風の影 上 (集英社文庫)

制作 : 木村 裕美 
  • 集英社
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本棚登録 : 1297
レビュー : 194
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087605082

感想・レビュー・書評

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  • スペインはバルセロナが舞台の、ミステリーというかファンタジーというか、まあ位置づけは難しいですけども、ちょっとダークでゴシックな匂いがする世界観。冒頭では主人公ダニエルがまだ10歳の少年ということもあり、古書店を営む父親に連れられて「忘れられた本の墓場」から彼が1冊の本「風の影」を手にするくだりまでは、ハリーポッター的な少年の冒険譚をイメージしちゃってたんですけども、物語が進んで彼が成長するにつれ、そんな可愛らしいファンタジーではないことが判明してきます。「風の影」の作者であるフリアン・カラックスについてダニエルが調べていくにつれ、過去の愛憎劇や悲劇が明らかになってゆき、ダニエルもまたその悲劇の愛憎の渦に巻き込まれていってしまう。

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    原文 スペイン語 Viento de Sombra
    カルロス・ルイス・サフォン(Carlos Ruiz Zafón、1964年9月25日 - )は、スペインの小説家。バルセロナ生まれ、アメリカ・ロサンゼルス在住。

  • いやもうね、バルセロナ行きたくなりますよ、ホンマ。


    『風の影』を巡る、少年の人生と作者の人生。
    そして周りの人々の生き様が壮大な物語を奏でてくれます。

    あとがきにもありますけど、すべての登場人物が
    それぞれに人生が感じられるというのがすごい。


    上下巻合わせてなのでこちらに書きますが
    下巻は特に素晴らしい。
    ページめくる手が止まりません。

    特にヌリアの手記の部分。
    それまでの謎をクリアにするだけでなく
    ヌリア自身の悲しい人生を浮き彫りにする
    何とも悲しい流れが待っています。


    そして何より、名言が多いのだ。


    だって、働いてるうちは、人生を直視せずにすむでしょ

    ただ稼ぐだけなら、それほど難しいことじゃない。
    難しいのは、人生をささげるに値する仕事をしながら
    金を稼ぐことだよ。


    特に下記の、ヌリアの戦争についての言及が好き。
    戦争というものをこういう表現で書いた文章は見たことがない。
    そしてこれが戦争の本質なのではないかと思う。


    戦争は、忘れることを“えさ”にして大きくなっていくのですよ、ダニエル。わたしたちは誰もが口をつぐみ、そのあいだに、戦争は、わたしたちを納得させようとする。わたしたちが見たものや、やったこと、自分の経験から、あるいは他人から学んだことはただの“まぼろし”だった、一過性の悪夢だったのだと、わたしたちに思い込ませようとします。戦争に記憶はないし、誰もあえて戦争を理解しようとしない。そのうちに、なにが起こったのかを伝える声が消滅し、わたしたち自身も、戦争というものを認識できなくなるときがやってきます。すると戦争は、顔を変え、名前を変えてもどってきて、後ろに残してきたものをむさぼり食うのです。

  • スペインはバルセロナが舞台の本をめぐる奇妙なお話

    まだ話の全容は掴めないけど先が気になる終わり方

    下巻は今日から読む

  • ロマン主義的な独特のリズムをもった文体と幻想に包まれたようなストーリー。訪れたこともないバルセロナの街のにおいが伝わってくるようで、書き出しからこの光と影の物語世界に引き込まれてしまった。『天使のゲーム』のイサベッラのような役回りを今作ではフェルミンが務め、重く沈みがちな物語の良いアクセントになっている。誰からも見向きもされず、忘れ去られる運命にある「書物」や「記憶」に対する痛切な感情と、それらを掬い取って必死に紡ごうとする魔法のような物語も、前に読んだ『天使のゲーム』と共通していると感じた。

  • 過去と今が平行線になっていて
    主人公の身に起きることを読み手が嫌でも想像させられて ドキドキしてしまう。
    しかも登場人物たちがすごく生き生きしてて、引き込まれてしまう。
    ところどころに不吉な描写がちりばめられてて、ぞわっとしてしまう。

