給水塔から見た虹は

  • 集英社 (2025年7月4日発売)
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本 ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784087700060

作品紹介・あらすじ

あなたと私は違う。だから、一緒にいよう――。
『ふがいない僕は空を見た』『夜に星を放つ』の著者が、今を生きる人々に贈る感動作。

【各界からの反響続々!】
なんて誠実な小説なのだろう。今、この時代に、この本と出会えてよかった。――武田綾乃 (作家)

白か黒かでしか断じない、この時代に絶対に有効な“あわい”の物語。――早見和真 (作家)

何度も胸が潰されそうに痛かった。彼らの日々に、どうか幾重にも虹がかかりますように。――町田そのこ (作家)

その人の涙のわけを知らない。分からない。けど私たちは何かを思うことが出来るから見つめながら目を逸らさずに、あなたの話を聞きたい。――山本奈衣瑠 (俳優)

【あらすじ】
中学2年生の桐乃は、団地での暮らしに憂いていた。
郊外にある古い団地群には、様々な国にルーツを持つ人が生活している。そのせいか桐乃のクラスは衝突が絶えず、ベトナム人のクラスメイト・ヒュウがいじめの標的になっていたのだ。
家に帰っても、母の里穂は団地に住む人々を国籍問わず日夜助けており、「娘の私より、他人を優先するんだ」という思いがどうしても消えない。この場所で生活することに対する桐乃の嫌悪感は、日々強まっていく。
そんな中、中学校で起きたとある出来事をきっかけに、桐乃はヒュウと話すようになる。ヒュウは、理由は違えども、桐乃と全く同じことを望んでいた。
「この団地から出て、遠くに行きたい」と。

はじめてできた友達、母とのすれ違い――。
桐乃・ヒュウ・里穂のそれぞれの視点から、社会に蔓延る様々な分断に翻弄される2人の“こども”が少しずつ“おとな”になるひと夏を描いた、ほろ苦くも大きな感動を呼ぶ、ある青春の逃避行。

【著者略歴】
窪 美澄 (くぼ・みすみ)
1965年東京都生まれ。2009年「ミクマリ」で女による女のためのR-18文学賞大賞を受賞。受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』が、本の雑誌が選ぶ2010年度ベスト10第1位、2011年本屋大賞第2位に選ばれる。また同年、同書で山本周五郎賞を受賞。12年『晴天の迷いクジラ』で山田風太郎賞、19年『トリニティ』で織田作之助賞、22年『夜に星を放つ』で直木三十五賞を受賞。他の著書に『夏日狂想』『タイム・オブ・デス、デート・オブ・バース』『夜空に浮かぶ欠けた月たち』『ルミネッセンス』『ぼくは青くて透明で』などがある。

感想・レビュー・書評

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  • 外国人問題、格差社会、差別…

    知らないことは怖い。
    でも、知ろうとすることはできる。
    いつからだって遅くない。
    「もっと知らないといけない」
    主人公の言葉に強く共感した。

  • 購入期間終了
    窪美澄さん『給水塔から見た虹は』為書き入りWebサイン会開催! | 三省堂書店池袋本店特設サイト(開催日:2025年06月06日~06月20日)
    https://ikebukuro.books-sanseido.co.jp/events/7323

    「窪美澄」の本・小説【新作・新刊順】 | ダ・ヴィンチWeb
    https://ddnavi.com/person/2403/work/

    窪美澄|文学賞の世界
    https://x.gd/oljsW

    iwakura shiori 岩倉しおり(@iwakurashiori) • Instagram写真と動画
    https://www.instagram.com/iwakurashiori/?hl=ja

    自己紹介・ポートフォリオ|岩倉しおり
    https://note.com/iwakura_shiori/n/n76425862df4e

    岩倉しおり
    https://iwakurashiori.wixsite.com/photo

    窪 美澄 「給水塔から見た虹は」 試し読み | 小説すばる - 集英社
    https://syousetsu-subaru.shueisha.co.jp/trialread/202403-01/

    給水塔から見た虹は/窪 美澄 | 集英社 ― SHUEISHA ―
    https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-770006-0
    -----------------------------
    (Marcieさん)marcie's booksの本棚から

    ***
    「給水塔」ってレトロ感があって好きなんです(猫は降りられなくなるから登りません)ᓚᘏᗢ

  • 世の中にはたくさんのヒエラルキーが存在する。一つのヒエラルキーの階層のなかでもまた段階がある。
    主人公桐乃はクラスメイト達から「団地の子」と呼ばれる。その団地の子の中でも川を挟んで高層団地群の子どもたちは低層団地群の子どもたちを見下す。
    そして低層団地群の中でも「日本人」は「日本人以外」の子に対して差別的な感情を持つ。
    ボランティア活動をしている母親が娘である自分のことよりも他の「困っている」子どもたちを優先することに桐乃は嫌悪感を持っている。そのそこに有るのは嫉妬だ。そんな中学二年生の桐乃がベトナムにルーツを持つクラスメイトのヒュウと言葉を交わすことから物語は始まる。
    中学二年生という大人でも子どもでもない二人の共通の夢は「この団地を出ていくこと」。
    格差、貧困、差別。世の中に存在するいくつもの壁。まだひとりで生きていくことのできない彼らが初めて知る社会的レイヤー、そしてそこから逃れるためにできることとは。
    自分とは違う存在、すべてを理解することはできなくても、その違いを尊重し受け入れることはできる。
    正しさだけでは超えられない壁を、桐乃のフラットなタフさとヒュウの純粋さが壊していく。
    あって当然、仕方がない、そういう諦めの上にある差別的な視線を自分の中に探してしまう。

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著者プロフィール

1965年東京生まれ。2009年『ミクマリ』で、「女による女のためのR-18文学賞大賞」を受賞。11年、受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』が、「本の雑誌が選ぶ2010年度ベスト10」第1位、「本屋大賞」第2位に選ばれる。12年『晴天の迷いクジラ』で「山田風太郎賞」を受賞。19年『トリニティ』で「織田作之助賞」、22年『夜に星を放つ』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『アニバーサリー』『よるのふくらみ』『水やりはいつも深夜だけど』『やめるときも、すこやかなるときも』『じっと手を見る』『夜空に浮かぶ欠けた月たち』『私は女になりたい』『ははのれんあい』『朔が満ちる』等がある。

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