右岸

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 883
レビュー : 169
  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087712346

感想・レビュー・書評

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  • やっと読み終えた。左岸から始まって右岸を読み終わるまで、どのくらい時間をかけただろう。左岸は1ヶ月10日、右岸は9日かかった。時間をかけた分、終わってしまった淋しさが残った。しかも、この本を読んでいる間、自分自身が壊れていくようでもあった。生活の一部として、没頭して読んでいた。
    左岸は、茉莉が主人公で、右岸は九が主人公である。読む順番があっていたことに満足する。波乱な茉莉の人生によく現れる九の存在が、九から見るともっと波乱で、二人の人生がこのようになっていくのも、惣一郎の死が深く関係している。その呪縛から逃れられず、常に幸せのあとに悲しみが待っているが、それでも納得のいく人生の終わり方へ進んで終わった。
    結局、茉莉と九は幼なじみで終わり、恋人にはなっていない。だが、惣一郎の生まれ変わりとなった九の息子と、茉莉の娘が先々結婚し、産まれてくる子供3人が九の父、母、銀次の生まれ変わりなことを予感するのである。
    余りにも、いろんなところで繋がっていく人間関係も見応えがあったと思った。

  • 江國 香織さんの「左岸」の対になる作品。
    左岸の主人公茉莉の幼馴染というかソウルメイトというか、恋心を持ちつつも結ばれることはなかった祖父江九の半世紀。

    うーん、「左岸」は結構面白く読めたのですが、この作品はちょっと自分的には微妙…。
    超能力とか亡霊とか、スピリチュアルなことと絡ませながら人生の意味を描こうとしているのですが、なんだかちょっと胡散臭く感じてしまいました。
    なんだろう、各章のあとに付記されている「祖父江九の黙示録」なる文章が、まぁ良い事言ってるんですが、新興宗教の入門書のような隔世感を感じてしまったのは、ワタシがひねくれているからでしょうか。
    (太文字で強調されている文章がときたまあるのも、ちょっと…個人的には強調文字にしないほうがまだ素直に受け取れたかもしれません)

    「左岸」は茉莉側の視点だったため、おぼろげだった九の人物像が詳しく描かれていたのはよいのですが、なんとなく「左岸」読了後に期待していたほど魅力的ではなかったような気がします。

    スピリチュアルのモチーフがあまり活かされず、ストーリーがあちこち行き当たりばったりになっているかなぁ…と思いました。(フランスの超能力研究所とかあの辺の設定が)

    亡き惣一郎という偉大な大河の右岸と左岸に分かれ、けして交わることのできない茉莉と九。
    だが、河がある限りその右岸と左岸は寄り添いながらたゆたゆと静かに流れていく…という雰囲気だけは伝わったかな、と思います。

    自分的には期待しすぎて読んだのでちょっと辛口ですが、「左岸」を補完する意味で読了しました。読み返しはしないかな。

  • 右岸→左岸の順番。
    個人的には正解かも。
    左岸は、活字がしっかりして、やや説明的すぎるきらいがある。
    ただ読了後に、どっしりと響くのも、人生とは…ってなるのも左岸。
    好みの問題だけれど。
    能力と人間に振り回された青年が、どこへどう辿り着くのか。

  • *

  • 「冷静と情熱の間」以来の辻仁成と江國香織のコラボレーションということで、非常に大きな期待をもって手に取ったが、辻作品だけを読んだ現時点では前作ほどの出来ではない印象。二人の主人公の半生を描く大作であり、ページ数も多い上に突飛な人物設定もあり、あまり読み易い作品ではない。ただ、読み進めて行くにつれ、突飛ながらも主人公の置かれた状況がだんだんと馴染んできて、素直に受止められるようになるので、最後にはある種の感慨を持って本を閉じることができた。作家としては辻仁成よりも江國香織の方が断然好き(本作も左岸を読むために読んだようなもの)なので、これから「左岸」を読むのが楽しみ。

  • 超能力とかカルト教団的なアレとか背後霊とか生まれ変わりとか、どことなくオカルトだったけどそこまでじゃなかったかな。
    ただ九ちゃんの巨根ネタがなんか・・・凄いよ!なんかこう・・・アレだよ!!
    それなんか超能力と関係あんのか!!?あるの!!!??

