オーディンの末裔 (集英社文庫)

  • 集英社 (2016年9月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (584ページ) / ISBN・EAN: 9784087607260

作品紹介・あらすじ

好評だった『ゲルマニア』の続編。ユダヤ人元刑事オッペンハイマーが友人の無実を晴らすため殺人事件の真相を探る。一方、不穏な秘密結社の影が……。ベルリンの断末魔に息が詰まる。(解説/北上次郎)

みんなの感想まとめ

緊迫感あふれる1945年のベルリンを舞台に、ユダヤ人元刑事オッペンハイマーが友人の無実を証明するために奮闘する姿が描かれています。前作『ゲルマニア』から一転、主人公は身分を偽りながらも自由に街を歩くこ...

感想・レビュー・書評

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  • 超絶面白かったゲルマニアの続編。2016年の作品で解説を故北上次郎氏が書いている。
    今作は1945年のベルリンが舞台で空襲とゲシュタポの恐怖が描かれる。後援者のヒルデに助けられながら身分を偽りひっそり暮らすオッペンハイマーの下に、夫殺害の罪でヒルデが拘束された知らせが届き無罪放免を期して、と言うもの。灯火統制、瓦礫のやまの街の様子や、いち早くナチ党員を隠して戦後に備えようとする人間の怖さを見せつけられた。

  • 世間的には前作のゲルマニアのほうが評価が高いらしいが、個人的にはこっちのほうが主人公がユダヤの星の着用をやめ、街を自由に闊歩しているので舞台転換が豊富で面白い 最後協力者の死刑判決が覆らないのがナチスドイツの地獄をよく示している

  • 「ゲルマニア」の続篇。舞台は1945年に入り、ますます緊迫の度合いを増してくる。
    冒頭いきなり「アーリア化」している主人公、妻とは「別居」…ええええ??? と混乱するが、ちゃんと説明はなされます。主人公(つかユダヤ人)の運命、苛酷すぎ…。
    今回は友人に殺人の容疑がかかり、「弁護士事務所の職員」という立場でそれを捜査することに。いたしかたないとはいえ、SSのお墨付きだった前作とは捜査の自由度、つまり本格度が段違い。そもそも、相次ぐ空襲に目撃者が離散し、聞き込みすらままならない。
    前作の名シーン「偉い刑事さんと思って応対していた相手が、なんとユダヤ人とわかってびっくり」もなし。というか今回のモブたちは、主人公を完全に「民族同胞」と誤解して接している。つまり、それが解けた時は主人公の生命はないということで、「なんでユダヤ人がまだこんなとこにいて、仕事をしていられるの?」という前作のような、「のんき」な時代ではないというわけ。
    メインのネタもミステリとしてはありがちで、特に目新しさはない。やはり本書の値打ちはもっぱら、「1945年のベルリン」というところにあるのだろう。この点の目新しさとクオリティは折り紙つき、前作から一段も二段も進化している。ものすごーく気になる「引き」で終わっており、一刻も早く続きが読みたいという気にさせられた。
    あ、唯一の瑕疵を発見。くだらん与太話しかしていない巻末解説。これだけは読む価値なしである。

    2016/11/2読了

  • 前作程の衝撃はないものの、この濃厚な描写はかなり好み。
    二部作なん?この先も描いて欲しい。

  • 2023.10.29 55
    オッペンハイマーにはまる。

  • 前作(1作品め)が賞も取りそこそこ売れたらしいが、二匹めのドジョウらしいんですが、うーん。
    本人が一作め完璧、大好き、でねっ!でねっ!って感じで。
    この作品が(大しておもんなくても)重要扱いされているのは第二次世界大戦時を描いているからのようで、歴史の資料として重要、みたいな。全然そういう描写ないけど。親友が旦那殺しの罪でその無罪を晴らすために主人公は奮闘するが、全く勝手にやっておくれよ、ってな感じで。無駄に長い。一作めが好きな人にはいいんじゃないの?

