桐島、部活やめるってよ

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  • 集英社
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本棚登録 : 3943
レビュー : 935
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087713350

感想・レビュー・書評

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  • 朝井リョウさん、直木賞おめでとうございます!
    わずか数年前は、雨の中、水を吸い尽くしたバスローブ姿で仲間と公道を行進し
    青函トンネルを一般車両もすいすい通れると思っていたあなたが直木賞を受賞するなんて
    おかあさんは。。。おかあさんじゃないけど、親戚でもないけど、うれしい♪

    というわけで、予約したはいいものの、なかなか届かない『何者』は後回しで
    お弁当の中の甘い卵焼き(大好物)を最後まで残しておくかのように
    読まずに取っておいた、『桐島、部活やめるってよ』を読んでみました。

    う~ん、みずみずしい!
    制服の中を吹き抜ける風、自分の不甲斐なさに気づかない振りをする痛さ、
    片想いの相手が不意に近づいてきた時に、全身の細胞が一気に目覚める感じ。。。
    高校時代を振り返ろうとすると(かなり)遠い目をしなくてはならない私でも
    当時の皮膚感覚や切なさ、苦さを思い出してしまうほどの臨場感。

    デビュー作だけあって、後に書かれた『少女は卒業しない』などの
    煌めくように美しい比喩に比べると、表現がかなり素直というか、直接的だけれど
    そこもまた、若さが迸るようで、微笑ましくて。

    校内ヒエラルキーの頂点にいたらしい桐島くんが男子バレー部をやめたことで
    部内のバランスが狂って大きく影響を受けた子、噂話をするくらいの距離感の子、
    トップが崩れようがどうしようがほとんど影響を受けない「底辺」と言われる子。
    チャットモンチーやaikoの歌詞、映画『ジョゼと虎と魚たち』の台詞と
    登場人物のその場その場の気持ちを絶妙にリンクさせて描くセンスが素敵♪

    こういうテーマを選ぶと、「底辺」にいる子たちの苦しみを描くことに終始しがちだけれど
    容姿にも恵まれ、たいして苦労もせず何事もそつなくこなしてしまう「上」の子の目に
    全身全霊で打ち込める、大好きなものを持っている「底辺」の子を
    「まぶしいひかり」として映し出すところに、朝井さんのやさしい視線を感じます。

    それぞれの場所に必死に喰らいついてもがく5人の高校生の
    けなげでいとおしい毎日の向こうに、爽やかな笑顔でトップに君臨していたはずの
    桐島くんの苦しさや、地道な努力もちらちらと垣間見えるのが心憎い、
    まさに「取っておいてよかった卵焼き♪」のような作品でした。

    • まろんさん
      kwosaさん☆

      こんな作品を大学在学中に書いた上に、直木賞受賞までの数年で
      加速度的な進化を遂げてしまう朝井リョウさん、ほんとうに「何者...
      kwosaさん☆

      こんな作品を大学在学中に書いた上に、直木賞受賞までの数年で
      加速度的な進化を遂げてしまう朝井リョウさん、ほんとうに「何者?!」と言いたくなりますね。
      コンスタントに作品も発表しているし、これだけの人気作家になったのだから
      大学卒業と同時に作家生活に入ってもよさそうなものなのに、
      ちゃんと堅実に就職するあたりも、謙虚でいいなぁ、なんて思ったりして。

      私も『何者』は予約しているので、kwosaさんと同じころに読めたら素敵ですね♪
      kwosaさんのレビューが、今からとても楽しみです。
      2013/01/20
    • koshoujiさん
      こんにちは。
      朝井君には、おめでとうですね。
      「何者」のレビューにはああいう風に書きましたが、内容的には素晴らしい作品です。
      直木賞を...
      こんにちは。
      朝井君には、おめでとうですね。
      「何者」のレビューにはああいう風に書きましたが、内容的には素晴らしい作品です。
      直木賞をとっても何の不思議もありません。
      特に最後のどんでん返しが秀逸です。
      選考委員が評価したのも最後の部分があったからだと思います。
      早くまろんさんのお手元に届くように祈っています。
      私は、これで彼が脚光を浴びて、図書館人気が出ると困ると思い、
      「桐島」「星やどり」「もう一度生まれる」の三冊を慌てて予約しました(笑)。

