意識のリボン

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 499
レビュー : 53
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087711288

作品紹介・あらすじ

母親を亡くした二十代の「私」は、「絶対に長生きするからね」と父に誓ったのに、交通事故に遭ってしまう。激痛の嵐の中、目を開けると二メートルほど下に自分の身体を見下ろしていて……(「意識のリボン」)。
表題作ほか、姉妹、妻、母親――様々な女たちの視線から世界を切り取り、 人生を肯定するあたたかさを感じさせる、全八編の短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 最後が特に良かった。小説なのかエッセイなのか分からない、不思議な短編集でした(作者もそこは明らかにしていない)。

    「勝手にふるえてろ」に収載されている「仲良くしようか」に少し近い、スピリチュアルな夢を見ているようなふわふわした不思議な感覚になれる本だなと思いました。
    表題作の「意識のリボン」は生から死、天国から地獄までまるっと全て体験した気になってしまうお話で、家族とか生きる意味とか色々考えて、図書館で泣いてしまいそうに……

    そして「怒りの漂白剤」は本当にあればいいのになぁって思う。自分含めて各自洗濯するべきだろう。

    図書館で借りた本だけど、いつか手元に持っておきたい、そんな1冊になりました。

  • 建前と欺瞞渦巻く世の中にあって提示されたものをそのまま鵜呑みにするのはあまりに愚か。大人であれば、これまで歩んできた経験を活かして裏道を行くのもあり。他方、見えない分からない出来事まで邪推していると、選択肢を狭めることにもなる。色々と疑いたいのを一旦こらえて細かい文句をつけずに勇気をもって受け入れてみるのも大人だからこそできる素直さ。肩の力をすっと抜いて、世の中の身近な平和を喜びながら、色んな物を見て聞いて、できる限りたくさんの経験をする。すいすいと歩いていく。これが大人の賢明な生き方。

  • 小説の「毒」と女芸人のあるあるネタの「毒」とは違うと思う。この短編集はどれも「あるある」寄りで、私が綿矢さんの「小説」に(勝手に)求めている毒は感じられなかった。そこが残念。例えば眼科の検診で覗かされる一本道の向こうに見える気球。あれがここぞってところで比喩に使われるのだけれども、いかにも「あるある」として共感を呼びそうではあるものの、既視感は否めず、ちょっと安易な印象を(これまた勝手に)受けてしまった。また、あるあるな心象をストレートすぎる表現でこれでもかと重ね、詰め込まれているあまり、文章が硬く詰まって、読んでいてちょっと息苦しかった。エッセイとかなら別だけど、小説としてのあそびがないというのかな。『履歴の無い妹』の海外の短篇とかにありそうな、ちょっとうすら寒い感じは好きだ。表題作の臨死体験を描いた『意識のリボン』もさすが。いや、ほんとに死にかけて生き返ったら、こんな境地になれるのかもしれない。「お前が憎い!もっと苦しみを味わえ!」って憤怒の塊が現世に押し戻そうとするところはすごくリアルで恐ろしかった。死より現世のほうが苦しそうだもんね。というわけで、綿矢さんへの偏愛ゆえにいろいろ物足りなく感じつつも、最後まで読んでみれば、30代になった綿矢さんが切実な思いを試行錯誤しつつストレートに表現しているんだなあということがひしひしと伝わってきたし、自分よりずっと若い綿矢さんのそんな思い、そんな作品が、私自身の閉そく感にそっと手をさしのべて、ふわっと一瞬楽にしてくれたのは紛れもない事実。次か、次の次くらいにまた『私をくいとめて』級の傑作(あくまで私にとっての)が来るって信じてる!!  (そうだ、ネットの読書記録に無責任に☆つけて悦に入ってる読者に毒づくくだりには、ドキッとしてしまった。ごめんなさい…)

  • 比喩表現が多彩で読んでいてとても楽しく、でもそこで描かれるのは30代前後のちょうど悩みの深い世代の女性たちで、くすっと笑ったり、ちょっと昔の自分を思い出して胸が痛くなったりしながら読んだ。
    家族も含めた他人とどう交わりながら生きるか、はっきりとした正解はない中で、自分なりの答えを探さないといけない。
    それって実はかなり大変なことだよなぁと改めて思った。

  • 短編集。
    各作品の自分の面白かった、つまらなかったの振れ幅が大きい。物語性の少ない独白が長く続くモノは苦手でした。

  • 初めて綿矢りさの作品を読んだが良かった。他の著書も読みたいと思った。

  • 時間は有限だ。体力も気力も野望も十分にあってこそ挑戦できる、意識のない時間はもっと贅沢だ。寝るのも大切。

  • 初出 2014〜17年の「新潮」、「文學界」、「すばる」、「小説トリッパー」

    8作の短編集だが、その半ばは「こたつのUFO」の冒頭の文章がなければエッセイあるいは私小説かと思う作品。

    「怒りの漂白剤」は私自身が怒りをエネルギーにして生きていた時期があったので、怒りの心理を掘り下げている描写に「そうそう」と思わず苦笑いしてしまう。

    作者独特の、外へより自分の内側へ深く鋭く向けられる視線から生まれる物語は、共感する人が多いのだろうが、心を揺さぶられたい私には今ひとつ物足りない。

  • 最後の2つがとくに心に残った。
    かきたてられる恐怖の意識が引き起こす事件。集団心理の持つ恐ろしさを感じた。震災の時も似たようなことがあったなと思い出した。

  • 不思議な世界感の短編集。

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著者プロフィール

1984年京都府生まれ。2001年『インストール』で文藝賞を受賞して作家デビュー。04年『蹴りたい背中』で芥川賞、12年『かわいそうだね?』で大江健三郎賞を受賞。ほかの作品に『夢を与える』『勝手にふるえてろ』『ひらいて』『しょうがの味は熱い』『憤死』『大地のゲーム』『手のひらの京』などがある。

「2018年 『100万分の1回のねこ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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