神曲 地獄篇 (1) (集英社文庫ヘリテージシリーズ)

  • 集英社 (2003年1月17日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (528ページ) / ISBN・EAN: 9784087610017

作品紹介・あらすじ

1300年の聖木曜日に罪を寓意する暗い森に迷い込んだダンテ。大詩人ウェルギリウスに導かれ、地獄の亡者たちの間を巡る。(解説・堀田善衞)

感想・レビュー・書評

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  • 社会人になってそれなりの年月が過ぎ、なぜか本格的に『神曲』を読もう、なんとしても読みたい! ある日そう思い立った。
    思えば挫折だらけの学生時代、『神曲』もそのうちの輝かしい一冊だっただけに、これに失敗すれば、もう二度とこの本を手に取ることはないだろう……なんと大仰で汲きゅうとしていたことか(笑)。
    そこで逡巡したのは、いったいどの版と訳者で読めばいいの?

    まずは平川祐弘訳(河出文庫)で読んでみた。
    いやはや、地獄篇といい煉(れん)獄篇といい、こんなに面白い本だったのか! と舌をまき、驚きの連続だった。平川氏に心から感謝します♪(平川訳のレビューも書いてみたので、お時間ある方はどうぞ)。

    ダンテの生きた時代は、神聖ローマ帝国とローマ教皇との覇権争いが激しく、政治も宗教も皇帝派と教皇派に分裂、それにくわえて都市国家フィレンツェの派閥闘争も混迷をきわめている。
    暗殺、奸計、裏切り……ダンテ自身もフィレンツェから永久追放され、流浪の身となった。そのためか、本作には史実上の「誰それ、誰それ……」といった固有名詞が頻出する。でもそれにあまり拘泥する必要はないと思う(確かにどうしてもおさえておくべき人物は確かにいる……度し難い教皇ボニファティウス8世とか……笑)。
    丁寧な注釈をガイダンスにして、その時代の放つキナ臭さやダンテの阿鼻叫喚を感じることができれば、まことに生きいきとした面白い物語だと私は思う。

    とりわけ地獄に落とされた亡霊のどれもこれもが憐れなのに、ほとほと不遜で厚かましく、しかも饒舌すぎて、愚痴でも言わなきゃ、やってられんわい! といったありさま。人間のいかんともしがたい業は、あまりにも悲惨で滑稽で笑えてくる。そういえばオリジナルタイトルは『(神聖)喜劇』だった。

    さて本題の本作、寿岳訳。
    イタリア古典なのに古文調(完全な文語体ではない)、まるで今昔物語でも読んでいるような不思議な感覚で、馴れると妙にクセになる。でもやっぱり地獄の亡霊のしゃべりは健在だった、しかも古文調だと異様にすご味が増す。

    この版の装丁や挿画には、画家で詩人のウィリアム・ブレイクが採用された。平易ながら寓意の強い詩を書くブレイク。『神曲』に傾倒し一家言ある詩人なので、ダンテの文字を追い、ブレイクの絵を眺めてわくわくした。肉感みなぎるどこかバランスを欠いたような彼の絵は、とても人間臭くて温かみを放つ。『神曲』に対するブレイクの執着と惚れ込みように驚嘆して、まさに読書の醍醐味は「驚き」だな~。

    数えてみると、地獄篇は61枚、煉獄篇は18枚、天国篇では9枚の絵を掲載。それぞれに詳細な絵の解説もあって至れり尽くせり。ただ冒頭に訳者が引用したブレイクの花の詩(薔薇、ヒマワリ、百合)のオリジナルの掲載がないのはちょっと残念だ。

    ところで、先日ウンベルト・エーコの『薔薇の名前』をながめていると、主人公の修道士ウィリアムが『神曲』のことをつぶやいていた。どうやらあまり面白くなかったようだ。作者のユーモアと遊び心に思わず吹きだした。
    ところが、ウィリアムにそう言わせた作者エーコは、『薔薇の名前』の時代設定と『神曲』の時代、フィレンツェ生まれのダンテと北イタリアの僧院を舞台にした恐ろしい物語『薔薇の名前』を書いている。時間も空間も重ねることでフィクションと史実を華麗に混ぜ合わせ、読者の脳内キャンバスに未知の世界を描きだす。書物と書物は繋がり、書物は他の書物のことを語る。

    『薔薇の名前』の解説によれば、エーコの文体は、そこかしこにダンテを意識したものになっているらしい! そうか~だから無性に『神曲』を再読したくなったのかしらん? な~んて思いつつ、とにもかくにもこの『神曲』という壮大な物語は、人間を愛おしく抱きしめながら、人間をコケにして笑いとばしている。この諧ぎゃくはやめられない。次に読むときはどんな驚きが待っているだろう~その日が楽しみだ♪(2020.2.19)

