星の王子さま (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087604948

作品紹介・あらすじ

沙漠の真っ只中に不時着した飛行士の前に、不思議な金髪の少年が現れ「ヒツジの絵を描いて…」とねだる。少年の話から彼の存在の神秘が次第に明らかになる。バラの花との諍いから住んでいた小惑星を去った王子さまはいくつもの星を巡った後、地球に降り立ったのだ。王子さまの語るエピソードには沙漠の地下に眠る水のように、命の源が隠されている。生きる意味を問いかける永遠の名作の新訳。

感想・レビュー・書評

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  • 3年の積読をやっと消化した。

    2005年、『Le Petit Prince』の著作権が切れて翻訳ラッシュが起きた。本書もその一環で刊行された。よって390円+税と大変お求めやすい。邦訳は10数種類あるけど「星の王子さま」と冠しているのが1番多い。直訳すれば、ホントは「小さな王子さま」とのことだが、池澤夏樹は「Petitに込められた親愛の感じはそのままでは伝わらない」と言って「星の王子さま」を採用している。私も支持する。

    というところから始まって、一つの単語の訳をどうするかによって、一つの世界そのものが大きく変わるということを、本書は証明している。1番大きいのは「(狐と)仲良くしてくれ」と従来言われていた訳を「飼い慣らしてくれ」としたところだろう。以前読んだ池澤夏樹娘との対談「全部本の話」を読めば、此方の方がより正しいと、私も思う。


    ‥‥と、書いている途中、どうして21年にこれを買ったのか思い出した。「図書2021年8月号」で「星の王子さまのいない星」(吉田篤弘)という文章を読んだからだ。うわっ、自ら作った課題から3年間逃げていた。逃げていたこと自体を忘れていた。かつてこれで、何度自分を誤魔化してきたのか、つい思い出しそうになる。フランス人の好きな台詞を借りれば「これも人生」。

    その時自らに課した課題を要約すれば以下の3点である。
    ① 「かんじんなことは目に見えない」は王子さまが言った言葉ではないのか?
    ②だとしたら、この本の主人公は誰なのか?
    ③王子さまは何故地球に来たのか?

    これらの問いの最後には、当然次の問いが控えている。
    ④王子さまは目的を達して帰っていったのか?

    ①は最初は狐が言ったのである。でも王子さまは、すぐさまそれを自分なりに解釈して「ぼく」に語っている。
    だから②の答えは王子さまなのだ。
    ③と④に関して言えば、私なりの解釈を持っているけれども、なんかまだもやもやしている。まさか、ここまで「難しい」文学とは思わなかった。あと数回読まないとハッキリしないかもしれないので、此処には書かない。


  • 幼い頃は動物や乗り物、怪獣など無限に形を変えていた雲も、大人になるとそれはただの水蒸気の塊になってしまいます。
    あんなに早く大人になりたかったのに、大人になるとたくさんの事を失ってしまう。

    この物語では、不時着した飛行士の前に星の王子様が現れ、旅の様子を語ってくれます。
    その途中に出てくる様々な人たちは、何かを失ってしまった大人を揶揄しているようです。

    この本から私たち大人が失ってしまった物の大切さや、「愛するということ」を学ぶことができます。
    ぜひ一度読んで、心に過去の記憶を取り戻してみてください。

    おすすめです。

    「ぼくは、ぼくのバラに責任がある……」

  • 物語の中を旅していて
    胸震わす言葉に出会うと
    大冒険の末にお宝を見つけた海賊の様に
    「うっしゃあああ!!」
    と、叫びたくなる。

