リーチ先生

著者 :
  • 集英社
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レビュー : 124
  • Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087710113

作品紹介・あらすじ

西洋と東洋の芸術を融合し、新しい陶芸の世界を切り拓いたイギリス人陶芸家バーナード・リーチ。日本を愛し日本に愛されたその半生を二代にわたり弟子となった名も無き父子の視点から描く感動長編。

感想・レビュー・書評

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  • 明治42年、イギリスと日本の芸術のかけ橋になりたいという想いを胸に一人の英国人が日本の地を踏みます。
    彼の名前はバーナード・リーチ。
    のちに陶芸家として名を馳せることになる青年です。

    物語はリーチ先生の助手を勤めた日本人青年の目線で進みます。
    日本での暮らしの中で、リーチは芸術論を語り合える友人たちと出会い、人生を大きく変えることになる陶芸と出会います。
    「用の美」を唱えた柳宗悦との交流は、やがて故国に戻ったリーチがセント・アイヴスに普段使いの器を作る工房を設けることにつながりました。
    イギリスから日本へ、日本からイギリスへ。
    リーチを中心にして生まれた東西芸術のつながりをドラマチックに描いたストーリーでした。(なんとなく朝ドラになりそうな感じ…)

    「美術品=名のある芸術家の作品」と思いがちですが、名もない陶芸家たちが作った日用品にも普遍の美しさがある、という考え方にはっとさせられました。
    陶芸のことはまったく知らないので、本書を読んでいるあいだ、ときどきバーナード・リーチの作品集を眺めていました。
    やさしい色合い、思わず手で包み込みたくなるような形。
    ふれたらほんのりと温かさを感じそうな陶器の数々からは、本書に描かれているリーチ先生の人柄がにじみ出ているように感じました。

    本書の装丁がとても好みです。
    和の色の組み合わせも、タイトルの両側に配されたリーチの絵皿に描かれた動植物も。
    しおり紐がタイトル文字と同じ、きれいな紺色なのが特に気に入っています。

  • バーナードリーチ、名前は知っていたけど一体どのように日本との繋がりがあるのやら この本で知れた♪
    私達誰もが知っている著名な日本人がずらずら出てくるので目からウロコがかなり落ちました 笑。
    日英の架け橋を目指して単身 日本に渡ったリーチと彼と親交を持つ日本人たち、どちらもが皆 架け橋となって互いの文化を認め拡げる役割を担って行ったことが分かる。とりわけ陶器の里 小石原と小鹿田が大事な舞台になっていて方言も馴染み易い前段、私もたびたび訪れている場所だし。
    リーチ先生 となっているタイトルは読みとしてリーチしぇんしぇー と読むのも 好い いい!

  • 英国人でありながら日本の民藝運動に深くかかわった陶芸家のバーナード・リーチをめぐる物語だ。

    昭和の小鹿田の里に、有名な英国人陶芸家がやってくる、というところから物語は始まる。
    若いからと彼の世話係を任命された高市は、偶然にもリーチと自分の亡き父との因縁を知るのだった。

    そこから物語は大きく過去へと飛び、天涯孤独ながらまっすぐに生きる少年、沖亀乃介が高村光太郎と出会う明治末期へと移る。

    バーナード・リーチのほかに、高村光雲、高村光太郎、富本憲吉、柳宗悦、濱田庄司、河合寛次郎、武者小路実篤に志賀直哉といったあまりにも有名な人物がどんどん出てきて、西洋の美と東洋の美を繋ごうと芸術運動の高まりがとても魅力的に描かれている。
    遠い存在と思っていた過去の偉大な芸術家たちが、若く、生き生きと動き回っていて、読んでいてわくわくと楽しかった。

    陶芸や手仕事というものが好きなので、リーチが民藝運動に大きくかかわっていたことは知っていたが、そもそも日本で陶芸に出会い、日本で窯を立ち上げていたことは全然知らなくて、非常に興味深かった。