  • 高校1年の時、母が3冊まとめて買ってくれた本。
    当時は地獄から抜け出せなかった。(読了できなかった)
    大学生の時には煉獄にたどり着けた。

    ダンテの頭の中すごいね。生前の行いや死亡理由によって階層が分けられるという構想・構成がすばらしいし、ウェルギリウスとの師弟関係に学ぶことが多い一冊。

    2021.11.7 3度目の挑戦で読了

  • 地獄には法王や枢機卿だった者もいる。こうした者たちが一番欲が深く、貪(むさぼ)って飽くことを知らない。見境のない生活を送り汚れている。悪をばらまき、悪を溜め込んでいる。美しい国に入ることはできない。第七歌▼コンスタンティヌス、お前の(キリスト教への)改宗は悪いとは言わないが、お前が貢いだから成金の法王が世に出たのだ。第十九歌▼第八の圏谷の第九の濠では、ムハンマドが滅多斬りにされ、アリーが泣きながら歩いている。これらの者は中傷をこととし、分裂禍根の種を蒔いた。第二十八歌。※イスラム圏では神曲は禁書扱い▼地獄の門。この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ。地獄の門をくぐると、アケロンの川。川を渡ると辺獄。その下に愛欲・貧食・貧欲・憤怒の地獄。その下に城塞都市ディス。その下に異端・暴力(殺人・自殺)の地獄。その下に悪意(詐欺・偽善・汚職)の地獄。そして最下層に裏切り者の地獄コキュートス(親殺し・祖国を裏切った者・友人を裏切った者・恩人を裏切った者)。そこは極寒の地。半身を氷に閉じ込めれた堕天使ルシファー(大魔王サタン)がいる▼逆境において幸せなる時代を憶い起こすことにまさる悲しみはない。懐疑は知識に劣らず私を魅了する。ダンテ・アリギエーリ『神曲 地獄篇』1308
    ※煉獄。罰を受け、罪を浄化する場所。地獄以上、天国以下。
    ※地獄は”すり鉢”の形。ルシファーが地表に叩き落とされたときにできた巨大クレーターが地獄。
    ●情欲に溺れた者。セミラミス(アッシリア女王)。クレオパトラ。
    ●守銭奴・浪費家。プルート(ローマ神話の神)。
    〇ダンテ。主人公。35歳。
    〇ベアトリーチェ。ダンテの初恋。24歳で他界。
    〇ウェルギリウス。古代ローマの詩人。道案内。
    〇ミノス王。閻魔大王のように、死者の行く先を裁判。

    ペストが流行るフィレンツェから逃げ出した10人の男女が順番に物語を語り合う。フィレンツェで猛威をふるうペスト。法の権威は地に堕ちた。人の法も、神の法も(第1日)。ジョヴァンニ・ボッカチオBoccaccio『デカメロン(十日間)Decameron』1353
    ※deca = 10、decadeの語源。meron = days
    ※人間賛歌。性風俗や聖職者の堕落を描いたため、教皇庁により禁書。ラテン語ではなく日常のトスカナ語。チョーサーのカンタベリ物語に影響。

    オックスフォードの学僧が聞いた話。ある若い侯爵の男。貧しいが慎ましい娘を妻に。妻の愛を試すため、生まれた子を死んだことにしたり、新しい妻と結婚すると言い出したり。何度仕打ちを受けても忍耐を示すけなげな妻。チョーサー「この話を聞いて、自分の妻の忍耐を試そうという向こう見ずな男はいないだろう、きっと失敗するのだろうから」。ジェフリー・チョーサーChaucer『カンタベリー物語』1392 ※様々な階層の人々が物語を語る。社会風刺。

  • 特に信じる宗教を持たない私にとって、信仰の重大さを理解することは難しい。
    ダンテの神曲では、キリスト教の洗礼を受けていない者は罪のない者であっても辺獄に置かれ、苦しみも喜びもない未決定の日々を送ることになるという。
    非キリスト教徒の身からしてみれば何と勝手なことか、と思えてしまう。
    日本に生まれ育ち、キリスト教の教えとは無縁の人生を送ってきた私には、この作品の本質を理解することは不可能だろう。
    よってこの作品を読んだ感想は宗教への理解を取り去った部分が中心にならざるを得ないが、まず地獄の構造が興味深い。
    階層が深くなるにつれてどんどん狭くなっていく様子が、何とも言えない恐怖心を抱かせる。
    罪の内容と階層の分類、各階層で受ける責苦の内容を追っていくだけでも面白く読み進められる(読んでいるとすぐに眠くなってしまうのだが…)。
    地獄に落とされた人々との会話を通して示される政治への関心の高さや批判的な眼差しは、ダンテが只の風流人では無いことを物語っている。当時のイタリアの情勢をほんの少しでもいいから理解しておかないと、注釈を読んでも内容はよく分からなかっただろう。解説を先に読んでおいてよかった。
    次は煉獄篇を、時間はかかりそうだが楽しみに読み進めたい。

