大人は泣かないと思っていた

著者 :
  • 集英社
3.94
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本棚登録 : 678
レビュー : 67
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087711448

作品紹介・あらすじ

時田翼32歳。九州の田舎町で、大酒呑みで不機嫌な父と暮らしている。母は11年前に出奔。翼は農協に勤め、休日の菓子作りを一番の楽しみにしてきた。ある朝、隣人の老婆が庭のゆずを盗む現場を押さえろと父から命じられる。小学校からの同級生・鉄腕が協力を買って出て、見事にゆず泥棒を捕まえるが、犯人は予想外の人物で――(「大人は泣かないと思っていた」)。
小柳レモン22歳。バイト先のファミリーレストランで店長を頭突きしてクビになった。理由は言いたくない。偶然居合わせた時田翼に車で送ってもらう途中、義父の小柳さんから母が倒れたと連絡が入って……(「小柳さんと小柳さん」)ほか全7編収録。
恋愛や結婚、家族の「あるべき形」に傷つけられてきた大人たちが、もう一度、自分の足で歩き出す姿を描きだす。人生が愛おしくなる、始まりの物語。

感想・レビュー・書評

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  • ひとは、いつから嬉し涙を覚えるのだろう。
    子供の頃はいつもかなしくて泣いていたような気がする。
    そして大人の涙の意味が分からなかった。

    いつからか複雑になっていく涙の理由を、この小説はちゃんと登場人物と一緒に感じさせてくれる。

    一番心を打ったのは『妥当じゃない』かな。

    幸福感を感じた『君のために生まれてきたわけじゃない』もいい。

    一緒に泣いた。

  • 7編の連作短編集

    ・大人は泣かないと思っていた
      時田翼32歳。九州の田舎町で、大酒呑みで不機嫌な父と暮らしている。
      母は11年前に出奔。翼は農協に勤め、休日の菓子作りを一番の楽しみにしてきた。
      ある朝、隣人の老婆が庭のゆずを盗む現場を押さえろと父から命じられる。
      小学校からの同級生・鉄腕が協力を買って出て、見事にゆず泥棒を捕まえるが、
      犯人は予想外の人物で―ー。
    ・小柳さんと小柳さん
      小柳レモン22歳。バイト先のファミリーレストランで店長を頭突きしてクビになった。
      理由は言いたくない。偶然居合わせた時田翼に車で送ってもらう途中、
      義父の小柳さんから母が倒れたと連絡が入って……。
    ・翼がないなら跳ぶまでだ
    ・あの子は花を摘まない
    ・妥当じゃない
    ・おれは外套が脱げない
    ・君のために生まれてきたわけじゃない


    農協職員の時田翼32歳と小柳レモン22歳。
    この二人の周りにいる、翼の父や出て行った母。
    親友・農協の同僚。
    レモンの祖母・母・義父。
    色んな人の家族模様に人間模様…。
    田舎ならではの窮屈さ生き辛さ、男尊女卑・偏見等、
    普通に細やかに暮らしている人々の姿が細やかに描かれていた。

    各章ごとに主人公が変わるから、他人から見えてる姿が
    本人が語り手になる事で違って感じられた。
    物語全体に流れる優しい空気感がとても心地よかった。
    各章ごとにちょこっと涙腺が緩んでしまった(〃ω〃)
    心が優しく温かい気持ちに包まれるのに、何故か切なかった。
    心を魅了する言葉が散りばめられていました。
    どれもしみじみと心に沁みわたりました。
    大切にしたいって思いました。

    皆、目の前の些細なことに悩んだり苦しんだりしながら生きている。
    多分都会に暮らしていても、田舎で暮らしていても
    何処で暮らそうと窮屈なんだろうなぁ。
    私は弱虫で良く泣くし、頼りまくっている甘えん坊の大人だけど、
    大人になって人前で泣くのが恥ずかしいと思って我慢している。
    大人だって泣くよね。泣いても良いんだよね。

