みかづき

著者 :
  • 集英社
4.17
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本棚登録 : 4591
感想 : 601
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  • Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087710052

作品紹介・あらすじ

昭和36年、学校教育に不信を抱く千明から学習塾の立ち上げに誘われ、吾郎の波瀾の教育者人生が幕を開ける。昭和〜平成の塾業界を舞台に、三世代にわたり奮闘する大島家を描いた、著者渾身の大長編!

感想・レビュー・書評

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  • 分厚さとタイトルだけに興味を持って取った本は読み進めるうちに歴史と人物に興味を持ち始じめ途中から一気読み。

    吾郎のように
    千明のような
    直哉と同じように

    時が経ったらまた読んでみたくなるかもな

  • 「カラフル」「DIVE!」も読んだので3つ目の森絵都さん作品でした。今までで1番良かったかも。飽きないし、内容も濃くて、読みごたえがありました。私も子供達もあまり塾へ行ってないのだけど塾の経営者さん達には色々なご苦労や考えがあるんだなーと思いました。

  • 感想
    人を教える。未熟な自分が教える。失礼ではないか。そんなことはない。自分も共に成長し続ければ良い。それが相手へ示せる最大の敬意。

  • 2016 ブランチブックアワード大賞

  • 3代に渡る物語。完読まで挫折しそうになりながら、千明と吾郎が再会した件辺りにはすっかり時間を忘れていました。ここまで教育に情熱を滾らせて塾は始まり今に至る。リモートで全国同じ授業が受けられるなんて、余談ですがストーリーの中にちらっと出てくる某スクールの高額な受講料にはバカバカしいと思いながら、今37歳の我が息子の夢のためと支払った事も、思い出させてくれた。一郎と阿里のこれからはどんな情熱で教育界を進んで行くのか、続編も期待したいです。

  • 再読。やっぱり良かった!真剣に教育に向き合う姿が心打たれる。困難なことから逃げないこと、理想を追い求めること、学ぶことがたくさんあります。

  • 大島家3代に渡る、学習塾の立上げから発展、曲折、時代の変化に応じた変容の物語。
    民主主義へと180度変わった戦後の教育改革から、受験競争過熱の修正としてのゆとり教育への舵きり、その失敗による見直し、等などの教育改革の歴史と共に、大島家一族の親子、夫婦の物語が次々とテンポ良く紡がれていく大河ドラマ的長編で、読み応えあった。

    「教育は子供をコントロールするためにあるんじゃない、不条理に抗う力、たやすくコントロールされない為の力を授ける為にあるんだ」の台詞が印象的。

  • この一冊に人生の一歴史が詰まっている。

    塾には自分も多少通っていたがこんな歴史が合ったんだなぁ。

    この本はとても好きです、また忘れた頃に読み返したい。

  • フォローさせていただいている方々の本棚を見て表紙がかわいいなと思い、図書館へ借りに行きました。
    森絵都さんの著作を読んだことがなかった私は、表紙と著者のお名前からふわっとしたお話かと思っていました。しかし実際本を手に取ると、がっつり4センチ幅の厚さ。中身もがっつり塾経営に関する内容でした。ふわっとしたのは最後の最後ぐらいでしょうか。

    昭和36年。小学校の用務員、吾郎が用務員室で勉強を教えたところ好評になった。学校を辞めることになり、勉強を教えていた女児の母親と結婚して塾を経営することに。当時はまだ塾は嫌われる存在で…。親から子、孫へ繋がる教育と絆のものがたりです。

    吾郎の妻、千明の圧が強く、終始圧を感じながら読みました。
    塾からみた目線で、昭和から平成の教育制度と教育の在り方が書かれています。生徒側からの目線は、ほぼありません。

    吾郎、妻、子、孫。それぞれ欠点があり、個性があります。それぞれの考えで、熱く教育に従事しています。
    それぞれの理想的な教育を実現するためにぶつかり合い、見守って許し合う家族たち。
    挫折を乗り越えて人生を歩んでいく吾郎ファミリー。人生の命題があるっていいな、と思いました。

  • タイトルからは何のお話かわからないまま、読み始めましたが、戦後に塾を創設した一家の半世紀にわたる物語です。450ページを超える大作で、ワクワクする前半からキューっと胸が苦しくなる中盤、そして再びワクワクから希望の光に満ちるエンディングまで楽しく読ませていただきました。

    最終盤に吾郎がスピーチで語った言葉
    「どんな時代の教育者も、当世の教育事情を悲観しているが、それでいいのかもしれない。常に何かが欠けている三日月。欠けている自覚があればこそ、人は満ちようと研鑽を積むのかもしれない」という言葉にとても共感しました。

    私も日頃教育担当として若手スタッフの育成に懊悩していますが、それでいいのだと教え導いてもらった気がします。

    私にはとても大切な本になりました!オススメ!

