たてがみを捨てたライオンたち

著者 :
  • 集英社
3.63
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本棚登録 : 183
レビュー : 27
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087711608

作品紹介・あらすじ

「家事や育児が問題なくできたとしても、仕事が人並み以下だったら男としては二流のような気がしちゃうんです。そういうのってわかりますか?」

つわりに苦しむ妻を支えるなか、仕事で二軍の部署に異動が決まった。毎日やってられない。
……専業主夫になるべきか悩む30歳出版社社員、直樹

冷たい人間だという自覚はある、けど母を不幸にする父のような人間にもなりたくない。
……離婚して孤独をもてあます35歳広告マン、慎一

幻想を追いかけて何が悪い?そう思っているのは確かなのに、逃げているような気がするのはなぜだろう。
……モテないアイドルオタクの25歳公務員、幸太郎

いつのまにか「大人の男」になってしまった3人、弱音も吐けない日々に、モヤモヤは大きくなるばかり。
幸せに生きるために、はたして男の「たてがみ」は必要か?

“男のプライド"の新しいかたちを探る、問いかけの物語。

【著者略歴】
白岩玄(しらいわ・げん)
一九八三年、京都府京都市生まれ。二〇〇四年「野ブタ。をプロデュース」で第四一回文藝賞を受賞しデビュー。同作は第一三二回芥川賞候補作となり、テレビドラマ化される。他の著書に『空に唄う』『愛について』『R30の欲望スイッチ―欲しがらない若者の、本当の欲望』『未婚30』、『ヒーロー! 』など。

感想・レビュー・書評

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  • 妊娠中の妻から、専業主夫になることを提案された直樹。
    離婚後に、女と遊ぼうという気が起こらなくなった慎一。
    アイドルを追いかけ、女性に夢を求める幸太郎。

    たてがみは男のプライド、慎一の元妻葵の言葉を借りれば、男の勝ちたがりの気持ちの象徴のようなもの。

    幸太郎にはあまり見られなかったものでしたが、直樹と慎一には見えないたてがみは確かにあったかも。
    そのたてがみを捨てることが出来たような各人の終わり方に、気持ちの良い読後感を持ちました。

    周りと比べるのではなく、自分の価値観でいい。
    最善の道はその人次第。

    産む人、産まない人、働く人、家庭に収まる人など、女性の話は沢山読んだ気がします。
    男性バージョンもとても面白かった。
    良い出会いでした。

  • 仕事や家事、結婚、趣味、人生の3人の男性の生き方を垣間見ることで、想像もできない考えに出会い、新鮮な気持ちで読めた。とくに、仕事ができないとレッテルを貼られ、家事を褒められてもなんとなくしっくりこない男。男の人はそう考えるのかぁと思いながら、面白く読んでいたが、主人公たちは気づく。考え方は人それぞれで、男も女もなく、わかり合い一緒にいるためにはお互いに理解する努力が必要。きっとこうだろうなんていう決めつけは、一緒にいられなくなる原因になる。何かを相手のせいにしないために、自分を高める小さな努力をコツコツできる人でありたい。

  • まず著者にダメ出ししたいのは、直樹の章は出産まで書き切らなきゃダメだろってこと。台所周りを率なくこなすことと、子育てに飛び込んでいくこととは次元が違いすぎるほどに違うんだからさ。そして慎一という人物が変化した物語は、まー、現実味なかったね。ただし、変わる前の慎一は現実的。いるよねー、こういう人。子どもなんて、ナウシカが凶暴なキツネリスを手懐けるように扱えばいいだけの話じゃん?ぐらいに思ってるうぬぼれ野郎。個人的に、ではあるけれど、慎一みたいな人間は沼島さんよりずーっと嫌い。シチュ的にも元妻の母の墓参りをしたら、元妻と会っちゃった、とかマジでありえねーわ。変われない慎一、つまりたてがみを捨てきれないライオンという方が現実で、だからこそ社会は変わらないのだよ。もっとも筆者は、フィクションから一石を投じようとしているのだろうけど、ね。ただし、私は作品自体の完成度うんぬんよりも、この作品が社会の中でこれからどんな評価を得て定着していくのか、の方に興味ある。

  • 私の中で内容がすごく刺さった物語でした。

    囚われて自分を苦しめてしまったり、相手に理想を押し付けてしまったり、「男」「女」という一般的なイメージってすごく難しいものだと思います。
    また男女の話だけじゃなくて、尊敬や思いやれらかよりも、自分に疑いを持てるかどうかという考えはしっくりきました。
    性別だけでなく個人で考え方は違うから、お互いに寄り添っていこうとすることが大切だと思います。

    1つ1つの独立させた短編ではなく、視点を変えて少しずつ進めていくのは、賛否あるみたいだけど、色んな感情を持っていることを忘れずにいられて好きでした。


  • 3人の異なる境遇の男性の話を、一部交差させながら展開していくストーリーは、よくある手法ではあるが、効果的で面白かった。
    特に、妻が働くかわりに専業主夫にならないかを打診された話は、自分のことのように感じられて、切実に考えさせられた。
    その他にも、離婚した男が妻への立ち居振る舞いを自分の父親が熟年離婚するのをきっかけに考えている部分は、自分はどうなんだろうと考えさせられた。

  • 最初は色んな人のストーリーがころころ変わるのに戸惑った。
    でも段々慣れて読みやすくなってきた。
    男の人の考え方や本音が知れたみたいで面白かった。

  • ・スルスル読める。「本搾り」レベルの読みやすさ
    ・3種3様の文体がきっちり分かれている、洞察力すごい
    ・3人は最後まで立体交差はするが交わらず。立体構造
    ・最後の考えさせる余白がめちゃ大きい。投げっぱなし、放りっぱなし、とも取れるくらいだが、作者意図は読者のための考える余白のはず。
    ・教訓めいたものが緻密に隠蔽されている。

    ・人には人の地獄がある。時代背景は異なるが、煎じ詰めれば新美南吉のでんでんむしの殻の中の闇と同じか。そこから何を感じてどう振る舞いを変えるか?

  • ジェンダー/フェミニズムの本を色々読んでいく中で、徐々に少しずつモヤモヤがたまってきて、ちょっと「男性学」的アプローチをとりたくなった。下手すると地雷踏むリスクが明らかに高そうな分野で、知見がない中でどの本を選べばよいか悩んだのだが、書評を眺めて「色々」「答えがない」という言葉が並んでたので、この小説から読むことにした。結果的に正解だったと思っている。

    様々な種類の拗らせた「普通の男」が、それぞれの男女/人間関係の中で、折り合いらしきものをつけていく様が描かれている。整理はできないのだが、「男らしさ」のジェンダーやフェミニズムとの付き合い方や生きづらさに悩む男性には、各々に示唆を与えてくれる小説だと思う。

  • 3人の男の話だとは知らなかった。
    色々と心に刺さる表現はあった。

  • いろんな物語が並行して進んでいくが、なんとも。

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著者プロフィール

1983年、京都市生まれ。2004年『野ブタ。をプロデュース』で文藝賞を受賞し、デビュー。同作はテレビドラマ化され、70万部のベストセラーになった。著書に『空に唄う』『愛について』『未婚30』など。

「2019年 『ヒーロー!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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