    主人公の亀乃介の一途さも初々しく、この物語を清々しく彩っている。
    あまりにも生き生きとしてさまざまな芸術家たちと関わっているのだから実在の人物かと思いきや、そうではないらしい。ここが小説、さすが原田マハのフィクションだなぁ。彼と彼の息子は誰かモデルがいるのかと思ったが、それもわからなかった。
    異国がまだ夢のように遠く、異文化が遥かに不可思議だった世界で、こうやって前向きにひたむきに生きる人たちがいた「時代」がモデルと言えるのかもしれない。

  • やや甘いかもしれないが満点。

    今回は実在の陶芸家バーナード・リーチを題材にしたお話。

    架空の人物沖亀乃介との師弟関係を軸に、日英の陶芸家の交流を描いています。

    正直、派手な物語ではないですが、亀乃介の健気さや日本人との暖かい触れ合いが清々しい。

    悪人も出てこないし、絶望的なピンチもないので、普通なら平坦な話になりそうなのに、全く飽きませんでした。

    楽園のカンヴァス、お日柄もよくに匹敵する代表作になるのではないでしょうか。

    あー、良い本を読んだな〜って感じです。

    超オススメです。

  • 陶芸に魅せられた者たちが、国を超え、時代を超えて交流するものがたり。
    おもしろかった。
    おだやかなあたたかさを持つリーチと、全面的に慕う亀之助。
    師弟のゆるぎない絆も、彼らの周りに集まる人たちも、みんなあたたかな輪をつくりだしていく。
    小鹿田の人々のあたたかさにも、ほっこり。
    陶芸の魅力をもりこみながら、実在したひとたちが活き活きと成長していく。
    筆者お得意の、芸術を軸にした小説。

  • 原田マハさんの作品でトップに躍り出たかもしれない。
    無名の冲亀乃介から見たイギリス人陶芸家バーナード・リーチの物語。
    「欲望が創造を生む」
    「~してみたい」という探究心。
    自分の陶芸。柳が提唱する「用の美」
    有名も無名も関係なく、一途に探究していく事は大事。
    そして周囲の人々から受ける影響。
    反対に自分が周りに与える影響。
    この本の登場人物の関係はある意味理想に思えた。衝突しつつも互いの意見を尊重し合い、また自分の考えに向き合っていく。
    「切磋琢磨」という言葉が思い浮かんだ。
    「自分の道」を進むには必ず別れがつきものでそれもまた自分を成長させていくんだなと思う。

  • 日本とイギリスの陶芸の橋渡し役となったリーチ先生と助手亀乃介、そして濱田庄司らの仲間達との「陶芸」と言う名の「冒険」をたっぷり楽しんだ。実在の人物なので、史実に基づくのだろうが、陶芸への熱意が面白く伝わってきた。最後まで来て、プロローグを読み返し、そしてエピローグを楽しんだ。

  • 知っている人物が次々出てきて、とても興味深く読み切れた。

  • 分厚い本で、読み切れるかちょっと心配だった。心配をよそに、おもしろく読めた。史実に基づくフィクション。ステキな物語だった。「用の美」ってとらえ方がすごい。今まで陶芸にそこまで興味を持たなかったけれど、リーチたちの作品を見てみたくなった。

  • かなりの、長編ではあったがよみごたえがあった。時代をこえてめぐる物語。

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著者プロフィール

原田 マハ(はらだ まは)
1962年東京都生まれ。小6から高校卒業まで岡山で育つ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部美術史学専修卒業。
馬里邑美術館、伊藤忠商事株式会社、森美術館設立準備室、ニューヨーク近代美術館での勤務を経て、2002年よりフリーのキュレーターとなる。
2005年小説化デビュー作の『カフーを待ちわびて』で第1回日本ラブストーリー大賞を受賞。2012年『楽園のカンヴァス』で第25回山本周五郎賞、『キネマの神様』で第8回酒飲み書店員大賞をそれぞれ受賞。2013年には『ジヴェルニーの食卓』で第149回直木賞候補、2016年『暗幕のゲルニカ』で第155回直木賞候補となる。2017年『リーチ先生』で第36回新田次郎文学賞受賞となり話題になった。

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