• 集英社 (2008年11月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784087712728

作品紹介・あらすじ

暴力で人は救えるか。渾身の長編
生まれ育った島が天災に遭い、天涯孤独の身となった信之。しかも彼は愛する幼なじみを救うためにある罪を犯していた。島を離れて二十数年、心を閉ざして生きてきた信之を、過去の秘密が追ってくる。

みんなの感想まとめ

暴力と人間の脆さをテーマにした物語は、天災によって引き裂かれた人々の心情を描き出します。主人公の信之は、幼なじみを救うために犯した罪と、過去の記憶に苦しむ姿が印象的です。年月が経ち、平穏な生活を送る信...

感想・レビュー・書評

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  • ある日、島を大津波が襲う。
    家族が眠ってから美花と落ち合う約束をしていた中学生の伸之は偶然にも難を逃れることができた。
    島で生き残ったのは、年下の輔と大人3人を合わせ、6人だけ。

    年月は流れ、信之は家庭を持ち平穏な生活を送っている。島で起こった事件を知る輔が信之の前に出現し、信之の生活に陰りが・・・。
    信之は今でも美花のことを思い、輔は信之に対してゆがんだ感情を抱いている。信之の妻も満たされない思いを抱いて生きていて、なぜだか幸せや平穏、安心とは逆の方へ流されていく。


    読んでいると、2年前の大震災を思い出し肌が粟立つが、あとがきによると、2006年に連載が始まったとあった。

    普段、しをんさんの直球勝負の小説が大好きな私としては、読むのが辛い話だった。東野圭吾の『白夜行』を思い出した。(あれ、続編のほうだったかな?)
    天災。犯罪。悪意のある女。振り回される男たち。

    一見、しあわせそうにしていても、人は脆く儚い。
    人々の暮らしを根底からひっくり返す災害に見舞われたら、心を閉ざしたりやけを起こしたくなる人もいたって不思議ではない。けれど、あまりに、希望のない毎日を送る登場人物たちがどこかで少しでも楽になってほしいと思うのに、そうはなりそうもない。

    タイトルの「光」を見いだせなかった。
    最後に信之の妻が持つ覚悟がそれだったか・・・?

  • えっ?私間違った?と表紙を確認。
    確かに三浦しをんとなっている。
    え?そうなの?
    そういうことなの?
    と、驚きは隠せない。
    どこかで、いつものしをん氏が登場しないかと
    思いながら読んだ。
    驚いた、ビックリした。

    それだけで、作品としては成功な気がする。

    何が暴力で何が非暴力か?
    どんな形での暴力でも、それは哀しい。

    誰の心も寂しくする。

  • 暴力、歪み、そういうものについて、桜庭一樹「私の男」よりずっとうまく書き込まれていると感じた。しをんはやっぱりそれなりに実力を持った直木賞作家で、でもやっぱり直木賞作家で。いやでもうまい。しをんのような大衆小説の上手さと純文学の真髄とをうまく語り得る言葉を探してしまう。人間の歪みはどこからくるのか、わたしたちが生きていくうえでふたをする閉塞感とか、もうどこにも逃げられないかもしれないとか、目に見えるわかりやすい暴力ではないけれど確かに暴力だったりするものとか、そういう日常を生きるうえでちょっとずつ見える影を、わかりやすく劇的にして、エンタメにして、世の中の多くのひとはこういうものをたのしく読んで、またがんばってふつうに生きてゆく。きちんと、それなりに。

  • 突然島を襲った大津波。一瞬で島民の命は喪われた。一夜明け、【光】が照らし出したのは、何も語らない死体ばかりの島。
    命拾いしたのは、民宿の娘で島で一番美しい美花とその恋人の信之。信之にまとわりつく輔。灯台守のじいさん。舟を出していた輔の父親と民宿に泊まっていた中年男。

    たくさんの命とともに流れ去った日常、覚えたての快楽・・・。絶望の中、美花を守るために信之はある罪を背負うことになるのだが・・・。

    時が経ち、家庭を持ち【良き夫】を演じる信之の前に、輔が現れたことから平凡な日々は歪み始めて・・・。

    天災・美女・献身・犯罪というテーマの類似性、東野圭吾の『白夜行』に似すぎている気が。。心理描写はしをんちゃんお得意だけど、ミステリ要素なら東野さんの方が上手じゃないかね。。松本清張さんもこの種のテーマ多いですが。。ちょっと『氷点』ぽい要素もありましたね。