    伏線のばらまき具合が見事

  • なかなか陰鬱な雰囲気とゴシックホラー的要素を持つ作品です。
    この手の小説は好みが分かれるかもしれません。
    上巻は割とゆったりとした展開です。
    まとまった感想は下巻で。

  • 忘れられた本の墓場から始まる古書モノということで、死の蔵書みたいなのを想像していたら違った。でもおもしろい。

    フェルミン・ロメロ・デ・トーレスが最高。映画化するならフェルミン役はロバート・ダウニー・Jr.がいいな。

    バルセロさんも、主人公ダニエルの父も好きなキャラ。時計屋のおじさんも好き。後半が楽しみ。

  • 『忘れられた本の墓場』という国会図書館みたいなww本の溜まり場から、初めて訪れた者は1冊生涯守るべき本を選ぶ。古書店を営む父に連れられ行った少年ダニエルが選んだ本のタイトルは「風の影」。本好きとしては燃え上がらざるを得ない設定。しかもその本を巡ってうごめく怪しい男と作家の謎、そしてロマンス。予想以上にワクワク感があって面白い。

  • 下巻に書きます。

  • ダニエルは父に連れて行かれた本の墓場で、小説「風の影」に出会う。
    作者リアン・カラックスの過去を探し求める中、
    それを執拗に追う者も現れ、徐々に謎が深まっていく・・・

    訳書独特の読みにくさもなく、すんなりと読めるのは、
    37もの国々で訳された実績のなせる技でもあろう。

    上巻は来る下巻に向けての大きなプロローグ。
    どんな結末に至るのかは皆目見当が付かない。
    恐らく全ての謎が明かされる下巻に期待。

  • スペインが好きで、バルセロナを舞台にした小説を探していて出会ったのがこの「風の影」。登場人物がみな個性的で、翻訳も読みやすく、一気にシリーズのファンになった。新作が楽しみで仕方がない。

  • ページをめくるスピードが加速していかない。何だろう、この読みにくさというか、重さというか。

    表現が抽象的過ぎて、頭の中でイメージしづらいのかも。
    だからといって、それは物語の大筋とは何ら関係のないものだが。

    1940年代のスペイン。内戦の影を引きずるバルセロナが舞台だ。
    訪れたことのない国は、こうして文章でイメージを膨らませるのが楽しい。この先の下巻では、楽しさがどう揺さぶられていくのか心配でもあるけれど。

    古書店を営む父親の元で働く少年ダニエル。彼が、本の墓場と呼ばれる謎めいたラビリンスのような店で出会った一冊の本、「風の影」。彼がその小説にのめり込んでいくことで、物語の空気は一転、ホラーじみたミステリに変貌していくのだ。その小説の作者は、若い頃に謎めいた疾走を遂げていて、その作者の消息を探るうちに、魔の手がダニエルに襲いかかって……というのがここまでのあらすじだ。

    私の好きなパラレル構造の小説。現代と過去がどう交錯していくのか、気になるところだ。

    下巻こそページターナーであることを願う。

  • マイベスト‼

  • 誰からも忘れられてしまった本が集められた場所で、少年が出会った本。そこから始まる少年の成長と本の作者の謎を追う物語。本好きとしてはこの設定だけでなにか共犯者めいた気持ちになってしまって、わくわくしながら読んだ。出てくる人たちがみんな一癖あって目が離せないのだけれど、静かで優しいお父さんがいい! このお父さんのためにもハッピーエンドに持っていってくれダニエル!という気持ち。

