革命のライオン (小説フランス革命 1)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 39
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087712179

感想・レビュー・書評

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  • ベルばらでお馴染みの人物達ーミラボー、ロベスピエールなどーが登場するけれど、描かれ方は違っていて(ミラボーが非常に魅力的で、ロベスピエールが意外にヘタレ)面白かったし、経緯ももっと詳細まで理解できた。
    三部会が開催され空転するまでは、ルイ16世は平民に人気があったり、不可侵の存在だと思われていたり…ということも、王家は憎まれていたのだろうと思っていた私にとっては新鮮で、驚きだった。王政側と平民とで全く相互理解が成り立っていないのも、革命の行く末を知っている人間からみると、こんな些細な(?)行き違いからあんな革命が起こったのかと思うと、不思議に感じられた。

  • ついついベルばらを思い出しながら読んでしまいます;革命前夜。ロベスピエールの初々しいこと。ミラボー伯の覇気溢れること。中世フランスの矛盾が血を噴き出すその瞬間が非常に読みやすくえがかれています。面白い!バスティーユ陥落まで秒読みです。でもルイ16世はホントに憎めない人です;

  • フランス革命前夜という感じで、盛り上がりの一歩手前で終わる。主にミラボーとロペスピエールの視点で話が進む。中盤から後半にかけてやっと面白くなってきた印象。

  • 一度フランス革命をしっかり知りたいと読みやすい小説に手をつけた。
    今まで勝手に思い込んでいた事がガタガタと崩れて、リアルな、今と対して変わらないフランスの人々の心情が浮かび上がってきた。

  • 長い長いフランス革命物語の始まり部分。今までいくつかフランス革命の本を読んだが、ようやく革命がどのような雰囲気だ始まったのかがなんとなくわかった気がする。全国さん深いとはなんだったのか、国民議会とは何なのか、国王と民衆は決して敵対する存在ではなかった、などといったことがようやく少しわかった。この作者の独特の文体もおもしろいし、読みやすい歴史小説。

  • 破産に瀕したフランス国王ルイ16世は、全国三部会の開催を決定。
    1789年、聖職者代表の第一身分、貴族代表の第二身分、平民代表の第三身分、ぞれぞれの議員が全国から選出され、ヴェサイユへ向かう。第三身分に選出された議員の中には若き弁護士・ロベスピエールや、聖職者シェイエスの姿もあった。
    特権二身分の差別意識から、なかなか進展しない議会に業を煮やした第三身分議員たちは、自らを国民議会と宣言。貴族でありながら第三身分の指導者であるミラボーの裏工作も功を奏し、第一身分から第三身分に合流する議員が出始め、議会はようやく動き出す。
    そんななか、国王が国民議会に解散を要求し、国民に人気のある平民大臣ネッケルを罷免、人民の怒りは頂点に達し、フランス各地で暴動や一揆が起こり始める。


    フランス革命に興味はあっても「ベルバラ」での知識しか持っていないので、大好きな佐藤賢一氏のシリーズをこの機会に読み始めました。

    民衆が立ち上がったフランス革命。
    その魁となったフランスの財政破綻に端を発する全国三部会。
    第二身分(貴族)でありながら第三身分(平民)として立ち上がった、リーダー格のミラボーの獅子奮迅の働きぶり、頭の切れっぷりが気持ちよすぎます。
    主たる登場人物はミラボーとロベスピエール、この二人の今後の変化が楽しみです。

