死を哭く鳥 エリカ&パトリック事件簿 (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (592ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087606430

作品紹介・あらすじ

酒を飲まない雑貨店経営の女性がパートナーとの喧嘩直後、飲酒運転で道路脇の木に突っ込み即死した。事故として処理しようとしたパトリックだったが、なぜか気になって資料室にこもるうちに、数年前の泥酔自殺に辿り着く。偶然、二つの出来事のあり得ない共通点を見つけ、さらに、スウェーデン各地で同じような事故と事件が起きていることが判明して…。世界で1000万部突破の大人気シリーズ第4弾。

感想・レビュー・書評

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  • このシリーズは(というより、洋物で最近多くみられる手法のようだが)謎の人物の視点のモノローグを、主人公が直面している事件の章ごとに挿入して、最後その関係を明らかにするという形になっているのだが。
    今回はあまりにもエピソードが散漫すぎて落ち着きがない印象を受けた。
    ◎飲酒運転で事故を起こして死亡した女性、彼女が飲まない人間であることから他殺の疑い。
    ◎主人公たちの住む町にテラスハウス過激不良バージョンのロケ隊がやってくることによって引き起こされるいざこざ
    ◎新任警官登場
    ◎番組の出演者が惨殺
    ◎過保護な保護者と幼い二人のモノローグ
    ◎エリカの結婚式の準備における過酷なダイエット
    ◎妹と元彼急接近
    ◎メルバリ…うしろーうしろー!

    一応最後はまとまるんだけれど、事件の動機があまりにもあまりで感情移入しにくい。
    日本でも問題になっているあることに非情に関係があります。
    ネタバレになってしまうので控えますが、悔いても償おうとしても戻せないことは本当にあるってこと。
    そして、それは罪のない心優しい子供の心を捻じ曲げたり苦しめたりすることになることもあるということ。
    私は犯人が子供たちの人生をねじまげたことを、どれだけ苦しめたかを、自分もかつて子どもだったくせになんとも思っておらず、しれっと彼らの前に立っていたことに腹が立ってたまらなかった。パトリックもそれ言えよ!
    にしてもメルバリのエピソード、要るの…?
    解説とかそこをほめてたけど。

    そしてあいかわらず影の薄いエリカ…

  • 長編で、登場人物が多い上に関係が複雑だけど、最後まで飽きずに読める。
    海外ミステリーを敬遠する人にも読んで欲しい。

  • カミラ・レックバリは人間関係の怖さを、超絶技巧を駆使して、ミステリに仕立てあげる。そこが他のミステリ作家と一線を画すところでしょうか。

  • シリーズ4冊目。1~3冊目まで未読のまま読み始めたのだが、全く問題はなかった。
    いろいろな伏線が一気に収束するラストは圧巻。夢中になって読み進めてしまった。
    また、海外ミステリーの特徴ともいえる、脇役たちそれぞれにしっかりとしたストーリーがあり、読み応え十分。

  • エリカ&パトリック シリーズ。第1作目のようにエリカが中心ではないのは残念だが、パトリックの同僚たちが細かく書かれていて楽しい。

  • エリカ&パトリック事件簿、第4弾。

    酒を飲まないはずの女性が、飲酒運転と思われる事故で死亡。
    パートナーとけんかした直後のことだったが‥
    刑事パトリックは不審を抱き、過去の事件を調べると、数年前の泥酔自殺に、意外な共通点を見つけることに。

    警察にはハンナという新入りの女性刑事が到着、さっそくパトリックは現場に同行させる。
    折りしも、町にはテレビ番組のスタッフが滞在していた。
    一般の若者を数人出演させ、新しい町での合宿生活を放映する企画番組。
    視聴者の支持が落ちれば番組を降板するという投票制で、自傷癖のある少女なども意外に支持を得ていた。
    (これは、現実に似たような番組があるらしい)
    出演者の一人に、異変が‥?!

