- 集英社 (2018年7月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784087711448
作品紹介・あらすじ
時田翼32歳、農協勤務。大酒呑みで不機嫌な父と二人暮らしで、趣味は休日の菓子作り。そんな翼の日常が、庭に現れた柚子泥棒との遭遇で動き出す──。人生が愛おしくなる、大人たちの「成長」小説。
感想・レビュー・書評
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1.感想
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人の在り方について、考えさせられる一冊でした。
昭和の田舎のおっさんや、家庭のために生きてきた女性が登場してきますが、ほんとに実在するような人ばかりで、その人生について考えました。
あまり、タイトルと、お話のつながりは感じませんでしたが、毎回涙する人は登場してきます。ただ、読んでいて泣くというよりは、考えさせられるお話だったと思います。
恋愛のお話もあって、ちょっと微笑ましいストーリーも含まれています。なかなか、いい感じです。
私の父は、酒は飲まない寡黙な人でした。家事もするし、料理もする人だったので、お話に登場するような父親とは全く違って、自分にとっては、よい親に恵まれたなと思っています。親の影響が大きいことはよくわかっていますので、1人の人として、こんな人生もあるよ、というのを、子供たちに見せて行くことができればよいだろうなぁと思ってます。そんなことを考えさせられる作品でした。
主人公の翼は、なかなかにかっこいいです。その翼の言葉は、心に響くものばかりでした。
「俺たちはたぶん目の前に現れるものにひとつずつ対処しながら、一歩踏み出す方向を決めるしかないのだろう。いちいち悩んだり、まごついたりしながら。」
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2.あらすじ
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それぞれの登場人物がお話の主人公として展開していきます。それぞれがいろんな回にすこしずつ登場します。
翼→レモン→鉄也→広海→貴美恵→義孝→正雄
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3.主な登場人物
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時田翼 弱々しい、お菓子作り趣味
時田正雄 父、78歳
時田広海 母、離婚
田中絹江 80歳、ご近所さん
小柳木綿子 ゆうこ、絹江娘
小柳レモン ヘルパー、木綿子娘
時田鉄也 鉄腕、友達、パワフル
木原玲子 鉄也彼女
時田義孝 よしたか、鉄也父
千夜子
幹子 みっこ、翼の昔の彼女
【耳中市農業協同組合】
飯盛春馬 後輩、軽い、お調子者
平野貴美恵 まじめ、声小さい
原田亜衣 平野同期、飯盛と結婚
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登場人物1人ずつ掘り下げていくストーリーで、それぞれが直面する問題にそれ分かる!と思わず共感できるストーリーでした。
そして、とても読みやすくて最後まですらすら読むことができました。 -
登場人物が一人一人が愛しくなるほど魅力的な物語。
ブクログのKazu さんの感想にも全く同じセリフが取り上げられていて二番煎じになるのですが、
会社の忘年会で投げ掛けられた言葉
「隙のない女は、もてないよ?」
に対して玲子が返したセリフ
「女の隙につけこむような男を、私は好きになりませんから。そういう人からもてなくても平気なんです」
痺れた。。。ほんと、かっこいい。暫く読み進めるのを忘れてました。 -
いいなぁ
寺地はるなさんの柔らかなメッセージが心地いい
先の先を考えすぎて今大切なものを見失っていませんか
大切なことは今の気持ちをきちんと相手に伝えること
きっとそこがスタートになること
そして爽やか恋愛小説の一面もあって、かなり好きめな一冊でした
それにしても★5が続くとちょっと心配になっちゃうよね
あれ、自分大丈夫?って
何でもかんでも★5、★5ってちょっとズレてる?って
…
大丈夫じゃないことあるかぁ!
