宵山万華鏡

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  • 集英社
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レビュー : 831
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087713039

感想・レビュー・書評

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  • 何だろう。こういう森見を待っていた、という気分になった。
    初めはすっとんきょうで愉快な面々のイタズラ話を読んでいたハズなのに、いつのまにか宵山の迷宮に囚われて、抜け出せなくなって…。
    妙にしんと静まり返った余韻が胸に残る。面白いのに怖い、怖いけど儚く美しい、そんな小説。好きだ。

  • 祭囃子の聴こえる宵山の夜、知られざる京都で開かれた宵山様のお祭り。
    仲の良い姉妹や、高校時代の友人や、画家と作家や、それぞれが体験した宵山の夜。

    それは霊験あらたかで、ときに奇々怪々で、気付けば恐怖に震え、知らずに優しさで包まれたような…そんな集大成が詰まった物語でした。

    森見さんは、やっぱり最高です。
    こんなにも摩訶不思議な世界を作り出して、さも異色の世界に自分も足を踏み入れた気分にさせてくれる技術。超一流だと思います。
    赤提灯や露店の賑わい、浴衣で京都を練り歩く人々の喧騒。屋台に吊るされて揺れる金魚。
    電飾で目がチカチカする祭の夜を味わった気分です!

    “人生には、意味の分からない遊び心も必要なのだよ“

    そう言われた気分です。

  • 京都が魔窟に見えてきた!宵山の夜に起こる不思議の数々。おもちゃ箱をひっくり返したような楽しさと、ほんの少しの恐ろしさにページを捲る手が止まりませんでした。表裏でリンクする仕掛けもいいなぁ。

  • 最高!!これぞ森見ワールド。
    赤い浴衣の女の子たちに手を引かれて、私も宵山がみせる異世界に迷い込んだみたいな気分。
    金魚、赤い浴衣、風船、山鉾、鯉…紺色と桃色が混じり合う時間。

    失踪した女の子はホンモノの宵山様になったのかなぁ。
    バレエ姉妹の姉の方が会ったのはその女の子では???
    でも結局あれは何だったのか…って考えるよりも、この浮遊感のなかを漂っていたい!

    というか、この世界観を活字で表現できるのが本当にスゴイ。
    表紙の装丁も素晴らしい。
    あと、平成狸合戦ぽんぽこのあのシーンと被る。(笑)
    京都に、祇園祭に、行ってみたくなった。

  • うん。これ好きだな。
    内容も好きだし、こういう凝った構造の話は好きだ!
    シーンによってはとても絵画的で、なんだか絵にしたいようだった。実際描こうとしたら技量不足でうまくいかなそうだけれど。。

    シリアスファンタジーかと思いきや、おちゃらけ青春もの(?)、かと思いきやシリアスファンタジー。
    最後もうちょっとしっかり風呂敷畳んでくれても良かった気はするけど、これはこれでありだな。

    個人的には、びっくり大作戦の宵山金魚の章が一番楽しくて好きでした。
    「太陽の塔」の高藪さんが出てきたのも素敵だった。
    あぁ、高藪さん…良い人なのに。

    森見作品、好きかも知んない。
    一通り読んでみよ。

  • そもそも生まれてこの方5回くらいしか北海道を出た事のない(内2回は修学旅行)私は、表題の「宵山」の意味が解らなんだ。そして祇園祭と葵祭の区別すらつかなんだ。

    ……北海道から出た事ないとか関係ないですね。
    京都府民に頭からお茶漬けをかけられても文句は言えまい。
    いやその前に高校の時の古典の先生から鉄拳を喰らうかもしれぬ。

    あれでしょ。
    葵祭は上賀茂神社・下賀茂神社両社の大祭。
    そして祇園会は八坂神社の祭礼で、夏の疫病除けなんですよね?
    で、祇園会の前夜祭を「宵山」っていうんですよね?
    元々は午頭天王の霊を鎮める御霊会が起源、ってすごいスケールですよね。平安時代ですものね。

    そんな超伝統行事を舞台に、登場人物達が交錯する『宵山万華鏡』。
     
    正直、私にはホラーに等しかったです。

    やれ提灯だ行灯だ、出店の焼き鳥だ林檎飴だベビーカステラだ、って視覚的・嗅覚的な描写が非常に丹念で、実際に宵山に足を踏み入れた事はないけれど、実際に雑踏の中でもみくちゃにされているような息苦しさが伝わって来るんですね。で、幼少の頃に行ったお祭の記憶が芋蔓式に蘇る。

    私は祭の喧騒の中で迷子になる事にかけてはプロ級、と自負してやまない者ですが、30過ぎた今でもはっきりと覚えてますもん。幼少期の迷子体験を。
    つないでいた手をほんの一瞬離しただけなのに煙のように消えている母、とか。父だと思って見失わないように追っていた背中が他人、とか。もう、思い出しただけで身震い。

    行ったきり戻って来られない。
    この怒涛のような恐怖感&不安感を最初に叩き込まれるのって、お祭の場だと思うんですよね。 だからどんなに提灯が灯っても、林檎飴がキラキラしても、たこ焼きが香ばしくても、やっぱりお祭って怖い。表面上は物凄く楽しそうなだけに、フラフラ吸い寄せられてしまうのが怖い。
     
    「宵山姉妹」「宵山万華鏡」
    姉とはぐれてしまって心細い妹、ほんと見てらんなかったです。
    でも姉ちゃんは大冒険で意外と楽しそう。風船より妹の心配しなさい!姉として!
    特に「姉妹」の方は森見ギャグとかもあんまりなくて、さながら長野まゆみの如しであった。

    「宵山金魚」
    森見作品に欠かせない「変な友人」、ここに出てました。そしてこれ以降、ますます変になります。
    奥州斎川孫太郎虫?嘘かと思ってたよ。で、ネットで調べたら実在していたよ。

    「宵山劇場」
    『夜は短し歩けよ乙女』劇中劇、「偏屈王」の裏方2人がまさかの登場。
    なんか、普通にいい話なんですけど。芝居の小道具作ってる時とかって一番楽しいよね!