    過去があっての今現在の自分がいる。
    だからどうせ頭を使うなら、あの時こうしていればどうなっていたかな、
    なんてことじゃなくて、今いるこの場所をどうやったらもっと楽しくするか。
    そんな事を考えたい。

    一緒にいられてしあわせだなぁって良いなぁ

  • ブクログのレビューで知って、タイトルが心にひっかかっていた本。
    僕は子どもの頃泣き虫で、それこそ毎日泣いていて、大人になるまでに泣くのをやめられるのか心配だった。
    大人は泣かないと僕も思っていた。

    大人も泣かないことないけど、子どもほどは簡単に泣けなくなる。それは間違いない。
    でも、泣いてもいいんだな、たまには子どもみたいに泣いてみたいな、とこの本を読んで思った。

    周囲から押しつけられた「あるべき」姿になれない、あるいは留まることができない大人たちの物語。もがき苦しみながら、救われていく様を描く。

    翼がいい人だな、大好きだなこの人。
    鉄腕も最高。「翼が無いなら跳ぶまでだ」なんてかっこよすぎて、不覚にも目が潤む。

    あまり期待しないで読み始めたのだけど、読み進めていくほどに話にのめり込んでいった。めちゃくちゃ面白かった!ほのかな名作だと思う。

    他の人のレビュー読んでて「なるほど!」って気づいたのだが、どんな登場人物に対しても優しいんだよね。だからこそ、様々な思いが心の中に積み重なっていく。心がほかほかあったかくなってくる。
    寺地はるなさんの本、初めて読んだけど、かなり好きです。他の本も読んでみたい。

    そして、「お酌警察は廃止すべき」に僕も賛成。お酌しない飲み会をさっそく明日から実行しよう。酒なんか、飲みたい人が勝手に飲めばいいんだよ。

  • 読み終わったあとに、著者のプロフィールを見る。1977年生まれ。現在43歳か。会社勤めと主婦業のかたわら小説を書き始め、2014年ポプラ社小説新人賞でデビュー、この本が7冊目。1年に1〜2冊の割合だな。書くのが好きなんだなと思う。ライトノベルの流行を受けて描写はやさしい。映画のように場面の切り取りには、かなり神経を使っている。

    「大人は泣かないと思っていた」いい題名だと思う。人生の何処かで、誰もがそのことに気がつく。読む前の予測は15歳ぐらいの少年の話かと思っていたが、21歳とかなり遅い。しかも時系列では物語が始まる11年ほど前になる。よって、青春モノではない。片田舎の住人の、穏やかな日常と、それなりの人生の転機を描く。

    いろんな年齢層の人物の視点から紡がれる約1年間の連作短編集になっていて、主人公の青年視点は1番最初と最後に置かれる。でもやはり、30代の人物像が1番生き生きしている。青年が幸せになればいいなと思う。そうなんだよ、大人は案外泣き虫なんだよ。

    2019年5月28日読了

  • 言葉の宝庫のような一冊。
    すごく良かった。
    どのページにも必ず散りばめられていると言っても過言ではないぐらい、数々の心を魅了する言葉がいっぱいだった。

    温かさや癒しはもちろん、時にはチクンと胸をさしたりハッとさせられたり、心がざわついたり。どの言葉も愛おしくて、大切にしたい気分、そしてこの言葉たちが心から逃げださないように鍵をかけたくなるほどの読書時間だった。

    いくつになっても泣いたって良いよね。
    歳を重ねれば重ねるほど、それは言葉以上にチカラを持った良質な涙に違いないもの。

    • けいたんさん
      寺地さんは1冊読んでる。
      ただのいい話で終わらないチクっとする感じが好きだったけど、この作品もそうなのかしら?
      今色々買いすぎ借りすぎで...
      寺地さんは1冊読んでる。
      ただのいい話で終わらないチクっとする感じが好きだったけど、この作品もそうなのかしら?
      今色々買いすぎ借りすぎで大変よ〜、私(笑)

      「出口のない海」は読んだ事ないよ。戦争ものだよね?いつかは読んでみたいと思いつつ…
      2019/03/05
    • くるたんさん
      そうそう、決して丸ごとほっこりではないんだよね。
      これは所々ピリっとしながらもラストはほっこりかなぁ。ってか、泣けちゃう。

