ヘルバウンドハート (集英社文庫 ハ 5-8)

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  • Amazon.co.jp ・本 (185ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087601671

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  • 80年代後半から「モダンホラー」ブームが席巻していた頃、クーンツやマキャモンと並んで一躍時代の寵児となったのが英国の作家クライブ・バーカーだった。中でもデビュー作となる「血の本シリーズ」は、スプラッター映画の影響が顕著な残虐描写を大胆に盛り込み、強烈なインパクトを与えて話題となった。その後は、自ら映画業界に乗り込みつつ、ファンタジー色の濃い長編を次々と発表していたが、ブームの終焉とともにバーカーの名を聞くことも少なくなっている。
    本書は、新鋭として脚光を浴びていた1986年発表の長編第1作となり、「血の本」で展開した幻想と狂気のエッセンスを凝縮している。究極の快楽を求める男が、この世と〝異界〟を繋ぐ「魔道士」を呼び出すことに成功するが、享受するはずだった快楽とは即ち地獄の苦痛を永劫に味わうことだった。男は儀式を執行した家に引っ越してきた弟夫婦を利用して蘇生を謀るべく、肉体を取り戻すための生け贄狩りを始める。
    設定自体は取り立てて新しいものではなく、俗物の登場人物らも類型的。恐怖/絶望感よりも忌避/退廃感が勝るモダンホラーの典型のような作品だ。ただ、バーカーの創作する喜びといったものが随所に散見でき、勢いのまま一気に読了できる。

  • 平凡で穏やかな性格の夫ローリーと結婚したジュリア。彼女はしかし、式の直前に現れ、姿を消した義兄のフランクに心を奪われていた。実はフランクは、究極の快楽を得ようとして、≪魔導士≫によって快楽と表裏一体をなす「苦痛と絶望との世界」に囚われていたのだった。フランクを救い出そうとし、彼の懇願に従って生贄の男の血を絞り出すジュリア。だが、密かにローリーに想いを寄せていたカースティは、ジュリアの異変を察して彼らの家を探ろうとする。

    この作品、ホラー映画「ヘル・レイザー」の原作でもある(スキンヘッドに針山の如く釘を刺した“ピンヘッド”の顔なら知っている人も多いのでは)。原作者バーカーが自著の映画化作品のダメダメぶりに業を煮やし、自らメガホンを取って大成功を収めた作品とのこと(例によって私は未見)。原作の段階で映像化を意識していた作品らしい。

    小説としては……読みやすいと思う。かなりグロテスクで邪悪な作品なんだろうけども、最近のホラー小説の暴走っぷりに比べると刺激が少なく感じられてしまうかも。これも感覚のマヒだろうか……と言っても、それがつまらぬ作品を意味するわけではない。『血の本』諸作品を好む向きには、この作品世界のイメージに共通性が感じられて楽しめると思う。自分もその一人。

  • 想像していたよりもスプラッター度が低くグロくない。作品が古いからかな…。
    けれど話の展開がすごく面白く一気に読めました。

  • 超久しぶりに再読した。
    翻訳のおかげかどうか知らないが、かなり読みやすく、どんどん進んでいく。
    次は、未読の血の本シリーズを読む予定。

  • 「ヘル・レイザー」の原作。この映画を見た時にかなり驚いて、「血の本」シリーズを買って読んだのだが、なぜか原作に当たる「魔道士」は読まないままだった。
    「ヘルバウンド・ハート」が「魔道士」の改題であると最近になって知って読んでみた。時期が近いだけに「血の本」と同じテイスト。
    「ヘル・レイザー」シリーズは魔道士のピンヘッドが一人歩きしてしまっているが、原作ではむしろフランクのモンスター性が不気味だ。

  • 映画「ヘルレイザー」の小説。映画も素晴らしいスプラッターだが、この本も素晴らしい。映画と併せてどうぞ。

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