  • ドイツの作家「ハラルト・ギルバース」の長篇ミステリ作品『オーディンの末裔(原題:Odins Sohne)』を読みました。

    「ハラルト・ギルバース」作品は約2年前に読んだ『ゲルマニア』以来ですね… 久しぶりの海外ミステリ作品です。

    -----story-------------
    好評だった『ゲルマニア』の続編。
    ユダヤ人元刑事「オッペンハイマー」が友人の無実を晴らすため殺人事件の真相を探る。
    一方、不穏な秘密結社の影が……。
    ベルリンの断末魔に息が詰まる。

    1945年、敗戦の色が濃くなるベルリン。
    ユダヤ人の元刑事「オッペンハイマー」は、アーリア人の妻と別居し、身分を偽って潜伏していた。
    そんな折、ナチ親衛隊の首なし死体が発見される。
    殺人容疑をかけられた友人ヒルデを救うため、「オッペンハイマー」は決死の行動に出るのだった。
    しかし、「オッペンハイマー」が追う手掛かりを、怪しげな秘密結社「オーディンの末裔」も狙っていた…。
    ドイツ・ミステリー界の至宝、渾身の作!
    (解説/「北上次郎」)
    -----------------------

    1944年(昭和19年)春のベルリンを舞台にした『ゲルマニア』の続篇… 1945年(昭和20年)1月~3月、冬のベルリンを舞台にした物語です、、、

    主人公は前作に続きユダヤ人の元敏腕刑事「リヒャルト・オッペンハイマー」… 前作の事件解決後、その秘密を知る者として口封じされる恐れがあったことから、友人である「ヒルデガルト(ヒルデ)・フォン・シュトラッハヴィッツ」の助けを借り、空襲の被災者となって地区の住民課に行き、身分を証明する全ての書類が焼失したという証明書を発行してもらい、別人に成りすまして生活していた。

    そこに、「ヒルデ」の夫でナチス親衛隊(SS)の医師「エーリッヒ・ハウザー」が現われ、「ヒルデ」に外科手術を依頼… 「ハウザー」は逃亡を計画しており、ナチス親衛隊(SS)将校の証とも言うべき腕の刺青を消そうとしていた、、、

    その「ハウザー」は「ヒルデ」を通して「オッペンハイマー」にモルヒネの取引を持ちかけてくる…警察の特別通行証を工面するという条件に惹かれ、「オッペンハイマー」は古い付き合いのギャング「エデ」に、この話を持ちかける。

    しかし、取引の当夜、警察が踏みこんできて、取引は失敗に終わる… さらに、その後、頭部と腕を切り離された「ハウザー」の遺体が発見され、容疑者として「ヒルデ」が逮捕される事態に、、、

    「オッペンハイマー」は、弁護士「グレーゴル・クーン」に依頼され、事件の真相を探ることになる。

    戦争末期、連合軍の爆撃が激しくなり、国民のモラルが乱れ、混乱しつつあるベルリンやポツダムを舞台に、「ヒルデ」を救うためにb>「オッペンハイマー」が奔走… 前作に続き「オッペンハイマー」が元刑事の本領を発揮して事件を解決に導いていく展開が愉しめる作品でしたね、、、

    怪しげな秘密結社「オーディンの末裔」の存在や、「ハウザー」がアウシュヴィッツで行っていた人体実験の秘密等も絡み、ちょっと詰め込み過ぎの感もありましたが… 「オッペンハイマー」の魅力に引き込まれ、感情移入しながら読み進めました。

