大人は泣かないと思っていた

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 678
レビュー : 67
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087711448

感想・レビュー・書評

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  • 九州の地方都市で農協職員として働く時田翼を軸とした7篇の短篇による連作長篇。特に大きな事件が起きるわけでもない日常の風景を、当事者それぞれの一人称で綴った短篇小説は、誰もが人生の主役なんだという当たり前のことに気付かせてくれる。そして自分一人で生きているわけではなく、他人との関わりがあり生かされているということを考えた。最終話の「君のために生まれてきたわけじゃない」では思わず涙が出た。大人は泣かないと思っていたのに……。

  • ★4.5
    全7編が収録された連作短編集。父親と二人で暮らす時田翼、祖母が時田家の隣に住んでいた小柳レモン。二人の出会いから約1年間、様々な人たちの様々な人生が綴られる。そして、様々な視点から綴られながらも、翼と小柳さんの関係性はしっかりと垣間見れる。中でも、「小柳さんと小柳さん」「君のために生まれてきたわけじゃない」が印象的で、特に後者の小柳さんの可愛いこと!その反面、平野さんの心の中の狡さ、鉄腕の父親の外套を脱げない弱さもとてもよく分かる。欲を言うなら、飯盛と翼の父親視点のエピソードも読んでみたかった。

  • 現実的でない表現や物語の運びが多く、残念。人物設定や描写が粗く、下調べなしで著者本人の想像で書いているのかなという設定が感情移入できなかった。

    特に、時田鉄也の親が結婚式に列席するシーン。通常ならあり得ないが、物語を展開させるために、オジサンを若者の恋沙汰に首突っ込ませている描写が正直冷めましたm(__)m

    古いしきたりを重んじたり、男女の役割など昭和さが残る描写は、日本の地方の特徴を表しているようで面白かった。

  • 3冊目の 寺地はるな作品
    母に出ていかれ、ことばよりも先に手が出る大酒のみの父と2人
    九州の田舎に住む 主人公 時田翼
    農協で働き、人と争うことをしない 基本穏やかで菓子作りが好きな32歳 独身
    主人公 翼を取り巻く人たちの
    大人であるからこそ 周囲とのしがらみを慮り
    そして 意思を持って抗っていく
    そんなドラマが短編連作となって繋がっていく。

    作者の文章の中に漂う やさしい空気が心地よく、
    読み手を緊張させずに 小説の世界に連れていく。

    大人は何でも思い通りに生きていると思ったら 大間違い。
    いくつになっても どんな立場でも
    泣きたくなること あるんだよ。

    長引く梅雨 優しい雨の音を聞きながら 読むのにぴったりな1冊です。

  • 2019.6.11

  • 最初、たんたんと話が進んでいく。
    途中で読みやめてしまったほど。
    でも、なんとなく心残りで、しばらくしてから続きを読んだ。

    章ごとに一人称が変わる。
    何気ない田舎の町の日常。そこに住む人々の感情。
    でも一人ひとり大事なことに気づく。
    読み終えてよかったな、と思う。

  • 閉鎖的な田舎に、飲んだくれの父と住む翼は優しいが、自分を主張しない32歳の農協勤務男。柚を盗むレモンとの関係や翼の周りの人々の立場からの短編連作。人の気持ちや置かれた立場の葛藤。卒業した高校で人を判断したり、傷をつけた方の勝手な思いなど、心に刺さる素敵な物語だった。「妥当じゃない」の30代の女心…、平野さんの気持ち、なんか分かるなぁと思ったり、それぞれの登場人物の個性や気持ちがきちんと描かれている。

  • 田舎の集落に暮らす時田翼の周辺をめぐる短編集。
    どれもよいお話ばかりで、あっという間に読み終えた。
    色んな涙がある。
    田舎あるあるって話が多々出てきてとっても解る〜

  • 連作短編集7編
    人と争わないケーキ作りが趣味の時田翼君を巡る物語.なよなよしていると思われている翼君のぶれない強さが好ましい.鉄腕君やレモンちゃん,小柳父など素敵な人がたくさん登場して最後までいい流れだった.また,散在する九州男児父の偏屈さが崩れていくところなど面白かった.

  • 普通に良い話し。 2019.5.2

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著者プロフィール

寺地 はるな(てらち はるな)
1977年佐賀県生まれ。大阪府在住。2014年『ビオレタ』で第四回ポプラ社小説新人賞を受賞。
著書に『ミナトホテルの裏庭には』『月のぶどう』『今日のハチミツ、あしたの私』『みちづれはいても、ひとり』『架空の犬と嘘をつく猫』『大人は泣かないと思っていた』『正しい愛と理想の息子』がある。

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