たてがみを捨てたライオンたち

  • 集英社 (2018年9月26日発売)
3.44
  • (14)
  • (42)
  • (51)
  • (6)
  • (6)
本棚登録 : 430
感想 : 46
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (296ページ) / ISBN・EAN: 9784087711608

作品紹介・あらすじ

「家事や育児が問題なくできたとしても、仕事が人並み以下だったら男としては二流のような気がしちゃうんです。そういうのってわかりますか?」

つわりに苦しむ妻を支えるなか、仕事で二軍の部署に異動が決まった。毎日やってられない。
……専業主夫になるべきか悩む30歳出版社社員、直樹

冷たい人間だという自覚はある、けど母を不幸にする父のような人間にもなりたくない。
……離婚して孤独をもてあます35歳広告マン、慎一

幻想を追いかけて何が悪い?そう思っているのは確かなのに、逃げているような気がするのはなぜだろう。
……モテないアイドルオタクの25歳公務員、幸太郎

いつのまにか「大人の男」になってしまった3人、弱音も吐けない日々に、モヤモヤは大きくなるばかり。
幸せに生きるために、はたして男の「たてがみ」は必要か?

“男のプライド"の新しいかたちを探る、問いかけの物語。

【著者略歴】
白岩玄(しらいわ・げん)
一九八三年、京都府京都市生まれ。二〇〇四年「野ブタ。をプロデュース」で第四一回文藝賞を受賞しデビュー。同作は第一三二回芥川賞候補作となり、テレビドラマ化される。他の著書に『空に唄う』『愛について』『R30の欲望スイッチ―欲しがらない若者の、本当の欲望』『未婚30』、『ヒーロー! 』など。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 妊娠中の妻から、専業主夫になることを提案された直樹。
    離婚後に、女と遊ぼうという気が起こらなくなった慎一。
    アイドルを追いかけ、女性に夢を求める幸太郎。

    たてがみは男のプライド、慎一の元妻葵の言葉を借りれば、男の勝ちたがりの気持ちの象徴のようなもの。

    幸太郎にはあまり見られなかったものでしたが、直樹と慎一には見えないたてがみは確かにあったかも。
    そのたてがみを捨てることが出来たような各人の終わり方に、気持ちの良い読後感を持ちました。

    周りと比べるのではなく、自分の価値観でいい。
    最善の道はその人次第。

    産む人、産まない人、働く人、家庭に収まる人など、女性の話は沢山読んだ気がします。
    男性バージョンもとても面白かった。
    良い出会いでした。

  • 男の人の書く生きづらい男の人の話、
    結局男も女も生きづらいのだ。

    同性だからわかるけどわかりたくないことって
    あるのかもしれない。
    私的には男の人のあがき方や嫉妬心って女のひとよりずっと怖い
    女の人のは小説になったりして「おー怖っ!」って言えるけど
    言えない感じがあるもんなぁ。

    男だって女だってはずしたけりゃたてがみなんて取ればいい。
    たてがみは男も女も取り外し自由ってことで、
    そういう世の中でいいのになぁと思う。
    今、やや近い気がするけどなぁ。

    なかなかそういう世の中にはならないだろうけれど。

    自覚あるけれど、私達世代(40代~50代)が世の中にいる以上は
    今までの慣習とこれからの主流の
    合いまみえない感じってのはあるよなぁ、と思う。

    ごめんね、若者。
    頑張れ、いや、頑張らんでいいけど
    まぁ、頑張れ。

  • 3人の男性が主人公。①奥さん妊娠中、家事は得意で思いやりが有り空気読める。でも仕事が上手くいかず男としてのプライドがじくじく痛んでいる直樹。②モテ男の広告マン。離婚するも元妻に後ろ髪引かれている。母親を顧みず熟年離婚された父親のようにはなりたくない慎一③アイドル活動でプライベート充実はしているが、女性と縁が無い事を気に病んでいる幸太郎。
    たてがみというのは男のプライドを表しています。一人の人間としてというよりも、男である事で対外的に見えていないと恥ずかしく感じるものという雰囲気でしょうか。
    世間体を考えなくてよい時に、本当に自分にとって大事な選択を出来るのであれば、男のプライドというものが不要であるという事なのでしょう。
    読みやすいですが、結構壮大なテーマに挑んでいると感じました。

  • 女だから生きづらい、と思うのと同じくらい
    男だから生きづらい、もあるということが
    丁寧に描かれていた。
    色々な価値観に触れられるようになって自由も増えたけど、戸惑いも増えただろう。
    それは男性も女性も一緒だ。

  • 現代の日本で昔ながらの男の理想像で生きていくことはたやすくない。たてがみを捨てたライオンはライオンからしてみればカッコ悪く、情けなく感じる。でも自分らしく生きるために、幸せを掴むために果たしてたてがみは必要なのか?従来のステレオタイプにこだわり続ける男性諸氏に疑問を投げかけてくる。
    結婚には男気も大事だけどお互いがわかり合うことが何より大事だと教えてくれる本です。