      たまに読んでほ...
      そうそう、決して丸ごとほっこりではないんだよね。
      これは所々ピリっとしながらもラストはほっこりかなぁ。ってか、泣けちゃう。

      たまに読んでほっこりしたくなる寺地さん♪

      出口のない海、評判良いよね(๑ᵔ ᵔ๑)
      私もいつか…いつか…(笑)
      2019/03/05
  • また1人、素敵な作家さんと出会うことができた。これが読み終えたばかりの私の感想だ。
    きっとこの作家さんは、これからも素敵な物語を描いていくに違いない。

    まず、のっけからこのタイトルにやられてしまった。『大人は泣かないと思っていた』秀逸だ。このタイトルから物語を想像してみる。私も、子どもの頃は大人は泣かないものだと思っていた。でも、決してそうではないことを大人になってからわかった。
    当たり前のことだが、大人だって、同じ人間で、悲しいことも辛いことも抱えていて、それでも人前では泣かないように堪えているだけだ。

    もちろん、涙には悲しいことや辛いことだけでなく、時には嬉しかったりして流れる涙もある。これは、そういう涙がたくさん詰まった7編の短編から成る物語。

    主人公の翼は32歳。年老いた父親と2人で暮らしている。父親は、庭の柚子が隣の婆さんに盗まれていると言い、翼に現場を押さえろと命じる。柚子が盗まれる現場を目撃し、犯人を押さえた翼。犯人は思いもよらぬ人物で、その目的も予想外のものだった。

    翼の周りの人物が章ごとに主人公となり、その人物を通して物語は展開していく。また、彼らの目を通した翼は、物静かではあるが、周りに流されることなく、どんな理不尽なことにも立ち向かえる強い人物であるというイメージを固められていく。しかし、翼目線で語られた最後の章では、翼は完璧じゃないし、実は色んな人によって支えられてきたことがわかる。

    この物語に登場する人物は、みんなどこか弱い部分を持っていて、実に人間らしく、そして愛おしい。もちろん自分も1人の弱い人間だ。それでもいいじゃないかと寄り添ってくれるような、優しいながらも切なく愛おしい物語。

  • 大人は泣かない、と私も幼い頃思っていた。
    だから親の泣いている場面をうっかり見てしまうと動揺したものだ。
    幼い子供は悲しい時悔しい時、感情のままストレートに泣く。
    一方大人は泣きたい気持ちをつい我慢しがちで、泣く時は思いがけず不意に涙がこぼれ落ちる感じ。
    自分も含めて「泣かない」のではなく「泣けない」大人が多いように思う。

    この作品に出てくる大人達も思うようにいかず、悔しい気持ち寂しい気持ちをストレートに表現できず涙をこぼす。
    けれど泣いた分だけ、周囲の人の弱い気持ちを理解し寄り添える。
    「悲し涙」もいつか「うれし涙」に変わるはず。
    悲しい気持ちも涙が洗い流してスッキリするように、とても清々しい気持ちになれる物語だった。

  • 狭い世界の中で、「こうあるべき」とかって決め付けられてるのが古いなぁと思った。上司にお酌をしないといけないっていう考え方が日本からなくならないかなぁとも。
    そういう世の中を描いているからこそ、共感する部分が多かったです。


    この小説を読んで、わたしも絶対お酌なんてしないぞと思った矢先に会社の飲み会があってびっくりした(笑)
    でもうちの会社は料理なんかも上司が取ってくれたり、お酒ついでくれたりしてくれたから、自分でも進んでお酌とかしようって思えた。こんな会社もあるんだなぁと感動しました。

    全然本の感想にはなっていないかもしれないけど備忘録として。
    本を読む前の私は「こうあるべき」っていう型に頑張ってハマろうとしていて、それがしんどかったんですが(笑)この本の登場人物たちが「それはちがうぞ」って気づかせてくれました。私にとっては得るものが大きかったです。

