桐島、部活やめるってよ

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  • 集英社
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レビュー : 935
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087713350

感想・レビュー・書評

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  • 有名な話だけど、桐島は出てこない。
    もっと言ってしまえば、桐島は部活を辞めるらしいけど、それも物語の本筋ではない。

    章立ては6章
    菊池宏樹
    小泉風太
    沢島亜矢
    前田涼也
    宮部実果
    菊池宏樹

    桐島に見えて、あるいは映画の影響で前田に見えて、菊池がメインなんだろうなぁ、一応。

    同じ高校に通う高校生が、関わり合い、あるいは関わらないままで、それぞれが主人公で進んで行く物語。

    届かない思いとか、形のないもやもやとか、押しつぶされそうな羞恥心とか、焦りとか、リアル。
    様々なカラーの登場人物が代わる代わる登場して、多彩だし、視点が変わるとはっとすることもある。

    個人的には前田の回が好き。
    中学まではうまくやれてたのに、とか、いつの間にか「ダサい」側に馴染んで、ぐっと黙ってしまう自分、とか。
    でも大好きなことをしているとき、世界はぐっと輝きを増して。
    かすみにも、伝えられるような気がする。そんな気持ちにさせてくれるものをちゃんと持ってる。
    私の高校生時代は、どちらかと言えば前田タイプだったなー。

    実果の話が唐突で、全体の中でがっつり浮いてる感じがする。
    話としては好きだけど。

    そして、恐らくメインの菊池。
    「上」のグループにいながら、なんかいまひとつ納得できなくて。
    いつも一緒にいる友人の軽薄な言葉にカチンときたり、彼女の価値観にちょっと引いたり、でも結局、自分もそうなんだって、わかってしまってる。
    これが、高校生の間だけなんだとも、知ってしまってる。
    ちょっと早熟で、感じやすくて、考えすぎちゃう男子校生。
    うん、こういう子いるよなぁ。
    斜に構えたイケメンだけかと思いきや、「青春小説」といえばまさにコレ!という王道を一手に引き受けてくれる子。傷つきやすく自分を持て余してる感じ。
    たぶん、作者自身の姿を投影してるんだろうなぁ、なんて深読みしつつ。

    最後まで読んでみると、桐島が出てこないことも、全く違和感がない。
    結局高校生の頃って、友達が部活辞めるとか辞めないとかって、その程度の話題な気がする。
    その子がどんなに真剣に取り組んでたとしても、「辞めるんだってさ」「まじかー」みたいな。
    話題への返答として驚いてみせるけど、だからといって自分の生活に大きく何か影響するわけでもない。
    だから別に、「桐島」に顔があろうとなかろうと関係ない。
    作中に名前が出てる子たちもたまたま出てるだけで、本質的には特に変わらない。「自分」と、「今目の前にいる相手」と、「その他大勢」の世界。

    ラストが、よくある希望を胸に前へ進もう!って感じじゃなくて、あくまで等身大な感じで終わるのがいい。

    若い作者にしか書けない、リアルな作品だったと思います。
    だからか、創作小説というよりは、自伝とかブログを読んでいるような気分で読めました。
    読み物としてめっちゃ面白いかと言われると首を捻らざるを得ないけど、だからこそその分、斬新な作品だと思う。
    高校生の頃の気持ちを思い出したいときとか、さっくり活字を読みたいときとか、いつもとちょっと違う毛色の作品を読んでみたいときにオススメです。

  • タイトルになってる桐島くんが伝聞でしか出てこない。
    何処からこういう方法論が涌いてくるのか。
    朝井リョウ氏の脳味噌割って見てみたい(一応褒めてる/爆)。
    うっかり先に読んじゃった『もういちど生まれる』と流れは同じで
    やっぱり相関図書きたくなった。