    「宵山回廊」「宵山迷宮」
    この恐ろしき「宵山」の根源に迫る2作。ひたすらに切ない。
    あ、『四畳半神話体系』みたいな日常無限ループネタも、相当怖いですよね。

    読後感はまさに、祭の後。
    楽しかったんだけど、怖かったんだけど、早く帰りたいんだけど、でももうちょっと遊んでいたいんだけど、あ、もうおしまい?少し寂しい。そんな感じでした。

  • 昔からのお祭りなんだから神様くらい宿るよ、というような言葉が作中にあったと思う。なるほどそうだな、と思う。
    絢爛で華やかな宵山の最奥を覗き込んでしまったお話。
    例によって物語は全て繋がっている。
    しかし【あれ、なんか変だ】と気付く瞬間があり、感動というか、自分も宵山の奥深くに迷い込んだような気分に。
    どのお話も不気味で幻想的で哀しくてとても人間らしくて、さすが森見さんといった感じ。
    この作者だとペンギン・ハイウェイに次いで好きな作品になった。

  • この不思議な世界にとても惹かれました。怪しくて奇妙で、でもどこかキラキラしてて私まで迷い込んでしまいそうになる。すっかり魅了されちゃいました。

  • 夏になると読みたくなる、宵山のそれぞれのお話。
    短編っぽいけれど少しずつリンクされていて、結局はぐるぐる回るふしぎな万華鏡の中に放り込まれたような感じにさせられます。
    「きつねのはなし」みたいな、少し冷やっとする場面もありました。
    大好きな本です。

  • 「これは世界の外側にある玉だそうです。今夜のわれわれはね,この玉で覗かれた世界の中にいるんです」
    宵山での,不思議な体験。これは,偽祇園祭なのか,現実の祇園祭なのか,もう一つの繰りかえされ続ける祇園祭なのか。複線と複線が絡み合い,虚実ない交ぜで織り上げられる物語は,ふわふわなのにきめ細かく,甘くてどこか寂しくて。
    とても好みでした。祇園祭が楽しみ。京都の伝統的な雰囲気が,不思議な物語を成立させている。東京の祭りでは,この雰囲気は出せない。ちゃきちゃきしていて,好きではあるけど笑

    「焼きトウモロコシや唐揚げ,金魚すくい,くじびき,フランクフルト,たまごせんべい,お面にヌイグルミ。彼女は姉と一緒にそれらの露店を眺めていった。どこまでいっても祭りが続いているようで,まるでお祭りがどんどん増えて,街を飲み込んでしまったようだと彼女はおもった。」
    「・・・なにしろ歴史ある行事だからね,妖怪ぐらい出るよ。お祭り気分で浮かれてはだめだ。」
    「祭りがぼんやりと輝く液体のようにひたひたと広がって,街を呑みこんでしまっている。」
    「恐るべし京都,恐るべし祇園祭,恐るべし宵山。
    素人の俺が,1人でほっつき歩くべきではなかったのだ。」
    「彼女たちは,客席から見るバレエよりも,幕の陰から見るバレエの方が好きであった。それはなんだか神秘的に見えた。いつの日にか,自分たちもああいう風に踊れるようになり,あの光景のン赤へ溶け込んでいるのだとおもうことが,彼女たちをわくわくさせた。」

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「甘くてどこか寂しくて。」
      学生の時に、よくブラブラしたのを懐かしく思い出します。
      音色の所為なのか、それとも終わった後にひっそり佇む山鉾の...
      「甘くてどこか寂しくて。」
      学生の時に、よくブラブラしたのを懐かしく思い出します。
      音色の所為なのか、それとも終わった後にひっそり佇む山鉾の所為なのか、、、甘く淋しい。それは天神祭の翌朝の空気感も同じ。祭りの熱気が急激に冷やされて人々の思いだけが残ったような。。。
      2013/05/21

著者プロフィール

森見登美彦(もりみ とみひこ)
1979年奈良県生まれの作家で、京都を舞台にした作品が多い。京都大学農学部卒、同大学院農学研究科修士課程修了。2003年、『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。2006年に『夜は短し歩けよ乙女』で本屋大賞2位、山本周五郎賞などを受賞し注目を集める。2010年『ペンギン・ハイウェイ』で2010年日本SF大賞、2014年『聖なる怠け者の冒険』で第2回京都本大賞、2017年『夜行』で第7回広島本大賞をそれぞれ受賞。2010年に『四畳半神話大系』がTVアニメ化、2018年8月に『ペンギン・ハイウェイ』が劇場アニメ化された。2018年11月に『熱帯』を刊行し、第160回直木賞、2019年本屋大賞にノミネートし、第六回高校生直木賞受賞。

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