笑いと忘却の書 (集英社文庫)

制作 : 西永 良成 
  • 集英社
3.68
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本棚登録 : 141
レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087606775

作品紹介・あらすじ

7編の連作短編を通して〈笑い〉と〈忘却〉というモチーフが繰り返しバリエーションを奏でながら展開され、精緻なモザイクのように編み上げられる、変奏形式の小説。クンデラ文学の原点。

感想・レビュー・書評

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  • 『悪魔を〈悪〉の遊撃兵だと思い、天使を〈善〉の闘士だと考えるのは、天使たちのデマゴギーを受けいれることだ。事は当然もっと複雑なのである。

    天使たちは〈善〉ではなくて神の創造の遊撃兵なのであり、逆に悪魔は神の世界に合理的な意味を認めない者なのである。』

    難解。
    『存在の耐えられない軽さ』『不滅』のような分かりやすさと読みやすさがない。さっぱりなので、読むのが苦痛だった…。残念。

    あとは『無知』だな。これはどうだろうなぁ〜。

  • エッセイから物語までまぜこぜになっていて面白い、「変奏曲形式」の小説。
    境界の向こう側と笑い、それによる忘却。

  • 全く解らなかった。

  • ひょっとしたら、ミラン・クンデラ氏の最高傑作ではないかと思えてしまうほどの作品。
    笑い、冗談、悪魔、天使、相反する関係であるようで、決して別のものではない。それらは紙一重でそこにある。
    アモス・オズもこう言っている。
    『「悲劇的」と「喜劇的」という形容詞は、同じ苦悩の風景を別の角度からのぞむふたつの窓にすぎないと教えてくれたのはチェーホフでした。私たちがみんな欠点があり愚かで滑稽だということに気づけば、たがいに悲喜劇的な思いやりを寄せることができるのではないでしょうか。秘密が見つかったとき、顔を赤らめるのではなく、同じようなひどい欠点やくせがあるのに気づいた他人どうしみたいに、そっと優しい微笑みをかわせるかもしれない。これは個人だけではなく、国や文化や宗教についてもいえるのではないでしょうか。』
    物語は、悲しい重奏である。

  • 16/1/1、ブックオフで購入

  • 『存在の耐えられない軽さ』の変奏曲。その主題は、人間が互いにあまりにもわずかしか理解し合わないことへの後悔、そしてやがて風のように忘れ合う私たちの忘却。この主題は、反復されて擦り切れ、もはや生命力を宿さなくなるまで繰り返される。後悔を忘れた時歴史もまた境界を越える。その世界で私たちは、記憶をもたない人間として無邪気に笑いながら遊び回る。そこは思考停止(キッチュ)が上げる凱歌だけが聞こえる世界。歴史が境界の向こう側へと落ち、旅装を解いて休息している世界。昨今、そんな世界を思い描くのが容易になっている。そんな世界がもはや想像でなく、境界を越えて現実(こちら側)へと訪れつつあるからに違いない。

  • 再読。
    クンデラの言葉や理屈は意外と薄っぺらいのかもしれない。結構さらさらと楽しく読めてしまう抜群のエンターテイメント性がいい意味で優っている。もちろん、その薄い言葉が焦点を結ぶところに伝統の厚い蓄積があるのかもしれないけれど。
    特に2番目以降の短編での心情描写が卓抜。何なのだろうこの妙な心理的リアリティは。

  • 何度か投げ出そうかと思ったくらいつかみどころがなかったのだが、六、七部で、すぅっと収まるべきところに収まるような印象。何が収まったのかはさっぱり不明なのだけど。

    チェコでかつ共産主義という幾重にも知らない文化を背景としてるため、徴みたいなのはほとんど拾えてないのだろう。しかし、よくわからないけどなにか好い感じの余韻がある。

  • まず表紙が素敵。黒いバックに赤い文字、輝く金の指輪。クンデラの理屈っぽさや説明の多さにへこたれてしまうことの多い私だけど、これは私にも読みやすく、上質の短編がみっしり詰まった1冊をじっくり堪能できて至福。チェコの複雑な政治的背景・歴史に翻弄される主人公達の生活の中で「笑い」と「忘却」というテーマが繰り返し描かれる中で、特に私はある夫婦と年老いたその母親(夫の母親)との交流を描いた「お母さん」と、戯曲を勉強する仲良し女子二人のある発表会の顛末を描いた「天使たち(第三部)」が好き。女の子二人と先生が三人で踊りながらくるくる回りらせんを描くように宙に浮きあがりやがて消えていくシーンの可愛らしさ美しさ…!

  • 時には物語り、時には批評をし、時にはエッセイをし……とまったく読者を飽きさせない工夫が凝らされている。のだけれども、性愛の話が多すぎていささか辟易させられる。

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著者プロフィール

1929年、チェコ生まれ。「プラハの春」以降、国内で発禁となり、75年フランスに亡命。主な著書に『冗談』『笑いと忘却の書』『不滅』他。

「2015年 『無意味の祝祭』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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