みかづき

著者 :
  • 集英社
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感想 : 601
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  • Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087710052

感想・レビュー・書評

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  • 森絵都さん2作品目。評価が高いので読みたいと思いつつ、分厚いのでなかなか手が伸びなかったが、なんとなく頑張って読んでみようと思えたので図書館で借りました。

    塾業界に携わる親子三世代のお話。山崎豊子さんの小説のようであり、もう少し軽い感じ。山崎豊子の小説はすごくハマった時期があったけれど、今は読む気力がないので、これくらいの小説はなかなかいいなぁと思いました。

    塾業界にも色々な波があり、塾に通うのが悪いことのように言われていた時代もあったとは驚きでした。

  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • 今では当たり前の存在の塾が、昭和30年代後半は、まだ
    コソコソ通わなくてはいけないところだったのだと驚く。それが徐々に当たり前の存在になり、生徒の取りあいになると、補習の色が強かった塾が、進学の為の色が強くなっていく。そして、少子化になり、存続が難しい時代になる。50年ほどの間の塾の存在の変遷が分かり、同時に学校教育についての文部省の方針の変遷も描かれていて、とても興味深かった。

    本当は公の教育(学校)こそが、誰もが学ぶ機会を持てる場所でなくてはいけないのに、塾(私)がその役割を果たし、今に至っては、ボランティア団体がその役割を果たさなくてはいけないのは、何とも複雑な気持ちになる。
    けれども、不器用で何事にも時間がかかる一郎が、それでも優しくて人のことを良く観察していて、実は行動力がある強みを生かして、学習が苦手な子、学習の機会に恵まれない子を助ける学習支援の団体を作っていく姿は、本当に心強くて、時に胸を打たれた。

    ところで、途中、出版社に入社した、一郎の友人増野が話している、『教育課程審議会』の話には、愕然としてしまった。『戦後五十年、落ちこぼれの底辺を上げることにばかりに注いできた労力を、できる者を限りなく伸ばすことに振り向ける/限りなくできない非才、無才には、せめて実直な精神だけを養っておいてもらえばいいんです』
    これ、本当にこんなことを言ったのかと調べてみたら、本当に言っている。愕然とした。一郎の言う通り、これは「非才、無才だけじゃない。素質もやる気もあるのに、家に金がないってだけで、同級生から遅れをとってる子どももいる、この国はそんな子たちも切り捨てるのか」と言うことだと思うのだけど、
    実際、今の世の中、こんなことはあえて口にしないだけで、みんな薄々気づいていることだ。だからこそ、SNSでは”親ガチャ”なんて言葉がトレンド入りしたりするのだから。

  • 何気に森絵都の作品は初めて。教育に携わる親子3世代の奮闘劇。かなりの長編で休みながら読んだ。
    塾というものが無かった時代に塾経営に乗り出した初代、教員や別系列の塾立ち上げなどそれぞれ教育に関わる仕事に就く2代目、塾に行かない子供の方が少なくなった時代にそこからこぼれ落ちる貧困層に目を向け、ボランティアで教育を行う3代目。
    時代に合わせて学校教育も形を変えて、それに合わせて塾も進学に特化したりなど変化を続けてきたことが分かった。

  • 中央公論文芸賞受賞(2017年/第12回)

  • わが地元が舞台だったので(舞台はあまり関係ない内容だったが)何となく面白く読めた。

  • 元学校の用務員の吾郎が、用務員でありながら、子供たちに勉強を教え、教育のあり方を時代の動きに合わせ、さまざまな方法で投影していく。

    千明、蘭をはじめ女系の強い家族の主張と、吾郎、一郎などのおっとりとしながらも子供の教育を考えるお互いの主張はいつまでもぶつかるが、教育というものに対して、真摯に向き合う姿勢は同じ。

    単なる家族の群像を描いた作品でなく、それぞれの立場の人間の心模様をリアルに描く様は流石。

    また、章が変わって時間が過ぎて文脈の省略をしても、充分理解させるだけの文章力。読ませる…流石!