  • 江國香織の左岸と対をなす作品。
    祖父江九が主人公の本。
    幼い頃からの超能力、惣一郎の死から身の回りで起こる死。
    寺内茉莉、惣一郎、新、父母、銀次、黄色いおババ、ネネ、阿弥、彬子、敏彦…
    それぞれとの出会い、関わり、別れ。

    フランスでの情景がきれいで、人間らしく、好きだった。
    文章の表現が非常に男性的なところがあり、良くも悪くもグロい…と思うところあり。男性のアレって大きい人は顔の前までくるの?

    左岸を読んでから右岸を読んだけど、逆だったら印象が違うはず。茉莉という人間を知って右岸を読んだので、すーっとは入ってきた。

  • 祖父江九のサイドの物語。

    九ちゃんの大まかな人生を「左岸」で知ってから読んだので、安心できたのと、それにもかかわらずハラハラさせられるという不思議な本でした。

    超能力をもって生まれた九ちゃん。
    スプーン曲げに始まり、空中浮揚、スポーツカー浮遊なんかもこなしていき、サーカスで働き、フランスに渡り、事故に遭って帰ってくる。一部記憶喪失となり、教祖として崇められ、記憶を取り戻し、またサーカスで働き、生き別れた息子と再会する。

    普通の人ではなかなか味わえない人生ですよね。それを疑似体験できるという読書ならではの醍醐味を味わいました。

  • 記憶の中の声、その言葉がこの話を読んでいて最もしっくりきたテーマです。

    主人公の祖父江九はたくさんの人と出会い、それと同時に心を削られる別れを繰り返している。

    普段生活していてもふとした瞬間に昔の知り合いの何気ない言葉が蘇ってきたり、心の中にはたくさんの人がいるんだなと改めて感じました。そうやって知り合った人との関係の中で人生の豊かさが生まれる一方で、それを失うことは心がえぐられるぐらい辛いものであるんだろうなと思います。

  • ハードカバーで見開き2ページの2段組になっている500ページにも及ぶ大長編小説‼︎

    主人公 祖父江九は超能力をもつ子。
    彼の幼少期から初老?のまで50年に及ぶ人生を幼じみ茉莉のことも頭をよぎりながら送る。

    茉莉の兄、惣一郎の自殺、父が元ヤクザにより祖父母に育てられること、つかの間の親子3人の生活。父の死、母の愛人への嫉妬、サーカス団に入ることになったこと、オババとの出会い、マスコミに騒がれ、世界を放浪し、パリで出会ったネネとの結婚、子阿弥とネネとの突然の別れ、そして帰国。母と愛人の経営するラブホ上の植物栽培、サーカス団との再会、オババとの別れ、彬子との婚約を踏み切れない葛藤、そして、茉莉の子さきと阿弥の婚約…


    壮絶な人生だが、この大長編だからこそ、描ける人生。
    私には、この九の人生の半分ほどしか体験してないが、それでも、共に人生を味わったような気持ちになれるのが小説を読む醍醐味だと思う。

    終わりまで長かったが、読むのが嫌だとは思わなかった。
    むしろ、続きがどんどん気になっていた。


    最後は茉莉と九は結ばれるのかなーと思っていたけれど、最後までソウルメイト?幼じみ?のような存在のまま終わった。
    それはそれでいいのかも。


    右岸と左岸は交じり合わないというのが、この本の伝えたかったことでもあり、題名になっているのだと思った。

    左岸も読みたい。

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著者プロフィール

1959年東京生まれ。89年「ピアニシモ」ですばる文学賞を受賞し、作家デビュー。97年「海峡の光」で第116回芥川賞を受賞。作家、ミュージシャン、映画監督、演出家など、幅広く活動。現在パリにて意欲的に執筆活動を続けている。シングル・ファーザーの子育ても話題。近著に『愛情漂流』(竹書房)、『ママの小さなたからもの』(早川書房)、『人生の十か条』(中央公論新社)、『真夜中の子供』(河出書房新社)、『立ち直る力』(光文社)などがある。

「2019年 『84歳の母さんがぼくに教えてくれた大事なこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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