夜と少女 (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087607734

作品紹介・あらすじ

92年の冬、南仏の名門高校で少女が忽然と姿を消した。事件に関わる秘密は巧みに封印されたはずだったが……。珠玉のサスペンス!

感想・レビュー・書評

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  • 物語に重なる作者の姿 野崎六助氏が選ぶ一冊: 日本経済新聞(会員限定)
    https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD302800Q1A930C2000000/

    夜と少女/ギヨーム・ミュッソ/吉田 恒雄 | 集英社の本 公式
    https://books.shueisha.co.jp/items/contents.html?isbn=978-4-08-760773-4

  • ミュッソ氏の新刊が出ると買ってしまう。
    いつも似た設定の主人公なのに、いつだって予想の範疇を遥かに超えた結末が待っている。

    今回は最初から主人公自身が犯人であるのに、そこから更にまさかの最期を迎えてしまうのだ。後半は夢中になってページを捲った、これがミステリの醍醐味だと思う。面白かった!

    でも、私的には『パリのアパルトマン』が一番好き。

  • コート・ダジュールの名門高校で、最も魅惑的な少女が姿を消した。しかし、恋愛関係にあった哲学教師との駆け落ちとみなされ、捜査は打ち切りに。
    それから25年間、封印されていた秘密が明らかになる……。

    語り手の認識している「真実」から、ストーリーが進むにつれ状況が二転三転していくので、最後までハラハラと飽きずに楽しめます。

    装飾的な文章が多く、時系列も頻繁に前後するので、少々読みづらかったですが、様々な愛憎の果てに起きた事件という感じで悲しくも美しかったです。
    登場人物ほぼ全員が愛に振り回されていて、ステレオタイプな印象で申し訳ないのですが「愛の国フランス」らしい話に感じました。

  • この結末を誰が予想しただろうか?全編を「愛」に囚われた想いが貫いていて、ミステリーとしたら甘すぎる気もしたが、学生時代の描写が良かった。

  • 毎回、言葉が大仰になりがちな気もするけど、今回はただ美しいと思う。

  • 高校生のヴィンカが姿を消し事件が解決しないまま25年が経過。現在と過去を行き来しつうあの時何があったのか、誰がなにを隠し、嘘をついているのか。一人の少女の失踪と周辺にいた人物たちの当時の思い。後半になるにつれ展開が大きく動き物語が揺れ動く。そのスピード感と過去が明かされていく衝撃度が次々に襲ってくる。いつもながら著者の作品には驚きが満ちていてフランスNo.1と言われているのもわかる。

  • ギヨーム・ミュッソは、つい読んでしまう作家である。
    次へ次へとページをめくってしまう。
    まーた同じような主人公だというのに、なぜこんなに面白いのだろう?

    文化芸術に造詣の深い、才能あふれる、人気作家、周りにどうもなじめず、恋愛には不器用で、日本の文物に詳しい、中年男性――
    という、あれだ。お定まりの主人公である。
    彼があーじゃこーじゃ語ることで、話が進んでいく。

    えー? そんなワンパターンが楽しいの?

    そう、楽しいのだ。面白いのだ。先が気になって仕方ないのだ。
    なぜなら、お定まりなのは主人公の人物像だけで、話は、さっぱり予想のつかない展開だからである。

    トマ・ドゥガレ――これがその作家である。
    ニューヨーク在住のこの人気作家は、故郷である南仏コート・ダジュールに飛んだ。
    特に懐かしいわけでもなく、会いたい人もさほどおらず、そこに住む家族とさえ仲がよいとは言えないのだが、帰らざるを得なくなったのだ。

    "あのこと"が暴かれそうになったから。

    トマが高校生の時の"あのこと"である。
    これがなかなか明かされず、概ね想像のつく"真実"が暴かれるのは終盤――というのが凡百の話だが、ギヨーム・ミュッソはちがう。
    読者には早々に過去が語られて、さあそして?!
    予想のつかないコースターに乗せられて、知らない所に連れていかれる。
    ミュッソにいいようにされるのだ。
    このベストセラー作家に。

    主人公トマもそうだが、ミュッソも人気作家である。
    いや、トマよりよほどの人気だ。
    なにせ、ギヨーム・ミュッソは、フランスでもっとも売れている作家なのだ。
    出版社を移籍すれば、サッカーのスタープレイヤー移籍に等しいニュースになる、ベストセラー作家なのだ。

    フランスの物語を読むたびに、驚き感じ入ることがある。
    恋愛にかける熱量の度合いだ。
    幼いほのかな恋心から、肉欲にいたるまで、様々な恋愛があって、そのどれもが激しい。