    価値ある宝の大発見は
    冒険者にとって
    何より興奮する瞬間なのだ♪

    でも、
    この星はちょっと変わってた。
    何か大事なモノの気配はする。
    キラキラと見えない輝きも感じる。

    こんな小さな星だから
    もう7回も繰り返し読んだのに、
    「うっしゃあああ」なお宝は見つからない。

    それどころか逆に
    ここの王子は
    訪れた読み人の中から<キラキラ>を引き出そうとして
    たくさんの問いかけをしてくる。

    私はただ、たじろぐ。

    単純な王子の質問に
    いい答えを差し出そうとして
    口をパクパクさせるばかり。

    王子は
    質問に対して
    満足の行く答えをくれるまで
    物語の先へは案内してくれない。

    光の花はどこに咲いているのだろう…

    私は物語とは逆の方向に進み、
    その花を捜さねばならない。

    その為に8回めの旅に出るのだ。トホホ。

  • 名作なので読みたいとずっと思っていました。
    想像力が試される作品に感じられたということは、私自身子供心をだいぶ失っているのでしょうか…。
    大人でも読んで楽しい作品だったので、西洋ファンタジーはもっと読んでみたいです。
    「大切なものは目に見えない」の名言は読む前から聞いたことがあり、実際に読んでみると身に染みて感じられました。
    ルーティンワークのように日々をこなしていると忘れてしまいそうな、大切な心持ちが詰め込まれていたので、時々読み返したいと思います。

  • 毎晩2ページずつ、やっと読み聞かせが終わって振り返ると、ずいぶんと難しいお話だったように思う。大人でも考えさせられる。まるで謎かけだ。
    ここから何をすくって、何を自分たちの血肉にしてくれるのだろう。

    星の王子さまは、すこし物悲しくてどこか寂しい。
    そしてぼくの当たり前の中に、いくつかの示唆だけを残して故郷に帰っていってしまう。さすがフランス人。深い。そして分かりにくい。ガス燈の点灯夫のくだりなど、参考書が欲しいと思ったくらいだ。
    単純な私は、王子さまとぼくが睦まじく暮らしましたとさ、という勝手な結末を思い描きながら読んでしまった。
    すまん、我が子ら。

    もしいつか覚えてくれていたら、解釈を聞かせて欲しいな、なんてひっそり思った。
    ん?もしかすると、自分はバラなのかな。

  • 幼い頃に何度か読む機会はあったものの、当時は淡々と展開してゆく物語と、読後のなんとなく寂しい気持ちに、何故こんなにも人気があるのか理解できずにいた。
    でも、児童文学や教科書で出会った物語は、大人になってからふと読み返したくなる時期がやってくるものだ。
    池澤夏樹が好きだったこともあり、その時に購入し、今も手元にある。
    本書は青い背景にそっと立っている王子さまが印象的な表紙だ。右から左へページを捲る。文章も横書きだ。
    それらが物語の中へ、私達を自然に導いてくれる。
    「ぼくは何もわかっていなかった!言葉じゃなくて花のふるまいで判断すればよかったのに。」
    「人間たちの間にいたって淋しいさ」
    大人の私達にそっと寄り添ってくれる言葉が、ここには沢山ある。
    そして本当は、言葉で書かれていないものこそ、サン=テグジュペリが真に伝えたかったこと。
    池澤夏樹の訳で、それを受け取りに行きませんか?

  • 高校生の頃に初めて1冊を通して読んだ「星の王子さま」。

    初めて読んだ時は寂しくて読後に涙が止まらなくなってしまって
    すごくステキなお話だけど、何度も再読…とは手が伸びないままだったけど
    大人になって読み返してみると、やっぱり寂しいキモチもあるけれど
    とても静かで、とてもあったかくて、愛に満ち溢れていて
    これからは何度も何度も再読したいと思える本になっていました。

    愛とエゴの違い。大人になると実際にはなんにもないのに
    あるように感じてしまういろんな枠や、目には見えないけど
    いつも身近にある取り違えやすい大切なこと。

    本当に大切なものは何か。
    油断するとすぐにでも囚われてしまいがちなものは何か。
    ココロをカラダから切り離して、ぽっかりと宙に浮かべて
    ゆっくりと考えてみたり、ココロを柔らかくストレッチしたり
    リラックスさせたりするヒントがたくさん詰まっていて
    長い時間をかけて、大切な大切な1冊になりました。

  • うーん……
    なんとか読みましたが全く理解出来ず。。
    個人的な意見ですが、本当に読みにくく途中で何度も読むのを辞めようか悩んだ作品でした。

  • 前に読んだ時はよく分からなかった。
    今、少し分かる。

    あとがきにある、捉えがたい本だ、読み終わった気がしない、というのがすごく分かる。

    2019.2.28

  • 星の王子さまと一緒に世界を旅した気分になった。「ものは心で見る。肝心なことは目では見えない」というキツネの言葉は名言だと思う。

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