  • ハーと痛いところを突かれたため息が出ます。昭和のことを言うと笑われるかもしれないけど、登場する父母たちと同じ事してたんですねー。今から改心して家事しますか。遅いか。

  • 3人の男の仕事とプライベートのバランスの取り方。
    タイトルのたてがみを捨てた~という程ではないかも。

    つわりの妻がいてその中、自分は会社で二軍的な扱いの部署に異動になる。対して妻はバリキャリの一流企業勤め。
    その妻に、主夫になって欲しいと言われる出版社勤務の直樹。

    大手広告代理店勤務で離婚したばかりの慎一。
    女は簡単に手に入ると思っている…そんなとき、両親が熟年離婚する。

    公務員であることだけが唯一の取り柄であると思っている幸太郎。婚活パーティーで知り合った年上女性に振られてからアイドルオタク。

    どの人も、現実感が薄く、どこかで聞いたようなキャラ。その仕事でありそうなキャラをくっつけた感じで、読んでいて特に引き込まれることもない。

    唯一、出版社勤務の直樹がインタビュー中に話す
    「家事や育児が問題なくできたとしても、仕事が人並み以下だったら男としては二流のような気がしちゃうんです。そういうのってわかりますか?」
    この気持ちは、自分自身は男性ではないため、気が付かなかった。
    そうなのか、男性はそんなふうに思ってるんだ…
    反対に女性が当たり前に思っている感情も、男性には思いもつかないものがあったりするのかな…

  • 仕事や家事、結婚、趣味、人生の3人の男性の生き方を垣間見ることで、想像もできない考えに出会い、新鮮な気持ちで読めた。とくに、仕事ができないとレッテルを貼られ、家事を褒められてもなんとなくしっくりこない男。男の人はそう考えるのかぁと思いながら、面白く読んでいたが、主人公たちは気づく。考え方は人それぞれで、男も女もなく、わかり合い一緒にいるためにはお互いに理解する努力が必要。きっとこうだろうなんていう決めつけは、一緒にいられなくなる原因になる。何かを相手のせいにしないために、自分を高める小さな努力をコツコツできる人でありたい。

  • 毎晩寝る前に読み進めた。
    不思議と、1〜2ページも読むと眠くなってしまった。

  • この作品は、意外と女性受けの方がいいかもしれません。
    自分の性格上、クヨクヨしたり、ハッキリしない物言いの男がどうも苦手で、3人の主人公が出てきますが、まさかの3人とも共感を持てないという、負のスパイラルに陥ってしまいました。
    作品を読むときに、俯瞰で読むことも大事な事だとは思うのですが、読んでいる間は主人公になり切りたいので、主観で読んでしまいます。
    一種の癖ですね。

  • 静岡市女性会館図書コーナーの書誌詳細はこちら↓
    https://lib-finder.net/aicel21/book_detail_auth?authcode=1yz3oLhKXfnEb7Ug5YtnAg%3D%3D

  • 子育て終わりかけの今じゃなくて、結婚したての頃に読みたかったな

  • 読みやすい話で、すらすら読めた。
    3人の男性、それぞれの生き方の話。
    もうすぐ、子供が生まれる直樹、自分の仕事、妻のキャリア、家庭の役割で悩んでる。私的には日野さんにも気持ちよく生きて欲しい。
    離婚した慎一、両親も離婚する事で自分が妻の気持ちに寄り添えなかっのではと反省し、良心を取り戻す?
    アイドルを追っかける幸太郎、女性と上手く付き合えないことからアイドルに逃げてきた事に気づく。
    女性も生きづらいことが多いけど、男性も…
    3人がそれぞれ、たてがみを捨てて、自分らしく生きることを選択するまでの話なのか?
    結末は中途半端で、まだまだ、3人は生きづらさと向き合いながら生きて行くんだろうね。
    さらに、この3人がどこかで絡んで、ひねりがあって話が進むのかと思い読み進めたが、そうでもない。 
    まあっ、きちんとした結末を求めるのは野暮ですね。こんな小説もありなのかと。

  • アンコンシャス・バイアスに対して、どう向き合うべきかを自問自答するきっかけになった。

  • 「男らしさ」「人から見た自分」「自分が求める自分」
    もうじき父になる直樹
    バツイチの慎一
    アイドルヲタクの幸太郎
    自問する三人の男性をかわるがわる描く。
    スッとフェイドアウトした感じ。

  • 直樹、慎一、幸太郎、三人の男性の視点で順番に描かれて行く。

    家事は得意だけど専業主夫にはなりたくない直樹
    妻との気持ちのズレが原因でバツイチになり、自身の親も熟年離婚をする事になった慎一
    アイドルオタで男女の付き合い方に悩む幸太郎

    私自身の経験に当てはまる事もあり、共感しながら読む事が出来た。

    夫婦関係を上手く保たせるには相手を尊重するとか思い遣る事なんかじゃなく、自分の考えは間違ってるかも知れないと疑いを持つ事!