    前作『ゲルマニア』を越えるほどではなかったものの… それでも、愉しめる作品でした、、、

    まだ続篇があるらしいので読んでみたいですね。




    以下は、主な登場人物です。

    「リヒャルト・オッペンハイマー」
     元殺人捜査官

    「リザ」
     オッペンハイマーの妻

    「ヒルデガルト(ヒルデ)・フォン・シュトラッハヴィッツ」
     オッペンハイマーの友人。医師

    「エーリッヒ・ハウザー」
     ヒルデの夫。ナチ親衛隊の医師

    「グレーゴル・クーン」
     弁護士。ナチ党員

    「フランツ・シュムーデ」
     婦人服専門店店主。元弁護士

    「オットー・ザイボルト」
     薬剤師

    「ベルンハルト・ヨーン」
     印刷工

    「エデ」
     ギャング

    「パウレ」
     エデの子分

    「ハンス」
     エデの子分

    「ペアーテ・ダルグス」
     オッペンハイマーのアパートの住人

    「メータ・バラノフスキー」
     ダルグスの姉

    「エーディト・シェーンヘア」
     乳児を抱える女性

    「ユーリウス・カルヴァイト」
     ナチ高官

    「トールヴァイト」
     オカルティスト

    「ヤーコプ・ペータース」
     私立探偵

    「ドクトル・ハラー」
     ベルリン大学付属病院の院長

    「リンデンシュミット」
     リザの家主

  • オーディンの末裔 ハラルト・ギルバース

    1945年戦争末期のベルリンでは、連合軍の爆撃は夜間、空襲警報で防空壕に避難する生活を余儀なくされる。焦土と化した都市で、今度はヒルデが夫殺害容疑で逮捕されてしまう。地下組織の仲間たちと党員である弁護士クーンと共にオッペンハイマーが捜査に乗り出す。今回関わってくるのは、ナチスが行っていた人体実験、オカルト団体”オーディンの末裔”、トゥーレ協会の名前も出てくる。大言壮語なオカルト団体がしょぼく終わるの個人的に好きなんで良かった。後半のヒルデの裁判も公正が抜け落ちた、単なるつるし上げに過ぎないのだが、それをヒルデというキャラクターは頑としてはねつける。ヒルデでなくてはあの場面、私には耐えられなかった。

    犯人捜しはともかくやはり見どころは勝ち目などない戦争で戦わされる過酷な状況、爆撃で廃墟となった都市にしがみ付いて生きる人々の姿だと思う。オッペンハイマーは国民突撃隊に召集されて、何一つ現実が見えていない突撃隊員の、徹底的に場違いな演説を聞かされるところが、地獄のなかで見るコントのようだった。

    大言壮語なオカルト団体がしょぼく終わるの個人的に好きなんで良かった。面白かったです。

  • え、え、これで終わりじゃないよね??
    きっと三部作かなにかになるんだよね?!

    またしても平穏は訪れず、そりゃ大戦下ドイツでしかもユダヤ人にそんなものは期待するだけ無駄なのかもしれないけど、状況がどんどん悪くなっていく\(^o^)/
    ヒルデについては、刑執行が先か連合軍の到達が先かという終わり方…
    ミステリ部分よりも、ドイツ戦時下の日常としての部分がかなり興味深い。

  • シリーズ第2作。
    巻末の解説にもあるように、前作ほどのインパクトは無いのだが、2作目も面白かった。純粋に好みだけで選ぶなら、前作より本書を推すかもしれない。
    続きがありそうなラストシーンだったが、続編は出るのだろうか?

  • 「1945年第1四半期のベルリン」という特異な状況下での“謎解き”が展開して行く…作者が多くの史料を渉猟して創ったという、本作に描かれる「1945年第1四半期のベルリン」の世界…生々しい…「あんな時代」の空気感が濃密に漂う…そこで必死に自身らしく生きようとするオッペンハイマー…更にヒルデの案件で活動を共にする人達…「あんな時代」の人達の懊悩、吐露し難かった想いが滲む…

    本作は興味深い特異な状況下での人間模様と、元刑事のオッペンハイマーによる色々な角度の事項を掘り起こして事件の真相に近付こうとする謎解きとが、重層的に、また螺旋のように組み合わさって紡がれている。なかなかに興味深い作品だ。最終盤の挿話は深い余韻を残した…

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