  • 3冊目の森絵都さん。以前読んだ『カザアナ』がいまいち合わなかったので、評判の良いこちらでリベンジ、のつもりだったのですが…。

    昭和36年、小学校の用務員として働く大島吾郎は、学校教育に不満を抱く千明から学習塾の立ち上げに誘われる。やがてカリスマ塾講師となった吾郎と、塾の経営に心血を注ぐ千明と、そして…昭和から平成へ3世代にわたり、教育活動に奮闘する大島家を描いた長編です。NHKでドラマ化もされてましたね。でも私的には千明のイメージは永作博美さんじゃないなぁ。

    戦後から平成にかけての日本の教育の変遷を知れたのはとても良かったです。特に吾郎も千明も教育に対する信念が素晴らしかった。最後の一郎視点のお話も、自分に自信がないながらも子どもたちのために行動を起こす一郎を応援したくなりました。ただ、う〜ん、やっぱりいまいち私には合わなかったかなぁ。文章はとても読みやすいし内容もとっても読み応えがあります。なので、おそらく相性の問題かな、残念。

  • この分厚さ…手に取るのも気が引けるけど、手に取ってホントに良かった!
    昭和の話だからどうかな?と思ったけど、最初から面白い。最初から引き込まれた。塾、夫婦、家族、経営、政治、色んな面の色んな問題が散りばめられてて、考えさせられる!そしてどの登場人物もいい!大島家最高でした!
    こんなに生徒の事、真剣に考えてくれる塾があったら通いたいな〜と思いました。

    教育は子供をコントロールするためにあるんじゃない。不条理に抗う力、たやすくコントロールされないための力を授けるためにあるんだ…。

    この一文も素敵でした。
    そして何よりラストがほんっとに素敵でした。
    最高の1冊!

  • カラフルの森絵都さんの作品だぁって、まずもって内容わからないままジャケ借りしました分厚い本。この週末は雨だからどっぷり本の世界に漬かってましたww
    教育産業に携わる創業者一族の3代に渡る物語、50年間の軌跡を辿りました。
    月は満ちることがないから理想を追いもとめて満ち欠けを繰返す。
    時代の波にもまれながら何度も危機を乗り越えて中堅どころの学習塾へと収まってゆく舵取りの難しさ。
    新興の会社とか勢いに乗って大きくするのは簡単だけど維持していくのはつくづく難しく思います。
    分派、対立、独立と、泡のように浮かんでは消えてゆくなか、右腕として経営に尽力した国分寺の存在がなければ破綻していたかと思います。ただただ野心を抱かず創業一族を支えるとか男気を感じました。

    管理教育、詰込み教育、ゆとり教育に絶対評価と理想を求めて制度が猫の目のように変わってゆくなか、どんな時代でもエリートと落ちこぼれてはでてくる状態。
    一定数の従順な納税者を確保したいのが社会システム上の課題。

    今さらながら、
    自主的に興味をもって物事に取り込むことができる能力が大事だとゆうことを痛切に感じました。

  • 教育について、戦後から三代に渡って語られる大河ドラマ。さらに塾の視点で見る教育ということで、すごく新しい見せ方だった。
    受験生でも学校でもなく、塾。
    塾となると、教育ということを考えつつも、経営という部分も考えなければならない。
    当然そこでは齟齬が生まれる。
    無償で誰でもが受けるべきもののはずが、格差のために享受できない。経営が先か教育が先か。
    そういう問題も含めつつ、教育の歴史や、教師の葛藤などしっかりと読ませてくれる。
    キャラも強くて、家庭内ドラマも楽しい。

