山の郵便配達 (集英社文庫(海外))

  • 集英社 (2007年6月28日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784087605310

作品紹介・あらすじ

美しい風景と家族愛、胸をうつ短編集
厳しい山岳地帯を徒歩で手紙を届けてきた老郵便配達の最後の仕事は、息子への引き継ぎの旅だった。美しい自然と無口な父子の情愛を描いた表題作等、激変する中国に生きる人々を描いた短編集。

みんなの感想まとめ

厳しい山岳地帯での郵便配達を通じて、家族愛や人間の絆を描いた短編集は、文革後の中国の人々の生活や心情を深く掘り下げています。表題作では、老郵便配達人が息子に仕事を引き継ぐ過程が描かれ、父と息子の関係が...

感想・レビュー・書評

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  • 文革後の中国を描いた短編集を読みました。収録作品は以下の6編。

    ●山の郵便配達
    ●沢国(たくこく)
    ●南を避ける
    ●過ぎし日は語らず
    ●愛情
    ●振り返って見れば

    明るい話もあれば少し暗めの話もあって時代の変化に翻弄された当時の人たちの姿をほんの少し思い浮かべることができました。
    表題作の「山の郵便配達」は郵便配達を引退する父が仕事を息子に譲る日を書いた作品。忠犬が登場し、犬好きにはたまらない物語でした。犬と郵便配達といえば、私はジャック・ロンドンの『野生の呼び声』を思い出します。ただし、こちらは犬橇ではなく厳しい山岳地帯を人間が重たい郵袋を天秤棒で担ぎ、3日間歩いて配達するので仕事のスタイルは異なります。しかし、スタイルは違ってもこちらの犬も、河を渡ったり山道を登ったりする際に主人を引っ張ったり支えになったりして旅路を人間と供にします。

    「沢国」も実直に仕事をしてきた労働者たちの姿が美しく、過剰な演出なく描かれていて印象的な作品でした。以下の一節が特に心に残りました。

    みんなやらなければいけないことがたくさんあって、ほかの人たちのいらだちなんかにかまっていられないのだ。いらいらしてきて、自分の手もとの仕事を打ち棄ててやらないからといって、ほかの人が自分の仕事の手を休めることは決してない。風に波がなければ、風だということもわからない。それで細米(シーミー)のいらだちもすぐに鈍ってしまうのだった。漁師たちの偉大な忍耐が、一代、また一代、彼らの子孫を征服してゆく。
    (「沢国」p.56〜p.57より)

  • 古き良き美しい田舎と欲望の都会。少し前の中国を舞台に、そこに生きる人々の暮らしを描いた6つの短編集『山の郵便配達』。映画化されています。

    日本の小説とは異なる設定や描写がおもしろく、読み始めると面白くて物語の中に入りこんでしまいました。

    ●山の郵便配達
    映画の方を先に見たので、原作との違いが楽しめました。映画では息子を語り部にしていましたが、小説では父親視点で物語が綴られていきます。

    山間部を歩いて郵便物を届ける配達夫は、ほとんど家に帰らない生活なので、最初は父と息子の関係はぎこちなくはじまります。

    父親は配達する際の心構えとノウハウを息子に伝えながら、自らの人生をかえりみます。

    映画と同じく、年老いた父親が川で息子に背負われて思わず涙するシーンは、映画と同じく小説でも涙してしまいました。

    ●振り返って見れば
    知人のいないと都会で働く男は、懐かしさから昔の彼女に声をかけてしまう。しかし彼女の姿は変わっていた。派手な服装に宝石。

    男の上司は彼女を「鶏(娼婦)」だといい、関係を断つように言い渡す。

    彼もまた、彼女を蔑んでいたが、仕事をやめて落ちぶれる男に手をたったひとり差し伸べたのは彼女だった。

    中国はメンツの国ですから、男がいかにおちぶれたとはいえ、蔑むべき職業の女からの施しはプライドに関わることなのでしょう。

    男性の弱さと、女性のしたたかさが対象的に描かれています。

  • ふむ

  • 『振り返って見れば』「なんで俺がこんな目にあわなきゃいけないんだ?」

  • 映画を先に見ました。市井の人々のたゆまぬ努力があって、同じような市井の人々の暮らしが守られているのだと感じられた。白紙の手紙を読むシーンには、それをいままで続けてきた父親の温かな気持ちが感じられる。そして大変な道のりとわかりながらも、この仕事を継ぐ息子の静かな決意にも。

  • 配置場所:摂枚文庫本
    請求記号:923.77||P
    資料ID:95130021

  • 素朴な水彩画のような短編集。読みやすいし、めったに見聞きしない現代中国の農村部が舞台なのでなかなか新鮮だった。非常にきれいにまとまっているので、「本当にこういう風に書きたいのかな」といぶかしんでしまったけれど、これはうがったものの見方というものだろう。

    よかったのは、映画化された「山の郵便配達」。これは映画でも見たいタイプの短編で、犬好きにはたまらない忠犬が登場する。また、「南を避ける」もよかった。娘が都会に吸い寄せられないように奮闘するお父さん。彭さんはしょぼくれたおじさんの話が上手です。

  • 中国、北京などを舞台とした作品です。

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