タイムマシンでは、行けない明日

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 418
感想 : 62
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087710199

作品紹介・あらすじ

もう一度、君に会いたい──。初恋の少女を救うため、タイムマシンに乗って、過去を変えようと奔走する理系男子。ふたりの運命は変えられるのか。永遠の少年少女におくる、長編SF×恋愛小説。

感想・レビュー・書評

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  • 読んでる間中、悲しさと寂しさが体にまとわりつくように、周りを漂っているような気分だった。

    コミカルな描写や、会話もあるのだけどそれを感じさせない、主人公の平沼先生、長谷川さん、魚住さん、丹羽君のご両親、いろんな登場人物の悲しさが溢れている。

    特に丹羽君のお父さんの気持ちが辛かった。痛いほど気持ちが分かる。お母さんが持たせた草餅も、どんな気持ちで作ったのか想像すると本当に悲しい。

  • Fantastic! Amazing! 数回涙し、ドキドキもしたが本当に素晴らしかった。2003年、種子島で暮らす高1の光二は好きだった長谷川と2人でロケット発射を見に行く約束していたが、長谷川は事故死。光二はみちのく帝国大(かな?)へ進学し、先輩の魚住から「井神教授の作ったタイムマシン」があると聞かされ、9年前に戻って事故を防いで長谷川の命を助けようとする。しかし9年前の自分が事故死していた。話しは複雑だが、井神教授は光二を助けるべく、生前に残したメッセージ。光二のカタルシスがようやく始まる。⑤↑↑

  • 「ふたつの星とタイムマシン」を読んですぐにこちらも。
    人間関係もしっかり頭に入った状態だったので、面白さが倍増した気分。
    変えたい過去があったとしても、タイムマシンを使ってしまったらパラドックスが起こってしまうんだよな…。過去に戻ろうとする光二にハラハラしながら読み進めた。
    前作からの登場人物も綺麗に繋がって、なるほど!と納得。でも、それぞれの気持ちを考えると切ないなぁ。

  • ポプラ並木さん、bmakiさんのおススメ
    SFは私の老化した脳が付いていけないのだけれど
    これは登場人物の内面も深く描かれていて
    時空を飛んでもなんとか(笑)
    設定も面白く夢中になって読んだ

    二人の若い想い
    切ないね

    私は年齢的に丹羽光二の両親の想いが刺さってしまった

    あちらとこちらの世界
    それぞれに懸命に生きている

    ラストにやわらかな光がさしこんだ

    ≪ 初恋が 胸あふれだす 命かけ ≫

  • 佐久間由衣の「本と花」連載のこれまでを振り返り。本の感想を募集中! | VOGUE GIRL
    https://voguegirl.jp/fashion/feature/yui-sakuma_bookandflowers/

    タイムマシンでは、行けない明日/畑野 智美 | 集英社の本 公式
    https://books.shueisha.co.jp/items/contents.html?isbn=978-4-08-771019-9

  • SF連作短編集「ふたつの星とタイムマシン」に登場する、タイムマシンと平沼教授。彼を主役にした連載が一冊にまとまるのを楽しみにしていた。まず、思ったよりボリュームがあるのにびっくり。私が読んだことのある畑野作品はシニカルな表現が印象的だったので、本格的にSFでしかも胸を締め付けるような切ない展開に、戸惑いながらも夢中で読み切った。
    第一章、飄飄として捉えどころのない平沼教授の登場に、懐かしい~と思ったのも束の間、第二章ではロケット発射台のある小島が舞台となり、高校生たちの青春群像の描写が続く(まどろっこしいと思ってしまうが)。ここで登場の丹羽光二君て誰よ?と思いつつも、同級生の長谷川さんとの淡い恋の展開が微笑ましい。そこに訪れる突然の悲劇。
    詳しく説明するとネタバレしてしまいそうなので歯がゆいが、タイムマシンを使うことで起こる時間の歪み…。「因果律」という言葉の意味を嫌と言うほど考えさせられる。辛い過去があれば、それを何とかして変えたいと思うのが人だろう。
    パラレルワールドに迷い込んだことで変えられてしまう人生。様々なうねりの中で全く違ったものになった出来事もあれば、出会いのタイミングは異なれど運命であるかのように引き寄せられる人もあり。一体どう着地するのかハラハラしながら、あまりのやるせなさに時には涙しながらページを捲った。翻弄される主人公だけど、高校時代の悲劇で心を閉ざし気味だった彼が少しずつ変わっていく過程が読みごたえ有り。
    「合理的な人生なんて、何も面白くない。
    わずらわしくて、自分だけではどうすることもできないから、人生は輝く。」
    そんな彼の言葉が印象的だった。
    何気ないエピソードだと思っていたいくつかの出来事は、クライマックスに近づくほどにじわじわ効いてくる。あれもこれも、伏線だったのかと!その伏線の回収の仕方が、お見事。
    本書単体でも十分面白いけど、姉妹編の「ふたつの星とタイムマシン」と合わせて読めば面白さ倍増。こちらに登場する西村さんも物語に絡んでくる。ひと癖あるキャラばかりだが(特にタイムマシンを開発した井神教授)なかなかに味わい深いです。
    シビアな展開部分もあるけれど、自分が置かれた状況で、生きていくということの意味を深く深く考えさせられる作品。「ふたつ…」に続き、今回もキンコン西野氏の表紙イラスト。彼のイラストにしてはシンプルだなと思ったが、むしろそのシンプルさがいい。読了後に改めて見ると色々としみじみします。

