タイムマシンでは、行けない明日

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 188
レビュー : 34
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087710199

作品紹介・あらすじ

もう一度、君に会いたい──。初恋の少女を救うため、タイムマシンに乗って、過去を変えようと奔走する理系男子。ふたりの運命は変えられるのか。永遠の少年少女におくる、長編SF×恋愛小説。

感想・レビュー・書評

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  • SF連作短編集「ふたつの星とタイムマシン」に登場する、タイムマシンと平沼教授。彼を主役にした連載が一冊にまとまるのを楽しみにしていた。まず、思ったよりボリュームがあるのにびっくり。私が読んだことのある畑野作品はシニカルな表現が印象的だったので、本格的にSFでしかも胸を締め付けるような切ない展開に、戸惑いながらも夢中で読み切った。
    第一章、飄飄として捉えどころのない平沼教授の登場に、懐かしい~と思ったのも束の間、第二章ではロケット発射台のある小島が舞台となり、高校生たちの青春群像の描写が続く(まどろっこしいと思ってしまうが)。ここで登場の丹羽光二君て誰よ?と思いつつも、同級生の長谷川さんとの淡い恋の展開が微笑ましい。そこに訪れる突然の悲劇。
    詳しく説明するとネタバレしてしまいそうなので歯がゆいが、タイムマシンを使うことで起こる時間の歪み…。「因果律」という言葉の意味を嫌と言うほど考えさせられる。辛い過去があれば、それを何とかして変えたいと思うのが人だろう。
    パラレルワールドに迷い込んだことで変えられてしまう人生。様々なうねりの中で全く違ったものになった出来事もあれば、出会いのタイミングは異なれど運命であるかのように引き寄せられる人もあり。一体どう着地するのかハラハラしながら、あまりのやるせなさに時には涙しながらページを捲った。翻弄される主人公だけど、高校時代の悲劇で心を閉ざし気味だった彼が少しずつ変わっていく過程が読みごたえ有り。
    「合理的な人生なんて、何も面白くない。
    わずらわしくて、自分だけではどうすることもできないから、人生は輝く。」
    そんな彼の言葉が印象的だった。
    何気ないエピソードだと思っていたいくつかの出来事は、クライマックスに近づくほどにじわじわ効いてくる。あれもこれも、伏線だったのかと!その伏線の回収の仕方が、お見事。
    本書単体でも十分面白いけど、姉妹編の「ふたつの星とタイムマシン」と合わせて読めば面白さ倍増。こちらに登場する西村さんも物語に絡んでくる。ひと癖あるキャラばかりだが(特にタイムマシンを開発した井神教授)なかなかに味わい深いです。
    シビアな展開部分もあるけれど、自分が置かれた状況で、生きていくということの意味を深く深く考えさせられる作品。「ふたつ…」に続き、今回もキンコン西野氏の表紙イラスト。彼のイラストにしてはシンプルだなと思ったが、むしろそのシンプルさがいい。読了後に改めて見ると色々としみじみします。

  • たぶんSF小説の分類になるんだろうけど
    どこか現実的で、私の苦手なSFとは違う。

    まぁよくある話だなと思って読んでいたら
    途中からはがっつり印象が変わった。

    自分の選んだ道が1番よかったのかなんて
    そんなの誰にもわからないけど、
    どんな場合であれ結局最終的に選んだのは自分。
    未来をどう変えるか決めるのも自分。

  • 畑野智美さんの作品の中で群を抜いて好きになった。SF×青春×恋愛が絡むとこんなに淡く切ない物語になるのか。
    わたしはこの作品を読む前にふたつの星とタイムマシンを読むことを強く勧めます。2014年10月刊行のこの本から2年経って今作が刊行されているのだけど…ここまで完成度の高いものができちゃうんだと驚いた。ここまで想定して居たのかしら…とも。
    丹羽くんが、長谷川さんとの事故をなかったことにするために過去に戻り、過去を変えてしまい自分が死に帰るあしたがなくなり平沼昇一として生きることとなるのだが、
    もうお父さんとのシーンが泣けた。勘ね、あるよね絶対。
    平沼教授にも幸せになってもらいたい。夜久くんにも。みんなみんなみんなに!

