ラテンアメリカ五人集 (ラテンアメリカの文学) (集英社文庫)

  • 集英社
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レビュー : 21
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087606256

作品紹介・あらすじ

少年時代に抱いた友人の母親への恋心を、二十世紀メキシコの激動の時代と共に追想する、パチェーコ『砂漠の戦い』。犬に噛まれ、大怪我をしたことから鬱屈した青春を送る少年と仲間との交遊を描いた、バルガス=リョサ『小犬たち』。マヤの神話や伝説が語られる、アストゥリアス『グアテマラ伝説集』。ほか、オクタビオ・パス、フエンテスの詩や短篇を収録。ラテンアメリカを代表する作家たちの競演。

感想・レビュー・書評

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  • リョサ「小犬たち」お目当てで。「小犬たち」文体と構成の妙。読みやすいし面白いけど、クエリャルが、はあ、可哀想だ。パチェーコ「砂漠の戦い」素晴らしい!当時の政治状況や人々の暮らしぶりが巧みに語られながらも、少年の初恋の話で、ちょっとギュッとなる。フェンテス「二人のエレーナ」ラストに思わず...ワオッ!パスは散文がよかった。詩は解説を読んで納得。アストゥリアス「グアテマラ伝説集」神話・民話の世界はどこの国もなんかこう、めくるめく話になるのかしら...全部面白かったです。

  • 砂漠の戦い(ホセ・エミリオ・パチェーコ/安藤哲行)
    小犬たち(マリオ・バルガス=リョサ/鈴木恵子)
    二人のエレーナ(カルロス・フエンテス/安藤哲行)
    白(オクタビオ・パス/鼓直)
    青い花束(オクタビオ・パス/野谷文昭)
    正体不明の二人への手紙(オクタビオ・パス/野谷文昭)
    グアテマラ伝説集(ミゲル・アンヘル・アストゥリアス/牛島信明)

    著者:ホセ・エミリオ・パチェーコ(Pacheco, José Emilio, 1939-2014、メキシコ・メキシコシティ、作家)、マリオ・バルガス・リョサ(Vargas Llosa, Mario, 1936-、ペルー、小説家)、カルロス・フエンテス(Fuentes, Carlos, 1928-2012、パナマ、作家)、オクタビオ・パス(Paz, Octavio, 1914-1998、メキシコ・メキシコシティ、詩人)、ミゲル・アンヘル・アストゥリアス(Asturias, Miguel Ángel, 1899-1974、グアテマラ、小説家)
    訳者解説:安藤哲行(1948-、岐阜県、ラテンアメリカ文学)
    訳者:鈴木恵子、鼓直(1930-、岡山県、ラテンアメリカ文学)、野谷文昭(1948-、神奈川県、ラテンアメリカ文学)、牛島信明(1940-2002、大阪志、スペイン文学)
    解説:豊崎由美(1961-、愛知県、書評家)

  • 文学

  • 2011-7-23

  •  タイトルに惹かれて購入した一冊。
     カルロス・フエンテスも収録されているし、「ラテン・アメリカ文学が好き」だから。
     ところがこの「ラテン・アメリカ文学が好き」がクセものだったのかな、と思う。
     当たり前のことだが、例えば「日本文学」と言われても、そこには千差万別の作品があり、多種多様のジャンルがあり、有名無名の多くの作家がいる。
     だから「日本文学が好き」という考えは、あまりにも漠然としすぎていて、正確さに欠ける表現なのだと思う。
     同じように「ラテン・アメリカ文学」と一口に言っても、そこには広くて深い世界が広がっているわけで、例えば単純にマジック・リアリズムが渦巻く世界ではないのは当たり前なのだ。
     ここに収められている5人の作家の作品群、決してつまらなくはないのだが、正直あまりピンとこなかった。
     カルロス・フエンテスの短編にしても今一つであったし、「『小犬たち』鑑賞エッセイ」で絶賛されているマリオ・パルガス=リョサの「小犬たち」にしても、その実験的な文体は僕には落ち着いて読むことの出来ない内容だった。
     オクタビオ・パスの3作品に関しても、僕にはうまく把握できなかった(特に実験詩である「白」)。
     ミゲル・アンヘル・アストゥリアスによる「グアテマラ伝説集」は割と面白く読めたのだが、こちらは岩波文庫から出版されている方をきちんと読もうかな、と思い、拾い読みにとどめてしまった。
     そうなると一番楽しめたのはホセ・エミリオ・パチェーコの「砂漠の戦い」ということになるが、これは本当に面白かった。
     ラテン・アメリカ文学ってのは、まだまだこんなものじゃないだろうと思うし、これからも少しずつ探っていこうと思う。

