インド王妃の遺産 (集英社文庫 ウ 7-9 ジュール・ヴェルヌ・コレクション)

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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087602289

作品紹介・あらすじ

インド王妃の莫大な遺産をふたりの科学者が相続した。人類の平和と幸福を願い、近代科学の粋を集めた理想都市、フランス市を建設するサラザン博士と、鋼鉄都市を築き、鉄を精練しては大砲を鋳造し、各国に売りつける死の商人、シュルツ教授。世界支配の野望に燃えるシュルツは、新開発の超大型砲弾を、理想都市めがけ発射しようとする。この危機を阻止できるのか…。科学趣味あふれる好編。

感想・レビュー・書評

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  •  本作品は1879年に出版。普仏戦争(1870~1871年)でフランスが負けた後だったようで、ドイツ人のシュルツ教授が徹底的な悪人として描かれています。
     今のドイツ人は本作品をどう思うのでしょうか。
     確か1864年出版の『地底旅行』では、主人公のリーデンブロック教授は勤勉なドイツ人でした。
     ウィキペディアにも言及ありますが、ヴェルヌのドイツ人描写も戦争によってひどくなったようです。
     戦争は人に憎しみをもたらせます。
     平和であることにこしたことありません。
     
     シュルツ教授は殺人兵器として、すごい爆弾を発明します。
     これ、実用化が検討されなかったのでしょうか。
     ナチスドイツや旧日本軍が原子爆弾の製造をあきらめ、この炭酸爆弾の実用化を検討していたらどうなっていたでしょうか。

     シュルツ教授の建設した鋼鉄都市は、秘密基地のようなものです。
     徹底したトップダウン型で、各区画は孤立してトップの支配下にあります。
     この秘密基地に主人公のマックスが潜入・調査し、脱出するというスパイ冒険が本作品の中核を占めています。
     ヴェルヌは色々なタイプの名作を残しているのですが、スパイものも描いていたんですね。
     
     軍事に特化し超爆弾を持つ鋼鉄都市が戦争を想定していないサラザン博士の都市を攻撃すればひとたまりもありません。
     そんなのどうすれば防げるのかと思っていれば、意外とあっけなく終わりを迎えました。
     少々ご都合主義的な展開のようですが、これはこれで仕方ないですね。
     もしあのような事故が起こらなければどうなっていたかシミュレーションしてみればどうなるでしょうか。
       https://sfklubo.net/500million/
       http://sfkid.seesaa.net/article/473732915.html

  • インド王妃の遺産 って何かしら?
    なんてロマンティックな内容かと思いきや、
    莫大な財産をうけついだ2人の科学者が それぞれ都市を建設し、理想郷と野望が対立。

  • ヴェルヌらしい科学の要素満載。現代の技術で映画化して欲しい。

  • インド王妃の遺産をドイツ人とフランス人の科学者が相続し、それぞれ理想都市を作る話。著者の反ドイツを強く感じる。民族間の感情や民族についてあまり意識した事がなかったので新鮮でした。

  • タイトルや表紙の絵に期待して、神秘的な物や謎めいた物や大冒険を期待してしまったので、予想と違った展開でした。

  • 普仏戦争でフランスがドイツ(プロイセン)に負けた後に書かれた作品。
    ヴェルヌは超・愛国者ですから、もともとフランス贔屓なところがありますが、
    かなりこの作品ではドイツに敵対心を持った書き方がされてます。

    ソーセージと、酢漬けキャベツ、そしてビール…という典型的なドイツ食に対して皮肉ってみたり、
    何かを新発明するということは、基本的にはゲルマン人には向いてないとか…あららら(笑)。
    あとがきで三木卓氏も書いてましたが、ふとヒトラーが説いたゲルマン人の優秀性について、
    作品を読みながら考えずにはおられませんでした。どっちもどっちな事してるなァ…(汗)。

    <あらすじ>
    インド王妃にまつわる莫大な遺産が、二人の相続人に山分けされることになった。
    フランス人のサラザン博士は、その遺産を用いて、アメリカ東海岸に理想都市
    (というより衛生都市…)を建設し、科学者、芸術家などの、あらゆる教育環境を整備した。

    続き→http://hihidx.blog115.fc2.com/blog-entry-366.html

  • 2009/3/10購入

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著者プロフィール

Jules Verne, 1828 - 1905.
フランスの小説家。
『海底二万海里』『月世界旅行』『八十日間世界一周』
『神秘の島』『十五少年漂流記』など、
冒険小説、SF小説で知られ、SFの父とも呼ばれる。

「2016年 『名を捨てた家族』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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