    『・・・・・・未来のことなんかどうでもいい。愛がすべて、ほかに何も要らない。
     今この瞬間のみに意味があった。
     夜の、萌えるような有毒な誘惑。』 (19頁)

    この熱情! フランスだなあと感じ入るほかない。

    タイトルと表紙から想像すると、いかにもフランス的に小難しそうな、中年男性が小娘に骨抜きにされつつ言い訳をこねくり回す、純文学ふう文弱ロマンのようだが、大丈夫、まったくちがう。
    これはミステリーだ。
    この表紙も、読みすすめるうちに納得のいく、素晴らしいものである。

    社会世相の年表が日本と随分ちがっているなあとか、舞台である2018年では、マクロンが人気だったのだなあとか、あの時の音楽、あの時の文学、建築、etc.etc.etc......
    読む人の関心によって、あちこちに発見のあることだろう。
    なにせトマは、作家らしく、あらゆることについて述べているのだから。

    ミュッソは面白い。ぜひ手にとってほしい。
    『夜と少女』で彼にはまったら、さらに次の本に手をのばしてほしい。
    彼のコースターに乗るのが、きっとたまらなくなるだろう。

  • トマは小説家として名をあげ、現在ニューヨークに住んでいる。出身高校の50周年記念式典に出るために数年ぶりに故郷コート・ダジュールに帰って来た。

    しかし彼の元へ、それから親友マクシムの元へ、脅迫状めいたものが届けられる。25年前、まだ高校生だった頃、マキシムとトマはある犯罪を犯していた。

    ちょうどその頃、男子達から絶大の人気があった美少女、例外なくトマも好きだったヴィンカが哲学教師と失踪する事件があった。

    ヴィンカは何処にいるのか?そしてトマ達の犯した罪とは?
    ーーーーーーーーーーーーーーーー
    以前読んだ『ブルックリンの少女』よりもこちらのほうが数段面白かった。この本1冊がある1日の経過を追っていて、物凄く展開が激しい。ジェットスターに乗っているような目まぐるしさ。勿論25年前の描写も出てくる。

    事件はどちらかと言うと現実離れしているが、トマの実家のちょっと冷たい家庭環境が、妙にリアリティがあった。トマが高校生の頃、父親は同じ高校の校長で、母親もそこの教師だった。成績優秀な兄や姉と違ってトマは両親の期待に応えられなかった。

    トマは粗野だけど人情味のあるマキシムの父親をとても慕っていた。マキシムの父フランシスやジャーナリストの友人ステファンなどは荒々しいけど味のある、キャラクターも面白い人がいろいろ出てきた。中でも氷の女のようなトマの母親が、話が進むと最初の印象とはガラッと変わって作中最もカッコいい人物に描かれている。

  • 出る度に読んでしまうミュッソなんですが、その度に、ついもうちょっとと思ってしまう。こちら、複雑に絡み合っていて面白いんですが、え?待って待って、許されちゃうのー?とちょっと戸惑う。それに、エピローグが長過ぎるんじゃなかろうか。エピローグって、短いから余韻になってオシャレなんだと思うんだよね。

  • 再読

    南仏アンディーブのリセ、蠱惑的な美少女。
    作家の主人公、文学と哲学。美しい母。
    好きなモチーフてんこ盛りなんだけど存外乗れず。

    まぁそれにしても、愛、アムール、愛!w
    トマとファニー、ヴィンカの若者達のままならぬ翻弄される愛に、
    フランシス、リシャール、アナベル、大人達のままならぬしかし確固たる愛
    全ては愛か…とここにフランスっぽさを感じつつ、
    大人達の愛に「ま、色々あるやね…。それも人生」と強度を感じ、ある種の爽快感。

    フランシスのがさつで極右ファッショ、人種差別的で男性優位な振る舞いをしつつ
    マグレブ出身の従業員に愛着を持ち会社の重要なポストは女性が占め、本を読んだことはないとうそぶきながらこっそりシューベルトを聴きながら「ハドリアヌス帝の回想」を読む、という設定も面白かった。
    リシャールも含め前時代の荒っぽくごつこつした
    子供達を守る為に自らの手を汚す事も厭わない価値観も美しく描いてたのも好感。

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著者プロフィール

1974年フランス生まれ。2004年に発表した『Et,Apr’es・・・』が驚異的な売り上げを記録し、一躍ベストセラー作家の仲間入りを果たす。

「2017年 『あなた、そこにいてくれますか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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