鏡のなかのアジア

著者 :
  • 集英社
3.33
  • (3)
  • (5)
  • (3)
  • (2)
  • (2)
本棚登録 : 162
感想 : 8
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087711462

作品紹介・あらすじ

チベット、台湾、クアラルンプール、京都……。言葉の魔力がいざなう、アジアへの旅路。

はるかな歴史を持つ僧院で少年僧が経典の歴史に触れる「……そしてまた文字を記していると」、雨降る村でかつて起こった不思議な出来事を描く「Jiufenの村は九つぶん」、時空を超え、熱帯雨林にそびえる巨樹であった過去を持つ男の物語「天蓋歩行」など、アジアの土地をモチーフに、翻訳家でもある気鋭の著者が描く、全五編の幻想短編集。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 初めて読む作家のせいか、文体に馴染むのにちょっと時間がかかってしまった。ジョルジュ・バルビエの表紙絵、そしてたしか山尾悠子がツイッターで紹介されてたので、きっと自分の好き系だろうと思って手に取ったのだけど、ややとっつきにくかったかな。

    収録作品中で一番長い「天蓋歩行」は、輪廻転生テーマ、かつて巨大樹だった頃の記憶を持つ男の転生の話だけど、読みながら何度もウトウトしてしまい…無関係だけど『ブンミおじさんの森』という映画のことなど思い出しました。とても芸術性が高く、美しい映画なのだけど、どうしても途中で寝てしまう…。

    いちばんとっつきやすかったのは日本が舞台の「国際友誼」で、他作品でも頻出する、突然のアルファベット表記、漢字にアルファベットのルビなどが、言語がテーマのこの作品では生かされていたと思う。台湾が舞台の「Jiufenの村は九つぶん」は、地名の由来譚ぽくてわりと好みでした。

    ※収録
    ……そしてまた文字を記していると(チベット)/Jiufenの村は九つぶん(台湾、九份)/国際友誼(日本、京都)/天蓋歩行(マレーシア、クアラルンプール)

  • チベット、台湾、日本、インド、マレーシアと、アジアを舞台に綴られた幻想的な短篇集。文章から漂うどこか冷静な目で見つめる感覚が心地よい。それでいてぼやあっとした印象も受けるので不思議だが、読んでいる間は静謐なひとときを堪能できた。ただ何となく、好き嫌いの分かれそうな作家だなと思った。

  • 文章が装飾過多で読みにくい。独特な空気感漂う短編集。
    どの短編も内容まで装飾過多になってて、話に入っていくのが難しい。

  • 樹木の話と、海からくる未来を見る男の子の話がよかったな。
    手元において時々読みたい感じの本だ。

  • 『鏡のなかのアジア』谷崎由依|担当編集のテマエミソ新刊案内|集英社 WEB文芸 RENZABURO レンザブロー
    http://renzaburo.jp/shinkan_list/temaemiso/180706_book02.html

    集英社のPR
    アジアの「土地」をテーマにした幻想短編集。チベットの僧院で、少年僧が土地と経典の歴史に触れる「そしてまた文字を記していると」、京都の大学で日本と海外の留学生の視点が交わる「国際友誼」など、全5編。
    https://books.shueisha.co.jp/items/contents.html?isbn=978-4-08-771146-2

  • 百年か一年か一日、ほんの数分を書物のなかで過ごしたように思う。
    書物は鏡。一点に静止しながら時空のすべてを映しとる。円環的につながった過去・現在・未来のあらゆる事象を同時に映現する。既視感と未視感。はるかな過去を追っていくといつの間にか未来に到達してしまう。わたしはかつて砂であり、海であり、木であった。脈打つ血の音が地の底を流れる水の音として聞こえてくる。わたしは記憶を渡されたのだ。かなたから、あなたから。
    ふり返ったとき遠く時間の向こうに、命脈のうちに、わたしの黄金の季節が侵されずにあればそれでいいのです。

  • 2018-7-29

全8件中 1 - 8件を表示

著者プロフィール

1978年福井県生まれ。「舞い落ちる村」で文學界新人賞を受賞しデビュー。「囚われの島」で野間文芸新人賞候補。「鏡のなかのアジア」で芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。

「2019年 『文学2019』 で使われていた紹介文から引用しています。」

谷崎由依の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×