- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087710199
作品紹介・あらすじ
もう一度、君に会いたい──。初恋の少女を救うため、タイムマシンに乗って、過去を変えようと奔走する理系男子。ふたりの運命は変えられるのか。永遠の少年少女におくる、長編SF×恋愛小説。
感想・レビュー・書評
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読んでる間中、悲しさと寂しさが体にまとわりつくように、周りを漂っているような気分だった。
コミカルな描写や、会話もあるのだけどそれを感じさせない、主人公の平沼先生、長谷川さん、魚住さん、丹羽君のご両親、いろんな登場人物の悲しさが溢れている。
特に丹羽君のお父さんの気持ちが辛かった。痛いほど気持ちが分かる。お母さんが持たせた草餅も、どんな気持ちで作ったのか想像すると本当に悲しい。
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「ふたつの星とタイムマシン」を読んですぐにこちらも。
人間関係もしっかり頭に入った状態だったので、面白さが倍増した気分。
変えたい過去があったとしても、タイムマシンを使ってしまったらパラドックスが起こってしまうんだよな…。過去に戻ろうとする光二にハラハラしながら読み進めた。
前作からの登場人物も綺麗に繋がって、なるほど!と納得。でも、それぞれの気持ちを考えると切ないなぁ。 -
佐久間由衣の「本と花」連載のこれまでを振り返り。本の感想を募集中! | VOGUE GIRL
https://voguegirl.jp/fashion/feature/yui-sakuma_bookandflowers/
タイムマシンでは、行けない明日/畑野 智美 | 集英社の本 公式
https://books.shueisha.co.jp/items/contents.html?isbn=978-4-08-771019-9 -
SF連作短編集「ふたつの星とタイムマシン」に登場する、タイムマシンと平沼教授。彼を主役にした連載が一冊にまとまるのを楽しみにしていた。まず、思ったよりボリュームがあるのにびっくり。私が読んだことのある畑野作品はシニカルな表現が印象的だったので、本格的にSFでしかも胸を締め付けるような切ない展開に、戸惑いながらも夢中で読み切った。
第一章、飄飄として捉えどころのない平沼教授の登場に、懐かしい~と思ったのも束の間、第二章ではロケット発射台のある小島が舞台となり、高校生たちの青春群像の描写が続く(まどろっこしいと思ってしまうが)。ここで登場の丹羽光二君て誰よ?と思いつつも、同級生の長谷川さんとの淡い恋の展開が微笑ましい。そこに訪れる突然の悲劇。
詳しく説明するとネタバレしてしまいそうなので歯がゆいが、タイムマシンを使うことで起こる時間の歪み…。「因果律」という言葉の意味を嫌と言うほど考えさせられる。辛い過去があれば、それを何とかして変えたいと思うのが人だろう。
パラレルワールドに迷い込んだことで変えられてしまう人生。様々なうねりの中で全く違ったものになった出来事もあれば、出会いのタイミングは異なれど運命であるかのように引き寄せられる人もあり。一体どう着地するのかハラハラしながら、あまりのやるせなさに時には涙しながらページを捲った。翻弄される主人公だけど、高校時代の悲劇で心を閉ざし気味だった彼が少しずつ変わっていく過程が読みごたえ有り。
「合理的な人生なんて、何も面白くない。
わずらわしくて、自分だけではどうすることもできないから、人生は輝く。」
そんな彼の言葉が印象的だった。
何気ないエピソードだと思っていたいくつかの出来事は、クライマックスに近づくほどにじわじわ効いてくる。あれもこれも、伏線だったのかと!その伏線の回収の仕方が、お見事。
本書単体でも十分面白いけど、姉妹編の「ふたつの星とタイムマシン」と合わせて読めば面白さ倍増。こちらに登場する西村さんも物語に絡んでくる。ひと癖あるキャラばかりだが(特にタイムマシンを開発した井神教授)なかなかに味わい深いです。
シビアな展開部分もあるけれど、自分が置かれた状況で、生きていくということの意味を深く深く考えさせられる作品。「ふたつ…」に続き、今回もキンコン西野氏の表紙イラスト。彼のイラストにしてはシンプルだなと思ったが、むしろそのシンプルさがいい。読了後に改めて見ると色々としみじみします。 -
たぶんSF小説の分類になるんだろうけど
どこか現実的で、私の苦手なSFとは違う。
まぁよくある話だなと思って読んでいたら
途中からはがっつり印象が変わった。
自分の選んだ道が1番よかったのかなんて
そんなの誰にもわからないけど、
どんな場合であれ結局最終的に選んだのは自分。
未来をどう変えるか決めるのも自分。 -
高校時代に事故で亡くなってしまった想い人を救うために、タイムマシンに乗って過去へ。
ロマンチックSF好きにはたまらない設定だが、過去を変えたら当然起きるよねパラドックス。
過去を変えようとしたせいで未来が変わってしまいどうしようもなくなってしまった男のお話。
舞台は好みだし、登場人物が個性的で魅力にあふれていておもしろかったのだが、主人公の物語としてはラストのラストで最重要人物が出てきたのが少し物足りなさを感じた。
彼らがどう関係を紡いでいくのかを見たかった。
もしくは、主人公が運命や過去に縛られずに自ら分かれ道を選択するところを見たかった。 -
初読みの作家さん。私が最も手を出さないジャンル、SF。SFというより恋愛?恋愛というより・・・?と、なんともジャンルの区別が難しい本でした。
物語は、理系男子高校生が、初めての恋をして、その子に想いを伝える前に、その子は待ち合わせの場所で車に轢かれて亡くなってしまう。
大学生になった理系男子が、タイムマシンで過去に行き、過去を変えようと思うのだが・・・。
結構ツッコミどころも、理解できないことも多かった作品だが、なんともいい感じの物語。正直、読み終わった今もラストがイマイチ混乱していますf^_^;
ですが、全体的にもどかしくなったり、考えさせられたり、繋がりに嬉しくなったり、感動したりと、素敵なお話でした。