  • この人の小説は、流れの激しい川のようだ。島にきた大津波で、三人の子供と、三人の大人は奇跡的に助かった。山の上から見える海に飲まれた自分たちの村には、光などどこにもない。家族を失い、バラバラに大人になった三人に、希望の光はいつさしはじめるのだろうか。彼らはいずれも不幸せで、そして愛が歪んでいる。父親に虐待されていた輔は、兄のように慕っていた信之に異常な執着心を見せる。そして信之は、美しい顔を持ち、島にいる間関係を持ち続けた美花の全てを愛す。ただ美花は…誰でもいいのだ。彼らの思いはすれ違い、相手に真意を伝える術もなく、醜く歪み、そして嫌な結末を迎える。作者の作品でも最も暗いと聞いた本作だが、読みはじめからとても嫌な予感が漂っていた。その空気は物語の結末周辺まで漂い、彼らを飲み干していった。彼らには絶望しかないように思えるがそうではなく、それぞれの光があった。輔は全てを終わらせてほしかった。信之は美花の願いならなんだって聞き届けたかった。美花は誰にでもいいから愛され、幸せに見える生活を送れるならばそれでいい。希望の光の形は、三人にそれぞれの形で叶ったのだ。こちらから見て、悲しみにしか溢れていない光でも。

  • 何なんだろうか。

    自分では光を照らしているつもりなのに、
    光を当てられた相手は、その光が作り出す闇に捉えられている。

    あまりに強い光は煩わしい。

    結局、いくら寄り添っても、人の心はその人にしか分からない。
    信用できる相手に自分の心のうちを伝えたとしても、心に堆積する汚泥は伝えるのを躊躇してしまう。

    澄んだ上積みを見せ、相手を納得させる。
    相手がその部分を信じて行動すると、汚いことを見せびらかし、私の事を理解していないと責める。

    自分じゃどうにもできない汚さをもっているのに、
    理解された振りをされるのも嫌な癖に、知ってほしい、認めてほしいと願う。

    人は結局、自分勝手にしか生きれないのかもしれない。

  • 図書館で本屋大賞ノミネート作品と紹介されていたので、借りてみましたが、気持ちが重くなる作品でした。
    特に今、この時期に紹介すべきはないなでは、と感じます。

  • 本の内容が濃すぎて怖かった、、、(笑)

    島での暮らし、津波、、、。
    人のこと信用できなくなりそうな気持ちに
    なる内容だったけど続きが気になって
    止まらなくなった!!

  • 重い。三浦しをんさんの別の一面を見てしまったような。津波が島を襲わなかったら、3人の子供達
    はどんな生活を送っただろうか。父親に殺されたかも知れないし、島で穏やかに過ごせたかもしれない。人はいつも何かに怯えて生きている。暴力、他人からの評価、昔の消したい思い出。

  • 暴力には暴力で返すしかないっていう考え方は間違ってる、というのは綺麗事だと思うのは私も歪んでるのかしら。実行するかしないかは別にすれば、人間は本来こんなもんじゃないかと思う。南海子の感情はすごくリアルに感じられた。

  • 三浦しをんが濡れ場を書くのは珍しいのではないか?私はそう思う。津波に襲われ生き延びた三人が成人しての再会。理不尽な暴力に耐え忍んだ輔を殴り殺した信之、信之をうまく使う美花。殺人を犯した夫を黙って一緒に暮らす南海子。光という書名とストーリーの関連は何だろう。

  • 映画化されると知って、読んでみた1冊。多分、架空の島・美浜島を巨大な津波が襲い、生き残った3人のその後を描く。冒頭からの津波のシーンは、目を覆いたくなるようなもの。思わず、奥付で発売日を確認してしまった。実際に東日本大震災を経験した後の作品だったら、そこで読むことを止めてしまったと思う。作品自体は悪くないのだが、生き残った3人の誰にも、どこにも救いがないので、星は2つ。とても息苦しい作品だった。

  • *突然の津波で壊滅した小さな島で生き残った三人の子供。美しく魅力的な美花、美花に夢中な信之、父親からの虐待に耐えつつ自分を嫌う信之を兄と慕う輔。被災後二十年が経ち、ある秘密をもとに三人の運命が動き出すー*
    本当に三浦しをんさんの作品?と、まずは非常な驚き。なんと言っても容赦なく救いがない。登場人物の誰にも共鳴出来ない。なのに、それぞれのどろりとした感情、満たされない焦燥感、声なき慟哭が見事に表現されていて、いつの間にか引き込まれる。救いようのない読後感なのに、自然と二度読みしてしまった。

  • 複雑で強烈な作品で一言で感想を書くのが難しい。というかこの作品を軽々しく評する能力が私にはない。

    希望と絶望。
    望みと失望。
    慈しみと蔑み。
    様々なあい反するものが描かれている。

    自然による暴力、人の暴力。
    そして思っていても届かない気持ち。
    他人は自分が求めているようには考えてはいないという事実。
    求めても得られない愛情。


    残酷な現実が次々と押し寄せる小説だったが哀しみが胸をうちました。苦しいです。

  • 子供の頃こら父親の暴力に耐え、大人になってからも父親の暴力にあいながら、ただ耐える少年。
    自然が起こす暴力、人の暴力に暴力で立ち向かう少年。
    『光』というタイトルはどういう意味なのだろう?

