チンギス紀 五 絶影

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087711967

作品紹介・あらすじ

ついに、あの「剣」が、テムジンの手に!?
英雄たちのもとで、夥しい血を吸ってきた剣は、それを持つべき者を探していた……。
衝撃の展開が待ち受ける、好評第五巻!

同じモンゴル族のタイチウト氏との戦いに挑むテムジン。疾駆するテムジンの軍が、敵の長・タルグダイの隊に届くと思われたとき、新たな旗が現れる。そこには、草原最強の男・玄翁が、テムジンを待ち構えていた。玄翁の自在に動く50騎と、テムジンの隊との凄絶な戦いが始まる。テムジンは配下の槍の達人ジェルメ、強弓のクビライ・ノヤンとともに玄翁軍とあたり、草原を血に染めていく。結着がつかないなかで、玄翁はテムジンに驚くべき提案をする。それを聞いたテムジンは……。

【著者略歴】
北方謙三(きたかた けんぞう)
1947年佐賀県唐津市生まれ。中央大学法学部卒業。81年『弔鐘はるかなり』でデビュー。83年『眠りなき夜』で第4回吉川英治文学新人賞、85年『渇きの街』で第38回日本推理作家協会賞長編部門、91年『破軍の星』で第4回柴田錬三郎賞を受賞。2004年『楊家将』で第38回吉川英治文学賞、05年『水滸伝』(全19巻)で第9回司馬遼太郎賞、07年『独り群せず』で第1回舟橋聖一文学賞、10年に第13回日本ミステリー文学大賞、11年『楊令伝』(全15巻)で第65回毎日出版文化賞特別賞を受賞。13年に紫綬褒章を受章。16年「大水滸伝」シリーズ(全51巻)で第64回菊池寛賞を受賞。『三国志』(全13巻)、『史記 武帝紀』(全7巻)ほか、著書多数。

感想・レビュー・書評

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  • 第五巻。

    これまでにも何度も小競り合いを続けている、タイチウト氏との戦いに挑むテムジン。
    敵の長・タルグダイの隊を追い詰めたと思ったその時、またしても玄翁with精強五十騎隊が、テムジンの前に立ちはだかります。
    両部隊が壮絶なぶつかり合いを繰り広げる中、玄翁はテムジンに、一騎討ちの提案を持ちかけてきて・・。

    おおおお・・・ついに来ましたー!
    と、いう感じで、玄翁の正体とテムジンとの驚きの関係がここで明かされます。
    薄々気付いていた方も多いようですが、やっぱり“あの人”でしたね!

    ※一応ネタバレフィルターをかけておりますが、ここからガチでネタバレになりますので、改めてご注意お願いしやす!※

    では、気を取り直して(?)、私の予想通り玄翁の正体は胡土児でした~。
    しかもそれだけでなく、テムジンの実父だったことも判明・・・と、いうことは楊令の孫!!
    いやぁ、“大水滸シリーズ”と繋がってきましたね~。
    読む人によっては、チンギス・ハン(北方さんは“カン”の読みでいくみたいですが)と北方水滸伝のオリジナルキャラを血縁にすることに賛否あるかもしれませんが、個人的には“おおいにアリ!この作品自体がフィクションだし、これぞ北方ロマンでしょ!”と思っております。
    そんな訳で、あの“吹毛剣”を受け継いだテムジンは、沙州楡柳館を訪れ、そこを統べる宣凱から梁山泊と楊令のことを聞かせされるという胸アツ展開です。
    懐かしの宣凱の登場にも“おおっ”となりますが、彼から自分のルーツを聞かされたテムジンの、
    「昔、男たちがいた。そして、新しい国を作ろうとした。俺の躰には、その血が流れているらしいことがわかった。」
    ・・という台詞にグッときますね。

    あとは、終盤で“泣き虫ボオルチュ”がテムジンの妹・テムルンを救う為、“男・ボオルチュ”を発動したくだりも好きでした。
    ボオルチュとテムルンが何だかええ感じになっているので、二人の仲が発展するのか見守りたいところです~。

    何気にこの巻は、草原の内外で色々動きがあったりしたのですが、私的には“受け継がれた吹毛剣”の巻”でございまいした。

    こうしてみると、この『チンギス紀 』。単体で読んでも良いですが、やっぱり“大水滸シリーズ”とセットで・・なんなら『楊家将』『血涙』から読んで頂くことをお勧めしたいですね。

    • あやごぜさん
      kuma0504さん。 コメントありがとうございます♪

      いやぁ。受け継がれていました“吹毛剣”!
      まさに「大吹毛剣シリーズ(ですよね...
      kuma0504さん。 コメントありがとうございます♪