  • フランス革命を舞台にしたお芝居とか良く見るわりに全然わかってなくて、ミシュレの「フランス革命」で概要を知ろうと思ったけどなかなか進まないのでいったんあきらめ、こっちのほうが初心者向けかなと。面白い!「革命のライオン」は三部会開催から球戯場の誓いを経て、軍隊(近衛兵)が出動し、きな臭い雰囲気になってくるあたりまで。ミラボーが主役級で若い頃のロベスピエールが現実と理想の折り合い、政治工作駆け引きのノウハウなど彼に薫陶を受ける。
    ネッケルが重要人物ってことは知ってたけど、どういう意味で重要なのかわかってなかったし、税金逃れたい貴族たちと財政に苦しむ国王の間の距離感も理解してなかった。事象としては知っていたけど、この本で読んで初めて理解が出来た。第三身分の平民が最初は決して国王に憎しみを抱いてなかった(少なくとも議員連は)ということも結構驚きで、この後、処刑に到る経緯も気になる(ヴァレンヌ逃亡も、こうした最初の状況があって初めて理解ができそう)。
    物語は「フランス革命の象徴」であるロベスピエールの成長譚になっていくと思われるが、「真の理想のためならどんな手段も」と思うくだりに既に胸が詰まる。最初の師であるミラボーの影響がずいぶん大きいのも今後重要になってきそう(このあたり小説だから史実と違うのかもしれない)。ミラボーは最初期の革命を支えた超重要人物だったということも改めて良くわかった。何かもうじき死にそうなので心配です。あとはまだデムーランとリュシュル(タレーランも名前だけ)がちらっと出てきたくらいだが、このあと続々と“人物”が出てくるのかと思うとめまいがする。

  •  フランス革命は漫画ですが「ベルサイユのバラ」を熟読したので、かなり頭に入っていました。
    しかし、この物語はミラボーやロベスピエールが主人公なので、全く違った視点から描かれていて、あのミラボーが人気なのにびっくり、といった感じです。
     国王が招集した、全国三部会での、第三身分、つまり平民代表を馬鹿にした貴族や聖職者が、もちろん自分の利益のためであるけれども、だんだん変わっていくさまが、今も同じような気がします。
     そして、まだ民衆に根強く残っている国王への信頼を、軍隊を出動させてしまう事で、簡単に裏切っていくルイ16世が悲しい。

  • フランス革命大河小説。記念すべき第1巻冒頭に登場するのは、やはりルイ16世。それと彼に仕える財務大臣ネッケル。革命直前のフランスは聖職者と貴族、平民の3つの身分に別れ、税を課せられるのは国民の9割を占める平民ばかりであった。そこで、ネッケルは税収を増やすために平民以外から税を取り立てたい。しかし、そこに立ちはだかるのは、議会における聖職者と貴族議員の強力な権力であった。

    彼ら聖職者と貴族の賛成がなければ、増税法案は通らない。かくして聖職者・貴族VSネッケル・平民の第三部会が開催される。議会の中心となるのは貴族身分を捨てて、平民議員のリーダーとなったミラボー。そして、彼を師と仰ぐ、ロベスピエール。

    国王は軍隊を繰り出し、ネッケルを罷免。貴族と聖職者は平民を第三部会から追い出し、平民は自分たちだけの議会を作って球戯場に立てこもる。

    ミラボーを中心に革命直前の一触即発のフランスを描いた第1巻。ミラボーの暴れっぷりには魅了されるが、ルイ16世がただの凡才として最初に登場しただけなのは物足りない。フランス革命の主人公はなんだかんだ言ってもルイ16世だろう。

  • 久々歴史もの読んでみた。
    佐藤さんは硬いな。読んでいて肩こるな。
    でもやっぱフランス革命は面白い。

    ミラボーが英雄で、ロベスピエールがたよりない、なんか今までの印象のちがう。
    これからどうなっていくのか楽しみだわ。

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著者プロフィール

佐藤賢一
1968年山形県鶴岡市生まれ。93年「ジャガーになった男」で第6回小説すばる新人賞を受賞。98年東北大学大学院文学研究科を満期単位取得し、作家業に専念。99年『王妃の離婚』(集英社)で第121回直木賞を、14年『小説フランス革命』(集英社/全12巻)で第68回毎日出版文化賞特別賞を、2020年『ナポレオン』(集英社/全3巻)で第24回司馬遼太郎賞を受賞。他の著書に『カエサルを撃て』『剣闘士スパルタクス』『ハンニバル戦争』のローマ三部作、モハメド・アリの生涯を描いた『ファイト』(以上、中央公論新社)、『傭兵ピエール』『カルチェ・ラタン』(集英社)、『二人のガスコン』『ジャンヌ・ダルクまたはロメ』『黒王妃』(講談社)、『黒い悪魔』『褐色の文豪』『象牙色の賢者』『ラ・ミッション』(文藝春秋)、『カポネ』『ペリー』(角川書店)、『女信長』(新潮社)、『かの名はポンパドール』(世界文化社)などがある。

「2023年 『チャンバラ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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