本と鍵の季節

著者 :
  • 集英社
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レビュー : 217
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087711738

作品紹介・あらすじ

堀川次郎は高校二年の図書委員。利用者のほとんどいない放課後の図書室で、同じく図書委員の松倉詩門(しもん)と当番を務めている。背が高く顔もいい松倉は目立つ存在で、快活でよく笑う一方、ほどよく皮肉屋ないいやつだ。
そんなある日、図書委員を引退した先輩女子が訪ねてきた。亡くなった祖父が遺した開かずの金庫、その鍵の番号を探り当ててほしいというのだが……。

放課後の図書室に持ち込まれる謎に、男子高校生ふたりが挑む全六編。
爽やかでほんのりビターな米澤穂信の図書室ミステリ、開幕!

【著者プロフィール】
米澤穂信(よねざわ・ほのぶ)
1978年岐阜県生まれ。大学卒業後、書店員勤務の傍ら小説を執筆。
2001年『氷菓』で第5回角川学園小説大賞(ヤングミステリー&ホラー部門)
奨励賞を受賞してデビュー。『氷菓』をはじめとする古典部シリーズはアニメ化、漫画化、実写映画化され、ベストセラーに。
2011年『折れた竜骨』で第64回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。
2014年『満願』で第27回山本周五郎賞を受賞。
『満願』と2015年刊行の『王とサーカス』はそれぞれ三つの年間ミステリランキングで1位に輝き、史上初の2年連続3冠を達成した。

感想・レビュー・書評

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  • この著者の作品には、しばしばビターという表現がされるような気がする。気がするだけで、俺の気のせいかもしれないけど。ただ、本書を読み終えて、やっぱりビターという印象を持ったんだよね。決して明るくはない。でも暗いかといえば、ユーモラスだったりする。描かれているのが、高校生の日常だからかなぁ。いや、俺自身、高校生だったことはあるし、決してバカにしているわけではない。

    この著者の本を読んで、過去の印象でいえば、思春期のイタさを上手に描く人だな、と思ったものだった。それは舞台が高校だから、というわけでもないと思う。

    ビターって、苦みのことかもしれないけれど、でも本書の印象は苦い、ではないのだ。やっぱりビターなんだよね。チョコレートとかコーヒーに感じるような、どこか甘さを感じさせる苦み。

    それは過去、自分が通りすぎた時間を思い起こさせるからかもしれない。苦いんだけど、通り過ぎた身としては、どこかかぐわしい甘さも感じてしまうような。

    もうひとつ。この著者はしばしば現代社会の病巣も盛り込むことがあるのだった、なんてことを感じた。他の作品が、どんなだったかはユーゴ情勢くらいしか思い出せないけど。

    本書でとりあげられたのは、子どもの貧困、といったところだろうか。物語の最後の方で彼が言った言葉は、どこかつらいというか、それこそ苦いものだったかもしれない。でも、いつかそれが、甘さとか切なさを伴いつつ、思い返せるものであってほしい。なんか、そんなことを感じちまったなぁ。

    適当に思いつくままに書いてしまったので、このあたりのレビューはいつか推敲したいな。

  • これはこの先も続くのか?このままかな。
    高校二年の図書委員2人。ともに頭が切れる曲者。
    難題をスマートに解決してしまう。
    そして、まさかの友人の秘密を知ってしまう事に。

    黙っておきたい出来事も、突然言葉にしてしまいたくなる間柄。
    なあなあな感じじゃなく、いい距離感でいたのに。

    本当にこの先の2人が知りたい。

  • 世の中には気付かない方が幸せなことってのがたくさんあって。いろんなことに鈍感であれば気付かずにすんでいくそんなあれこれが寄ってくるのはなぜなんだろうね、次郎くん。
    なんとも地味で平和そうな放課後が過ごせそうな図書委員。なりゆきでコンビを組んでる二人の男子。寄ってくる謎は人間の嫌なところを見せつけてくる。謎にまつわる登場人物は少しずつ嫌な人で、彼らはいつも「解決」はしない。ただ、謎を解くだけ。解決するのは自分たちの仕事じゃない、と知っているから。そのたんぱくさも今時の高校生らしい。と思って読んでいたら、最後にずどん、と落とされる。切なさの井戸に落とされた気分。そういうことだったのか、だからあんな風な態度を…と最初の章に戻る。彼らよりもはるかに長い時間を生きてきた私は、彼らのこれからの人生が、いやせめて高校生であるあと一年を図書館のカウンタ―に座って平和に穏やかに過ごせることを祈らずにはいられない。

  • 作品紹介・あらすじ
    堀川次郎は高校二年の図書委員。利用者のほとんどいない放課後の図書室で、同じく図書委員の松倉詩門(しもん)と当番を務めている。背が高く顔もいい松倉は目立つ存在で、快活でよく笑う一方、ほどよく皮肉屋ないいやつだ。
    そんなある日、図書委員を引退した先輩女子が訪ねてきた。亡くなった祖父が遺した開かずの金庫、その鍵の番号を探り当ててほしいというのだが……。
    放課後の図書室に持ち込まれる謎に、男子高校生ふたりが挑む全六編。
    爽やかでほんのりビターな米澤穂信の図書室ミステリ、開幕!

