笑いと忘却の書 (集英社文庫)

  • 集英社
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本棚登録 : 288
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087606775

作品紹介・あらすじ

7編の連作短編を通して〈笑い〉と〈忘却〉というモチーフが繰り返しバリエーションを奏でながら展開され、精緻なモザイクのように編み上げられる、変奏形式の小説。クンデラ文学の原点。

感想・レビュー・書評

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  • 時には物語り、時には批評をし、時にはエッセイをし……とまったく読者を飽きさせない工夫が凝らされている。のだけれども、性愛の話が多すぎていささか辟易させられる。

  • サラバ下

    思い出したいと望むものは同じところにとどまぬて、思い出がひとりでに自分のところまでやってくるのを待ってはならないんだ!思い出は広大な世界のなかに散らばっているので、それを見つけ、隠れ家の外に出してやるために、旅をしなければならないんだ!

  • ミラン・クンデラは『存在の耐えられない軽さ』が好き。でもあれはもう学生の頃から何回も何回も読みまくってやっと良さが少し理解できてきたような気がするレベルだから、新しい本に手を出してもきっと理解不能だろうなあと思って読み始めたら案の定、全くもって理解不能だった!
    先日読んだ『サラバ!』にタイトルが出てきて借りてみたけれど、こういうズブズブの文学作品から離れて日常生活に頽落してしまって久しいわたしには高尚すぎた模様。

  • 7部構成であったが、1部ごとに話が全く異なり、主人公も異なる。幻想的なストーリーがほとんどである。チェコの政治状況も少し含んで書いてある。

  • 『悪魔を〈悪〉の遊撃兵だと思い、天使を〈善〉の闘士だと考えるのは、天使たちのデマゴギーを受けいれることだ。事は当然もっと複雑なのである。

    天使たちは〈善〉ではなくて神の創造の遊撃兵なのであり、逆に悪魔は神の世界に合理的な意味を認めない者なのである。』

    難解。
    『存在の耐えられない軽さ』『不滅』のような分かりやすさと読みやすさがない。さっぱりなので、読むのが苦痛だった…。残念。

    あとは『無知』だな。これはどうだろうなぁ〜。

  • エッセイから物語までまぜこぜになっていて面白い、「変奏曲形式」の小説。
    境界の向こう側と笑い、それによる忘却。

  • 全く解らなかった。

  • ひょっとしたら、ミラン・クンデラ氏の最高傑作ではないかと思えてしまうほどの作品。
    笑い、冗談、悪魔、天使、相反する関係であるようで、決して別のものではない。それらは紙一重でそこにある。
    アモス・オズもこう言っている。
    『「悲劇的」と「喜劇的」という形容詞は、同じ苦悩の風景を別の角度からのぞむふたつの窓にすぎないと教えてくれたのはチェーホフでした。私たちがみんな欠点があり愚かで滑稽だということに気づけば、たがいに悲喜劇的な思いやりを寄せることができるのではないでしょうか。秘密が見つかったとき、顔を赤らめるのではなく、同じようなひどい欠点やくせがあるのに気づいた他人どうしみたいに、そっと優しい微笑みをかわせるかもしれない。これは個人だけではなく、国や文化や宗教についてもいえるのではないでしょうか。』
    物語は、悲しい重奏である。

  • 16/1/1、ブックオフで購入

  • 再読。
    クンデラの言葉や理屈は意外と薄っぺらいのかもしれない。結構さらさらと楽しく読めてしまう抜群のエンターテイメント性がいい意味で優っている。もちろん、その薄い言葉が焦点を結ぶところに伝統の厚い蓄積があるのかもしれないけれど。
    特に2番目以降の短編での心情描写が卓抜。何なのだろうこの妙な心理的リアリティは。

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著者プロフィール

1929年、チェコ生まれ。「プラハの春」以降、国内で発禁となり、75年フランスに亡命。主な著書に『冗談』『笑いと忘却の書』『不滅』他。

「2020年 『邂逅 クンデラ文学・芸術論集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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