最近はこのゆるゆるな評価基準で良かったな〜って思うようにしてます
だって人よりたくさん名作に出会えるってことだもんね
やった! -
ブクログでフォローさせてもらっている多くの方が読まれており、皆さん高(好)評価なので1年以上前から読みたいと思っていました。
タイトルの「大人は泣かないと思っていた」も、ジャケットの爽やかな感じも好きです。
読まずに本棚に飾っておくだけで満足しちゃいそうです。
7編の中では平野さんの目線で語られる「妥当じゃない」が良かった。
個人的に平野さんのようなタイプが好きだからかな(^^;)
改めてジャケットを見返すと、浜辺を歩く二人はこの話に出てくる翼と小柳さんなのですね。
全編に渡り、友情、恋愛、家族、世間体に関する気持ちがサラッと語られていました。
人の生き方はそれぞれですから、いろんな考え方があるし、思っていても敢えて口にしないことも多いでしょう。
「隙の無い女は、もてないよ?」と言われた玲子さんの返しには思わず私もしびれました。
「女の隙につけこむような男を私は好きになりませんから。そういう人からもてなくても平気なんです。」
いまだに日本は男尊女卑から抜け出せていないので、こんな男のセリフが頻繁に聞こえてきますし、現実の社会ではこうはっきりとは言い返しにくいですよね。
自分勝手な行動をとってしまう人も出てくるけれど、本質は皆優しい人達ばかりだったので感情移入しやすかったです。
皆さんの高評価には納得です。-
Kazuさん、こんばんは。
この台詞、私もしびれました。「なんてかっこいいんだ!」としばらく読み進めるのを忘れてました。Kazuさん、こんばんは。
この台詞、私もしびれました。「なんてかっこいいんだ!」としばらく読み進めるのを忘れてました。2021/03/29 -
raindropsさん、コメントありがとうございます。
多くの人がこの場面でスカッとしたでしょうね。raindropsさん、コメントありがとうございます。
多くの人がこの場面でスカッとしたでしょうね。2021/03/30
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ブクログのレビューで知って、タイトルが心にひっかかっていた本。
僕は子どもの頃泣き虫で、それこそ毎日泣いていて、大人になるまでに泣くのをやめられるのか心配だった。
大人は泣かないと僕も思っていた。
大人も泣かないことないけど、子どもほどは簡単に泣けなくなる。それは間違いない。
でも、泣いてもいいんだな、たまには子どもみたいに泣いてみたいな、とこの本を読んで思った。
周囲から押しつけられた「あるべき」姿になれない、あるいは留まることができない大人たちの物語。もがき苦しみながら、救われていく様を描く。
翼がいい人だな、大好きだなこの人。
鉄腕も最高。「翼が無いなら跳ぶまでだ」なんてかっこよすぎて、不覚にも目が潤む。
あまり期待しないで読み始めたのだけど、読み進めていくほどに話にのめり込んでいった。めちゃくちゃ面白かった!ほのかな名作だと思う。
他の人のレビュー読んでて「なるほど!」って気づいたのだが、どんな登場人物に対しても優しいんだよね。だからこそ、様々な思いが心の中に積み重なっていく。心がほかほかあったかくなってくる。
寺地はるなさんの本、初めて読んだけど、かなり好きです。他の本も読んでみたい。
そして、「お酌警察は廃止すべき」に僕も賛成。お酌しない飲み会をさっそく明日から実行しよう。酒なんか、飲みたい人が勝手に飲めばいいんだよ。-
2019/11/28
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2019/11/29
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図書館で借りました。
寺地はるなさんの作品はいくつか読んできましたが、相性の良くないものもありました。
でも、この作品は良かったです。
時田翼 32歳 農業協同組合の職員
彼を中心に語られます。
人生が愛おしくなる、魔法のような物語。
と帯にはあります。が、ちょっと分かりませんでした。
でも、大人の成長物語と紹介文にはあって、
なるほどな〜と思いました。
日常の中での鬱々とした気持ちが描かれていて、それらとどうにかして向き合い、一歩踏み出して行く様子がとても良く描かれていました。
腹の立つ登場人物がいたり、女性ならではの共感の出来る所があったりしました。また、文章が優しいので、穏やかに読み進めることが出来ました。
何より中心人物の時田翼くんが良かったです。
自身を護る術というか自分の軸がしっかりあるように見えて、私も迷うことがあればしっかりと自分と向き合って自分を大切にしていこうと思いました。 -
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たまたま目にした書名がとても気になって読んだ作品でした。
なんだか読みづらい文章、違和感のある主人公・翼、そして極めて閉鎖的な田舎が舞台ということで気乗りのしない読み始めでしたが、『母は姫路城に似ている。あるいはノートルダム大聖堂に似ている。』というかっ飛んだ表現に えっ?となり、『俺は、お酌警察を壊滅させたい』という翼の考えに激しく同意してしまった瞬間、この作品に入り込んでいました。
