神曲 地獄篇 (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087610017

感想・レビュー・書評

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  • 社会人になってそれなりの年月が過ぎ、なぜか本格的に『神曲』を読もう、なんとしても読みたい! ある日そう思い立った。
    思えば挫折だらけの学生時代、『神曲』もそのうちの輝かしい一冊だっただけに、これに失敗すれば、もう二度とこの本を手に取ることはないだろう……なんと大仰で汲きゅうとしていたことか(笑)。
    そこで逡巡したのは、いったいどの版と訳者で読めばいいの?

    まずは平川祐弘訳(河出文庫)で読んでみた。
    いやはや、地獄篇といい煉(れん)獄篇といい、こんなに面白い本だったのか! と舌をまき、驚きの連続だった。平川氏に心から感謝します♪(平川訳のレビューも書いてみたので、お時間ある方はどうぞ)。

    ダンテの生きた時代は、神聖ローマ帝国とローマ教皇との覇権争いが激しく、政治も宗教も皇帝派と教皇派に分裂、それにくわえて都市国家フィレンツェの派閥闘争も混迷をきわめている。
    暗殺、奸計、裏切り……ダンテ自身もフィレンツェから永久追放され、流浪の身となった。そのためか、本作には史実上の「誰それ、誰それ……」といった固有名詞が頻出する。でもそれにあまり拘泥する必要はないと思う(確かにどうしてもおさえておくべき人物は確かにいる……度し難い教皇ボニファティウス8世とか……笑)。
    丁寧な注釈をガイダンスにして、その時代の放つキナ臭さやダンテの阿鼻叫喚を感じることができれば、まことに生きいきとした面白い物語だと私は思う。

    とりわけ地獄に落とされた亡霊のどれもこれもが憐れなのに、ほとほと不遜で厚かましく、しかも饒舌すぎて、愚痴でも言わなきゃ、やってられんわい! といったありさま。人間のいかんともしがたい業は、あまりにも悲惨で滑稽で笑えてくる。そういえばオリジナルタイトルは『(神聖)喜劇』だった。

    さて本題の本作、寿岳訳。
    イタリア古典なのに古文調(完全な文語体ではない)、まるで今昔物語でも読んでいるような不思議な感覚で、馴れると妙にクセになる。でもやっぱり地獄の亡霊のしゃべりは健在だった、しかも古文調だと異様にすご味が増す。

    この版の装丁や挿画には、画家で詩人のウィリアム・ブレイクが採用された。平易ながら寓意の強い詩を書くブレイク。『神曲』に傾倒し一家言ある詩人なので、ダンテの文字を追い、ブレイクの絵を眺めてわくわくした。肉感みなぎるどこかバランスを欠いたような彼の絵は、とても人間臭くて温かみを放つ。『神曲』に対するブレイクの執着と惚れ込みように驚嘆して、まさに読書の醍醐味は「驚き」だな~。

    数えてみると、地獄篇は61枚、煉獄篇は18枚、天国篇では9枚の絵を掲載。それぞれに詳細な絵の解説もあって至れり尽くせり。ただ冒頭に訳者が引用したブレイクの花の詩(薔薇、ヒマワリ、百合)のオリジナルの掲載がないのはちょっと残念だ。

    ところで、先日ウンベルト・エーコの『薔薇の名前』をながめていると、主人公の修道士ウィリアムが『神曲』のことをつぶやいていた。どうやらあまり面白くなかったようだ。作者のユーモアと遊び心に思わず吹きだした。
    ところが、ウィリアムにそう言わせた作者エーコは、『薔薇の名前』の時代設定と『神曲』の時代、フィレンツェ生まれのダンテと北イタリアの僧院を舞台にした恐ろしい物語『薔薇の名前』を書いている。時間も空間も重ねることでフィクションと史実を華麗に混ぜ合わせ、読者の脳内キャンバスに未知の世界を描きだす。書物と書物は繋がり、書物は他の書物のことを語る。

    『薔薇の名前』の解説によれば、エーコの文体は、そこかしこにダンテを意識したものになっているらしい! そうか~だから無性に『神曲』を再読したくなったのかしらん? な~んて思いつつ、とにもかくにもこの『神曲』という壮大な物語は、人間を愛おしく抱きしめながら、人間をコケにして笑いとばしている。この諧ぎゃくはやめられない。次に読むときはどんな驚きが待っているだろう~その日が楽しみだ♪(2020.2.19)