    どんな世代が見ても、幼少期を思い出せるような、改めて自分達の受けてきた教育を振りかえれる。

    そして、最後の数ページ。終わり方がめちゃくちゃ決まっている。会話のテンポの気持ちよさが後味最高で終わる。

    テーマは深いんだけど、深くなりすぎず、エンタメとしてもしっかり楽しめる小説でした。

  • 戦後教育の歴史のドラマであり、家族の歴史のドラマであり。
    読みごたえがあり、でも読みやすく、とてもおもしろかった。

    いろんな人がそれぞれの思いを持って、教育をよくしようと動く。それはどれが正しいとは一言ではいえないし、まだゴールには達していない。というより、ゴールはなくて、常に状況は変化するのでその時々で望ましい教育というのがあるのかもしれない。
    そして、個性的な登場人物たち(平凡であるということもそれは個性だと思う)も、自分の思うところを貫こうと、ときに周りにふりまわされ、ときにつまづきながら、個々のペースで前に進んでいく。

    いいお話だった。

  •  戦時中から話は始まります。そして、経済高度成長期の塾の誕生を契機として、学校をはじめとした世の中の移り変わりが描かれます。登場人物たちが、理想の教育とは何なのかを問い、追求していく展開にわくわくさせられました。
     全編に渡って散りばめられた、教育を翻弄する政治、行政に対する的を得た痛烈な批判には、胸のすく思いでした。
     題名の「みかづき」の意味が最後に明かされます。これから読む皆さん、お楽しみに。

  • 昭和30年代、戦後の復興を経て高度成長期に入った時代に始まった学習塾を舞台に現代にいたる半世紀、親子三代にわたる物語。

    とても長くて厚い本なので読了するのに時間がかかってしまったが、とても面白い小説でした。

    私も教育関係の仕事に従事しているので、文科省や学習塾、受験戦争、教育の不平等、学習指導要領の変遷などをテーマにしたこの本は皆さんにも読んで欲しいなと思いました。
    また、著者の森絵都さんの作品は試験問題の題材にもなったり、国語の教科書編集に携わったりしてるそうなので、学生さんにもお勧めです。

    読み終わってから知ったんですが、これNHKのドラマになってたんですね。
    DVDにもなってるんで機会がありましたら、本かドラマ、どちらでも良いので是非見てみてください。
    私は最終章では号泣、ティッシュ一箱使っちゃいましたよ(大げさ(笑)

  • 時代や世間に翻弄されながらも"塾"という形で昭和から平成までの教育を支え続けた大島一家の物語。
    親たちの姿に反発を覚えながらも、人の役に立ちたいというDNAは一郎や杏の子、孫まで脈々と受け継がれてゆくのだろうなぁ…
    タイトルに込められた意味が深く、私も自分の心にみかづきを持ち続けたい。

  • 塾の立ち上げや経営、身内や仕事仲間との様々な出来事などが、昔から現在に至るまで丁寧に描かれており、主人公らとともに生涯を歩んだかのような気持ちで読み進められたのが楽しかった。教育を主軸としながら家族のテーマも織り交ぜられており、大層読み応えがあった。

  • 昭和三十六年から脈々と続く教育をテーマにした家族三代に渡る大河ドラマだ。塾の在り方や、学校と塾の関わり、それぞれの教育観のもと突き進む大島家の面々は、時代時代で様々な困難にぶち当たる。より良い教育を目指し、家族は傷つき合いながら時に癒しながら時代を駆け抜ける。
    ずっと読み続けている森さんの作品の中でも、代表作になるだろと思える長編傑作だ。

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著者プロフィール

森 絵都(もり・えと):1968年生まれ。90年『リズム』で講談社児童文学新人賞を受賞し、デビュー。95年『宇宙のみなしご』で野間児童文芸新人賞及び産経児童出版文化賞ニッポン放送賞、98年『つきのふね』で野間児童文芸賞、99年『カラフル』で産経児童出版文化賞、2003年『DIVE!!』で小学館児童出版文化賞、06年『風に舞いあがるビニールシート』で直木賞、17年『みかづき』で中央公論文芸賞等受賞。『この女』『クラスメイツ』『出会いなおし』『カザアナ』『あしたのことば』『生まれかわりのポオ』他著作多数。

「2023年 『できない相談』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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