物語は、7つの連作短編集という構成ですが、最初と最後の章が翼視点で、他は他の登場人物視点で進んでいくという作りです。それぞれの予想外の内面が垣間見えて興味深いのですが、<おれは外套を脱げない>が良かった。最初、これが誰の視点か全く分からず、あんた誰?という感じでした。全く予想外の人物からの視点。こういった構成の作品は他にもたくさんありますが、こんな位置の人物を視点にするのはとても面白いと思いました。そして、この章を機に作品は何だか深みを纏っていき、翼視点の最終章へ進みます。
『なにもかもうまくいく場所などどこにもない。どの場所で咲くことを選んでも、良いことと悪いことの総量は同じなのかもしれない。生まれてから死ぬまでの時間で均してみれば。』、濃厚で息苦しくなるような田舎での人生であっても、希薄で時に人恋しくなるような都会で人生を送っても、それぞれの人生の中に喜びと悲しみがある。その両方で、もしくはそのどちらでもなくても泣きたくなることがある。大人だって泣きたい時もある。泣いてしまう時もある。
大きな事件もなく淡々とした人の暮らしを描いたこの作品。だからこそエンディングで翼が肩の荷を下ろした瞬間の光景にじわっと暖かくなるものを感じました。
「大人は泣かないと思っていた」何だか心にふっとくるものを感じた作品でした。 -
読み終わったあとに、著者のプロフィールを見る。1977年生まれ。現在43歳か。会社勤めと主婦業のかたわら小説を書き始め、2014年ポプラ社小説新人賞でデビュー、この本が7冊目。1年に1〜2冊の割合だな。書くのが好きなんだなと思う。ライトノベルの流行を受けて描写はやさしい。映画のように場面の切り取りには、かなり神経を使っている。
「大人は泣かないと思っていた」いい題名だと思う。人生の何処かで、誰もがそのことに気がつく。読む前の予測は15歳ぐらいの少年の話かと思っていたが、21歳とかなり遅い。しかも時系列では物語が始まる11年ほど前になる。よって、青春モノではない。片田舎の住人の、穏やかな日常と、それなりの人生の転機を描く。
いろんな年齢層の人物の視点から紡がれる約1年間の連作短編集になっていて、主人公の青年視点は1番最初と最後に置かれる。でもやはり、30代の人物像が1番生き生きしている。青年が幸せになればいいなと思う。そうなんだよ、大人は案外泣き虫なんだよ。
2019年5月28日読了
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いろんな家族の有り様が描かれている
母と祖母がほぼ絶縁状態。寝たきりになった祖母の面倒は、自分がみると言ったものの祖母の汚れた下着が素手で触れなかったと泣きじゃくる小柳レモン
何も言わずに小柳レモンの頭を撫でる時田翼も、母は11年前に家を出、父親と二人暮らし
翼の言葉が一言一言胸に突き刺さる。苦しんできたからこその真実があるからだろう
「お母さんは、自分は逃げた。あの家を捨てたと思ってるかもしれないけれど、違うから。離婚したいっていうお母さんの意思を受け入れたのはお父さんの意思なんだし・・・人間が人間を捨てることなんてほんとはできないんだよ、ゴミじゃないんだから捨てるとか捨てられるとか、そんな言い方やめてくれよ」
「お母さんはもう振り返らずに生きていけばいいよ。罪悪感を抱えるんじゃなくて、そうしてまで選びとったものを大切にして生きてくれる方がいい。その方がずっといい」
「黙って去っていくのは、卑怯なことです。去ったほうはそりゃ楽です。ただ忘れればいいんだから。でも、去られたほうは違う自分でいろいろ考えて、結論を出して、そのことに折り合いをつけてかなきゃならない。ちゃんと別れを告げることが、去っていく人間の最低限の礼儀だと思います」
「去っていかれた方の人間が『忘れる』をやり遂げるのは大仕事です。そこに至るまでに、何度も泣いたかもしれない。怪我したら痛いですよね。血も出るし、膿も出る。どんな経過を辿ってその傷が治ったかは、傷を負った本人しか知りません。他人が、治癒後の姿だけを見て『簡単に治ったんだね。じゃ、別にいいじゃない。怪我したことなんか忘れなよ』なんていうもんじゃないと思いますね」
そして、翼は誰に対しても、優しい。本当に優しい。優しすぎて、切なくなる
人間て、こんなに優しくなれるものなのと思ってしまう
もう少し、自分勝手でもいいんじゃないと思ってしまう
みんな誰かのために生まれてくるわけじゃない。自分が幸せになるために生まれてきたんだよ
疲れた時は、「ヘルプ!」と言えばいいんだよ
泣きたい時は、思い切り泣いたらいいんだよ
翼とレモンが、これから毎年一緒にゆずシロップを漬けることができますように
うれし涙のラストでよかった
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言葉の宝庫のような一冊。
すごく良かった。
どのページにも必ず散りばめられていると言っても過言ではないぐらい、数々の心を魅了する言葉がいっぱいだった。
温かさや癒しはもちろん、時にはチクンと胸をさしたりハッとさせられたり、心がざわついたり。どの言葉も愛おしくて、大切にしたい気分、そしてこの言葉たちが心から逃げださないように鍵をかけたくなるほどの読書時間だった。
いくつになっても泣いたって良いよね。
歳を重ねれば重ねるほど、それは言葉以上にチカラを持った良質な涙に違いないもの。-
寺地さんは1冊読んでる。
ただのいい話で終わらないチクっとする感じが好きだったけど、この作品もそうなのかしら?