  • 寺地はるなさん、初めて読みました。

    凄くじわーっと温かい話でした。主人公をとりまく様々な人間関係の様子を、作者がジーっと優しく見守っているような気がしてしまいました。生きていくのは本当にしんどい。でもみんな不器用ながら、それぞれの思いを抱えて生きている。それぞれの人の視点が丁寧に描かれており、なるほど、こんな風に人間関係ってすれ違っちゃうんだな、なんとも難しいもんだなと改めて痛感させられました。

    人はみな自分が主人公だから、家族でも恋人でも同僚でも、本当の意味でその人の思いを汲み取ってあげるなんて、なかなか出来ないし、だからこそ、勇気を出して色々話してみる事は本当に大事ですね。人はどんなに強がっても一人では苦しい。一人で考えてばかりだと、どうしても自己中心的な考えになってしまいがちだと思います。

    最後が良かったですね!主人公にとって、何だかんだ鉄腕が一番のキーパーソンだったんでしょう。ちなみに私だったら、「そうだ。俺が愛してるのは鉄腕だ!」と言ってしまいそうです。^ ^

    様々な人間模様が非常に繊細に描かれ、それに価値観の押し付けみたいなものは全然なく、そうだよね、なるほどね、、と色々考えさせられて、最後は静かにジーンとなるエンディングでした。素敵な作品で、オススメです。

    • くるたんさん
      こんにちは♪

      初、寺地さんだったんですね♪私もこの作品で寺地さんの良さを噛みしめました(o^^o)
      人間関係はもちろん、人の奥底の気持ちを...
      こんにちは♪

      初、寺地さんだったんですね♪私もこの作品で寺地さんの良さを噛みしめました(o^^o)
      人間関係はもちろん、人の奥底の気持ちを掬い取るのがうまい作家さんだと思います。
      2019/06/13
    • kanegon69 さん
      くるたんさん、コメントありがとうございます。最新作も積読していますので、楽しみにしています。いつもありがとうございます
      くるたんさん、コメントありがとうございます。最新作も積読していますので、楽しみにしています。いつもありがとうございます
      2019/06/13
  • 唐津市生まれの作家、初めて読んでみたけどいいねぇ♪ オジサンは泣かないと思っていたけど 時々泣いちゃった 笑。ユーモラスパウダーもあちこちまぶされていて好みでした。80歳手前の父と2人暮らしの農協勤めの時田翼の一年間が7つの話で繋がれていくけど一人で荷物を抱えていたつもりが そうではないことに気付いていく過程が7編で心地よくリレーして行く。良かったです♪

  • 市町村合併で名称だけは「市」となっても、その外れの限界集落のような場所にある古びた家で、酒ばかり飲んでいる父親とふたりで暮らしている翼。
    地元の農協に就職し、日々をそつなく淡々と過ごしている彼をとりまく人々の物語だ。

    リレー形式で各編ごとに語り手の視点が移り変わって一巡する連作短編集の形になっていて、閉塞した田舎町を倦んだり愛おしんだりして暮らす人々の生活は、大きな波乱はないけれど、丁寧に各々の気持ちの動きが描かれていて、読んでいてしっとりと面白い。

    ちょっとイヤなヤツそうなキャラクターも別の視点から見ると案外いいところもあったり、総じて登場するキャラクターがみんな憎めず、かつ魅力的だった。
    変人のような描かれ方は誰一人していないのに個性が際立っていて、それは各々が持つ矜持というか、芯となる部分がしっかりと語られているからだろうなと思う。

    一年後、一ヵ月後、下手したら明日にだって何が起こるかわからない。世界情勢も人の気持ちも移ろっていく。でもだからこそ、毎日を大切に生きていけたらいいよな、と思える物語だった。

  • 『大人は泣かないと思っていた』寺地はるな|担当編集のテマエミソ新刊案内|集英社 WEB文芸 RENZABURO レンザブロー
    http://renzaburo.jp/shinkan_list/temaemiso/180720_book01.html

