生のみ生のままで 上

著者 :
  • 集英社
3.59
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  • (14)
  • (3)
本棚登録 : 656
レビュー : 52
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087711882

作品紹介・あらすじ

「私たちは、友達じゃない」

25歳、夏。恋人と出かけたリゾートで、逢衣(あい)は彼の幼なじみと、その彼女・彩夏(さいか)に出逢う。芸能活動をしているという彩夏は、美しい顔に不遜な態度で、不躾な視線を寄越すばかりだったが、四人で行動するうちに打ち解けてゆく。
東京へ帰った後、逢衣は彩夏と急速に親しくなった。やがて恋人との間に結婚の話が出始めるが、ある日とつぜん彩夏から唇を奪われ、「最初からずっと好きだった」と告白される。

彼女の肌が、吐息が、唇が、舌が、強烈な引力をもって私を誘う――。
綿矢りさ堂々の新境地! 女性同士の鮮烈なる恋愛小説。


【著者プロフィール】
綿矢りさ(わたや・りさ)
1984年京都府生まれ。早稲田大学教育学部卒業。2001年『インストール』で第38回文藝賞を受賞しデビュー。2004年『蹴りたい背中』で第130回芥川賞を受賞。2012年『かわいそうだね?』で第6回大江健三郎賞を受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 逢衣は、彼氏の颯と行った旅行先で、颯の幼馴染である琢磨とその彼女の彩夏に出会う。
    芸能活動をしている彩夏の無愛想で近寄りがたい雰囲気に、当初は苦手意識を覚える逢衣だったが、4人で過ごすうちに打ち解け、東京に戻った後も2人で親しく遊ぶようになる。
    そして彩夏からの突然の告白。あり得ないと激しく拒絶する逢衣だが、いつのまにか狂おしく惹きつけられている自分に気づく…。

    綿矢さんの作品には、本気のコメディと本気のシリアス(日本語おかしい?笑)に分けられると思うのだけど、本作は完全に後者です。話の雰囲気としては、綿矢さん第三作の『夢を与える』に近いような。それがさらに洗練されて、とても純度の高い恋愛小説に仕上がっていた。
    とはいえ、2人の会話はとても軽妙でユーモラス。

    "「不思議なんだけど逢衣の側にいると私の身体にも心にも化学反応が起きるんだ。バスルームで塩素系のカビ取り剤と酸性の洗剤を混ぜちゃったら有毒ガスが発生するでしょ、たとえは悪いけどまさにあんな感じ。胸が切なさでいっぱいになって、引き寄せられるのが止まらなくなる」"
    この話の流れに有毒ガスを出してくるセンスが大好き(笑)

    磁石のように引き合い、互いを求め合う2人。タイトルのとおり、"生のみ生のままで"愛し合う。
    だけどそんな2人に試練が…。
    芸能人だからいけないのか、女同士だからいけないのか。
    芸能人であっても、人が人との結びつきを求めるのは当たり前だし、人を愛するのを制止することはできないよね。某アイドルの結婚報道見てても思ったけれど、いい年した大人が結婚の意思を表明しているのを、外野がヒステリックに反対するのは見苦しい。
    それに、LGBTの友人カップルが複数いて、同性愛も私の中ではタブーでなくなっているから、そんなにセンセーショナルなことなのかが最早わからない。

    上巻で200頁足らずなので、他の作品だと上下巻合わせて一冊にしてしまう分量なのだけど、中身が恐ろしく濃厚で、だんだんくらくらしてくるから、上巻終わるあたりで一息つくくらいがちょうどよかった。2人の続きが気になる。 

    ★4.5

  • これは素晴らしい小説。

    女性同士の切なくて美しい恋愛小説。
    逢衣と彩夏はとても素敵なカップルでカッコ良い。

    上巻は一気に読んでしまった。


    P147 逢衣と彩夏が愛し合う場面
    ー 生のままの酒を口移しで無理やり飲まされて、気づけば自分から飲み干しにいっているような。

    ー 常識も世間体も意識から鮮やかに取り払い、生のみ抱きしめて、一糸纏わぬ姿で抱き合えば、こんなにも身体が軽いとは。


  • 一目で恋に落ちてしまう.しかも女性同士で.そういうこともあるだろう.情熱的であるはずなのに,どこか遠くから眺めているような淡々とした語り口.ただ相手が芸能人だということで,この恋愛模様が暗礁に乗り上げる.下巻の展開が気になるが冒頭の文章からあまり幸せな結末を予想できない.

