あのこは貴族

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 720
レビュー : 84
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087710175

作品紹介・あらすじ

東京生まれのお嬢様・華子と、地方生まれのOL・美紀。出会うはずのなかった女二人が同じ男をきっかけに巡り合って──。東京の「上流階級」を舞台に、結婚の葛藤と解放を描く、渾身の長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • 身につまされながら読んだ。柚木麻子さんと被るかな、と今まで読まなかったのが惜しまれる。ウンウンと首が痛いほどうなづいた程共感した。三者面談の場面も、それぞれの育ちの良さと理解力でプラス方向に乗り切れたのでは、と、ここでも、持てる者の余裕を感じた。

  • ジェーン・スーさんの
    「私がオバさんになったよ」で
    著者の山内マリコさんと対談されていて、
    こちらの本の話題がよく出ていて気になったので手に取った。
     
    慶応幼稚舎から大学に進学し、
    一般企業に就職した「華子」が、
    結婚を焦るがゆえに恋人に振られ、
    婚活に勤しむもうまくいかず、
    突然現れた、
    地元の名士の家系で、
    将来は政治家への道がほぼ約束されている
    表向きには「超優良物件」の男性幸一郎と結婚する、という
    一見幸せな物語。
     
    しかしその裏には
    恋人ではないが長年都合のいい存在の女性(美紀)が。
     
    美紀は地方から大学受験して慶応に入学し、
    東京と地方、上流階級と中流階級など、
    日常のあらゆる場面で「壁」を目にし、
    その階層のトップともいえるところにいる幸一郎と
    都合の良い関係を続けることで、
    違う世界とつながる感覚を楽しんでいた。
     
    ドロドロした恋愛ものでは決してなく、
    「東京」「地方」
    「上流」「中流」
    「男性」「女性」
    「正規雇用」「非正規雇用」
    「会社員」「事業主」など、
    気づかないうちにいくつかのグループに属し、
    そのグループでの常識が「当たり前」だと思ってしまう人間の性。
     
    知っている世界にいることは安全だけれども、
    「選択する」自由がなくなりがちであること。
     
    価値観が固まって、
    異質なものを無意識に排除しがちであることなど
    様々なメッセージを受け取った。
     
    自分は地方出身者で、
    内部生の多い女子大にいたので、
    美紀について書かれたところが
    一番共感できたかな。
     
    女性を記号のように捉え、
    本気で向き合おうとしない幸一郎も
    側から見たらものすごく恵まれているけれども、
    生まれた時から運命が決められていて、
    そこから外れることの許されない絶望感を考えると、
    悪者とも思えないし同情さえしてしまう。
    絶対にその場所に行きたいとも思わないけれど。
     
    最近話題になった某お笑い事務所の会見で、
    「周りに嘘をつくのが本当に辛かった」
    とある芸人さんが言っていたけれど、
    自分の言いたいことが言えて、
    やりたいことをやれることが、
    人間らしく生きるためには欠かせないんだな、
    と改めて思った。
     
    「多様性を大切にしよう」などという
    「わかった、でもどうしたら?」という
    漠然としたメッセージを何百回聞くよりも、
    自分と違う世界にも目を向けよう、
    という気持ちになる一冊。
     
    最後のタクシー運転手の
    「田舎はねぇ、
    どこもいいところなんだけど、
    人の流れが淀んでるから。
     
    人の流れが淀むと、
    なんでもダメね。
     
    お金も回らなくなるし、
    どんどん内向きになってちっちゃいことで揉めたりね。
     
    だから外から人に来てもらって、
    風通しよくしなくちゃダメなんだよ」
    というセリフ。
     
    田舎に限らず
    どのコミュニティにも言えることだなぁ、と。
     
    集団に問題が発生する時は
    人の流れが淀んでいる時なのかもしれないな。
     
    それは集団だけでなく個人でも。
     
    一つの考えに固執しすぎて
    頑固になっている時とか。
     
    とはいえ
    説教臭さなどは一切なく、
    小説として普通にと言ったら失礼ですが
    面白いです。
     
    婚活や結婚生活でモヤモヤしている人は
    特にオススメ。

  • みんな違ってみんな辛い。山内マリコさんのそういう書き方がいつも心に沁みて好き。

  • 東京と地方、お嬢様と庶民。
    やっぱ地方出身の女子目線で東京を描くのが
    最っ高に巧いなあ山内マリコ。
    華子よりも美紀のターンのほうが好きだった。
    こういう女子に憧れる。いい女だー。
    映画化されるみたいだけど、
    わたしの中で美紀は桜井ユキさんのイメージ。
    不思議なメンバーでの女子会、
    そこでの心中話のくだりが良かった。
    男ってやつはほんとにもう、、、、、、。

    雨宮さんの解説も素敵だった。
    「お互いに、お互いが持っているものを持っていない。」
    その通りだなあ。

  • 爽やかな読後感。 上京してきた美紀はさまざまな辛苦を自ら乗り越えてきたわけだが、その経験から得た矜持がとにかく素晴らしい。「ダークサイドに囚われそうになる自分を飼い慣らすことができる」という表現は心に留めた。

  • 作風が広がってきてよかった

  •  新聞の読書蘭で見て興味を覚え借りてみました。
    確かに、日本の貴族社会を描いていると思いましたが、それに対する憧れは全然感じませんでした。
     主人公華子が暗いので、読んでいる私も終盤まで暗い思いの中で面白そうという感想だったから借りたのに、全然面白くないじゃない、みたいな感じで不満たらたらでした。
     でも、最後に自分の考えを言えない華子があっという間に離婚届けを出して、離婚し、その後、自分に合った仕事を見つけて、その生活をエンジョイしているところが救われました。
     最後はスカッとして良かったです。
    逆に、華々しい生活をしているはずの元夫の方が、嫌でもその生活を守らなければならない息苦しさを感じていて、平民で良かったなんて思ってしまいました。

  • 箱入り娘の成長ストーリー

  • 最初は 貴族かあ…こんな世界もあるのね。と人ごとのように読み進めていたけど、途中違う立場の女性も出てきて、だんだん面白くなっていった。
    どの世界の人間も、その人なりの悩みがある。
    結婚については共感できるところがたくさんあった。

  • お育ちの良いお嬢様の華子、田舎出身で大学から慶応に通うことになった美紀。
    東京で暮らす階級の違う二人の女性の話。

    華子も美紀も、きっといるだろうなという女性。
    そして、どちらも共感できる。
    華子はそのままレールに乗ったままでいてもありだったと思いますが、結果はあの選択で良かったのでしょうね。
    美紀も、故郷に関わる仕事をするようで、良かったなと思います。

    年の離れた二人の友情物語でもあり、面白く読みました。

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著者プロフィール

1980年生まれ、富山県出身。小学校時代、近所のお絵かき教室に通う。絵より映画が好きになり、大阪芸術大学映像学科を卒業。いろいろあって2012年、小説『ここは退屈迎えに来て』(幻冬舎)で作家デビュー。同作が映画化された際、プールに突き落とされる先生役でエキストラ出演を果たす。アート好きが高じて本の装丁に口うるさいため、デザイナーからは嫌われている。イベントに客が来ないのが悩み。唯一の役職は、高志の国文学館(富山県)の新企画アドバイザー。

「2020年 『山内マリコの美術館は一人で行く派展 ART COLUMN EXHIBITION 2013-2019』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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