    前作の終わりのとんでもない危機は、意外に穏当に処理されつつありました。
    エリカは妹アンナを引き取り、アンナの二人の子どもと自分の赤ちゃんマヤを育てるのにかかりきり。
    ひきこもりがちなアンナを元気づけるために、旧友(というか元彼)のダーンに、アンナを散歩に誘ってもらう。
    エリカとパトリックは結婚式を挙げることに決め、その準備にもかかろうとしている。
    子供を生んだ後でゆっくり式を挙げるのはさすがに現代北欧風?(もう日本でも珍しいほどじゃないけど)
    アンナは準備を手伝ううちに笑顔を取り戻す。

    2作目の完成度、3作目のものすごい書き込みに比べると、こちらが期待過剰なのか?十分てんこもりなのに、やや普通な印象。
    テレビ番組が、いかにも現代的な退廃感。
    事件の背景にあるものなど告発的な視点もあって、一捻りはしてあるが‥

    仕事のできない署長メルバリは、パーティで出会った中年の女性に一目ぼれする。
    いささか手厳しく書かれすぎで最初は邪魔なキャラだったメルバリ。
    コメディ的な役回りで、意外に気分転換になる存在に。

    エリカのウェディングドレスの試着話なども、楽しい。
    エリカとアンナの母親の謎が、次回登場か?

  • 酒を飲まないはずの女性の飲酒事故を不審に思ったパトリックは捜査をするうちに過去の類似事件にたどり着く。

    あれ~?
    前作の最後でDV旦那を殺してしまったエリカの妹アンナの話が絡んでくるのかと思えばさにあらず。
    時は過ぎ、アンナは子供と共にエリカとパトリックの元に身を寄せている。
    まずここで拍子抜け。
    エリカの子育てに対する苛立ちと共に、前作からのひきが全く無視されているような印象。
    警察小説としては普通に面白かったんだけど、いろいろ広げたままの風呂敷ばかりで読後モヤモヤ。
    番組の出演者たちはどうなったの? 町のお偉いさんの思惑は?
    せめてメルバリ所長署長のエピ程度にはオチが欲しかった。
    そしてどうにもわかりやすすぎる犯人。
    いろいろ中途半端で、前作までとは毛色が違うように感じる一作だった。

  • エリカ&パトリックの4作目。エリカとパトリックは愛娘マヤに恵まれ、いよいよ結婚することに。ふさぎこんでいる妹アンナを心配しつつ、難解な事件のプレッシャーにさらされているパトリックを心配するエリカは今回も脇役に甘んじていますが、これまでも少しずつ触れられてきたエリカとアンナの母親の謎が、テーマになりそうな伏線があったので、どうやら次作はいよいよ満を持してエリカ目線の作品になりそうです。楽しみ!今作は2作目3作目と同様、パトリックがメインに活躍する内容。犯人はどうやら、、、と、途中で察しがついてしまいましたが、誰が犯人なのか、ということと同じかそれ以上に、動機や事件の全体像の謎が深いので、それが読者の興味を引っ張ります。それにしても、シリーズが始まったときはいけすかない上司だったメルバリの変貌ぶりには驚きました。前作でも人間くささというか愛嬌を見せるようになって見直されましたが、今回はさらにメルバリの物語が全体の暗いイメージを救っています。怠け者のユスタも、時折鋭い感性を見せる、という、複雑な人物として相変わらず存在感があります。次作が楽しみです。

  • 「カミラ・レックバリ」の長篇ミステリー作品『死を哭く鳥―エリカ&パトリック事件簿(原題:Olycksfageln、英語題:The Gallows Bird)』を読みました。

    『氷姫―エリカ&パトリック事件簿』、『説教師―エリカ&パトリック事件簿』、『悪童―エリカ&パトリック事件簿』に続き「カミラ・レックバリ」作品です。

    -----story-------------
    酒を飲まない雑貨店経営の女性がパートナーとの喧嘩直後、飲酒運転で道路脇の木に突っ込み即死した。
    事故として処理しようとした「パトリック」だったが、なぜか気になって資料室にこもるうちに、数年前の泥酔自殺に辿り着く。
    偶然、二つの出来事のあり得ない共通点を見つけ、さらに、スウェーデン各地で同じような事故と事件が起きていることが判明して…。
    世界で1000万部突破の大人気シリーズ第4弾。
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    2006年に発表された「エリカ&パトリック事件簿」シリーズの第4作目… 前作から数ヶ月後の設定のようで、「マヤ」は這い這いを始めています、、、

    「エリカ」の妹「アンナ」は前作の終盤でDVの元夫「ルーカス」を殺害(正当防衛)したことから引き籠りとなり、子どもたちと「エリカ」と「パトリック」の家に身を寄せており、「エリカ」は愛娘「マヤ」だけでなく、姪の「エンマ」と甥の「アドリアン」の母親役も… そして、懲戒免職となった「アーンスト・ルンドグレーン」の後任として女性警察官「ハンナ・クルーゼ」が着任等々、時期やプライベートな設定が前回と変化した状況下で新事件の解決に挑みます。