    「静かな強さで前を向く「普通」」津村 記久子 | 書評 | 小説すばる - 集英社
    http://syousetsu-subaru.shueisha.co.jp/review/%E5%A4%A7%E4%BA%BA%E3%81%AF%E6%B3%A3%E3%81%8B%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%A8%E6%80%9D%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%9F/

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    時田翼32歳。九州の田舎町で、大酒呑みで不機嫌な父と暮らしている。母は11年前に出奔。翼は農協に勤め、休日の菓子作りを一番の楽しみにしてきた。ある朝、隣人の老婆が庭のゆずを盗む現場を押さえろと父から命じられる。小学校からの同級生・鉄腕が協力を買って出て、見事にゆず泥棒を捕まえるが、犯人は予想外の人物で――(「大人は泣かないと思っていた」)。
    小柳レモン22歳。バイト先のファミリーレストランで店長を頭突きしてクビになった。理由は言いたくない。偶然居合わせた時田翼に車で送ってもらう途中、義父の小柳さんから母が倒れたと連絡が入って……(「小柳さんと小柳さん」)ほか全7編収録。
    恋愛や結婚、家族の「あるべき形」に傷つけられてきた大人たちが、もう一度、自分の足で歩き出す姿を描きだす。人生が愛おしくなる、始まりの物語。
    https://books.shueisha.co.jp/items/contents.html?isbn=978-4-08-771144-8

  • 寺地はるなさん、好きだなぁ。
    改めてそう思うです。

    表題作の作中に、
    『子どもの頃、大人は泣かないと思っていた。そんなふうに思えるほど、子どもだった。』とあるのだけど、これってすごいと思うのです。

    子どもであることを、こんな風に表現できるのか、と。
    作家ってすばらしい。
    日本語って美しい。

    そう思わせてくれる日本語を昨今なかなか見かけない。
    だからこそわたしはこの一文にノックアウトされてしまった。

    大人は泣かないと思っていた

    すごく素敵なタイトルです。

    そしてすべての作品を通して、登場人物全員が人間くさくて素晴らしい。
    あぁ、こういう人たち、わたしの周りにもいるわって思える。

    適度なリアルさ相変わらずの小気味いい毒が、いつまでもヒリヒリとわたしのハートを刺激してくれそう。

  • 寺地さんたぶん3冊目。

    一番好きだ、とてもよかった。
    優しい、いい短編集だった。

    限界集落で70代の父親と暮らす、30代の息子。
    閉鎖された世界の古くからの風習。
    男尊女卑。
    げんなりしちゃうなぁと思ったけれど・・・

    弾けない、怒らない、どよーんと冷めた感じがする、
    なんかいまどきの若者だなぁと思う時田翼は意外と骨太で
    弾けたふりの
    なんかいまどきのキャピキャピした子だなぁと思う
    レモンちゃんはもっと骨太。

    若者はみんないろいろ考えている。
    キャンキャン吠えるだけの大人はそろそろ
    彼らの強さとやさしさに気付き
    泣きながら彼らにありがとうとお礼を言ってもいいのだろう。

    大人には大人の若者には若者の事情がある。

    今を大切に今を生きるのは誰にとっても大切。
    そんな当たり前のことを思い出させてくれた。
    寺地さんのランキングがあがったなぁ。

    もう売れてる作家じゃなくて
    こういう寺地さんみたいな人を本屋大賞に選んでほしいなぁ。
    ねぇ、書店員さん!!!!

  • 昔、母が泣いているのを初めて見た時のことを思い出しました。それまで私はきっと、大人は泣かないと思っていた子供でした。見てはいけない気がして、そっと目を逸らし続けた気まずさを覚えています。
    誰にでも過去はあり、人との交流や繋がりがあった、そして歳をとってきたのです。その先が何処へ行き着くのか、それは誰もがわかっていて、誰かを求めたり、懐かしの味を求めたり。
    私が田中さんのようになれば毎日孤独に枕を濡らすでしょう。私がレモンさんでおばあちゃんと居たら色んなことの度に不甲斐なく泣くでしょう。泣きながら黒く塗り潰したものは、自分の甘さと弱さだったのではないでしょうか。
    ふと弱った親を見てしまった時、懐かしいゆずの香りが漂ってきた時、先のことに不安を感じた時...急にそれは訪れるのです。
    大人の涙は、支えるべきものの大きさと、今までこの歳まで色んなことをくぐり抜けてきた証、そしてそれは弱さではなく、ふと優しくなれた瞬間なのだと思いました。
    私は誰かの為に生まれてきた訳では無いけれど、この人に出会う為に生きてきた、そう思えた瞬間があったことを覚えています。