    まさにその通り。
    そして男である前に人間であるべき。

    プライドの象徴であるたてがみなんて刈ってしまえ!

  • 昨今、よく話される男性の生きづらさについて書かれた本。
    『たてがみを捨てたライオンたち』を読んだ。著者の白岩玄さんはあの『野ブタ。をプロデュース』を書いた作家さんと言えば、あの人かー!と納得してくれる人も多いと思う。

    『30歳出版社社員、直樹・35歳広告マン、慎一・25歳公務員、幸太郎
    いつのまにか「大人の男」になってしまった3人、弱音も吐けない日々に、モヤモヤは大きくなるばかり。幸せに生きるために、はたして男の「たてがみ」は必要か?』集英社文芸ステーション

    『「そう。オスのライオンって、頭の周りにたてがみが生えてるでしょ?あれって自分の強さを誇示するためにあるらしいの。メスにアピールしたり、別のオスに対して牽制したりするのに使っているわけ。人間のオスも同じなのよ。本人は気づいていないことが多いけど、大抵の男の人には『見えないたてがみ』が生えてるの」

    「それは経済力とか、肩書とか、学歴とか、運動神経、あるいは仕事ができるかどうかだったりもするんだけど、その人他人よりも勝ってると思ってるところを見つけ出して肯定してあげると―つまりはそれがたてがみなんだけど―男の人はリラックスするの。口に出して褒めなくても、心の中で受け入れるだけでいいのよ。それだけで男の人って居心地がよくなるものなの」』たてがみを捨てたライオンたち/白岩玄 p101

    作中に出てくる登場人物の一人、慎一の元妻である葵が言った言葉だ。
    このセリフを読んで、男性同士の会話を聞いていて感じていたぎこちなさみたいなのはこれだったのかと腑に落ちた。
    男性らしさの中身であるあれこれに縛られて、がんじがらめになっている人のつらさ。
    それは自分の弱音やつらさを知覚することすらできずに胸のうちに巣食うあれこれを女性たちにぶつけているという哀しいライオンの姿があった。
    ただ3人の結末がみんな自分に絡みつく、自分を蝕む男らしさを自ら剥ぎ取っていく様子は希望があって救われた。
    直樹は取材で出会った専業主夫さん、実父とは決別し元妻の母の墓参りをした慎一、幸太郎は職場にいる男性アイドルが好きな綿貫さんと。
    それぞれ連帯したり、行動を起こしたりしていて自分を縛り付ける男らしさから抜け出そうとしている。

    男性は男らしさという尺度でジャッジされつづけている。これは女性もそう。
    女性もありとあらゆる女性らしさで社会からジャッジされている。
    ただ男性と女性の大きな違いは、それらで受ける傷について女性同士は互いに愚痴ったりしてケアをし合うことに対し、男性はそういったことをしないのではないかということだ。
    そもそも男性はそういう傷つきや息苦しさを自分で認知できているのだろうか。
    ただなんかもやもやするとか不満が募るとか、自分の感情の細分化やその感情がどこからくるのか分析できる人って少ない気もする。
    自分が知らないだけなら申し訳ないけれど。

    男性同士で弱い部分をさらけ出してなぐさめ合うこと、連帯することができるようになれば世に蔓延するマッチョな男性観に疲弊している人の力になれるのではないだろうか。
    だって女性にそれができているのだから男性ができないわけはないと思う。
    もちろん女性がそれでガス抜きができているからいいだろ、という話ではない。
    凝り固まった『らしさ』に疲れている人、苦しんでいる人はたくさんいる。
    日々そういう感覚に襲われている人ほど本作を読んでほしい。

  • 3人の登場人物の話でストーリーが続いていく。
    世間体を感じ、生きにくさを感じる中で、自分にとって何が正解なのか自問自答しながら、一生懸命に生きる人間のストーリーが描かれていた。自分の人生においても共通することがたくさんあるなと感じた。

    男としてのプライドは本当に必要なのか。
    世間体を気にしすぎていないか。など、
    誰もが人生を送る中で一度は考えたことがあろう疑問に正面から向き合うことのできる一冊でした。

  • 3人の男性がそれぞれ自分の弱さやダメな部分、男であるがゆえの生きづらさと向き合って、内省して、気持ちをひとつひとつ丁寧にことばにしていく。著者の誠実な態度がうかがえる、好感度の高い小説だった。次回作期待。

  • 「男らしさ」「男の生きにくさ」をテーマにした小説と聞いて、お〜なんか珍しくて良さげ!とハードルを上げてしまったかも。
    3人の男性目線のジェンダーギャップが描かれているんだけど、分かりやすい部分にフォーカスされていて、小説としてとても読みやすい反面、もう一歩踏み込んだ内容だったらな…と思わずにいられなかった。

全41件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

1983年、京都市生まれ。2004年『野ブタ。をプロデュース』で文藝賞を受賞し、デビュー。同作はテレビドラマ化され、70万部のベストセラーになった。著書に『空に唄う』『愛について』『未婚30』など。

「2019年 『ヒーロー!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

白岩玄の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×