失われた時を求めて 3 第二篇 花咲く乙女たちのかげに 1 (集英社文庫)

  • 集英社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (624ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087610222

作品紹介・あらすじ

語り手はシャンゼリゼ公園でジルベルトと戯れながら、快楽の目ざめを覚える。彼女の両親スワン夫妻とも近づきになるが、二人のあいだに食いちがいが生じ、交際は中断される。別れていることの苦悩と恋の相手に対する忘却の始まり。やがて語り手にとっては、ブーローニュの森でスワン夫人の散歩のお供をするのが楽しみになる(第二篇第一部)。語り手が祖母とともに、かねてから夢見ていたノルマンディ海岸バルベックに到着する(第二篇第二部冒頭)。

感想・レビュー・書評

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  • スワン夫妻とジルベルトの物語はどうやら終焉を迎えたようだ。この巻にはノルポワ氏や作家のベルゴットとの接点を通じて、プルースト自身の芸術観が垣間見える。すなわち「天才的な作品がただちに人びとに賞讃されること」の難しさと、それにもかかわらず「作品自体が、天才を理解することのできる精神の芽を作り」、かくして五十年の歳月をかけてベートーヴェンの四重奏曲の聴衆を増やしたと言うのだ。そういえば、このことを知っていたスタンダールも、自らの小説の評価を五十年後に託したのだった。プルーストの評価には五十年は必要なかったが。

  • 3.2

  •  第3巻はジルベルトとの恋愛がメイン。ジルベルトへの一方的な恋が膨れ上がってどうにもならないことになってしまった「私」の苦悩が痛々しく描かれている。ジルベルトと歩いていた男が誰なのか気になるところ。その一方で、小説家としてどうあるべきかといった文学論や音楽、絵画などの芸術論、外交問題、果ては認識論にいたるまで、内容もりだくさんで飽きることなく読めた。

  • ジルベルトへの想いが消えるまで‥‥?ですが、幼い初恋のようなものなのでそこまでひどく思い詰めず。いや、主人公は弱い体で知恵熱のようなのを度々引き起こすほど思い詰めますが、幼い形のままですから、2でスワンの恋を読んだのと比べればまああっさり読めました。恋心が幼い分可愛いしね! ジルベルトよりもその母でありスワンの妻であるオデットの描写が多くなっていくのも、あまりジルベルトに執着せず読める。
    2の土地の名・名で登場したジルベルトが、本巻の土地の名・土地にてスワン夫人をめぐっての2年後として、完全に彼女への想いがなくなったところから語られるのが印象深い。次の巻へスムーズに読み進められる。

    しかしやはり、鈴木道彦氏のはじめにって手引きがないと辛いなーf^_^;いやー偉大な訳者さんというより研究者さんです。ありがたい。

  • 1Q84で「囚人に差入れる本」と紹介された。長いので老後か死後のまとまった時間ないと読めないなと。ある教授が時間は螺旋構造だと教える名作と言ってた。墓の中の時間もきっとそう。死ぬ前に読むか、死んでから読むか悩み中

  • 凡例
    はじめに
    第1部 スワン夫人をめぐって
    第2部 土地の名・土地
    訳注
    主な情景の索引
    本巻の主な登場人物
    エッセイ 「あこがれ」のプルースト 野崎歓
    (目次より)

  • 約400ページの第一部「スワン夫人をめぐって」と、残り第二部「土地の名・土地」で構成されていて、第一部はスワン夫妻と娘ジルベルトとの私の関係とそれについて私が思うところを書き連ねているのが中心。ずいぶん考え過ぎなんじゃないかと思われる部分が多く読み通すのが少しつらかった。時々出てくる老女中のフランソワーズや年上の友人ブリック君、ノルポワ対ベルゴットなど脇役の人を語るときのほうが簡潔でユーモアもあり好きかもしれない。「フランソワーズにかんして、彼女の思考を語るのはできない相談だろう。何も知らないとは何も理解しないに等しい、という言葉の全面的な意味において、彼女は、心が直接に到達できるごくわずかな真理は別にして、まさに何も知らなかった。彼女には、観念の広大な世界は存在していなかった。けれども彼女の目は澄んでいたし、鼻や唇の線は繊細であり、多くの教養ある人びとにも欠けているさまざまな特徴――それがもし教養人にも備わっていたら、このうえもなく卓越したエリートの精神、超然とした高貴な精神を意味するものになった特徴――を備えていた。こういったさまざまなものを目にすると、人は、利口そうで善良そうな犬の視線、だが人間の作るいっさいの概念とは無縁の犬の視線を前にしたときのような困惑を覚えてこんな風に自問するかもしれない、――」

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