何をしているか?」
    「もちろん、人生を演じているのだ!みんな、頬笑みたまえ!」

  • ちゃんと読み終わったの、この一冊だけなんだよね(懺悔

  • ■ミッドナイト・ミートトレイン……都市を牛耳るいにしえの神々。
    ■下級悪魔とジャック……コミカルなドタバタ。
    ■豚の血のブルース★……豚から始まる邪教。
    ■セックスと死と星あかり……死者の蘇りと役者の演技が重ね合わされて「賑やか」。
    ■丘に、町が★……人型の町を人が構成するという凄まじい想像力。幻想小説の白眉。

    ただの血みどろじゃない。
    崇高さ。ユーモア。おぞましさ。高貴さ。上品さ。幻想。
    小説のおいしさがたっぷり。

  • 表題作がいかにもスプラッタ小説風で最も面白かった。

    もっとスプラッタ小説ばかりかと期待して読んだが、あまりに超自然的な短編ばかりで、少し期待が外れた。

  • ホラー映画の影響を受けているというのもよくわかる。ホラー映画を小説で「視ている」みたい。話の展開とか演出とか描写とか。

  • 短編集でありながら濃密な作品が並ぶ。
    情景が浮かんでくる作品ばかりで、まるでクライヴ・バーカーが脚本の映画を観ているかのよう。

    しかし、思っていたほど、スプラッタな描写、シーンは少なかった。(少ないからこそそこが強調され、またそこが山場になるように展開してゆくのだが。)

  • 血肉に塗れた、珠玉のホラー短編集。
    「血の本」シリーズの第1巻。

  • 「ミッドナイト・ミートトレイン」と「丘に、町が」が良い。盛り上げ方がうまいのなんのって。スプラッターだけど、悪趣味なところがない。死体を逆さ吊りにして血抜きをしている話を、品が良いというのも妙だけれど、そんな感じ。

  • 血の本シリーズ第1巻。当に鮮血。読後の解放感も格別。表題作が映画化されていることに驚いた。

  • 古書購入

     ホラー。現代。短編集。
     モダンホラー。スマートなスプラッタ。
     無夜の心の師匠。雰囲気はラブクラフトに似てます。
     サイコっぽい、表題。
    「セックスと死と星あかり」の、ラストの妙な明るさ。

     一番腐敗臭がしてたのは、「丘に、町が」。
     二重の死が、気持ち悪さをかもしだして、なんともいえません。
     町の人間全体で、巨人になる。バランスが悪くて、一部が死ぬと、壊死するように、そこからばたばた人が死んでいき、血の洪水になる。
     表面の人間が死ぬ。繋いでいた紐にぶらさがる。死体。
     個々の細胞が死んでいくのと、町の人が死んでいくこと。
     人が死ぬのと、巨人が死ぬこと。
     ぐっちゃりと混ぜ合わされて、きしょいです。
     すっごく、イイです、クライブ・バーカーさんは。

  • 猟奇的な事件は全て、ある崇高な目的の為だった。あまりに壮大すぎる世界観で、読んでて気が遠くなりかけた。ラストも抗えないほど圧倒的。

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