- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087710236
作品紹介・あらすじ
2015年の小説すばる新人賞作家による、注目の受賞後第一作。サメを飼うことを人生の目標にしているキャバクラ嬢の物語など、痛快な毒気を含んだ大胆不敵な物語センスが炸裂する、全6編の短編集。
感想・レビュー・書評
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独創的な発想で描く,不完全な人間が心の拠所を求める短編集。
1.希死念慮2.義手3.明晰夢
4.夢の絵探し5.人をペンで刺す
6.ブラックチップシャークに救い求め詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人が持つ夢、人が見る夢、人を侵食していく夢、人を呑み込む夢。そしてサメの話。
現実に即しているようでほんの少し浮かんでいる、それは現実との反発からの浮遊感に思えた。【虫の眠り】の人の善悪を図りきれない人間一人ずつにそれぞれの見ている生きている世界がある、だから導く答えは意味をなさないという感じがとても好きだった。
サメがいればまっとうに生きていける気がする、というのはよく分かる。
最初のお話はちょっと押し切られるような印象だったからあまり好きではなかったけれど、お話が積み重なったいくうちに面白さが増していく不思議な短編集だった。
違うんだけど、印象の中だけなら阿刀田さんみたいだった。 -
初めて読む作家さんです。
“夢”という言葉にも様々な捉え方があるなぁ……とこの短編集を通じて思いました。
最近そういう単語1つでも様々な捉え方が出来る作品に出会う機会が多く、嬉しい限りです(◍•ᴗ•◍)
短編集ですが、最後の2話のみ繋がりがあるお話で、やはりその2話の印象がかなり強い。
ラストはすごーーーく寂しくて切ない気持ちになりました。
今度から水族館に行くことがあれば、この作品を思い出してサメを見る目が変わること間違いなしです。 -
シーマンじゃないぞ!サメだぞ!
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最後の話が好きだった
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とぼけてて、でもすごく真摯で、著者の描く世界がとてもすき。
いやな陶酔を感じさせない隔離されてる感。
希死念慮にんげんだから、「さて、私は死にたい。」という文頭から速攻で惹き込まれた。
そのあとも着地するまでの基本スタンスがだいすきだけど、はじめっから、「さて、」である。すてき。
でも結末まで読んですきだったのは、絵描きの話とサメの話かなー
公式紹介に「痛快な毒気」とあって、……、、、わからん!あああ理解力!
いじめられっこがボールペンでクラスメイトを刺す話はあれだけど、他の六編はむしろ、思うようにいかない中で真っ直ぐに向き合っている気がする。
もがいている彼らを見て、攻撃してすっきりしよう、みたいな意図は感じない。 -
「夢をみる」というテーマを主軸に展開している作品。夢をみるといっても千差万別でそういう捕らえ方もあるのかと、素直に驚いた。さまざまな人間の望みが「夢をみる」という形で描写されていた。中には夢に取り込まれてしまって、大変な事になってしまった話もあったが概ねハッピーエンド。すべてがすっきり解決したわけではないけれど、それでも明るい方向へ向っていると思った。文章は難しくなく、かといって軽い感じでも無く丁度いい感じ。
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タイトルにひかれたんだけれど、ふしぎな話だった。ちょっと苦手な文体。
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サメを買った話と最初の病棟の話以外は
あまり印象に残りませんでした -
気にいる短編と合わない短編の差が激しかったです。
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人の欲望と夢
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短編集。
絵を描くときのひとつひとつの筆が重い、と感じる。ひと動作。ひとつの心の動き。景色。それらの存在感がヤバイ。短編なのに短編を読んだ気がしない。日常の一遍を切り取り、活け作りのように切り取られたひとが気づかないまま生きていくような感じ。 -
たしか住野よる氏がTwitterでつぶやいていて興味を持った本。
図書館にて借りる。
いやあコレは好きなヤツ。
かなり好き。
三崎亜記の作品に近い傾向がある気がする。
どれも非常によかったが、サメの2編がかなり好きである。
サメは本当にサメなのか?
それとも幻覚なのか?
人間の見たサメの夢なのか?
はたまたサメが見た人間の夢なのか?
夢と現実の境目がわからなくなる。
こういうジャンルの作品であるならば今後もこの作者の作品は追っていきたい。
いやあホントよい作品だった。
好き。 -
2017.10.26読了
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誰しもが、問題というか、大なり小なりの欠陥を抱えている現実を、夢に夢見てなんとか生きているというリアルさが心にすっと入ってきて惹かれた。
個人的には「ラスト・デイ」と「彼女の中の絵」が好きです。 -
自殺願望がある女性が
ようやく自殺するかと
思いきや
死にたい気持ちを殺す という展開に
目を見張りました
白昼夢というか
ぼんやりと 魚を眺めているときに
想像する世界のようで
不思議な 短編集でした -
全体を通して虚実入り乱れた感じが面白い。
ただ、帯にあった「痛快な毒気をはらんだ物語センス」の一文に期待して、どれほどのものかと読み始めたものの……その方面はそれほどでもない、ような。
むしろ大人しめの「彼女の中の絵」が一番好きかな。