- Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087710281
作品紹介・あらすじ
崇高なまでに昇華した下ネタ、導入から想像もつかない結末。孤高の異才が放つ、マニア垂涎の未発表作品を含む、計四篇の短篇集。読者の予想の遥か斜め上を行く、古栗ワールド。のっけから飛ばします。
感想・レビュー・書評
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情景描写が良すぎる。
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短編4作収録。
「虹色ノート」
「人間性の宝石 茂林健二郎」
「泡沫の遺伝子」
「生成不純文学」
自己啓発書『危険の感覚』の著者、茂林健二郎の思想や経歴を描いた「人間性の宝石~」が特に面白い。(『人間界の諸相』の中心人物、菱野時江も少しだけ登場する) -
全ての短編においてクセが強い。突拍子もなく、くだらないのに、読みやすく情景が浮かぶ。文章がうまいってこういうこと?読み終わってから暫く経っても脳にこびりついている。
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表題作を含む4篇の短編小説集。圧巻は「虹色ノート」。グロテスクで下品とも言えるテーマを何気ない日常と同化させることで浮かび上がる変態性。導入部から急に話者が変わる手法はテレビのザッピングのようだ。「生成不純文学」は反復変容していく関係性が面白い。
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短編集 理屈っぽくて、スカトロで下品 「生成不純文学」だけは悪くないが、筒井康隆のようで斬新さはない
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ばかばかしいっちゃあばかばかしい。
いい年して恥ずかしいという気持ちもあるけど、この日本語の感じ好き。 -
カリスマ的人気の某お笑い芸人が、「笑いとは裏切りである」というようなことを過去に言っていたのを目にしたことがある。
お決まりのパターン、予想されうる文脈から如何に逸脱するか。どれだけ鮮やかに裏切るか、ということが大事なのだ、と。
まあ裏切られるも何も、端から木下古栗のことは何も信用していないのだけれど。 -
「生物、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え」を知りたければ、『銀河ヒッチハイク・ガイド』を読めば良い。「文学とは何か?」という疑問には本作を読めば良い。
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短編集。不条理とナンセンスのオンパレード。筒井康隆好きなら本書は大好きなはず。
1本目の「虹色ノート」からして、展開のすごさに心もってかれました。すごい作品と出会えたことに感謝。著者の過去の作品も読んでみることにします。 -
生成不純文学 木下古栗著 ナンセンスで知的な短編集
2017/3/25付日本経済新聞 朝刊
文学の世界には時々、とっぴな作風で読み手をびっくりさせる作家が登場するが、本書の著者もそんな一人。奇妙な味わいと、後を引く面白さで文学界が注目する異端の作家の4短編を収めた作品集だ。
表題作は、文壇の大家である作家の家を編集者が訪問し、そこで交わされる文学談義がテーマ……と書くと普通だが、話し合いの途中で唐突に起きる理解不能で暴力的な出来事に、読者はあっけに取られるだろう。これは現実なのか、はたまた登場人物の妄想なのか。虚実皮膜の語り口でけむに巻かれ、読後感はただただ「困惑」の二文字。
公園で出会った男に毎週、食材を一色に統一した弁当を食べさせる実験の記録をつづる「虹色ノート」。治安の悪い発展途上国で長年働いた経験に基づき、珍妙な自己啓発論を説く男の物語「人間性の宝石 茂林健二郎」。コンビニのゴミ箱に家庭ゴミを捨てる方法をめぐる考察「泡沫(ほうまつ)の遺伝子」。いずれ劣らぬ怪作ばかりだ。
ときおり品の悪いモチーフが出てくるが、文体はあくまで端正かつ緻密というアンバランスがまたおかしい。衒学(げんがく)趣味もちりばめ、ばかばかしさとナンセンスの中に知のたくらみが隠れているから一筋縄ではいかない。斬新というにはあまりに異色の作品世界が展開する。(集英社・1500円)
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