    先ずは自分がイケてるかイケてないかを正確に判断して
    そのポジションからはみ出さないように振る舞う。
    そして、どのポジションにいる子もそれぞれに
    コンプレックスだったり悩みだったりを見えないようにこっそり抱えている。
    この話に出てくる子たちはみんな基本的に自分に自信がないんだな。きっと。
    『桐島』くんはその子たちそれぞれの『象徴』として登場する。
    憧れだったり、疎ましさだったり、自分を映す鏡だったり。
    目線として語られない子たち、例えば沙奈ちゃんとか竜汰くんとかが
    無邪気に発する棘が刺さってくる様が読んでる側にも刺さるのが
    チクチクしてちょっとイライラしたものの、
    最後の菊池くんの話のラスト、前田くんたちを眩しいと思う気持ちが
    ただひとつの、尚且つそれまでの全部をひっくり返すくらい強力な救いだった。

    いけ好かない(爆)、と思いつつ気になったのは実果ちゃんだった。
    彼女と彼女のお母さんが救われる日は来るのだろうか。

    大昔吹奏楽部員だった身としてちょっとだけ重箱の隅をつつくと、
    吹奏楽のコンクールは通常夏から秋に行われるので
    11月末に追い込みというのは若干違和感(爆)。
    まぁ全くどうでもいいことなんだけど。

  • 映画がよかったので、小説も読んでみた。前田涼也の章以外は、青臭すぎて感情移入が難しかった。
    スクールカースト上位にいて、周りからもちやほやされて、いい気になっているけれど、高校を卒業したその先に何があるのか、ふと気づく狭い世界のお山の大将である宏樹。
    中学のときはそんなことなかったのに、高校に入ってスクールカースト下位になってしまう。でも映画に対する情熱は高く、映画の甲子園で特別賞を取る涼也。
    この二人の対比がよかった。
    確かに、中高と目立つ子たちが東京に出てきて、社会人になるとさえない人になってしまうのはよくあること。宏樹はそこをなんとなく感じ取っていたんだろう。
    と言って涼也がこののち、大成するかどうかはわからない。賞は取ったけど・・・というのもよくあること。
    ただ、この時点で未来に向かって輝いているのがどちらかというのが重要。いつまでも輝き続けるのは難しいけど、高校生で日和るのも残念な話だ。

  • 高校生いいなー。
    クラスの中で階級があって、お互い話してみたくてもはなせなかったりするんだね。
    読んでるこっちとしては、この子とこの子仲良くなれるのに!ってもどかしいきもちになった。
    わたしの高校は女子校で、みんなお互いにあんまり興味なかったからクラス内のカーストなんかなかったな。でもあったらこんな感じなんだろうなと。
    共学は青春だねえ。
    放送部だったから、前田くんの自分は下だって気持ちが少し共感できた。
    同年代の作家さんの小説を読むのは初めてだったけど、文章が若くて奇麗だなとおもった。

  • 情熱大陸にも出演し、今をときめく新進気鋭の若手作家、朝井リョウ氏のデビュー作。映像化もされてますね。

    このタイトルですが、桐島は出てこないんですね。うまいですね。今の高校生たちの息づかいが伝わってくる作品で、読みやすくて、人気があるのがうなずける作品でした。

    学生時代の派閥・グループ(最近はスクールカーストって言うみたいですね)を見事に表現していて、今も昔も変わらないんだな、と懐かしく思いました。
    自分はそういうカーストがあまり好きではなくて、いろんなグループに片足をかける感じだったので、修学旅行のグループは、それぞれのカーストからグループ人数の関係で微妙に溢れてしまった人たちを集めた混合チームのリーダーをやって、それなりに楽しく過ごしたりするような学生生活でした。そんなことを懐かしく思い出し、こんな役回りもあるんだぜ、朝井リョウくん、そんな人がいることまでは描ききれなかったでしょう、と、なぜか作者に対抗意識をもたせてくれるくらい、リアルなイメージを沸かせてくれる面白い作品ですよね(^-^;

    主人公?の菊池宏樹くんのように、やんちゃしてることがステータスみたいなところもあって、普段は友人らに合わせてるけど、なんとなく自分に嫌悪感があった学生時代。全てが一致するわけではないけど、確かに、ページのどこかに17歳のあなたが見つかる作品でした。