    バルセロナが舞台なので、スペインも楽しめるミステリ。実在のカフェなんかも出てきます。

  • 「忘れられた本の墓場」で見つけた世界に一冊しか残っていない本にまつわる謎という紹介文にひかれて読み始めたのだが…。
    主人公が十歳の少年というので、児童文学かと思って読みはじめると、開幕早々にキスシーンが現れ、その後も性的な仄めかしやら、くすぐりが結構出てくる。今頃の子どもはこれくらいでは驚かないだろうとは思いつつも、違和感が残る。
    そこで、ああこれは大人向きのミステリなんだ、と納得したのだったが…。
    それにしては、出てくる人物が、あまりにも類型化されていて、悪役は徹底的に悪く描かれ、主人公を助けるワトソン役はどこまでも善人として描かれているのに少し鼻じらむ思いが残った。
    呪われた館やら塗り込められた部屋の中に隠された棺やらという、ポオやゴシック・ロマンを思わせる設定には事欠かないのだが、1945年という時代設定にやや無理があるのか、スペイン内戦というあまりにもリアルな背景が邪魔して、雰囲気の中に入り込めない。
    ここは、もっと整理して、社会派でいくか幻想小説派でいくかしぼってもらった方が読者としては有り難かった。
    『風の影』という本を書いた作家フリアン・カラックスと主人公のダニエルが二重写しになって奇妙に交錯する運命を辿るという設定は面白いのだが、歌舞伎の花川戸助六、実は曽我の吾郎というのと同じで、あまりにも御都合主義的な人物相互の関係がスペイン内戦という深刻な背景と齟齬をきたしている。
    世界中でベストセラーになっているというのだから、それなりに面白いにはちがいないのだろうが、オペラ座の怪人風の登場人物といい、サービス過剰で、せっかくの素材を充分に活かしきれなかったのではないか。
    バルセロナの地下にある「忘れられた本の墓場」という迷宮めいたイメージだけはすてがたいものがあるだけに惜しい気がする。『ダヴィンチ・コード』ファンにはお勧めかも知れない。

  • 古本屋の息子として生まれたダニエルと、彼が見つけた本の作者フリアンの人生が交錯するミステリー。
    ダニエルより、脇役の、特にフェルミンが目立ち、たまに主役を忘れてしまう。

    途中で、不幸な最期を予期させる伏線があるが、一応のハッピーエンドに終わり、歴史が繰り返さない事を伝えるのが目的か?

    近年読んだミステリーでは、ミレニアムに次ぐおもしろさ。

  • 「忘れられた本の墓場」でダニエルは1冊の本に出会う。虜になったダニエルはその本の作家をもっと知ろうとするが、謎に包まれていた。さらには正体不明の男や刑事部長が邪魔をする。
    冒険と恋愛を含んだミステリ。ダニエルや父親のキャラクターが魅力的で、とても面白い。下巻が楽しみ。

  • 登場人物のそれぞれの人生や日常が絡み合い構成されていて、心に残ってしまう。また読み直す時は、FCバルサの選手と人物をリンクさせてみようか?フェルミンはシャビあたりかな。BGMはアル、パコ、ジョンのギタートリオで決定。

  • 何年か前のベストセラー。名前と評判だけ聞いて手に入れていたものの積みっぱなしだった。
    主人公のダニエルは古書店の息子。世の中から忘れ去られた本が集まるという「忘れられた本の墓場」で、彼は生涯を変える作品に出会う。その作品は「風の影」。作家はフリヤン・カラックス。
    一読してカラックスの作品の虜になったダニエルは、彼の他の本を探し始める。好きな作家について調べている、ただそれだけだった筈なのに、いつしかダニエルはカラックスをとりまく事件の渦に巻き込まれていく――。
    恋と冒険とが存分にあふれるエンターテインメント作品。上下巻あるが一気に読み終わった。流石は口コミで売れたベストセラー作品というところか。
    物語のきっかけが一冊の本なので、てっきりその「本」の内容を巡る話かと思ったがそうではなかった。どちらかというと主役は作家というより、「人間」カラックス。そしてカラックスを追いかけるダニエル本人だ。
    少年ダニエルは、その年齢相応に、よくも悪くも真っ直ぐ。カラックスの謎を解き明かすため、段々と深みにはまっているのに関わらず、危険を顧みず進んでいく。
    ただ恋に対しての彼の態度は、うーん、どうかなあ。彼の振る舞いには正直いらいらするところが多々あったのだが、まあこれは異性だからだろうな。男性の目から見れば、彼の心情に私より納得できるところも多いのかもしれない。
    それにしてもカラックス作品が作中作になってなかったのが残念。概要を読むだけでも結構私の好なので気になった。

  • 1冊の古い本の出会いから始まるストーリー。
    ダニエルの淡い恋心や風景の描写など、読んでいるだけで
    映画のワンシーンを思い起こさせるような文章が心地よい。
    過去と現在、出会う人物がすべて繋がっているようで、
    下巻も楽しみ。