今色々買いすぎ借りすぎで...寺地さんは1冊読んでる。
ただのいい話で終わらないチクっとする感じが好きだったけど、この作品もそうなのかしら?
今色々買いすぎ借りすぎで大変よ〜、私(笑)
「出口のない海」は読んだ事ないよ。戦争ものだよね?いつかは読んでみたいと思いつつ…2019/03/05 -
そうそう、決して丸ごとほっこりではないんだよね。
これは所々ピリっとしながらもラストはほっこりかなぁ。ってか、泣けちゃう。
たまに読んでほ...そうそう、決して丸ごとほっこりではないんだよね。
これは所々ピリっとしながらもラストはほっこりかなぁ。ってか、泣けちゃう。
たまに読んでほっこりしたくなる寺地さん♪
出口のない海、評判良いよね(๑ᵔ ᵔ๑)
私もいつか…いつか…(笑)2019/03/05
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「子どもの頃、大人は泣かないと思っていた。そんなふうに思えるほど、子どもだった。」(39ページより)
子どもの頃、確かに私も思っていた。
子どもは子どもで、学校という狭い世界で生きていくのに大変で、つらい思いをしたけれど
大人の世界も、大変なのだ。
学校みたいな範囲のない、とてつもなく広い世界で、いろいろな人とかかわって、うまく生きていかなくてはいけない。
そして長く生きる分だけ、いろいろな「事情」もできあがってくる。
「未来」とやらは、いったいどれくらいの時間を持っているのかわからない。明確な終わりのときが見えない。
だからこそ、ひとつひとつ確かめながら、もがきながら、大切なものを大切にしながら、生きていきたいなと思った。
大人だって、泣いてもいいのだ。
弱くていいんだとそっと背中を押してくれた気がした。
「小柳さんと小柳さん」に特に共感。
ゆずシロップの炭酸割りが飲みたくなった。甘酸っぱい、濃いめの。 -
ああ、そうだそうだ!九州の田舎って本当にこんな感じだった‼︎本っ当〜に嫌だった‼︎と言うことを、読みながらめちゃくちゃリアルに思い出した。おじさん達が根拠もなく偉そうなところも、女を下に見て、奴隷みたいな扱いしてくるところも、その理不尽なあり様の異常さに気づいてないのか?それを下の世代の女にもそのまま受け継がせようとしているおばさん達の事も。
だから玲子さんが、たとえ結婚がふいになろうとも黙ってはおられぬとばかり、恋人の父親に対して一息に堂々と正論をぶち上げた時は本当にスッキリしたし、その言葉を自分にも向けられたものであるとちゃんと受け止めた鉄腕は本当にかっこいいと思った。
男のくせになよなよしてる、と言われながらも、自分を曲げずに筋を通し、優しさを失わない翼も本当にいい男だ。
そして作者は、その理不尽なおじさん達の、おばさん達の立場も戸惑いも悲しみも、ちゃんと描くのだ。
なんかもう本当に、
いい話だったーーーーー‼︎(大声で叫びたい)
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良い小説だー。
登場人物、みなさん、少しずつ難ありだけど、
いや、考えてみたら、難ない人間なんて、いるわけないよね。
みんないろいろ抱えて生きてるもんね。
大人だってなくし、
むしろ、大人の方が泣くよね。
頑固ジジイはほんとに嫌いだけど、
頑固ジジイにも、いろんな寂しくて悲しいことあるんだね。
年寄りの面倒見るために、子供がいるわけじゃないもんね。
もし自分が入院した時、お見舞いに来てくれる子供が疲れた顔してたら、
もう来なくて良いよって思うし、きっと言うよね。
読みやすいけど、どこをとっても、かなり深いと思いました。
一つだけ‼️‼️声を大にして言っとく‼️
『飯盛、お前、ちゃんとしたオトコになってくれよ‼️‼️‼️』
著者プロフィール
寺地はるなの作品
