セレクション 戦争と文学 イマジネーションの戦争 (6) (集英社文庫ヘリテージシリーズ)

  • 集英社 (2019年12月19日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (664ページ) / ISBN・EAN: 9784087610529

みんなの感想まとめ

多様な「戦争」をテーマにした作品が収められた一冊は、読者を深い思索へと誘います。芥川龍之介の「桃太郎」を皮切りに、筒井康隆の「通いの軍隊」では、日常から突如として引き剥がされるサラリーマンの姿が描かれ...

感想・レビュー・書評

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  • 600ページもあって、なかなか読めずにいたのだけど、ようやく手を伸ばす気になった。

    芥川龍之介「桃太郎」から始まる、アンソロジーの題名は「イマジネーションと戦争」。
    セレクションの中で、読みたいと思っていた一冊。
    以下、印象に残った作品を取り上げていきたい。

    筒井康隆「通いの軍隊」では、不良品の鉄砲を製造してしまった会社の一人のサラリーマンが、自分は軍人ではない!と言いながら、戦線に組み込まれいく様子が描かれている。

    また、小松左京「春の軍隊」では戦争のない世の中に、突然、時間軸が歪んだように軍隊が現れて、平和な町へ怒涛の攻撃が始まる。
    同じくサラリーマンの主人公は、何が何だか分からないままに、無残に破壊されていく新築のマイホームを呆然と見つめるしかない。

    どちらも、日常と非日常が奇妙に何かの拍子にスイッチし、暴力によって、そのことが考えられないほど混沌としていく様子が恐ろしい。
    何が当たり前であったか、気付けば、自分の中の価値意識はスイッチしているのかもしれない。

    三崎亜記「鼓笛隊の襲来」は、恐ろしいけれど懐かしくて、元々好きな作品なので入っていて嬉しい。
    鼓笛隊が災厄と化し、ハーメルンの笛吹きよろしく、人々を従わせて遥か遠くまで行進していく。
    その音に連れ去られてしまわぬよう、一家は家に閉じこもり、祖母から昔話と子守唄を教えてもらうのだった。

    恐ろしいと思うから、その心に付け込むように、鼓笛隊は厄となってしまった。
    人間の心は臆病で、すぐにパニックに陥ってしまう。知恵は、心を鎮める一つの方法なのかもしれない。

    同じく無知が招いた戦争について書かれているのが、山本弘「リトルガールふたたび」である。
    書かれたのは2009年のようだが、インターネットの普及からはじまる、2021年現在の誹謗中傷の有様を的確に捉えていて、結構怖い。

  • とにかく様々な「戦争」が描かれていて贅沢な一冊。付録は小松左京のインタビュー。これはSF作品集だ。

  • 第6巻。
    この巻の解説を奥泉光が担当しているのは当然過ぎるほど当然の人選。また、巻末の小松左京インタビューはけっこうレアなんじゃないだろうか。また、この巻に関しては、史実としての戦争ではなく、あくまでイマジネーションが前提なので、収録作にはかなりのバリエーションがあった。

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