  • 時田翼を中心に周りにいる大人たちの連作短編集。田舎に住んでいる身としてはうなづくことが多々ありました。翼とレモン今後どうなるのか気になります(^ω^)

  • やっぱ、九州男子は時代遅れか。
    そんな気はしていたんだが、コテンパに書かれていると、ちょっと辛いな

  • 2019.8.11
    タイトルに惹かれて手に取ったけど、また好きな作家さんが増えた予感。
    流れるようにサクサク読めたこの作品、なんだか心地が良くて、好きだなあと思った。

    「大人は泣かないと思っていた」、まさしく私もそう思っていた。
    大人になればいろんなことが分かって、分別もついて、働きながらすっと生きていくものだと。
    でも実際は、大人っていう概念すら曖昧で、歳を重ねたからといって賢くなるわけでも、生きるのが上手になるわけでもないことを知った。
    自分は全然大人じゃないなと思ったときに、それに気が付いたことが大人になったってことなのかもしれないと思った。

    年齢を重ねると、自分の考えに凝り固まってしまったり、ある程度守りに入ってしまうのかもしれない。傷つかないように。
    でもやっぱり、喜びは人との関わりの中で生まれるものだと思う。だから、弱い自分を認めて、選択していきたいなと思う。

    「「来年」や「将来」が、あらかじめ設定されていて、ただそこに向かって駒を進めるようにして生きていけば、楽だろうなと思う。でも違う。予想外のことがかならずおこる。俺たちはたぶん目の前に現れるものにひとつずつ対処しながら、一歩踏み出す方向を決めるしかないのだろう。いちいち悩んだり、まごついたりしながら。」

  • 私も子どもの頃、大人は泣かないと思っていた。
    ついでに、大人は転んで膝小僧をすりむいたりもしないし
    アイスクリームを食べたりもしないとなぜか思っていた。
    裏を返せば、泣かなくなって膝小僧を擦りむかなくなってアイスを食べなくなったら大人なんだと思っていたのだ。
    その法則に乗っ取ったら、半世紀以上生きてる私はまだ大人じゃないな。

    世の中にはまだまだへんてこりんな法則が溢れている。
    金髪の娘=不良少女だし
    お菓子を作る男=軟弱だし
    女はだまってお酌するのが当たり前なのである。
    実にアホくさい。

    へんてこりんな法則をちゃんと変だと気付いている主人公たちと
    変だと思わない環境で過ごして来た人たちと
    間に起きる摩擦が
    緩く温かい目で描かれている。
    あなたの人生で本当に大切なものは何ですか?と
    耳元でそっと尋ねられたような気がした。

  • 山に囲まれた田舎で暮らす人たちを、語り手を変えながら描いた話。
    その地域の価値観や他者への干渉、多様性のなさが、生き辛くて好きじゃない。だけどこれは閉塞感漂う嫌な話でもないし、それぞれに思うところや事情がありながら、前向きすぎでも投げやりでもなく、それなりにやっているのを知ると、何も否定しなくていいんだなと穏やかな気持ちでいられるような気がした。

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著者プロフィール

寺地 はるな(てらち はるな)
1977年佐賀県生まれ。大阪府在住。2014年『ビオレタ』で第四回ポプラ社小説新人賞を受賞。
著書に『ミナトホテルの裏庭には』『月のぶどう』『今日のハチミツ、あしたの私』『みちづれはいても、ひとり』『架空の犬と嘘をつく猫』『大人は泣かないと思っていた』『正しい愛と理想の息子』がある。

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