  • 「2017本屋大賞 2位」
    九州産業大学図書館 蔵書検索(OPAC)へ↓
    https://leaf.kyusan-u.ac.jp/opac/volume/1234838

  • それぞれに人間味あふれる登場人物に魅了されました。みんなが一生懸命に生きている、そこが好きです。教育とは、人が成長するということはどういうことなのかを考えさせられました。

  • 4世代に渡る学校や塾などの教育現場のはなし

    全ての始まりは、吾郎の用務員室「大島教室」
    ここでの授業についていけなかった子たちへの補習が、のちの千葉進塾、ボランティア活動のクレセントにつながる
    大島教室時代から、女性に弱い吾郎 それが仇となり、直接の原因ではないが塾長の座を追われることになる その後、教育本の執筆、講演活動、海外での教育現場など、なかなか充実した人生 子どもたちもさまざまな三人三様の人生を歩み、父親である吾郎が良い加減で、とても魅力的な人なのだと思う

    わたしはもう塾のお世話になることはないが、塾の創成期から現在までの変遷がわかり、興味深かった
    また塾(と学校教育)に焦点を当てた小説という着眼点も珍しいと思った

  • 読み応えのある、月並みですがとても良い本でした。
    時代に翻弄されながらも理想に向かって突き進む教育者の力と、紆余曲折の教育改革。
    教育者の熱意を感じられる本でした。

  • 実家で手に取った、読書会を長年続けている母が読んだ本。帰宅して図書館で借りやっと読了。笑いあり涙あり。子育て世代には特に胸打つ内容。きちんとまとまっているけどまとまりすぎてない感じ。時代背景も懐かしく読めた。森絵都さんはカラフル以来の読んで良かった本。他の作品もまた改めて探してみたくなった。

  • とにかく凄い情報量でした!(笑)
    私も中学生の頃塾に通っていましたが、特に塾の経営や歴史背景なんて考えたこともなかったのでなるほどと頭をフル回転させながら読みました!と同時に家族や夫婦のかたちにも考えさせられる作品でした。読書も楽しめたけど少し勉強した気分です(笑)

  • ブックリストに度々登場するので読んでみました。
    教育を通して3世代の親子が奮闘していく話でした。長編でしたが一気読みできました。
    いつの時代も教育の改革は終わりがなあなぁと思いながらよみました。

  • 自ら選んでおきながら、こんなに分厚い本読み終えるのかと、最初はなかなか進まなかった。

    でも、時代が昭和から平成に進み、懐かしいフレーズが所々に現れ、どんどんどんどん引き込まれて行った。

    とても良い本に出会った。

  • 右往左往する教育界、それぞれが理想を目指す姿は、力強く好感を持った。
    大島家のおおらかさにほっこりした。

  • 学習塾経営に心血を注ぐ3代の話。教育事情の変遷も描かれていて、勉強になった。ストーリーとしても面白い。人間ドラマ、ありすぎな感じはしつつ、確かに塾業界は濃い人多いから妙にリアリティも。

  • いつの時代も様々な教育論が説かれるが
    大切なのは子どもを思う気持ち。

    祖父母の思いが子へ孫へ
    受け継がれていく。
    ぶつかり合い、離れながらも
    教育という信念で繋がっていた。

    タイトルのみかづき
    満ち足りないみかづきを
    満ちよう満ちようと悩みながら
    時代に挑んでいく人々の生き様だった。

    作者の年齢で
    50年に渡る時代背景や
    人々の思いをここまで描写できるている
    ことに震えた。さすがだ。
    長編だが節目で感動あり。満ち足りた。

  • 長編だけど読みやすい。
    感動はなかった。
    それぞれの家族の人生が書かれていて、興味深かった。
    印象に残ったのは、ストーリーより、「あの子は幸せになれる。人を許す事ができるから。」という言葉。
    今の私にグサッとささった。
    いつまでも人生を幸せに感じれないのは、人を許す事ができない小さい自分だからかもしれないな。

  • 本当に面白い本に出会えたくらいの感動だった。もの足りないくらいで次の数年後にうつる展開が絶妙すぎる。
    と、7章おわったとき思った。8章は、途中まではいらないんじゃないかと思って読み進めたが、最後は素晴しかった。読み終えたとき満足感しかない本は初めて?かも。

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著者プロフィール

森 絵都(もり・えと):1968年生まれ。90年『リズム』で講談社児童文学新人賞を受賞し、デビュー。95年『宇宙のみなしご』で野間児童文芸新人賞及び産経児童出版文化賞ニッポン放送賞、98年『つきのふね』で野間児童文芸賞、99年『カラフル』で産経児童出版文化賞、2003年『DIVE!!』で小学館児童出版文化賞、06年『風に舞いあがるビニールシート』で直木賞、17年『みかづき』で中央公論文芸賞等受賞。『この女』『クラスメイツ』『出会いなおし』『カザアナ』『あしたのことば』『生まれかわりのポオ』他著作多数。

「2023年 『できない相談』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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