IN

著者 :
  • 集英社
2.85
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本棚登録 : 797
レビュー : 157
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087712988

作品紹介・あらすじ

彼は、小説に命を懸ける、と何度も言った。小説は悪魔ですか。それとも、作家が悪魔ですか?恋愛の「抹殺」を書く小説家の荒涼たる魂の遍路。

感想・レビュー・書評

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  • 本の中に「無垢人」という本が存在し、作家 緑川未来男の愛人でありながら◯子として存在を抹殺されたモデルの女性を追い求め「淫」という作品を書き上げる鈴木タマキ。彼女自身家庭がありながら担当編集者の阿部清司とドロドロのW不倫の末、憎み合って別れたという入れ子式のパラレルワールドのような設定。とにかく暗い…重い…。「無垢人」の部分のみの方が完成度高いと思うのに。可愛さ余って憎さ100倍みたいな清司の嫌がらせにげんなり。挙句死んじゃうのも狡い。タマキが彼に惹かれた理由がさっぱり分からぬ。

  • 期待して読んだものの、面白くないわけではないけれども、小説の形を取った、桐野さんの作家としての決意表明であるかのような印象を受けた。

    主人公の作家とその担当編集者の不倫の恋。作家(女)は恋の行く末を見届けるべく、「書く」ことを選び、編集者(男)は小説から身を引く。
    作家がいま書かずにいられない題は、恋愛の抹殺。二人は別れたのに、恋愛はまだ終わらない。愛し合ってても憎い、憎いけれど恋しい、別れたのにまだ終わらない関係。相手が死んでいなくなってもそれは同じ。

    作品中に出てくる「無垢人」というのは、島尾なんとかって作家の「死の棘」を模したものである。「死の棘」、昔々に読んだけれども、怖かったよなあ・・・作家である夫の不倫を許せずに狂っていく妻と、妻の変貌に怯えながらも夫婦であり続ける夫。傍からみたら異常な関係であるけれど、そこまでのお互いへの執着はある意味、恋愛である気もする。夫婦で恋愛が成立するっていうのは、なんだか不思議な気がするけれど、こういう憎しみや嫉妬を媒介にするとそれはそれでリアリティがあるなと思う。

    「IN]では、この「無垢人」の妻である緑川未亡人が、作家である夫が残した日記に手を加えて新しい小説を作り出している、というところで話が終わるのだが、これはぞっとした。自分の欲しい愛の形を作り上げることで、未亡人にとってはそれが真実になるわけだから。小説っていうのは、イミテーションではなくて、虚像から現実を作りあげるという意味もあるんだよなと改めて思った。
    そういう意味で、桐野さんはこの本で、作家としての自分の姿勢みたいなのを強く出したのかなと思う。

  • 図書館で借りる。

    ここ最近の桐野夏生の作品の中では、
    久々に、満足いくものだった。

    傑作。

    この作品のモチーフになっていると
    思われる「死の棘」を
    読み返したくなった。

  • 宣伝が、「OUTから12年!」となっていたので、少しグロテスクな内容なのかと思いきや、恋愛の愛と憎悪のお話でした。
    「OUT」のイメージから入ると、内容が全然違うので、切り離して読んだ方が良いと思いますあせあせ

    テーマは「恋愛の抹殺」

    作家自身の浮気と家族・妻との諍いを描いた「無垢人」を土台に、恋愛の抹殺をテーマに小説「淫」を執筆している作家・鈴木タマキ。

    執筆のために「無垢人」の作者・緑川未来男周辺の人物に取材を進めていくうちに、自分の現実世界での不倫関係の男性のことなどが重なって、徐々に恋愛の抹殺という真意が表現されていく。
    「小説とはいかなるものか」「恋愛とはこういうものだ」ということを桐野の視点から訴えかけている。

    じわじわと恋愛についての意味というものが染み込んでいく読後感でしたあせあせ(飛び散る汗)

