風の影 上 (集英社文庫)

制作 : 木村 裕美 
  • 集英社
3.82
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本棚登録 : 1284
レビュー : 192
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087605082

作品紹介・あらすじ

1945年のバルセロナ。霧深い夏の朝、ダニエル少年は父親に連れて行かれた「忘れられた本の墓場」で出遭った『風の影』に深く感動する。謎の作家フリアン・カラックスの隠された過去の探求は、内戦に傷ついた都市の記憶を甦らせるとともに、愛と憎悪に満ちた物語の中で少年の精神を成長させる…。17言語、37カ国で翻訳出版され、世界中の読者から熱い支持を得ている本格的歴史、恋愛、冒険ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  •  物語の中に物語がある、これは見事な仕掛けが施されたマトリョーシカのような小説です。

     小説の中にこの小説と同じ「風の影」というタイトルの本を書いたフリアン・カラックスという男が登場します。そしてその本の登場人物であるライン・クーベルトを名乗る顔のない不気味な男が、本の中から抜け出したように夜の街をさまよい、その本を探し当ててはことごとく焼いてしまおうとするのです。

     フリアン・カラックスの謎にとりつかれた主人公ダニエルがこれを解き明かそうとするうちに、次第にダニエルの人生はフリアンの人生と重なり合っていきます。まるでペネロペを愛したフリアンの運命をなぞるかのように、ダニエルはベアトリスに引き寄せられていきます。

     この小説はミステリーだと紹介されていますが、単なる娯楽小説に留まってはいません。意味深い言葉で人生の中にある愛憎劇や悲劇を描いています。上巻では、登場人物たちは欲望や憎悪や嫉妬に駆られ、あるいは絶望の前で人生の意味を見失いかけています。誰もが不幸を抱えているようで、読み進めることを辛く感じるほどです。それは内戦を迎えたスペインの暗い時代のせいなのか、それとも人間の本質なのか……。

     しかも、それらの全ては、下巻のクライマックスに向かう助走に過ぎないのです。

  • 一応書店員ということでポップを書くわけです。
    でも洋書だし読んだことないから、必死のリサーチでポップ作り上げるわけですよ。
    そしたら、どうしても本読みたくなっちゃって購入ww
    結局書店員も書店の重要な客となるわけですよね・・・

    今までほとんど外国文学読めなかったんだけど、内容を大まかに知っているだけに読みやすかったです。
    そして今まで読んだことないタイプの小説。
    ミステリー?なんだろうけどちょっとどういう方向に向かっていくのかまだわからない。
    これからどんな展開になっていくのか、どういう結末に陥るのか、小説と青年の数々の共通点はどこにつながっていくのか・・・
    下巻に期待。

  • 「本を読む者にとって、生まれてはじめてほんとうに心にとどいた本ほど、深い痕跡を残すものはない。はじめて心にうかんだあの映像、忘れた過去においてきたと思っていたあのことばのよいんは、永遠にぼくらのうちに生き、心の奥深くに「城」を彫りきざむ。そしてーその先の人生で何冊本を読もうが、どれだけ広い世界を発見しようが、どれほど多くを学び、また、どれほど多くを忘れようが関係なくーぼくたちは、かならずそこに帰って行くのだ。」
    「この無限にひろがる墓場のなかで、ぼくがまったくの偶然から、一冊の知らない本の内側にすべてをつつみこむほどの宇宙を発見したとしても、いっぽうでは、数えきれないほどの書物が、誰に開拓されることもなく永遠に忘れ去られていく。放置された何千万というページ、宇宙や持ち主を失った無数の魂に、ぼくはかこまれているような気がした。そんな本のぺーじたちが、暗黒の大洋に沈んでいくあいだに、この壁のむこうに息づく世界は、日々「記憶」を失っているのだ。自分でも気づかないうちに、しかも忘れれば忘れるほどよけいに賢くなったかのように感じながら。」

    スペイン発の本が売れるってすごいんじゃないか、と思って購入。
    少し不思議で次々に現れる謎は読者をあきさせない。
    バルセロナに行ってみたくなる一冊。あと、スペイン内戦時のこととかも知っているとより楽しいと思う。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「次々に現れる謎は読者をあきさせない。」
      本に纏わる話だと聞いて読み始めたら、面白過ぎて途中で止められなかった!
      しかし続編の「天使のゲーム...
      「次々に現れる謎は読者をあきさせない。」
      本に纏わる話だと聞いて読み始めたら、面白過ぎて途中で止められなかった!
      しかし続編の「天使のゲーム」は積んである、早く読まなきゃ。。。
      2013/05/21
  • バルセロナを舞台に、謎の作家の影を辿ろうとする青年の話。

    次第に明らかになっていく作家の過去と青年の身に起こる現在がシンクロしていき、不思議な世界観に浸れる…一気に読みたい!


    バルセロナの歴史や宗教、生活を知っていれば、もっと面白いにちがいない。自分の知識の無さが口惜しい!

    後半でどんなオチが待っているのかが楽しみ☆

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      新刊「天使のゲーム」は読まれましたか?(私は近日中に読む予定です)
      「バルセロナの歴史や宗教、生活を」
      「風の影」のサイトにバルセロナガイド...
      新刊「天使のゲーム」は読まれましたか?(私は近日中に読む予定です)
      「バルセロナの歴史や宗教、生活を」
      「風の影」のサイトにバルセロナガイドマップが載ってます。。。
      http://bunko.shueisha.co.jp/kaze/index2.html
      2012/08/22
  • 2008/09/30

  • テンポが良いので、話にぐいぐい引き込まれる。一人の人間の成長を描いた作品が好きなのでとてもよかった。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「一人の人間の成長を描いた作品」
      私は「忘れられた本の墓場」と言う設定に魅せられました。早く「天使のゲーム」読まなきゃ!
      「一人の人間の成長を描いた作品」
      私は「忘れられた本の墓場」と言う設定に魅せられました。早く「天使のゲーム」読まなきゃ!
      2012/10/29
  • バルセロナ旅行中に読んだ思い出の本! 2010/07

  • そらさんのおすすめ。

  • 2010.4.9読了。1945年のバルセロナを舞台にして、古本屋の父に連れられ、少年は一冊の本「風の影」と出会う。もう誰の記憶にもない本、時の流れとともに失われた本が最後にいきつく秘密の場所「忘れられた本の墓場」で。

    そこに初めて来た人間は必ず一冊の本を選び、それを一生守らなければいけない。自分が本を選び、また本が自分を選ぶ。

    少年は、その本と、作者をめぐる壮大な謎を追っていくのだけれど、特に冒頭部分は本好きにはたまらぬ展開。自分が、今まで本と出会ってきた喜びを、読みながら再体験できる。

    そしてまた、少年の淡い恋心や裏切り、失望、期待といった大きく揺れ動く感情をなぞりながら、謎が徐々に深まっていくのがまた面白い。

    下巻の展開が楽しみ。

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