  • 今から思うとものすごく狭い世界だけど、
    あの当時はここが世の中のすべてだった。
    将来やりたいことも、
    卒業後にどこへ進んだらいいのかもよく見えないまま、
    周りからどう見られているかを気にしながら、
    過ごしていた息苦しさ。鬱屈感。

    高校生の時って、ほんっとこんな感じだったよね、
    と、自分の姿をまざまざと思い出させられた。

    心がひりひり、そして恥ずかしい感じがするのは・・・
    私だけかな。

  • 映画部の子が「映像は言葉を越える!」というようなことをいう場面があった。映画を先に観たから、なるほど言い得て妙だなと思った。原作には原作の良さがあるから映画と同列には語れないけれど、なるほどこの原作がああいう風に映像になるのかと思いながら読んだ。

    映画ほど桐島が中心ではない気がした。
    ヒエラルキー上位にいる何でも卒なくこなしちゃう菊池が、逆に自分には何にもないと諦観していて、ステージに上がって笑われてしまうような前田を眩しく感じる。この二人の対比は映画でとても好きなところだから、原作そのままで嬉しかった。

  • 高校時代の独特な空気感の表現は辻村深月と似てるなぁと思った。
    ラストの菊地宏樹の気持ちにとても共感できた。

    でもなんだろう…すごくあっさりと淡々と表現される高校生の日常。こういのが瑞々しいと言われるなら私にはちょっと分からないかも。

    映画の評価が高いので観て確かめたい。

  • 制服の着方とか持ち物とかいかに目立つかとか中身はどうであれそういう価値観で上とか下とか決まっていくのが高校。
    高校なんて小さい世界のはずなんだけど、そこにいるともうそこが世界のすべてだと思ってしまう。
    高校時代のなんともいえない心理描写がとても上手に表現されているなと思いました。
    スピンオフ風に一人ずつの物語がそれぞれ繋がっていたりしておもしろかったです。最後に桐島くんはどんな暮らしをしているのか気になりました。

    • HNGSKさん
      ちょこさん、はじめまして。あやこと申します。
      この作品を読んでいると、学校にいた自分を思い出してしまいますね。上とか下とか、自分で自分をラン...
      ちょこさん、はじめまして。あやこと申します。
      この作品を読んでいると、学校にいた自分を思い出してしまいますね。上とか下とか、自分で自分をランク付けして、自分の行動範囲を狭めてしまっていたこととか・・・(汗)
      2013/02/04
  • 2013年の顔、朝井リョウさんのベストセラー小説です。

    重松清さんが描く若者が、重松さんなりの経験や想像をこらして表現した、ある意味究極に俯瞰的であるのなら、本作はもう、主観を極めた等身大の高校生。
    モラトリアムの塊のような彼らは学生時代の朝井さん自身であるから、一見型破りな話し言葉の文体も全く無理なくすんなり入ってきました。
    各物語は、朝井さんの言葉を借りるなら「上中下」それぞれの視点から描かれていますが、それぞれに学校固有の息苦しさが感じられ、いわゆる普通の学生ものの小説よりも実はずっとサッドストーリーです。
    けれど前述の通り間違いなく等身大の彼らであるから、彼らなりの答えもとても現実的です。
    彼らは信じられない集中力があって、小さな世界とどうやって折り合いを付けるか、
    大人になってそういった世界から抜け出しましたが、本作を読むと「お前、ちゃんと考えてるか?」と叩きつけられてるような焦燥感を抱きました。
    予想よりずっと良かった。

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著者プロフィール

朝井 リョウ(あさい りょう)
1989年、岐阜県生まれの小説家。本名は佐々井遼。早稲田大学文化構想学部卒業。
大学在学中の2009年、『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞を受賞しデビュー、後年映画化された。
大学では堀江敏幸のゼミに所属し、卒論で『星やどりの声』を執筆。2013年『何者』で第148回直木賞を受賞。直木賞史上初の平成生まれの受賞者であり、男性受賞者としては最年少。『世界地図の下書き』で、第29回坪田譲治文学賞受賞。
その他代表作に『少女は卒業しない』、映画化された『何者』がある。

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