本と鍵の季節 (単行本)

著者 :
  • 集英社
4.12
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本棚登録 : 963
レビュー : 36
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087711738

作品紹介・あらすじ

堀川次郎は高校二年の図書委員。利用者のほとんどいない放課後の図書室で、同じく図書委員の松倉詩門(しもん)と当番を務めている。背が高く顔もいい松倉は目立つ存在で、快活でよく笑う一方、ほどよく皮肉屋ないいやつだ。
そんなある日、図書委員を引退した先輩女子が訪ねてきた。亡くなった祖父が遺した開かずの金庫、その鍵の番号を探り当ててほしいというのだが……。

放課後の図書室に持ち込まれる謎に、男子高校生ふたりが挑む全六編。
爽やかでほんのりビターな米澤穂信の図書室ミステリ、開幕!

【著者プロフィール】
米澤穂信(よねざわ・ほのぶ)
1978年岐阜県生まれ。大学卒業後、書店員勤務の傍ら小説を執筆。
2001年『氷菓』で第5回角川学園小説大賞(ヤングミステリー&ホラー部門)
奨励賞を受賞してデビュー。『氷菓』をはじめとする古典部シリーズはアニメ化、漫画化、実写映画化され、ベストセラーに。
2011年『折れた竜骨』で第64回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。
2014年『満願』で第27回山本周五郎賞を受賞。
『満願』と2015年刊行の『王とサーカス』はそれぞれ三つの年間ミステリランキングで1位に輝き、史上初の2年連続3冠を達成した。

感想・レビュー・書評

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  • 世の中には気付かない方が幸せなことってのがたくさんあって。いろんなことに鈍感であれば気付かずにすんでいくそんなあれこれが寄ってくるのはなぜなんだろうね、次郎くん。
    なんとも地味で平和そうな放課後が過ごせそうな図書委員。なりゆきでコンビを組んでる二人の男子。寄ってくる謎は人間の嫌なところを見せつけてくる。謎にまつわる登場人物は少しずつ嫌な人で、彼らはいつも「解決」はしない。ただ、謎を解くだけ。解決するのは自分たちの仕事じゃない、と知っているから。そのたんぱくさも今時の高校生らしい。と思って読んでいたら、最後にずどん、と落とされる。切なさの井戸に落とされた気分。そういうことだったのか、だからあんな風な態度を…と最初の章に戻る。彼らよりもはるかに長い時間を生きてきた私は、彼らのこれからの人生が、いやせめて高校生であるあと一年を図書館のカウンタ―に座って平和に穏やかに過ごせることを祈らずにはいられない。

  • この著者の作品には、しばしばビターという表現がされるような気がする。気がするだけで、俺の気のせいかもしれないけど。ただ、本書を読み終えて、やっぱりビターという印象を持ったんだよね。決して明るくはない。でも暗いかといえば、ユーモラスだったりする。描かれているのが、高校生の日常だからかなぁ。いや、俺自身、高校生だったことはあるし、決してバカにしているわけではない。

    この著者の本を読んで、過去の印象でいえば、思春期のイタさを上手に描く人だな、と思ったものだった。それは舞台が高校だから、というわけでもないと思う。

    ビターって、苦みのことかもしれないけれど、でも本書の印象は苦い、ではないのだ。やっぱりビターなんだよね。チョコレートとかコーヒーに感じるような、どこか甘さを感じさせる苦み。

    それは過去、自分が通りすぎた時間を思い起こさせるからかもしれない。苦いんだけど、通り過ぎた身としては、どこかかぐわしい甘さも感じてしまうような。

    もうひとつ。この著者はしばしば現代社会の病巣も盛り込むことがあるのだった、なんてことを感じた。他の作品が、どんなだったかはユーゴ情勢くらいしか思い出せないけど。

    本書でとりあげられたのは、子どもの貧困、といったところだろうか。物語の最後の方で彼が言った言葉は、どこかつらいというか、それこそ苦いものだったかもしれない。でも、いつかそれが、甘さとか切なさを伴いつつ、思い返せるものであってほしい。なんか、そんなことを感じちまったなぁ。

    適当に思いつくままに書いてしまったので、このあたりのレビューはいつか推敲したいな。

  • 知ってしまったら、もう後戻りはできない。
    本を一度開いたなら、鍵を一度開けたなら。
    図書委員のふたり、実はそれほど退屈でもない楽しくて苦々しい思い出をそのままに、どうかいつまでも待ち続けてほしい。
    ほろ苦い友情に合掌。

  • 米澤穂信の書く青春は、やっぱり、ちょっと苦い。
    そりゃそうだ。
    誰だって、表があり、裏があるのだから。

  • この感じ好きだな~。ちょっとダークでニヒルな感じ。どの短編も「その後」は記されていないのが歯がゆい気もするけど、それがまた余韻を残してよい感じとなっている

  • 図書委員のふたりを巡るミステリー。

    うわああん切ない・・・!!!
    なんてすごい連作。

  • 謎の後ろに謎が隠されているミステリ。小気味好く一気に読んでしまった。

    米澤さんの描く学生は一見、倦んでいるような引っ込んでいるような走り出さないような、冷ややかなタイプが多いけれど、自分を恥じる気持ちがあるということは、理想があるということで、そのバランスに本を読む人はぐっとくるんだと思う。
    たとえ、理想というものが到達不可能であり目指すべきとすら言えないイデアだとしても、信じたいと願っているから。

    自分にとっては、作家の動きをリアルタイムで追いかけることはほぼなくて──面白い本が世界にはありすぎるので──ハードカバーを購入すること自体少ないのだけれど、米澤さんは雑誌も含めて読んでいるので、氷菓シリーズ、古典部シリーズから少し距離を置いて、インシテミルや追想五断章や折れた竜骨や満願そのほかを経て、この図書室の放課後に辿り着いたのだという感慨が新鮮だった。

  • 図書委員の二人が謎を解く連作短編集。
    付属のしおりが、図書貸し出しカードを模してておしゃれというか気が利いている。目に入って「おっ」と声が出た。

    人は死なないけど、日常系って括ってもいいのかは良くわからない。
    図書委員らしく静謐な感じが好きです。古典部の面々よりは落ち着いた二人です。
    良質な、という単語を頭に付けたくなる一冊。
    並行して読んだ「天冥の導」のようなわくわくドキドキ先が気になる!という本もいいけど、落ち着いてゆっくり読める本を手に取る幸せを感じるお話です。

  • 2018年143冊目。主人公二人の魅せ方が上手い。それぞれに強みを持たせて互いに一目置かせているから、自然と並び立たせることができている。

  • 満願よりは爽やかで軽やか。でも米澤作品らしく人間の欲望や闇が垣間見える作品。
    彼らのようにウィットに富んだ冗談を言えるようになりたい。

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著者プロフィール

米澤 穂信(よねざわ ほのぶ)
1978年、岐阜県生まれの小説家、推理作家。金沢大学文学部卒業。
大学在学中から、ネット小説サイト「汎夢殿(はんむでん)」を運営し、作品を発表。大学卒業後に岐阜県高山市で書店員として勤めながら、2001年『氷菓』で第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞し、デビューに到る。同作は「古典部」シリーズとして大人気に。2011年『折れた竜骨』で第64回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)、2014年『満願』で第27回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。『満願』は2018年にドラマ化された。直木賞候補にも度々名が挙がる。
その他代表作として週刊文春ミステリーベスト10・このミステリーがすごい!・ミステリが読みたい!各1位となった『王とサーカス』がある。2018年12月14日、集英社から新刊『本と鍵の季節』を刊行。

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