      それにしても、ニコ動で芥川賞、直木賞受賞者三名の記者会見を見ましたが、
      三人とも個性があって素晴らしい会見でしたね。
      黒田さんの日本語に対する飽くなき探究心、年齢を感じさせない凜とした語り、
      面接を埋めているような朝井君の素直さと真面目さ、ユーモアセンス、
      安部さんの人の良さそうな真摯な受け答えと自作に対する確固とした信念、
      などなど、三者三様ながら、みなさん自分の作品にしっかり責任を取る覚悟で
      モノを書いているのだなあ、と感じました。
      こちらが勇気づけられるような素晴らしい会見でした。
      2013/01/20
    • まろんさん
      koshoujiさん☆

      おお、「何者」には、どんでん返しがあるのですか!
      いろんな人のさりげない日常が交錯して、変っていく未来の予感を匂わ...
      koshoujiさん☆

      おお、「何者」には、どんでん返しがあるのですか!
      いろんな人のさりげない日常が交錯して、変っていく未来の予感を匂わせるように終わる、
      これまでの朝井リョウさんの作品とは、ちょっと印象の違う作品なのでしょうか。
      とてもとても気になります!
      あ、私も、koshoujiさんを見習って、
      まだ読んでない「星やどり」をあせって予約しなくては♪

      koshoujiさんがブクログを通してリアルタイムで知らせてくださったおかげで
      ニコ動での会見、うきうきしながら見ることができました。ありがとうございます♪

      私は例によって不勉強なので、黒田さんも阿部さんも、作品はもちろん
      お顔も見たことがなかったのですが、
      黒田さんは年齢より遥かにお若く見える上に
      口跡がとても美しくて、聞き惚れてしまいました。
      阿部さんは、テディベアのような素朴な容貌が、失礼ながらとても可愛らしくて
      受賞作とのイメージのギャップが素敵でしたね(笑)
      朝井さんは、写真でお顔だけは知っていましたが
      本当に面接を受けてる就活生みたいに居心地が悪そうで
      そこがまた母性本能をくすぐりました♪
      これからの作品が、ますます楽しみですね(*'-')フフ♪
      2013/01/21
  • 川沿いの大手予備校の向かい側に、打ち立ての讃岐うどんを食べさせる店がある。
    久しぶりの一人の日曜日、昼食はそこでとろうと自転車を走らせた。
    一時を少し回った頃だったが、十人掛けの長テーブル三列はそこそこ埋まるくらいの繁盛ぶりだった。
    かき揚げのトッピングを選び会計を済ませ、向かい合わせに座る男子高校生二人組のそば、椅子を一つはさんで隣に席を取った。
    さあ食べようとしたその時、女子高校生がひとり僕の隣に座る。
    満席というわけではない店内で、この年頃の女の子が男性客に囲まれるように席を取るのは珍しい。その子がセルフサービスの水を汲みに席を立ったとき、男子二人組の片方が
    「もっといい席があろうに」
    そうつぶやくのが聞こえた。
    向こう側のテーブルでは四人組の女子がたのしそうにおしゃべりしていて、その側にはグループ客が帰ったばかりか、ぽっかりとスペースが空いている。AKBの練習生くらいには華があるその四人組がちらちらとこちらを気にしている。
    僕の隣の、おとなしめのちょっと垢抜けない女の子は、テーブルのかたわらの携帯電話から片時も目を離さない。それが自分を守る護符かなにかのようにじっとみつめて、ただただうどんを啜っている。
    なんだか居たたまれない気持ちになった。