      いやぁ。受け継がれていました“吹毛剣”!
      まさに「大吹毛剣シリーズ(ですよね?)」の呼び名はピッタリです!
      文庫化早よ!って感じですね~。
      2024/04/02
    • kuma0504さん
      あやごぜさん、
      恥ずかしい。すみません‥‥(>人<;)

      ちなみに、このシリーズ、5巻目でいつも大きな出来事が起きます。楊志が亡くなったり、...
      あやごぜさん、
      恥ずかしい。すみません‥‥(>人<;)

      ちなみに、このシリーズ、5巻目でいつも大きな出来事が起きます。楊志が亡くなったり、方臘戦の決着、呉用の死亡。そしてチンギス紀では、吹毛剣の継承ということになるのかな。どんな風にそれが行われるのか?早く読みたいです。
      2024/04/03
    • あやごぜさん
      kuma0504さん。 (⁎•ᴗ‹。)v

      おお!“5巻の法則”、確かにその通りですね ( ゚д゚)ハッ!
      教えて頂いて、初めて気が付...
      kuma0504さん。 (⁎•ᴗ‹。)v

      おお!“5巻の法則”、確かにその通りですね ( ゚д゚)ハッ!
      教えて頂いて、初めて気が付きました!凄い!
      2024/04/03
  • タイチウト氏との戦いでついに玄翁と。壮絶な戦いの後、玄翁はテムジンにあることを告げる。そして、やがてある剣がテムジンのもとに送られてくる。
    玄翁の正体が語られ、テムジンとの繋がりも明らかになった。驚くべき内容の巻だった。北方さんの壮大な世界に入ってきてしまったな、楊令伝、読まなきゃね。衝撃があったけれど、テムジンのお話はまだまだ続く。これ以降、これより衝撃的な内容があるのだろうか、楽しみでならない。

  • 前半は、まるで全盛期のジャンプみたいです。北斗の拳だ!超かっこいい。北かた先生やばいです!

  • 衝撃の展開があり、物語が大きく動いた感じ。
    登場人物も増えて、少々混乱した所もあったが、続きが楽しみ。

  • 感想
    物語が大きく動く。テムジンは遂に玄翁を討ち果たす。そして、玄翁が父親であったこと、胡土児であったこと、吹毛剣を受け継ぎ、テムジンの世界が一気に広がる。

    瑜柳館との交易も始め、狗眼一族を使って情報・通信網も整備した。次のステップへの待ち期間を経て、次に大きく飛躍するのか?

    あらすじ
    タイチウトが全軍1万5千騎でテムジンを攻めてきた。テムジン軍は3戦5百騎。玄翁も戦に出てきた。テムジン軍はタイチウトに優位に戦を進めるが、玄翁と対峙し、最後はテムジンと一騎討ちに。見事、玄翁を討つも自分の父親だと言われる。

    玄翁は胡土児だったのだ。テムジンは胡土児から吹毛剣を受け継ぐ。瑜柳館まで出向き、梁山泊生き残りの宣凱翁と会い、楊令や梁山泊のことを聞く。

    ケレイト王国がメルキト殲滅のために戦に出たが、トクトアに逆にやられる。ケレイトはそのまま攻め込み、トクトアを追い詰める。

  • 読んだ気になって、すっ飛ばしていた5巻を、最新刊の7巻読む前に読む。6巻がそれまでの物語の一つの大きな節目だったとすれば、この5巻は山場に向かっていくじりじりとした高揚感がある。正直、6巻は話が上手く行きすぎて物足りない感もあったけど、この5巻を読んでからだったら、違う印象を抱けたように思う。

  • 遂に玄翁との決着がついたかー。もうテムジンがタイチトウと戦うたびにドキドキしながら読んでたけれど、これで一つの幕が終わったな。
    この物語はどの殿もいい漢の姿が描かれていて全体が気持ちのいいくらいに北方ワールドで、無駄が無い。
    ただ、そうなると名前が違うだけで殿以外の人物がすべて同じような人物のように見えてしまう。
    「俺もそうありたい、と思います」
    どの副官も同じ台詞なのが笑わせるが、この北方ワールドでは許される。
    舞台はモンゴル平原からだんだんと広がってきて、どの武将からも目が離せない!

  • 前半のクライマックス!
    宿敵との戦い、知らされる真実、草原に立ち込める一触触発の雰囲気…
    大水滸伝では嫌な敵が多かったけど、本作はどの部族にも物語があり肩入れしてしまう。
    史実と絡めてテムジンがどう統一していくのか後半戦が楽しみ!