  • かなり粘り強い根気が必要だった。難解な本文と難解煩雑な註である。広辞苑にもない言葉多数で、あっても難解な言葉があふれている。『転身物語』がよく引き合いに出される。ギリシア神話も同様である。クリスチャンではないが古典と聖書の融合はうまくいっているのが良い。

  • [ 内容 ]
    <1>
    詩人ダンテが、現身のまま、彼岸の旅を成就する物語『神曲』。
    「地獄篇」は、1300年の聖木曜日(4月7日)に35歳のダンテが、罪を寓意する暗い森のなかに迷い込むところから始まる。
    ラテンの大詩人ウェルギリウスに導かれて、およそ一昼夜、洗礼を受けていない者が罰せられる第一圏(辺獄)にはじまり、肉欲、異端、裏切りなど、さまざまな罪により罰せられる地獄の亡者たちのあいだを巡っていく。

    <2>
    煉獄山は、エルサレムと対蹠点の南半球の海上にある。
    日曜日(4月10日)、愛の根元である金星が東の空を輝かせる頃、煉獄山絶壁の水際にたどり着いたウェルギリウスとダンテは、高慢の罪が浄められる第一冠から、邪淫の罪が浄められる第七冠までを登り詰めるが、最後の地上楽園でウェルギリウスの姿が消え、ベアトリーチェが現れる。
    人間の理性を以てしては天国へ昇れないからである。

    <3>
    第一天から第十二天まで、ベアトリーチェが案内する天国の旅。
    途中、先祖の霊カッチャグイーダから、地獄・煉獄・天国の三界での見聞を、大胆に書きあらわせと命じられたダンテは、天国の霊たちと語らいつつ、真理の光に対し徐々に啓発されてゆく。
    やがて至高天に至ったダンテのために、ベアトリーチェに代わって聖ベルナルドがマリアへ祈りを捧げてくれる、見神の恵みを与えたもうようにと。

    [ 目次 ]
    <1>


    <2>


    <3>


    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • Dan BrownのInfernoを読むために購入。中世この本のお陰で教会に行く人達が三倍になっただけの本と有って、地獄の描写は格別。ギリシャ神話、聖書などに通暁していればもっと楽しめるのでしょうが、頁下部にある注が大変親切です。

  • ずっと積んであったが、ついに読み始める。
    意外と読み進められている。
    まだそんなに面白くはない。

    キリスト生誕前の人には救いがないという考え方は知らなかった

  • 仏教徒なんで正直読むのは苦行。

  • 山川丙三訳に比べると読みやすい。結局Divine Comedyは当時のフィレンツェのゴシップをゲルフ党の立場から荘厳に描いたものということか。山川丙三訳では地獄編で挫折したが取り敢えず煉獄篇に進めそう。

  • いまさらながら、読了。
    歴史的にも意義のある古典ですが、
    ファンタジーの原典ともいっていい作品であるのに違いありません。色んな作品が影響をうけ、新たなものがたりとして創造されています。
    本作は3部作の中の一作目で、詩人ダンテが地獄を巡ります。なんとも、想像を超える世界観。背景は当時の時代を伺えます。
    一度読んだだけじゃ、飲み込めない部分も多く、もう一度、時間があるときにゆっくりと読みたいものです。
    あと、二作!

  • 読むのは二回目。ダンテの詩とウィリアム・ブレイクの絵を同時に味わえる良書。

  • 日本人のほとんどは地獄に堕ちます。(洗礼を受けていないから)

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著者プロフィール

一二六五年、フィレンツェ生まれ。中世最大の詩人の一人であり、作家、政治家でもあった。一三二一年、ラヴェンナで没。著書に、『神曲』、『新生』、『俗語論』、『帝政論』(本書)などがある。 一九四五年、横浜市生まれ。東京大学法学部卒。東京大学助手、立教大学教授等を経て、立教大学名誉教授。専門は法哲学・法思想史。 著書に、『合理的選択と契約』(弘文堂)、『法哲学』(木鐸社)、訳書に、『王の二つの身体』(E・H・カントローヴィチ著、平凡社/ちくま学芸文庫)、『皇帝フリードリヒ二世』(同、中央公論新社)などがある。

「2018年 『帝政論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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