みかづき

著者 :
  • 集英社
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レビュー : 488
  • Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087710052

感想・レビュー・書評

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  • 前半は面白いけど後半は冗長。連載小説の悪いところが如実に出てる印象。作者のやや左よりの思想が垣間見えるので、そっち系にアレルギーがある人にはキツい。教育問題に一石投じたいと言う気持ちには共感するが、問題意識が表層的に感じられる。

  • 教育学部で学んだとき、最後に教わった結論は、教育とは不完全であり続けること、というものだったのだけど、この本の一番最後で、そのことをものすごく鮮やかに表現してくれたので、あまりに思いがけなくて感動してしまった。

  • 塾業界を舞台にした物語。日本の戦後から現在までの教育政策と絡ませながら塾や学校、そして人の育て方について理想を追い求める。様々な人の視点から教育が語られるので、多面的な見方ができる。私は中学生の子供を持つ父親だ。その立場にいると、どうしても受験などいろいろ思うところもある。しかし、思ったことを言っても、伝わったかどうか分からないし、そもそも子供をコントロールしていいものかどうかも悩むところだ。本作品は自分の想像をはるかに越えるものだ。教育分野の大河ドラマである。子供を持つ親に読んでほしいし、中学生くらいの子供にも読んで欲しい。きっと心に響くエピソードがある。共感できるエピソードもある。自分の生きざまを振り返るとともに、自分の子供に対する教育の提供について考え直すきっかけとなった。教育は経済活動より尊いと思う。

  • 塾の3世代。熱くていい人たち。面白かったけど、中ほどはすっ飛ばしてしまった。私の興味がそれほどなかったんだな。

  • 戦後の千葉県で、私塾を起こした大島吾郎と赤坂千明。ふたりから始まる教育に身を挺した大島家三代の物語。

    前半から中盤の吾郎千明の章が無ければ始まらないのはわかっていても、終盤の一郎の章がとにかく勢いがあり面白く、そして泣かされました。

    教育に対し、熱く向き合い続けた大島家の人々、彼らのような教育者に出会えた子供たちは幸せだなと思います。
    強烈な印象だった千明でしたが、最後にはきちんと吾郎がフォローし、ふたりの特別な関係性を改めて感じ入りました。

    教育について考える機会を得た本ですが、家族の物語としても素晴らしかったと思います。
    出会えて良かった。良い読書でした。

  • 教育にかける情熱、希望、と同時に起こる反発や憎しみといった、教育に翻弄された一族の物語。
    昭和から平成にかけての教育をめぐる状況に興味のある人には、ぜひオススメしたい一冊。

    私自身、昭和から平成にかけて教育を受けた世代で、また舞台となっている千葉で教育を受けたこと、自身も学生時代、個人経営の地元密着型補習塾で講師をしていたこともあり、なかなかのノスタルジーとともに、興味深く読み切った。
    どんな時でも教育の中に常にある「希望」。読み終わった後、すがすがしさが残ったのは、やはり教育が、未来に向かって開かれているものだからだと思う。いつかまた、塾で子どもたちに教えるのもいいかな、とそんな未来をちょっと想像した。

  • 学校と塾を太陽と月に、教育そのもの、人の心を月に喩え、満ちることのない月を描いています。
    教育現場の移り変わりを、現実を丁寧に追いながら書いているので、創作部分まで真実の様な気がしてしまいました。
    尖るにしても三日月の様に美しく鋭く尖れればいいのでしょうね。

  • 正直はじめは主人公のだらしなさに嫌悪感を抱いてしまい読みづらさを感じました。
    けれど、読み進めるうちに主人公を含め登場人物たちの魅力にどんどん惹かれていきました。
    塾の歴史や塾と学校との関係、時代によって変わる子供達の性格などが決して重くは無く軽くも無くちょうど良い読みやすさで描かれていた気がしました。

  • なんと爽やかな読後感!!ページを繰る手が止まりませんでした。
    途中、千明さんの話のところは息苦しい感じがしたのだけれど、だからこその爽快感です。

    一郎の感覚は自分と共通するところが大いにあって、学校教育への反発とかってなんなのかな?よくわかんない…だったのですが、始まりが吾郎と千明の話だったため、最後のあたりに一郎と阿里の会話で「はっ…そうかそれが今までの自分の感覚だった」と気づかされました。今の自分の感覚を完全に忘れさせる筆力……すごすぎる。
    本に入り込むという感覚を久しぶりに覚えました。本当に最高だった。

    千明がさくらに言った言葉。「私が守ってみせるわ」に無上の愛を感じました。泣けた。
    ずっと欠けているからこそ満ちよう満ちようと研鑽を積むのだと言った吾郎に胸が震えました。
    様々なことを乗り越えて強く生きている大島家の皆様に、勇気を貰いました。
    本当に最高の一冊。

  • 森絵都さん、初読み。経歴を見たら誕生日が全く同じでびっくりしました(笑) これは是非とも他の作品も読まねばなりませんね^^
      さて『みかづき』 とっても良かったです。静かに物語は始まり時を経て三世代に亘る壮大(少し大げさかもしれませんが)な話でした。塾における教育に情熱をかける吾郎、そんな吾郎に及ばないことを自覚し経営の方に力を入れていく妻の千明、その千明の連れ子で聡明な娘の蕗子、吾郎と千明の娘、蘭、そして蕗子の息子一郎。それぞれの“教育”に関わる姿が描かれます。家族としての思いも描かれます。
     熱い気持ちがある故にすれ違う吾郎と千明。そんな母親を見て塾とは対する学校の教師になった蕗子。そして一郎は経済的な理由等で塾に通うことが出来ない子どもたちへ無償で勉強を教える教室を立ち上げる。アプローチは違うけれど教育に対する情熱は三世代共通に受け継がれているのだなぁと思いました。
     そして一番心打たれたのはタイトル『みかづき』です。吾郎のスピーチに胸が熱くなりました。そこまで話を引っ張ってきた絵都さん、本当にすごいです。終盤、一気に読まされました。未読の方、お薦めです。

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著者プロフィール

森 絵都(もり えと)
1968年、東京都生まれの小説家、翻訳家。早稲田大学第二文学部文学言語系専修卒業。
1990年、『リズム』で第31回講談社児童文学新人賞を受賞しデビュー。2003年『DIVE!!』で小学館児童出版文化賞を受賞し、同作は2008年に映画化もされた。2006年、短編集『風に舞いあがるビニールシート』で、第135回直木賞を受賞。
その後も活躍を続けており、2017年『みかづき』で第12回中央公論文芸賞を受賞、2017年本屋大賞2位。同作は2019年にNHKでドラマ化された。それ以外にも、多数の文学賞を受賞している。

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