意識のリボン

著者 : 綿矢りさ
  • 集英社 (2017年12月5日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087711288

作品紹介

母親を亡くした二十代の「私」は、「絶対に長生きするからね」と父に誓ったのに、交通事故に遭ってしまう。激痛の嵐の中、目を開けると二メートルほど下に自分の身体を見下ろしていて……(「意識のリボン」)。
表題作ほか、姉妹、妻、母親――様々な女たちの視線から世界を切り取り、 人生を肯定するあたたかさを感じさせる、全八編の短編集。

意識のリボンの感想・レビュー・書評

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  • 小説の「毒」と女芸人のあるあるネタの「毒」とは違うと思う。この短編集はどれも「あるある」寄りで、私が綿矢さんの「小説」に(勝手に)求めている毒は感じられなかった。そこが残念。例えば眼科の検診で覗かされる一本道の向こうに見える気球。あれがここぞってところで比喩に使われるのだけれども、いかにも「あるある」として共感を呼びそうではあるものの、既視感は否めず、ちょっと安易な印象を(これまた勝手に)受けてしまった。また、あるあるな心象をストレートすぎる表現でこれでもかと重ね、詰め込まれているあまり、文章が硬く詰まって、読んでいてちょっと息苦しかった。エッセイとかなら別だけど、小説としてのあそびがないというのかな。『履歴の無い妹』の海外の短篇とかにありそうな、ちょっとうすら寒い感じは好きだ。表題作の臨死体験を描いた『意識のリボン』もさすが。いや、ほんとに死にかけて生き返ったら、こんな境地になれるのかもしれない。「お前が憎い!もっと苦しみを味わえ!」って憤怒の塊が現世に押し戻そうとするところはすごくリアルで恐ろしかった。死より現世のほうが苦しそうだもんね。というわけで、綿矢さんへの偏愛ゆえにいろいろ物足りなく感じつつも、最後まで読んでみれば、30代になった綿矢さんが切実な思いを試行錯誤しつつストレートに表現しているんだなあということがひしひしと伝わってきたし、自分よりずっと若い綿矢さんのそんな思い、そんな作品が、私自身の閉そく感にそっと手をさしのべて、ふわっと一瞬楽にしてくれたのは紛れもない事実。次か、次の次くらいにまた『私をくいとめて』級の傑作(あくまで私にとっての)が来るって信じてる!!  (そうだ、ネットの読書記録に無責任に☆つけて悦に入ってる読者に毒づくくだりには、ドキッとしてしまった。ごめんなさい…)

  • 2018/02/21読了

  • 最初、エッセイを読んでいると思っていました。よくある日常ネタでなるほど、そういう風に考える人がいるなぁ、と思っていました。が、姉妹の話でグニャリと歪んだ内容に違和感を覚えました。これはエッセイなのだろうか?と。次の短編でやっとこれは小説なんだ、と。この巧妙な短編の組み立て方が凄く素晴らしかったです。

  • うーん… 短編によっては読まされたり、メタに走ってひやっとさせられたりしたが、色んなところに書いたものが集められておりなんとも。

  • いろんな鬱憤を撒き散らしたあとの表題作「意識のリボン」とてもよい。臨死体験を経て人生観が一変する、という単純な話......なのだけど、あっちの世界の眺めや意識の流れがつぶさに語られていて、VRのような臨場感で心が洗われる、ようだ。昏睡中には自分の名前が思い出せないから「呼んで」だとか、一線を踏み越えた感のある描写にはなんだかドキドキした。
    全編読めばデトックス効果が期待できる?(岩盤浴もいいけど。)

  • 様々なシチュエーションでの女性の視線から見える世界を描いた短編集。
    1作1作に重みはないけれど、ちょっとしたフレーズに共感出来る作品。
    一番のお気に入りは「怒りの漂白剤」。自分もこの作品の主人公のように感情をコントロール出来ない時期があって、それを過ぎて、妥協出来るような人間になったんだなぁ、と物凄く共感。
    短い作品の中に考えさせられる部分も多く、「絶対読みたい!」と言う作品ではないけど、「読んで良かった」と思える作品。

  • 色々な女性の心の揺れを作者独特の表現で作られた短編集。たまにエッセイか?と思う短編もあったり、作者自身の声なのかなと思わせるものがあったり。いつもより実験的な作品が多い感じがした。

  • 私の本当の履歴とは、死に際に見る走馬灯とは、なんだろう

  • 淡々と粛々とという感じ。あまりのめりこめず、返却期限もあったので途中にて読了。

  • 新刊が出ると必ず買う作家の一人、綿矢りさ。女の抱える黒さを明け透けなく書いてくれるところが好きだ。あと、綿矢作品は総じて装丁が美しい。今回の装丁は私が大好きな鈴木久美さん。
    20代半ばまでは女性作家よりも男性作家を好んで読んでいたのだけど、30前後になってからは女性作家の作品を多く読むようになってきた。特に、自分より少し年上の女性作家の作品を好むようになってきた気がする。
    知らない人の話に耳をそばだてては、妄想をめぐらしたり、噂話に振り回されたり、こたつの中で自堕落な生活を送ったり、怒りと言う感情についての短編だったり……リアルな女の、すぐとなりにありそうな世界観がたまらなく好きだ。
    夢見る年頃を過ぎた女には、現実感があって、少し屈折した話がきっと合うのだろう、と感じる。
    ページ数は多くないが、読後感は大変満足。

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