意識のリボン

著者 : 綿矢りさ
  • 集英社 (2017年12月5日発売)
2.94
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087711288

作品紹介・あらすじ

母親を亡くした二十代の「私」は、「絶対に長生きするからね」と父に誓ったのに、交通事故に遭ってしまう。激痛の嵐の中、目を開けると二メートルほど下に自分の身体を見下ろしていて……(「意識のリボン」)。
表題作ほか、姉妹、妻、母親――様々な女たちの視線から世界を切り取り、 人生を肯定するあたたかさを感じさせる、全八編の短編集。

意識のリボンの感想・レビュー・書評

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  • 初出 2014〜17年の「新潮」、「文學界」、「すばる」、「小説トリッパー」

    8作の短編集だが、その半ばは「こたつのUFO」の冒頭の文章がなければエッセイあるいは私小説かと思う作品。

    「怒りの漂白剤」は私自身が怒りをエネルギーにして生きていた時期があったので、怒りの心理を掘り下げている描写に「そうそう」と思わず苦笑いしてしまう。

    作者独特の、外へより自分の内側へ深く鋭く向けられる視線から生まれる物語は、共感する人が多いのだろうが、心を揺さぶられたい私には今ひとつ物足りない。

  • 2018.4.15
    女性の短編

  • 最後の2つがとくに心に残った。
    かきたてられる恐怖の意識が引き起こす事件。集団心理の持つ恐ろしさを感じた。震災の時も似たようなことがあったなと思い出した。

  • 綿矢りさがこんなグチャングチャンでドロドロで私小説風な作品を!
    と驚いてみたものの、よく考えてみれば外見に似合わずそんなもの書く人ではあった。
    しかし特にこの短編集では脳内ダダモレ的な文体が暴走してただならぬ事態になっている。

  • 【こたつのUFO】
    『永遠の若さよ、我が手に! どうしたらいいの、どうしたら手に入るの、京都民らしくお膝元のわかさ生活の作るブルブルブルブルアイアイブルーベリーアイのサプリでも飲んめばいいの。』

    「人間トハ、ドウイウ生キ物デスカ」
    「男と女がいますね。ちなみに私は女です」
    「オンナトハ、ドウイウ生キ物デスカ」
    「女は…他人の噂話が好きですね」
    「ウワサバナシ」

    「というのも、女は同調意識が発達してるんです。不幸も、周りの人たちがほとんど不幸だったら、大体受け入れられます。逆に周りが不幸で自分だけ飛び抜けて幸福なら、きまりが悪くなって幸福の質を落としてしまうくらい、周りをうかがう性質なのです。女は一生、自分にとっての本当の幸福なんか分からずに生きていく生き物です」

    『宇宙人に、人間についての偏見を叩き込むのは、なんて楽しい作業だろう。人間を知らない宇宙人は「一概には言えないでしょ」とか「極端すぎるでしょ」「あなたの偏見でしょ」などと反論してこない。黙って空中に私の言葉を書き連ねている。細長い銀色の三本の指で、見たことのない指揮棒ような筆記用具を操りながら。』

    「オトコトハ、ドウイウ生キ物デスカ」
    「男は…、おっぱいが好きですね」
    「オッパイ」

    『知らないふりを決め込めば、簡単にやり過ごせる他人の心の機微や傷つきに、立ち止まる勇気がなくなってから、もうずいぶん経つけど、走った距離の分だけ心の空白は大きい。』

    『今は炬燵がmy基地だけど、いつかUFOが迎えに来たら、迷いなく乗り込めるほど身軽に生きたい。何十年生きても、老いた証拠は身体にだけ残して、心は颯爽と、つぎの宇宙へ、べつの銀河へ。可能性はいつだって、外ではなく自分の内側に埋まっている。』

    【履歴の無い妹】
    「"本物の" "生の"写真なんて、私はいらない。嘘っぱちでもいいから、笑顔でピースしてる写真さえあればいい。人生で残しておく思い出は、安心で、たいくつな方がいい」

    【怒りの漂白剤】
    『『自虐の詩』という漫画は、生まれた時から苦労続きの主人公、幸江さんが色々あって心の成長を経て、「幸や不幸はもういい どうらにも等しく価値がある 人生は明らかに 意味がある」と感じる場面で終わるのだが、なんだかすごく感動した。』

    【意識のリボン】
    『私はかつて、月の香りをかいだ。ゆこうと思えば、いつでも、彼方へ。私は呼び続ける、愛しい人の名前を。身体が滅びても、時を超えて、いつの時代へも。』

  • +++
    少女も、妻も、母親も。
    女たちはみんな、このままならない世界をひたむきに生きている。

    迷いながら、揺れながら、不器用に生きる女性たち。
    綿矢りさが愛を込めて描く、八編の物語。
    +++
    表題作のほか、「こたつのUFO] 「ベッドの上の手紙」 「履歴のない女」 「怒りの漂白剤」 「声の無い誰か」
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    エッセイなのか小説なのか、一読判断がつかないようなテイストの物語たちである。作家の葛藤のようなものも書かれているが、それも著者の胸の裡とは限らない。だからこその小説の愉しみだとも言える。その辺りにあれこれ想像をめぐらすのもまた愉しい。本作に描かれている女性たちの生き方は、一般的なものとは思えないが、彼女たちの生きづらさはよく伝わってくる。なかなか興味深い一冊ではある。

  • 普段とりとめもなく
    ぐじゅぐじゅ頭の中駆け巡る考えや思いを
    こんなにしっくりとくる文章にしてくれて
    ありがとう!と言いたい。

    どの短編も、分かる、分かるぅ~の連発。
    いやぁ、かゆいところに手が届くって感じ。

    表題作の「意識のリボン」の
    『ひかり』という表現には
    なんだかすっごく救われた。
    この一冊は、また読み返したい。

  • 建前と欺瞞渦巻く世の中にあって提示されたものをそのまま鵜呑みにするのはあまりに愚か。大人であれば、これまで歩んできた経験を活かして裏道を行くのもあり。他方、見えない分からない出来事まで邪推していると、選択肢を狭めることにもなる。色々と疑いたいのを一旦こらえて細かい文句をつけずに勇気をもって受け入れてみるのも大人だからこそできる素直さ。肩の力をすっと抜いて、世の中の身近な平和を喜びながら、色んな物を見て聞いて、できる限りたくさんの経験をする。すいすいと歩いていく。これが大人の賢明な生き方。

  • 不思議な世界感の短編集。

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