  • たぶんSF小説の分類になるんだろうけど
    どこか現実的で、私の苦手なSFとは違う。

    まぁよくある話だなと思って読んでいたら
    途中からはがっつり印象が変わった。

    自分の選んだ道が1番よかったのかなんて
    そんなの誰にもわからないけど、
    どんな場合であれ結局最終的に選んだのは自分。
    未来をどう変えるか決めるのも自分。

  • 高校時代に事故で亡くなってしまった想い人を救うために、タイムマシンに乗って過去へ。
    ロマンチックSF好きにはたまらない設定だが、過去を変えたら当然起きるよねパラドックス。
    過去を変えようとしたせいで未来が変わってしまいどうしようもなくなってしまった男のお話。

    舞台は好みだし、登場人物が個性的で魅力にあふれていておもしろかったのだが、主人公の物語としてはラストのラストで最重要人物が出てきたのが少し物足りなさを感じた。
    彼らがどう関係を紡いでいくのかを見たかった。
    もしくは、主人公が運命や過去に縛られずに自ら分かれ道を選択するところを見たかった。

  • 例えどんな過去を辿ったとしても、どんな未来に進んだとしても、出逢うべき二人は出逢う運命にあるのだろう。
    人と人とが出逢う奇跡について考えさせられた。
    私にもまだ出逢っていない誰かが、この広い宇宙のどこかにいるのかもしれない。

    大切な「あの人」と再び出逢うため「あの日」に戻るため、「彼」も時代をまたにかけ奮闘した。
    ラストに向かって色々な出来事や人が繋がっていく様は、読んでいて気持ちも晴れやかになる。
    今回のタイトルもその意味を考えると…深い。

    『ふたつの星とタイムマシン』の中で消化不良気味な箇所があって、正直ちょっとモヤモヤしていたけれど今回でその謎が解けた。
    あれらは全部伏線だったんだね…。
    この2冊はセットで読むのがオススメ。
    『ふたつの星と…』を読了後、行く末を心配していたオッチョコチョイの田中君のその後が分かって本当に良かった。

  • 初読みの作家さん。私が最も手を出さないジャンル、SF。SFというより恋愛?恋愛というより・・・?と、なんともジャンルの区別が難しい本でした。

    物語は、理系男子高校生が、初めての恋をして、その子に想いを伝える前に、その子は待ち合わせの場所で車に轢かれて亡くなってしまう。
    大学生になった理系男子が、タイムマシンで過去に行き、過去を変えようと思うのだが・・・。

    結構ツッコミどころも、理解できないことも多かった作品だが、なんともいい感じの物語。正直、読み終わった今もラストがイマイチ混乱していますf^_^;
    ですが、全体的にもどかしくなったり、考えさせられたり、繋がりに嬉しくなったり、感動したりと、素敵なお話でした。

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著者プロフィール

1979年東京都生まれ。2010年「国道沿いのファミレス」で第23回小説すばる新人賞を受賞。13年に『海の見える街』、14年に『南部芸能事務所』で吉川英治文学新人賞の候補となる。著書にドラマ化された『感情8号線』、『ふたつの星とタイムマシン』『タイムマシンでは、行けない明日』『消えない月』『神さまを待っている』『大人になったら、』『若葉荘の暮らし』などがある。

「2023年 『トワイライライト』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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