- Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087711622
作品紹介・あらすじ
謎に満ちた女・菱野時江とは何者なのか――。
突如、連絡が取れなくなった時江の消息を追う二人の友人、渋崎咲子と古河内栗美は、携帯端末のSNSを頼りに彼女の居場所を突きとめた。
そこには「あの国は暮らすにはいいが、生きるのは窮屈すぎる」という一文が……。
「幻の淑女」より
作品の全貌は、読んでみてのお楽しみ。
文学界の異才・木下古栗が挑んだ、なんともトリッキーなエンタメ風小説!
(菱野時江を取り巻く人びと)
稲松叶夢(集英社社員) 渋崎咲子(友人) 古河内栗美(友人) 早乙女アキラ(カリスマ全裸公然わいせつナンパ師) 平尾正樹(平日在宅が多く、何をしているのか分からない男) バラク(前大統領) 城之内健作(経営者兼精神科医) 山森正太郎(精神科看護師)
【著者略歴】
木下古栗(きのした・ふるくり)
1981年、埼玉県生まれ。神奈川県在住。2006年「無限のしもべ」で第49回群像新人賞を受賞。著書に『ポジティヴシンキングの末裔』『いい女vsいい女』『金を払うから素手で殴らせてくれないか?』(第5回ツイッター文学賞第1位)『グローバライズ』『生成不純文学』がある。独特の言語センスを持ち、異色の作風で知られる覆面作家。
感想・レビュー・書評
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なるほど。「女子会のパラドクス」は三浦俊彦先生を思わせる。
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菱野時江を中心に、様々な人物の奇妙な生態を描いた連作短編集。全編とも木下古栗らしい滅茶苦茶さが炸裂している。
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掌編集。1話10分程度で読めるどれも笑えた。長さ的にも内容のしつこさ的にも往年のテキストサイトを読んでいる感覚に近いものを感じた。
個人的にはオバマがビデ倫に就職する話とビジョナリーの話と電話の話と活字市場の話が面白かった。突如差し込まれる全く本筋に関係のないエピソードだったり会話が相変わらず読ませる -
謎に満ちた女・菱野時江を巡る連作短編小説集。一般常識からズレた行動・価値観で描写される時江の日常、時江と関わる友人や様々なキャラクターもおかしい。正常と異常、常識と非常識の境界とは何か?コミカルでナンセンスな要素を含んだ散掌編の数々を読んで思う。
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相変わらずすげーパンチ力だったぜ…
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謎の女菱野時江とその周辺にいる人々で短編が展開されます。著者はまるで文献に記すように全裸でなければ見えない体のパーツを表現し、もちろん官能的ではありません。なぜそれをするときに全裸でなければならないか、そんなことを古栗作品では考えてはいけないのです。1編目「淑女のたしなみ」でガツンと取り込まれ、「創造的破壊」で迷子になり、「遠隔操作」で何を読まされているの?となり「活字市場」でくすっと笑い「市場原理」で切なささえ感じ…。今回はゲテモノ食いがなかったのが個人的に幸いでした。おすすめは勿論古栗ファンのみに。