    今回の事件のテーマは飲酒運転… 「ハンナ」の着任日早々に発生した交通事故が発端、、、

    自損事故で死亡した運転手「マーリット・カスペシェン」は、パートナー「シャシュティン」(同性)との喧嘩後に自宅を飛び出し、その後、飲酒運転で道路脇に突っ込み即死… しかし、「マーリット」には飲酒の習慣がなかったにも拘わらず泥酔していたことから「パトリック」は事故ではなく、事件ではないかという疑惑を持つ。

    検死の結果、「マーリット」は大量のアルコール摂取による中毒死の後、交通事故に見せかけられたことが判明、、、

    そして、「パトリック」は、過去10年にスウェーデン各地で類似の事故や事件が起きており、その被害者たちは過去に飲酒運転で加害者になっていたという共通点を発見… 同一犯の犯行と想定される中、30年以上前の飲酒運転で被害者となった女性「シーグリッド・ヤーソン」の車中に謎の兄妹が乗車していたことが判明し、その兄妹が容疑者として浮上する。


    事故や事件現場に残されたグリム童話『ヘンゼルとグレーテル』の切り取られたページの謎、

    挿話される謎の兄妹と女性の物語、

    人気テレビシリーズでリアリティ番組『ファッキング・ターヌム』と事件の関係性、

    『ファッキング・ターヌム』出演者「バービー(リッレモール・パーション)」の殺害、

    等々のエピソードが巧く絡んで展開… そして、兄妹は復讐を果たした後、三歳のときに、亡くなったとされた海に消えて行きます、、、

    哀しみの連鎖… 不幸の連鎖… 切ない結末でした。



    このシリーズの醍醐味は、事件解決のサイドストーリーとして描かれるプライベートな描写、、、

    事件解決直後「パトリック」と「エリカ」が遂に結婚式を挙げ、「アンナ」は「トード」と愛を育み、「メルバリ」の失恋(結婚詐欺?)、「エリカ」と「アンナ」が母親の謎を調べようとしたり… と、相変わらず続篇を読みたくなる巧い終わり方ですね。




    以下、主な登場人物です。

    「エリカ・ファルク」
     伝記作家

    「パトリック・ヘードストルム」
     ターヌムスヘーデ警察署刑事

    「マヤ」
     エリカとパトリックの娘
     
    「ハンナ・クルーゼ」
     ターヌムスヘーデ警察署、新入りの刑事

    「ラーシュ」
     ハンナの夫、臨床心理士
     
    「マーリット・カスペシェン」
     雑貨店経営者
     
    「シャシュティン」
     マーリットの恋人(同性)
     
    「オーラ・カスペシェン」
     マーリットの元夫
     
    「フレードリック・レーン」
     『ファッキング・ターヌム』プロデューサー
     
    「バービー(リッレモール・パーション)」
     『ファッキング・ターヌム』出演者
     
    「カッレ」
     『ファッキング・ターヌム』出演者
     
    「ヨンナ」
     『ファッキング・ターヌム』出演者
     
    「ティーナ」
     『ファッキング・ターヌム』出演者
     
    「ウッフェ」
     『ファッキング・ターヌム』出演者
     
    「メーメット」
     『ファッキング・ターヌム』出演者
     
    「アーリング・W・ラーション」
     タームヌスヘーデ自治体委員
     
    「アンナ」
     エリカの妹、二児の母

    「バッティル・メルバリ」
     ターヌムスヘーデ警察署署長
     
    「マーティン・モリーン」
     ターヌムスヘーデ警察署刑事
     
    「ユスタ・フリューガレ」
     ターヌムスヘーデ警察署刑事
     
    「アーンスト・ルンドグレーン」
     ターヌムスヘーデ警察署刑事
     
    「アンニカ・ヤンソン」
     ターヌムスヘーデ警察署事務官
     
    「ダーン・カールソン」
     漁師、エリカの昔のボーイフレンド
     
    「トード・ペーデシェン」
     イェーテボリ警察管区法医学室監察医

  • 完全に読ませる長編を書くコツを習得したようだ。

    ということで前回に続きページターナー、ただし内容はいまいち。
    とくに邪魔者や障害をあっけなく取り除いてしまう安直さに疑問が。
    前作では上司、本作では妹。
    こんなにうまくいくものかなぁ?
    ま、よろしんじゃないでしょうかね、エンタメミステリはこんなもんで。
    売れりゃいいというドン・ウィンズロウ路線にならないことを願う。

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