  • 途中からよくわからなくなり絵を眺めて終了。

  • 神曲を読んでみよう、と思い立って、解説のおかげで読み進める。
    ファウストを思い出す。のは逆で、神曲があって、ファウストがあるんですね。

    自分が心酔した過去の偉大な詩人と自分の二人で巡る地獄、という設定がいい。自由な詩だ。

  • 漏斗状の地獄を降って行って、地球の裏側へ。
    聞いたことある名前の悪魔と思って考えたらFF4でした。

  • かなり粘り強い根気が必要だった。難解な本文と難解煩雑な註である。広辞苑にもない言葉多数で、あっても難解な言葉があふれている。『転身物語』がよく引き合いに出される。ギリシア神話も同様である。クリスチャンではないが古典と聖書の融合はうまくいっているのが良い。

  • [ 内容 ]
    <1>
    詩人ダンテが、現身のまま、彼岸の旅を成就する物語『神曲』。
    「地獄篇」は、1300年の聖木曜日(4月7日)に35歳のダンテが、罪を寓意する暗い森のなかに迷い込むところから始まる。
    ラテンの大詩人ウェルギリウスに導かれて、およそ一昼夜、洗礼を受けていない者が罰せられる第一圏(辺獄)にはじまり、肉欲、異端、裏切りなど、さまざまな罪により罰せられる地獄の亡者たちのあいだを巡っていく。

    <2>
    煉獄山は、エルサレムと対蹠点の南半球の海上にある。
    日曜日(4月10日)、愛の根元である金星が東の空を輝かせる頃、煉獄山絶壁の水際にたどり着いたウェルギリウスとダンテは、高慢の罪が浄められる第一冠から、邪淫の罪が浄められる第七冠までを登り詰めるが、最後の地上楽園でウェルギリウスの姿が消え、ベアトリーチェが現れる。
    人間の理性を以てしては天国へ昇れないからである。

    <3>
    第一天から第十二天まで、ベアトリーチェが案内する天国の旅。
    途中、先祖の霊カッチャグイーダから、地獄・煉獄・天国の三界での見聞を、大胆に書きあらわせと命じられたダンテは、天国の霊たちと語らいつつ、真理の光に対し徐々に啓発されてゆく。
    やがて至高天に至ったダンテのために、ベアトリーチェに代わって聖ベルナルドがマリアへ祈りを捧げてくれる、見神の恵みを与えたもうようにと。

    [ 目次 ]
    <1>


    <2>


    <3>


    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • Dan BrownのInfernoを読むために購入。中世この本のお陰で教会に行く人達が三倍になっただけの本と有って、地獄の描写は格別。ギリシャ神話、聖書などに通暁していればもっと楽しめるのでしょうが、頁下部にある注が大変親切です。

  • ずっと積んであったが、ついに読み始める。
    意外と読み進められている。
    まだそんなに面白くはない。

    キリスト生誕前の人には救いがないという考え方は知らなかった

  • 仏教徒なんで正直読むのは苦行。

  • 山川丙三訳に比べると読みやすい。結局Divine Comedyは当時のフィレンツェのゴシップをゲルフ党の立場から荘厳に描いたものということか。山川丙三訳では地獄編で挫折したが取り敢えず煉獄篇に進めそう。

  • いまさらながら、読了。
    歴史的にも意義のある古典ですが、
    ファンタジーの原典ともいっていい作品であるのに違いありません。色んな作品が影響をうけ、新たなものがたりとして創造されています。
    本作は3部作の中の一作目で、詩人ダンテが地獄を巡ります。なんとも、想像を超える世界観。背景は当時の時代を伺えます。
    一度読んだだけじゃ、飲み込めない部分も多く、もう一度、時間があるときにゆっくりと読みたいものです。
    あと、二作!

  • 読むのは二回目。ダンテの詩とウィリアム・ブレイクの絵を同時に味わえる良書。

  • 日本人のほとんどは地獄に堕ちます。(洗礼を受けていないから)

  • フィレンツェ、イタリアなどを舞台とした作品です。

  • 人名で挫折。いつか再挑戦したい。

  • ちょっと硬めで古いけど、綺麗な文です。
    文字が大きくて注釈も有り、ウィリアム・ブレイクの挿絵とその解説までついてます。
    ビバ☆ベアトリーチェ
    正直ジャケ買いした。

  • これを嫁には、若すぎる

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著者プロフィール

一二六五年、フィレンツェ生まれ。中世最大の詩人の一人であり、作家、政治家でもあった。一三二一年、ラヴェンナで没。著書に、『神曲』、『新生』、『俗語論』、『帝政論』(本書)などがある。 一九四五年、横浜市生まれ。東京大学法学部卒。東京大学助手、立教大学教授等を経て、立教大学名誉教授。専門は法哲学・法思想史。 著書に、『合理的選択と契約』(弘文堂)、『法哲学』(木鐸社)、訳書に、『王の二つの身体』(E・H・カントローヴィチ著、平凡社/ちくま学芸文庫)、『皇帝フリードリヒ二世』(同、中央公論新社)などがある。

「2018年 『帝政論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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