  • 一気に読んでしまいました。
    三浦しをんの本は「神去なあなあ日常」しか読んだことなかったのと、「まほろ」のイメージが強く、こんなにダーク(?)な本も書く方なんだなと思いました。

    救いようがない。ずっと薄暗いもやの中にいるような感覚。救いようがないけど読み進めてしまう…それぞれの行く末が気になって。

    島という閉鎖的な環境で、暴力から逃げることが出来ない輔。
    島で唯一の美女(?)とのそのことしか考えられないお盛んな時期の信之。
    自分の美貌をすでに自覚し、信之の体しか知らないことにやや物足りなさを感じている美花。(美花目線の章はなかったけど、私はそう感じました。男なんて私にかかれば…って思ってて、信之以外でも試したいと思ってそう。)
    そんな少年少女が住む小さな世界を波が全部壊してしまった。

    生き残った3人はそれぞれ大人になって…という話でした。

    登場人物の中で特に輔が気になる存在でした。
    初めて自分に優しくしてくれた人(ゆき兄)にくっつく姿が健気で切ない。
    信之は輔に一欠けらの情が無いようで悲しかった。
    信之は青春時代の性欲や綺麗な思い出にしがみついて、余生のようにただ生きてるんだな。島で一から子孫を残すことになるんだと思い込んでいた女の為に。


    誰が悪かったのかという話ではなく、ずっと幸せでない者たちが渦の中でぐるぐるとまわってもがいているようでした。
    その苦しい渦から1番に出たのは輔だったのかもしれませんね。

  • 2009/04/04

    意味などない。死も不幸もただの出来事だ。それらはただ、やってくる。


    暗い。重い。胸糞悪い。
    でも、三浦しをんらしい文章。結局一気に読んでしまった。
    血でも友情でもない絆を描くところは相変わらずで、描写が巧みっていうか非常に私好みなのも変わらない。
    引き込まれる、力がある。
    暗い海の底でうっそりと息をする獣の瞳に宿る光。


    どこまでもつながる暴力の螺旋。
    輔の哀れさと、信之の哀しさと。
    南海子の空虚さと椿の幼さと美花の身勝手さと。

    『暴力はやってくるのではなく、帰ってくるのだ。』



    まほろ~がなぜか読みすすまないあたしが、何故か一気に読んでしまったぁ
    あたしは輔が一番気になるなぁ。好き、とか、かわいいとか、かわいそうとか、どれも違うけど。一番ひっかかる。共感?
    卑屈に相手の顔色を伺って、撫でてくれる手をいつまでも待っている。あるいは、押し流してくれる波を。

    しかしあらゆるヒトは、特に女は、南海子なんじゃないだろうか。


    なんだか信之は一番かわいそう。一番「あの日」に翻弄されている。



    『こうなると思ってたんだよ。こうなればいいと思ってた。俺がお願いしたとおりに津波が来てそんでみんな死んだ!すげえよ、みんな死んだよ絶対死んだよね。ね、そうでしょ、ゆき兄!』




    あたしは、タイトルは希望の光でも救いの光でもないような気がする。
    たとえば、泥と白骨に埋もれた島の灯台の放つ光。
    信之の瞳に眠る光。
    さいごの瞬間の輔の瞳にきらめいた光。
    昏く、鈍く、鋭く、またたく光。





    同情や愛情では恢復しない傷があるかぎり、刑罰はひとを救わない。自分に癒えることのない傷を与えたものが、たとえば刑務所に三年入ったからといって、うれしくもなんともない。刑罰にはせいぜい、「これで我慢してくれ」と、癒えない傷を覆って誤魔化す絆創膏程度の力しかない。腹が減って死に瀕した生き物に、食い物に似せた発泡スチロールの模型を与え、「腹を満たせ」と言うようなものだ。ありがたがって模型に食いつくやつは馬鹿だ。

  • かなりどぎつい描写があるものの、
    見る間に物語に惹き込まれていきました。
    人を信頼することとは、命の重み、について考えてしまう内容でした。

    淡々と自分を押し殺して生きてゆくことは可能なのでしょうか。

  • なに?これ

     なんだがさっぱりだ。かすかな起承転結はあるものの、殺人とエロしか残らない。主人公のあまりにフラットな心を読むのかなぁ。よくわかんないままに読了。

  • 冒頭のシーンがあまりにもタイムリーすぎてしんどい…。現実は小説よりあまりに残酷だ。みんな光を求めて生きるのにどこからも光が射してこない救いのない物語だった。三浦しをんの凄さと抽斗の多さを感じる一冊。2011/195

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著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

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