    高校時代、学園ヒエラルキーの中ではクラスの「一軍」に憧れながらも、たまに代打要員としてベンチ入りする程度のポジションだった僕は、特にトラブルもなくそれなりに楽しく学生生活を過ごせた方だと思う。しかし振り返ってみれば、そこには自分がまるでバラエティー番組のひな壇にいるかのような狂騒と軽い緊張感があったことも確かだ。

    この物語に『桐島』は登場しない。
    男子バレー部のキャプテンで、スタープレイヤーの桐島の栄光と挫折を描いた一冊の本がきっとどこかに存在して、この物語はそのスピンオフだ。
    でもいまの高校生達にとって、いやかつて高校生であった人達にとって、この「外伝」の方が圧倒的にリアルだ。

    「外伝」の主人公達の「物語」は、まだ始まってすらもいない。
    それぞれのラストに物語の萌芽が見えるだけだ。
    それがいい。その萌芽に胸が熱くなる。

    • kwosaさん
      agk333さん

      コメントありがとうございます。
      これからもよろしくお願いします。

      石田衣良さん。
      初期の『池袋ウエストゲートパーク』は...
      agk333さん

      コメントありがとうございます。
      これからもよろしくお願いします。

      石田衣良さん。
      初期の『池袋ウエストゲートパーク』は好きだったのですが、最近はどうなのでしょうか。

      僕がうどん屋で見た女子高生も、決して「いじめ」とか仲が悪いとかそういうのではないでしょうが、微妙な距離感とか空気感ってありますよね。

      映画版は評判いいですね。
      吉田大八監督の『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』が良かったのと、神木隆之介や橋本愛らのキャスティングの素晴らしさに期待できます。
      これは観てみないといけませんね。
      2013/01/23
    • しをん。さん
      フォローありがとうございます(^^♪
      紫苑(しおん)です。

      実は、kwosaさんのレビューに引き込まれて、今読んでいる最中です♪

      映画...
      フォローありがとうございます(^^♪
      紫苑(しおん)です。

      実は、kwosaさんのレビューに引き込まれて、今読んでいる最中です♪

      映画化もされていて、何となく「桐島は登場しない。」みたいなことを神木隆之介さんが仰っていて「えっ?」と、なったのですが本当に出てこないのですね。。

      kwosaさんの女子高生のお話。
      ヒシヒシと分かります。
      やっぱり、知らない女の子同士でも、ある程度の距離を取りたいという気持ちがわき出て…。
      難しい年頃ですかね?
      2013/01/23
    • kwosaさん
      紫苑さん

      コメントありがとうございます。

      レビューを読んで本に興味を持って頂けるとは、なんて嬉しいことでしょう。
      僕もブクログを始めてか...
      紫苑さん

      コメントありがとうございます。

      レビューを読んで本に興味を持って頂けるとは、なんて嬉しいことでしょう。
      僕もブクログを始めてからは、かなりみなさんの影響を受けています。
      紫苑さんの本棚もまめに拝見させてもらいますので、これからもよろしくお願いします。

      男子には表面的にしかとらえられないことも女子には分かる。また、その逆もあるかも知れませんね。
      いろいろ難しいですね。
      2013/01/23
  •  この作品は、朝井さんが20歳のときの発表した作品だというから驚きだ。20歳でこのボキャブラリーの多さには、舌を巻いてしまう。
     しかも、タイトルにばーんと出ている「桐島」くんが一度も登場しないままに物語が展開していくのも、斬新だった。アレっ、桐島、出てこんの!?みたいな。

     高校という、狭く小さな世界に生きる高校生たち。誰に教わったわけでもないのに、その世界にはいった瞬間から、彼らは「上」と「下」にランク付けされる。「上」の彼らは、制服をかっこよく着ていいし、髪の毛だって凝っていいし、大きな声で話していいし、行事でも騒いでいい。
     女子も男子も、「上」は上同士、「下」は下同士、固まって生きる。この決まりから逃れられる高校生は、いない。