  • 例えどんな過去を辿ったとしても、どんな未来に進んだとしても、出逢うべき二人は出逢う運命にあるのだろう。
    人と人とが出逢う奇跡について考えさせられた。
    私にもまだ出逢っていない誰かが、この広い宇宙のどこかにいるのかもしれない。

    大切な「あの人」と再び出逢うため「あの日」に戻るため、「彼」も時代をまたにかけ奮闘した。
    ラストに向かって色々な出来事や人が繋がっていく様は、読んでいて気持ちも晴れやかになる。
    今回のタイトルもその意味を考えると…深い。

    『ふたつの星とタイムマシン』の中で消化不良気味な箇所があって、正直ちょっとモヤモヤしていたけれど今回でその謎が解けた。
    あれらは全部伏線だったんだね…。
    この2冊はセットで読むのがオススメ。
    『ふたつの星と…』を読了後、行く末を心配していたオッチョコチョイの田中君のその後が分かって本当に良かった。

  • タイトル通りにタイムマシンもの。
    面白く切ない。宇宙ロケット開発を夢見た少年はロケット打上げに初恋の女の子を誘う。ところが彼女は待ち合わせ場所で事故死してしまう。少年は彼女に会うためにタイムマシンを開発するため大学の研究室にいた。
    もっとタイムトラベルを繰り返すのかと思ったらメインはそこではなかった。教授や秘書の夜久くんとの会話が軽快で非常に面白いし、自分のいた世界とのギャップに苦しんだりと精神面でのSFだった。
    オチにも驚いた。何故教授たちが自分の事を世話してくれたのかの理由や自分の運命の人との出逢いがあった。
    良い本だった。

  • 過去を悔やみ、もう一度やり直したいと願う。
    誰しもそんな思いを抱えていきているのではないだろうか。

  • 南の島でいつかロケットを打ち上げる人間になりたいと努力していた男子高校生が、ひとつの事件をきっかけに物理学の分野に進み、タイムトラベルをする・・・というエスエフ的な物語なのだけれど、そんな物語の設定や舞台はさておいて、根底にあるのは人を思い希う強い気持ちで、読んでいてなんとも切なくなる。

    喪うこと、喪ったものは取り返そうとしても決して同じものではないこと、願いを叶えることの代償、さまざまなことを思う。もし自分が同じ岐路に立たされたらどうするだろうか。

    この作品と対になっている短編集「ふたつの星とタイムマシン」を先に読んでいたため、短編のエピソードひとつひとつを答え合わせするように読み進めていった。(短編のほうがスピンオフ的な扱いなのかと思っていたら、こちらの長編のほうが後から刊行されていると知り、驚く)

    二作あわせて読むといっそう楽しめると思う。

  • この本はタイムマシンの存在を知り、今は亡き大切な人のために、タイムトラベルを
    してしまった、青年の話です。
    SF小説の中でも、もしかしたら今、世界のどこかで起こっているかもしれないと
    思うとゾクゾクしてとてもとても面白かったです。
    面白い中にどこか現実味を感じられました。

  • 初読みの作家さん。私が最も手を出さないジャンル、SF。SFというより恋愛?恋愛というより・・・?と、なんともジャンルの区別が難しい本でした。

    物語は、理系男子高校生が、初めての恋をして、その子に想いを伝える前に、その子は待ち合わせの場所で車に轢かれて亡くなってしまう。
    大学生になった理系男子が、タイムマシンで過去に行き、過去を変えようと思うのだが・・・。

    結構ツッコミどころも、理解できないことも多かった作品だが、なんともいい感じの物語。正直、読み終わった今もラストがイマイチ混乱していますf^_^;
    ですが、全体的にもどかしくなったり、考えさせられたり、繋がりに嬉しくなったり、感動したりと、素敵なお話でした。

  • 最初なかなか入って来なかったのですが、いざ読み進めて行ったらめちゃくちゃ面白くて、一気読みでした。
    タイムマシンものって小説では色々あるけど、世界を救うみたいな大げさなテーマじゃなくて恋愛ものでもあるので、とても読みやすかった。
    読み終えた後、もう一度読み返したくなります。

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著者プロフィール

1979年東京都生まれ。2010年『国道沿いのファミレス』で第23回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。13年に『海の見える街』が、14年に『南部芸能事務所』がそれぞれ吉川英治文学新人賞候補となる。ほかの著書に『夏のバスプール』『感情8号線』『罪のあとさき』『タイムマシンでは、行けない明日』『家と庭』『消えない月』『シネマコンプレックス』『大人になったら、』などがある。

「2018年 『水槽の中』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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