  • 読みやすいし内容もつまらなくないのに何故か集中して読み進められなかった。割と単調な感じ。
    でも訳者さんが良かったのか、ところどころの文章の表現が惹かれる部分があったからそれは良かったかな。下巻も読む。

  • 1945年のバルセロナ。少年ダニエルは「忘れられた本の墓場」でフリアン・カラックス著「風の影」という本に出会う。どんな作家が書いたのだろう?と謎を追うダニエル。また、この本に登場する顔のない男が、ダニエルの前にも姿を表す、悪魔か。。。著名な本たち、歴史ある都市、謎の作家、呪われた館、悪魔、運命に翻弄される美少年(と勝手に推測)。わくわくする題材がいっぱいだ~。下巻へ。

  • バルセロナが小説の舞台ということでスペイン旅行で読もうと古本屋で購入。内戦の爪痕が残るバルセロナの街の空気が伝わってくるような物語。謎解きあり、アクションあり、ロマンスありで一気に読んだ。(休み中だったからでもあるが)
    主人公の少年ダニエルは「忘れられた本の墓場」で一冊の本に出会う。その本と作家フリアン・カラックスの謎を追うダニエル。フリアンの人生とダニエルの人生が鏡合わせのようになりながら物語は進んでいく。

    謎の作家、バルセロナの路地、呪われた館、顔のない男・・・と魅力的な要素がたくさんあるのだが、それに加え、かなりの数の登場人物がいるにもかかわらず、それぞれの生き方や内戦との関わりなど、いちいちきっちりと描いているところが、単なるメロドラマを越えて、世界中で読まれている所以なのだろう。

  • webの書評で大絶賛されていたので借りてみました。


    「1冊の本との出会いから始まる壮大なストーリー。Don't miss it!」

    みたいな感じだったので、期待に胸を膨らませてページをめくったのですが、上巻の時点では、主人公の身の回りにさして大きな変化もないので、
    肩透かしを喰らっている感じです・・・。

    物語の中でも主人公が出会う本は「風の影」というタイトルですが、話は本よりも作家を追いかける話になっています。
    ちょっと期待していたイメージ(本を中心に物語が進む)のとは違う感じでした。
    下巻になったら、劇的に話が進展して感動の渦に巻き込まれるのでしょうか。(でも大体最初が駄目だと、最後まで面白くないんだよなぁ・・・)

    まぁ、もう少し我慢して、下巻に付き合いたいと思います

  • 出た当初から評判がものすごくよかったし、今年出た続編の「天使のゲーム」もミステリのベスト10などで選ばれているしで、これは読まねば!と思ったのだけれど……。な、なぜかなかなか読み進まなかった……。徹夜本とか書いてあるのに。ミステリっていうよりファンタジーみたいな。児童文学みたいな。本の墓場、とかっていうのも、わたしはあんまり言われてるほどロマンを感じないなあ……。

  • フリアン・カラックスの小説「風の影」を巡って物語は動き出す。
    過去と現在を巡る展開は複雑だが、精緻に積み上げた
    ストーリーにとても満足。スペインの風景が目に浮かぶようだ。

  • 過去のフリアンと現在のダニエル。二人が物語(本)を媒介に二重写しになって不思議な風景を見せる。ダニエルのお父さんが素敵だ。

  • スペインという風土がキャンパスになっている。最後の着地点がまだ見えてこない。世界に1冊だけの自分が護るべき本との出会いから物語は始まる。

  • 本についてのミステリー、舞台はバルセロナ。かなり好きな要素満載なんだが、タイトルと表紙絵がイマイチでなかなか触手が動かなかったが、海外出張のお伴にしてみたところ、予想以外におもしろく、ぐんぐん読めた。
    が、なんというか、ヨーロッパ風のシドニー・シェルダン的というか。実は読み始めてすぐ、謎の男の正体は想像がついてしまっていたし、最後のいろいろな種明かしが故人による手記っていう手法もなんとなくどうかなー…みたいな。ともあれ、続編も気になるので読んでみようかな、という気にはなった。

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