    がっつり図書館が舞台なので読んでいて楽しいという所と、やはり書いている人が書いている人なので、青春チックなのに結構シビアな内容なのも個人的には好き。他の本がそんなに好みではなかった事も有って期待していなかったのですが、米澤さんの読んだ本(大して読んでいないですが)の中で一番好みでありました。
    男同士でぶっきらぼう、且つ、お互いを必要としている所がなんとなく腐女子の人達が好きそうな感じだなあ。さりげなく親友って感じが出ていて微笑ましい。

    学生生活の中で起こるちょっとした事件の謎解きも、神のような洞察ですいすいと解いていくのですが、文章が非常に端正で理知的なので妙に説得力があります。ミステリーが苦手で突っ込みの嵐になり気味な僕のようなミステリービギナーにもアピールする力が有る本です。
    友情が有れども、牛乳に落した墨汁のようなほんのりとした猜疑心が感じられて、嫌な感じが残る辺りが何とも味わい深い。大分好みです。

  • 本を題材にした謎解きものは多いが専門的な知識を必要とせずに気楽に読めるのが良い。2人の掛け合いも高校生離れしたウィットに富んでいて小気味好い。ストーリーにもう少し深みがあるともっとはまれる。

  • 「大人になったらわかる」という開かずの金庫の番号を、何としても探し出そうとするのが普通の高校生ではなかろうか。

    自分たちはもう大人だと主張し、可愛い先輩からの頼みを進んで引き受けるのが青春小説の主人公ではなかろうか。

    けれど本書は少し違うようだ。

    「じゃあ、大人になるのを待てばいいんじゃないですか」

    そう言いつつも結局は謎を解くことになるのだが。

    図書委員の活動を通して、さまざまな謎に出くわす松倉と堀川。

    本と出会い、事件の鍵を握り、そして真相にたどり着く。

    それを繰り返すうちに、二人を取り巻く季節も色を変えたようだ。

  • 図書委員の男子高校生二人が、日常のミステリとも言えるちょっとした謎を紐解いて行く短編集。
    明るく爽やかさいっぱいで解決かと勝手に想像していたので、この展開は戸惑いつつも逆に意表を突かれた気分で楽しめた。
    二人の推理トークはバランスが良く、読んでいて気持ちがいい。
    最後の二話は何とも読み応えあり。友を想う気持ち…それこそ鼻の奥をツンとさせながらビターチョコレートを口にしたような読後感。

  • この感じ好きだな~。ちょっとダークでニヒルな感じ。どの短編も「その後」は記されていないのが歯がゆい気もするけど、それがまた余韻を残してよい感じとなっている

  • ミステリはめったに読まないけど、この本は良かった。
    読み進めるうちにどんどん良くて。
    ラストもとても味わいぶかくて。

  • 高2の新米図書委員、松倉詩門と堀川次郎のコンビがミステリーを解いていく短編6編だけど、なんとも洒落て高質で笑える2人の会話。どちらがホームズでどちらがワトソンなのか分からない立ち位置の設定ですね。終盤に明らかになってくる松倉詩門の境遇が少しばかり悲しいけど、たぶん二人の友情は不変なのであろう、不変であって欲しいね♪

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著者プロフィール

米澤 穂信(よねざわ ほのぶ)
1978年、岐阜県生まれの小説家、推理作家。金沢大学文学部卒業。
大学在学中から、ネット小説サイト「汎夢殿(はんむでん)」を運営し、作品を発表。大学卒業後に岐阜県高山市で書店員として勤めながら、2001年『氷菓』で第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞し、デビューに到る。同作は「古典部」シリーズとして大人気に。2011年『折れた竜骨』で第64回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)、2014年『満願』で第27回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。『満願』は2018年にドラマ化された。直木賞候補にも度々名が挙がる。
その他代表作として週刊文春ミステリーベスト10・このミステリーがすごい!・ミステリが読みたい!各1位となった『王とサーカス』がある。2018年12月14日、集英社から新刊『本と鍵の季節』を刊行。

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