ここに消えない会話がある

  • 集英社
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本棚登録 : 609
レビュー : 116
  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087713053

作品紹介・あらすじ

恋人でも、友達でもない、たまたま集まった職場の同僚たち…「ここに消えない会話がある」。ずっと好きだった先輩の退職前、最初で最後の二人きりのデート…「ああ、懐かしの肌色クレヨン」。いま隣にいる誰かとの、二度と訪れないかけがえのない時間を描いた作品集。

感想・レビュー・書評

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  • ストーリーからこぼれる会話が人生を作るのだ

  • 100:ラジオテレビ欄を作る6人の何気なく流れる日常を描いた表題作と、今は「はだいろ」と表記されなくなった色についての「ああ、懐かしの肌色クレヨン」の二本が収録されています。どちらも、何てことのない日々の描写が多く、物足りなさを感じる部分もあるのですが、淡々とした地の文のなかに時々はっとさせられるものがあって、その鋭さが痛くもあり、ああそうかと納得したり。起伏に富んだ話がお好きな方にはお勧めできませんが、私は好きだなあ。たぶん日常ってこんなものだから。

  • 表紙の写真は食パンだったのか。読み終わってから気づいた。

  • 何気ない日常がまるで詩のような言葉でつづられていくのが心地いい。

  • 覚えてなかったら消えちゃうかもしれない。とは思うものの、交わされた言葉が地層のように重なるイメージがわくのが愉快。

    冷静で優しい文章。
    生きづらい世の中でも、なんとかやっていけそうと思える作品だった。

  • p.83
    「他愛のない遣り取りが ビルの十階で泡のように生まれ続ける

    会話の泡は球体のまま冷凍保存されて

    氷河の中のマンモスのように一万年後に伝わる」

    新聞のテレビ欄の配信会社で働く、同じデスク6人の物語。事件も起きないし、すれ違いもない平和な仕事風景の続く日常。

    感傷の先行しない、感情の浮き沈みのない、的確な言葉で、日常の想いを読み手を意識せずに書くのって難しいと思う、けれどこの作家さんはそれが出来ているんだと思う。「イタくない」叙情。
    この会話の距離感と視点の柔らかさが、読んでいて心地良かった。

    会話で、思想の違いでなく、自然な言葉で、それぞれの性格が書き分けられているのが見事。

  • 再読。山崎ナオコーラの小説を読むと、自分にぴったりな心の置き場所を用意してもらったような気持ちになる。時おり挟まれる詩は凪いだ海。そしてまた打ち寄せる言葉の波。弾ける会話の泡。ぶつかり合い、くだけ散り、泡となる波のどこまでが一つなのかわからない。連綿と続いていく日々も同じ。脆く、儚く、膨らんでは消えてゆく。再び生まれ、集まり、日々に回復する。
    あの日、あの時の何気ない一言が精彩を帯びる。虹色にすきとおるあたたかい泡だ。そのいくつを私は憶えていられるだろうか。

    “登場人物は死んでも 会話が残る
     永遠に残る”

  • 二部短編にて読みやすく、新聞のラテ欄を作っている会社の社員の会話がつらつらと進んでいく淡々感が良かった。ラテ欄の作成過程を初めて知った。そして一部文中抜粋<「でも、僕は新聞ってあんまり信用してないんです~~~ああいうのは、情報操作されたものだと思っていますから~~~テレビなんて、権力の権化ですよ。スポンサーの言いなりですよ~~~だから、いろんな情報を突き合わせて、どの情報を自分で信じるかを、自分で決めなくちゃいけないんです~~~ネットは、民が直に発信できる場所ですから~~~」>何かタイムリーに繋がりを感じてしまった脈絡。

  • 「ここに消えない会話がある」:主人公はおそらくアキバ系の広田。準主人公は岸。1ページ目に人物紹介があり、そこから誰が主人公かを想像するのが面白かった。
    「ああ、懐かしの肌色クレヨン」:今、肌色のクレヨンってないんだ!初めて知った。
    何も生まれず、何も壊れない。「日常を切り取っただけ」を詩的に各作。

  • 「普通に生きてる」ということがいかに難しい事なのか、なんとなく繰り返される日常の中でそれをちょっと考えました。

    ラジオテレビ欄配信会社で働く若い人々の群像劇なのだけれど、特に女の岸さんが「気の合わない人とも話して、駄目な人を愛し、愛されないと、私は寿命をまっとうできないんです」という言葉は新鮮だった。

    私は気の合う人としか話をしたくないし、人生に無駄なことはないとわかっていても無駄は省きたいと思う。でもそんな人生楽しいと思わない人もいるんですよね。

    「よく子どもの読書離れがどうの、「本を読め」だのと聞くけれど、そんなの放っとけばいい。本なんか読んだって、頭が良くなるものか。ただ、傷ついたときは本を読め。芸術なんてものはそのためにある。」

    この言葉も好きだなぁ。

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著者プロフィール

1978年福岡県生まれ。2004年『人のセックスを笑うな』で文藝賞を受賞し、デビュー。小説に『ニキの屈辱』『美しい距離』『趣味で腹いっぱい』、エッセイに『母ではなくて、親になる』など。

「2019年 『リボンの男』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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