     けれど、「上」にいるからといって、彼らが満たされているわけではない。「上」に所属する菊池宏樹は、自分のしたいことが分からずもがく。何をやってもそこそこできるがゆえに、本気でやって失敗することを恐れる。そして、やりたいことを本気で取り組んでいる「下」の前田涼也に光を見出す。

     この世界で、日本で、本当に思っていることを思ったように口にしている人なんて、きっと、いない。大人も子供も、きっと、いない。
     桐島は、きっと、いつか、バレー部に戻ってくるんだろう。そしてまた部活に精を出す。
     きっと大丈夫。思ったことは口に出せなくても、彼らは受けた傷をすぐに治す力を持っているのだから。
     
     だから、これからも手探りでいいから進んでいけばいい。そうして、大人になっていけばいい。

    • kwosaさん
      ayakoo80000さん

      >だから、これからも手探りでいいから進んでいけばいい。そうして、大人になっていけばいい。

      ayakoo800...
      ayakoo80000さん

      >だから、これからも手探りでいいから進んでいけばいい。そうして、大人になっていけばいい。

      ayakoo80000さんのこの言葉が胸に響きます。
      朝井リョウさん、若くしてこんな作品を書くって本当に凄いですね。僕は20歳の頃、ここまで自分や周囲を客観視できてはいなかったし、おそらく言語化もできなかったでしょうね。読んでいて胸の奥が常にひりひりしていました。

      素敵ですね。
      ayakoo80000さんのレビューからも「ひかり」が放たれていますよ。
      2013/01/14
    • HNGSKさん
      まろんさん>>いま、手元に朝井さんの「何者」があります。直木賞候補作品なので、急いで借りました。
       「もういちど生まれる」ですね。なるほどな...
      まろんさん>>いま、手元に朝井さんの「何者」があります。直木賞候補作品なので、急いで借りました。
       「もういちど生まれる」ですね。なるほどなるほど。これは絶対読ませていただきます。
      2013/01/14
    • HNGSKさん
      kwosaさん>>わたしも、自分が20歳のときを思い出したら、こんなに自分や周りを見つめていなかったなあ、と思わざるを得ません。
       それはそ...
      kwosaさん>>わたしも、自分が20歳のときを思い出したら、こんなに自分や周りを見つめていなかったなあ、と思わざるを得ません。
       それはそうと、こんなに、素敵なメールをありがとうございます。kwosaさんのメールで、あと100年くらい生きていけそうな気がします、私。
      2013/01/14
  •  図書館より。
     同じ高校を舞台に、5人それぞれの視点から学校生活を切り取った連作小説。

     前半は普通の青春小説だな、と思ってしまったのですが「前田涼也」の章でその考えが一変しました。

     よく本や歌で「ここに書かれているのは自分のことだと思った」という感想が聞かれます。自分自身はそこまでつよくそういう感情を持ったことはないのですが、前田涼也はそれに近いものを感じました。

     彼の章で描かれるのは、文化部と運動部やいわゆるスクールカースト間の越えられない壁です。みんななんとなく自分のやってはいけないことを理解している、という記述には大いにうなずいてしまいました。そして体育のサッカーの描写もすごかったです。切なくて、残酷で、自分にも身に覚えがあってある意味泣けてきました(苦笑)。

     大学生になってから、自分の趣味を肯定的にとらえる機会が多くなったような気がしますが、なぜか小・中・高校時代は本好きということは一つ下に見られているような気がして恥ずかしかった覚えがあります。あの劣等感はどこからやってきたのか本当に不思議でなりません。自分が運動得意だったらまた違ったのでしょうけど。