  • チンギス紀 五 絶影
    北方謙三

    ∞----------------------∞

    テムジンと玄翁の戦い。
    一騎打ちの途中で「お前は俺の息子だ」は、ずるい。
    ホエルンにも玄翁が父だと言われる。
    メルキトに囚われてた時は羊の皮を女陰に詰める避妊具を使ってたけど、玄翁が現れた時は付けてなかった。それが玄翁が父である理由。

    玄翁に関する金国の人名が出てきたあたりから難しくなってきた。漢字の名前の読みにくさ。

    タルグダイとラシャーンのシーンが好きなんだけど、噛んだ肉の口移しってタルグダイは味とか興味無いのかな?ってとこはすごく気になる。

    トクトアの森の中も好きなんだけど、ダルドが死んだ時の悲しみが今まで亡くしてきた兵には感じなかったと言うのが、兵にとったらかなり辛い。

    それぞれに若者も多く出てきたので将来が楽しみになる。

    拳ほどの大きさの干し肉が湯で戻すと子供の頭くらいに膨れ上がるくだり、初めの頃は何度も出てきたのに、出てこなくなってなんだかちょっと寂しい。

    2023/02/08 読了 (図書館)

  • ここのところ数巻は、似たような流れで、前巻の予兆に続いて前半で大きな流れがあり、そこから次巻の流れに向けた準備・伏線が張られていくというような。

    第五巻では、タイチウトのタルグタイと、キャト族のサチャ=ベキの連合軍1.5万騎とテムジン軍3.5千騎の戦いから始まる。数の差は圧倒的だが、個々の兵の質、部隊運用、後方撹乱、矢や馬の補給体制、鉄の鏃など武具の質、臨機応変に対応する将の質などあらゆる面でテムジン軍が上回り、兵力差をものともせずに鎧袖一触。

    但し、テムジンの真の狙いは出てくるであろう玄翁との対決。そしてそれは、タルグタイを守るための出馬を要請するラシャーンの意図は別として、玄翁自身の狙いでもあった。

    壮絶な戦いの後、お前は俺の息子だという言葉を残し、玄翁は逝く。

    そこから暫く種明かしの章。母のホエルン、玄翁の部下、沙州楡柳館の交易商人である宣凱の証言で、以下が明らかとなる。
    ・テムジンの真の父親は玄翁、本名は金の胡土児。金の王族の養子。
    ・玄翁の父親は楊令(水滸伝シリーズと繋がる)
    ・そこから受け継いだ吸毛剣がテムジンに渡る。
    また、この縁で沙州楡柳館とモンゴル族の交易上のつながりも生まれる。これが本巻の一番のクライマックス。

    次の山が、ケレイト対メルキトの二回戦。ケレイトは分進合撃の構えでメルキト領に侵攻するが、召集兵力に劣るトクトアは、逆にケレイト領に入ってトオリル=カンを奇襲。ジャカ・ガンボの機転で何とか一命を取り留めたケレイトは反撃に転じる。撤退中のトクトアは、これまた乾坤一擲の奇襲攻撃をかけてきたジャムカに重傷を負わせられるものの、何とか逃げ切る。これで状況は膠着。結局、三勢力が関わったが誰も勝者なしの状況。

    本巻最後の動きとしては、長年提携関係にあった金とタタル族が反目し、大規模な戦雲を巻き起こし、テムジンは自ら金に近づいてタタルを討つ構えを見せるところ。この戦いが次巻前半のクライマックスになるのではと。

    なお、この巻のサイドストーリーとしては、世代交代の波が来始めていること。主人公のモンゴル族キャト氏は、ガンガン人集めをするので人材煌びやかだが、ケレイトではダメ皇子のセングムが一年の追放を経て真人間に。メルキトでは、トクトアがジャムカに奇襲された穴を埋めた若い氏族長のアインガに次世代メルキトの期待を込めて厳しく育成する。

    タイチウトの顔ぶれは相変わらずだが、ラシャーンが辣腕政治家としての腕をふるい、タルグタイも内政に関しては安定を見せる。まて、テムジンとの戦いで戦備の差を目の当たりにして、ラシャーンの砂金を元手にした交易で鉄を継続的に輸入して戦備強化を図る。

    その中でどこか寂しいのがジャンダラン。サーラルという若手の将校が加わったくらいで、戦士ホーロイくらいしか人が居ない、先が見えて来たのか。

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著者プロフィール

北方謙三

一九四七年、佐賀県唐津市に生まれる。七三年、中央大学法学部を卒業。八一年、ハードボイルド小説『弔鐘はるかなり』で注目を集め、八三年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞、八五年『渇きの街』で日本推理作家協会賞を受賞。八九年『武王の門』で歴史小説にも進出、九一年に『破軍の星』で柴田錬三郎賞、二〇〇四年に『楊家将』で吉川英治文学賞など数々の受賞を誇る。一三年に紫綬褒章受章、一六年に「大水滸伝」シリーズ(全五十一巻)で菊池寛賞を受賞した。二〇年、旭日小綬章受章。『悪党の裔』『道誉なり』『絶海にあらず』『魂の沃野』など著書多数。

「2022年 『楠木正成(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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