    自分には難しくて、上手くレビュー描けません

  • バラバラ遺体損壊を描いた「OUT」のシリーズものかと思ったら全く違った。恋愛の抹殺かあ

  • 愛人の存在に嫉妬した妻の狂乱を描いた小説をヒントに、「恋愛における抹殺」をテーマに「淫」という小説を書く作家が主人公。
    自身も担当編集者だった男性と不倫にはまっており、それと並行して物語は進みます。


    桐野さんの作品は痛くて怖い。

    身体的な痛さじゃなく、内の痛さを感じる。
    読んでて痛くなるけどやめられない。
    圧倒されるものがある。

  • やっぱり桐野夏生はすごい。

  •  あのヒット作「OUT」(福山雅治の不穏な歌に載せて展開する田中美佐子と柄本明のTV版が好きだった。まとめてまた見たい作品のひとつ)に対しての「IN」。
     私が学生時代、国文学を学んだ時に感じていた違和感、「週刊誌じゃあるまいし作家が当時だれが好きだったとかいいじゃん、孤児だった生い立ちがどうなんて余計なお世話じゃん。文学って紙の上でのことだけが全てじゃないのか」とうんざりした感覚を気持ちよく掻き毟るかのような文学メタ小説みたいなものでした。
     私はこれのアマゾンレビュー読むまで知らなかったけど作者に恋愛スキャンダルがあったらしくて、そこも巻き込んで書いてあるのは、描いてて自虐的な喜びがあったりしたのかなあ、よく書けたな、そうかこれが作家は悪魔ってことかーと新鮮。小説を書くなんてストリップをやるような、悪魔と契約するみたいないかがわしいもので、それに強い関心を持つのもあまり褒められた事ではないとかつきつけられた気分。それを開き直って面白く書ききってあるなかなか無い作品。ラストシーンがものすごい。強いお酒でも一気飲みしたような読後感。

  • 『OUT』がどろどろとした物語だったので少しは関係派あるのとかと思い買ってあったのが今日読み終わった『IN』だ。だが「OUT」とは全く異なり作品間の関係は感じられなかった。作中で作者は主人公の女性小説家に「小説とは皆の無意識を拾い集めて、物語という時間軸とリアリティを与え、さらに無意識を再編すること」と語らせているが、本作品がそうだとすると世の中の無意識とは世にあふれているかもしれないが見えていない道ならぬ恋愛に揺れる多くの意識だろうか。主人公の小説家の道ならぬ恋の相手は編集者であり、編集者との濃すぎた関係により破綻を迎えかつ彼の病により永久の分かれおも迎えてしまう。そんな彼女が恋愛の抹殺というものに手を染めよとしたとのときにまさに彼女が書こうとして追っていたのが過去に活躍した作家が書いた私小説『無垢人』という作品の中での作家と関係のあった女性の正体だ。作品では○子とされ、文壇でも知られていなかった○子は実在の人物か?という謎を突き止めていくなかで、作品に書かれた真実は作者の側の真実であり、実は真実はその相手の側にもありそれは作品には反映されていないということに気付かされるくだりも彼女の作風の変化に繋がる心境の変化かなあなどと思わせられる部分も興味深く読んだ。

  • 2016.2.26-12

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著者プロフィール

1951年金沢市生まれ。成蹊大学卒業。1993年『顔に降りかかる雨』で江戸川乱歩賞、1998年『OUT』で日本推理作家協会賞、1999年『柔らかな頬』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、2004年『残虐記』で柴田錬三郎賞、2005年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞、2008年『東京島』で谷崎潤一郎賞、2009年『女神記』で紫式部文学賞、2010年『ナニカアル』で島清恋愛文学賞、2011年同作で読売文学賞を受賞。2015年、紫綬褒章を受章した。近著に』『奴隷小説』『抱く女』『バラカ』など。

「2016年 『猿の見る夢』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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