  • 結婚しようと思ってた相手がいたのに
    出会ってしまった。
    それも同性。

    世の中のアンチ同性愛の人は
    出会ってないだけなのかもよ。

    もうちょっと二人が恋に落ちるのに
    必然がほしい気もしたけど
    恋ってそんなものかもね。

    同性と恋なんて!やめて!キモイ!
    と言ってた主人公が
    あんなになっちゃうんだもんね。
    (そのへんがちょっと簡単に覆りすぎる感もあったんだけど)

  • 2人の出会いから惹かれ合っていくまでの急展開に圧倒されながら読んだ。
    完全拒否から突然彩夏を受け入れてしまう逢衣の心変わりに、嘘でしょと思いつつ、案外こんなものなのかもと思わされる不思議。
    男2人が不憫だけど良い人すぎてなんだかリアル。
    ストーリー性があって、感情のアップダウンが結構激しくて、続きが気になる。
    下巻も早く読みたい。

  • 決断力のある主人公たちが羨ましい。
    ラスト、このご時世で同性同士で付き合ってることを悪く書くようなマスコミがいたらそちらの方が気分が悪い。
    などと思いながら下巻へ

  • 彩夏と出逢った夏、逢衣には結婚を意識する恋人(男性)がいて、
    芸能界で活躍し始めた彩夏にも隠れて付き合う恋人(男性)がいた。

    女友達として彩夏と仲良くなったつもりの逢衣だったが、彩夏は初めから逢衣に恋をしていた。

    急速に距離を縮めてくる彩夏を拒否していた逢衣も、結局は彼女を受け入れた。そして恋人(男性)と別れた二人は一緒に暮らし始める。

    憧れの出版社で働き始めた逢衣と、芸能活動をより頑張り始めた彩夏。二人だけの秘密の愛を育む甘い生活。

    充実した毎日を送っていた二人を引き裂いたのは隠し撮り写真。
    二人が口づけしている写真が週刊誌に載らないよう、もみ消した事務所の統括部長は、大活躍中の彩夏をスキャンダルで汚すわけにはいかないと言い、二人に別れを迫る。

    ---------------------------------------------

    一目惚れをした彩夏が想いを伝えて、逢衣もそれに応えて、愛し合い始めた二人が困難を乗り越えながら一緒に成長していく、という恋愛小説としては王道のストーリーだと思う。

    ただひとつ王道じゃないのは、二人が女性同士だった、という点なんだけど、”女性相手に恋愛をしていいのか”と葛藤する逢衣の描写がものすごくよかった。

    逢衣も彩夏も元々同性愛嗜好はなくて、お互いを人間として愛し始めたんだと思う。でも愛を確かめ合うには身体の交わりも必要なわけで、身体の接触に積極的な彩夏とそれに戸惑う逢衣の感情の対比が抜群に良い。
    逢衣にだけ無防備な姿を見せる彩夏、最高。
    これは絶対に映像化するべき作品。歴史に残る名作になるはず。もちろん18禁でやってほしい。

    事務所の力で引き裂かれそうになる二人の愛にドキドキしながらも、どうせ結局は明るい未来が待ってるんでしょ、となめ切った予想をしながら下巻も続けて読む。

  • 『女性同士の鮮烈なる恋愛小説!』とのこと。正直全く興味がない分野なのだが、新刊コーナーにこれしかなかったのでトライ。彼氏もいて幸せだった逢衣が、偶然出会い友人になったタレントの彩夏。しかし突然キスされ告白された。「最初から好きだった」戸惑う逢衣だがー。これ、評価が難しい。始めは展開もチープだな...と思っていたが、女性同士の官能シーンは生々しさと美しさの匙加減がなかなかで、思ったより悪くない。でもどうも私、逢衣が好きになれないんだよな。だからあまり移入できない。え、下巻??続きは気になるけどどうしよか..

  • ★3.5
    女性同士の恋愛小説で、好きになった相手も女性だっただけ。相手を慈しむ気持ち、相手に触れたいという気持ちは、男女間の恋愛と何ら変わりない。むしろ、女性同士の秘めた恋という背徳感が、さらに二人を強く結び付けた気もする。ただ、セックスが描かれていても綺麗さが勝ってしまい、どうしようもない生々しさを感じられなかったのが残念。女性同士でも普通の恋愛で、こんなに綺麗なだけじゃないと思う。それでも、著者の綴る言葉は好きなのだけれど。悪意によって引き離された逢衣と彩夏、一体どんな結末を見せるのか。いざ下巻へ!

  • 彩夏のイメージがすごくつく。こういう子、いる。それと同時に逢衣のイメージもすごくつく。同じくこういう子、いる。2人が揃って怖いと思われるのもわかる。絶対怖い。色気とか美しさ云々じゃなく、怖い。
    女同士の純愛だと知らず読み始めたのでびっくりしましたが夢中になりました。下巻も楽しみ

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著者プロフィール

1984年京都府生まれ。2001年『インストール』で文藝賞を受賞して作家デビュー。04年『蹴りたい背中』で芥川賞、12年『かわいそうだね?』で大江健三郎賞を受賞。ほかの作品に『夢を与える』『勝手にふるえてろ』『ひらいて』『しょうがの味は熱い』『憤死』『大地のゲーム』『手のひらの京』などがある。

「2018年 『100万分の1回のねこ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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