  • 期待したほどではなかった。バルガスリョサの「子犬たち」は面白かったが、翻訳の文章がちょっと不満。

  • 2011年に復刊された改訂新版で最初は1995年に同じ集英社文庫で出版されていたものにフエンテスの作品が加わっているようだ。
    「砂漠の戦い」パチェーコ タイトルから受ける印象とは異なり友人の母親に恋をしてしまった少年の話。40年代末から50年代初頭のメキシコが舞台らしくその時代の文化が数多く盛り込まれている。
    「小犬たち」バルガス=リョサ 巻末で豊崎社長が絶賛しているが、なるほどこれは傑作。局所を犬にくいちぎられた少年と友人たちの悲劇と喜劇がないまぜになった青春小説で、過ぎていく時によって否応なく生まれる落差がなんとも切ない。会話をベースにしたリズミカルな文体が素晴らしい。
    「二人のエレーナ」フエンテス 「砂漠の戦い」から時代が下ってこちらは60年代。ちょっとピンとこなかったな。解説で触れられているトリュフォーの『突然炎のごとく』を観れば少しわかるようになるのかな。
    「白」「青い装束」「正体不明の二人への手紙」オクタビオ・パス パスは『魔術的リアリズム』(寺尾隆吉)ではラテンアメリカのいわゆるマジックリアリズム文学の基礎づくりをしたシュルレアリスムの作家の一人に挙げられていた。「白」は前衛的な詩で丁寧な解説を読んでもいまだよく理解はできない。が、シュルレアリスム小説の後者二篇と共に言葉の力が強力で、凄い作家であることはよくわかった。他作品も読んでみようかな。
    「グアテマラ伝説集」アストゥリアス 『グアテマラ伝説集』が面白いという評判を以前聞いたことがあったが、たしかに面白い!宇宙的スケールで迸る色彩の洪水、といった趣でSFやファンタジーのファンもハマるやつだこれ。岩波文庫のは読まないとなー。

     最初の刊行から20年以上経ち、作家や作品のチョイスなどラテンアメリカ文学に詳しい読者からすると注文がある内容かもしれないが、まだまだ不案内な身としては一度に有名作家に触れることができて非常にありがたい一冊だった。日本の世界文学ファンにも歴史的意義の大きい本だったのではないか。

  • もはや、ブラックマジックだけではないということを多様な作家のショーケースで見せてくれる。とはいえ、その錯綜するイメージの立ち上がらせ方には固有の力を感じる。
    魔法などというものは、そう、ここにもあるものなのだ。

  • 現代のラテンアメリカの代表的な5人の作家の短編集。解説にあるように短編がその未知の作家を「手っとり早く知」る方法であるかは疑問。短編と長編は呼吸が違うだろうから。とはいえ、珠玉の5篇。ラテンアメリカの複雑で混沌とした社会、環境はそこで育つ作家にとっては最低最高(/最高最悪)のバックボーンではないか。

    個人的に共感したのは、ホセ・エミリオ・バチェーコ「砂漠の戦い」、カルロス・フエンテス「二人のエレーナ」。

    バチェーコの淋しげな語り口は読むタイミングを選ばせられるけれど、個人的にどうしても引きずり込まれるツボがある。友人の母親に淡い思いを抱いた少年は、思い詰めて、とうとう学校を抜け出して会いにゆき、それがばれて精神病院にまで送られてしまう。彼の母親もだが、父親もひどい。「父はしかりさえ」せず、昔の物理的な事故のせいかなにかで「この子は普通じゃない」という[p37]。まわりはみんな「自分の物差し」で彼をはかっていた。まわりは彼をおかしい、狂っているというようにあつかうけれど、彼はただ「好きです、と彼女に言っただけ」[p43]。彼が彼女に会いに行き、告白したときの彼女の対応がオトナ(ちなみに俺と同い年…)。やがてその友人の母親は……

    ラテンアメリカでは作家自身が自身を積極的にまわりから「狂っている」「あたまがおかしい」とみなされていたと描く感じがする。そうであっても、とか、いや違う、まったくお門違いとかいいたいわけでもないだろうが。


    「二人のエレーナ」は、何気ない物語なのだが、自分の妻の母親のエレーナと話す体験が不思議な感覚にさせる。短編の呼吸が過不足ない心地よさだった。終わりが美しいね。母親のエレーナの話した箪笥[p144]がさりげない伏線だったなんて。

    バルガス=リョサは「緑の家」を読んでからだろう。オクタビオ・パスは「青い花束」は良かった。「グアテマラ伝説集」はまた別のタイミングで。

  • 5人の作家の短編オムニバス集。集英社文庫は最近良い仕事をしてくれます。どれも面白かったけど、バルガス=リョサの「子犬たち」は、先に「緑の家」を読んでいたので文体に免疫があり読みやすかったかな。あと個人的にはアストゥリアスの「グアテマラ伝説集」が好きでした。なんというか、一種の天地創造神話だと思うのですが、色彩豊かで自然の壮大さを感じられて、抽象的なのに映像が目に浮かぶ感じ。こういうのはラテンアメリカならではの特色な気がする。

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著者プロフィール

1936年ペルー生れ。ラテンアメリカ文学を代表する作家。2010年ノーベル文学賞受賞。著書『都会と犬ども』『緑の家』『ラ・カテドラルでの対話』『世界終末戦争』『チボの狂宴』『つつましい英雄』他。

「2017年 『楽園への道』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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