     前田涼也に話を戻すと、決してクラスで目立つわけでもない彼がそれでもうらやましいと感じました。彼には映画という光があるからです。自分自身は彼と同じ時代にそこまで打ち込んでるものがなかったので、そういう光を持っている彼がとてもうらやましく思いました。終わりかたもいい感じ。彼の最後の決断が実行されたのかどうなのか、想像してしまいます。

     前田涼也以降の二人の章も、高校生のモヤモヤを非常に巧く表現してくれていたと思います。「宮部実果」の章は彼女の家庭事情が特殊でこの本の中で少し浮くんじゃないか、と読み始めは思ったのですが、その設定を学校生活にしっかりと落とし込みつつ、しっかりと家族の物語にも一つの区切りをつけてくれているあたりが良いなあ、と思いました。

     「菊池弘樹」では何をしたらいいのか、もしくは何かしていても「本当にこれでいいのか」と思ってしまうそんなだれでも一度は感じたことのある焦燥感がとても伝わってきました。これも自分に近いものを感じてしまいました。

     こういう学生時代の感情って世代によって違うものなのでしょうか? ぜひいろんな世代の人に手にとってもらって自分の学生時代と比べてほしい、そう思いました。

     第22回小説すばる新人賞

    • koshoujiさん
      花丸&フォローありがとうございます。
      とし長さんのレビュー拝見し、なかなかのものでしたので、こちらからもリフォローさせていただきました。
      ...
      花丸&フォローありがとうございます。
      とし長さんのレビュー拝見し、なかなかのものでしたので、こちらからもリフォローさせていただきました。
      これからのレビューも楽しみにしています。

      ところで、この作品の疑問の件。
      学生時代の感情は世代で違うというよりも、男子校、女子校、共学校の違いではなかったのか、と私は思っているのですが。
      私は男子校だったので、このようなひりひりするような感じがさほどありませんでしたので。
      私はすでに齢50を過ぎましたが、それでもこの作品の青春の香りは十分に堪能できました。
      朝井リョウ君の観察眼と表現力の鋭さは群を抜いていると思います。
      是非、他の作品も読んでみてください。<(_ _)>
      2014/02/26
    • とし長さん
      koshoujiさん
      コメントありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします。

      koshoujiさんの男子校、女子校、共学校の...
      koshoujiさん
      コメントありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします。

      koshoujiさんの男子校、女子校、共学校の違い、なるほどと思いました。自分は小・中・高とすべて共学でしたが、異性の存在を意識しての行動や心理というもののあった気がします。また高校時代は文系コースでクラスの男女比が男子1、女子3くらいだったので余計にそういうのがあったのかもしれません。

      朝井リョウさんの作品、今回が初読でしたが、たしかに観察眼の鋭さを感じました。朝井さん本人はスクールカーストで言うとどのあたりにいたのか気になります(笑)

      折に触れて他の朝井作品も読んでみますね。
      2014/02/27
  • 映画を観て良かったので、原作も読んでみました。映像だけでは伝わらなかった、それぞれの心情が細かに描かれていて良かったです。
    映画のシーンが頭に浮かびながら読んでいたので、小説だけを読むより評価が高くなってるかもしれません(*^^*)
    高校の時って、その狭い世界が人生の全てみたいになってて、人間関係の優劣や立ち位置に必要以上に縛られてた気がします。その中でそれぞれ思い悩んだり、青春時代の淡い気持ちがよく伝わってくる小説でした。
    『真っ白なキャンバスでも、真っ暗闇の中で見れば真っ黒だ。もう何も描けない。』
    この一文が印象的でした。確かに。

    • 九月猫さん
      フーミンさん、こんにちは♪

      はじめまして、九月猫と申します。
      フォローしてくださってありがとうございます。

      最近、朝井さんの作...
      フーミンさん、こんにちは♪

      はじめまして、九月猫と申します。
      フォローしてくださってありがとうございます。

      最近、朝井さんの作品を読みはじめ、
      先日ブクログのお仲間さまに紹介していただいた「少女は卒業しない」で、
      甘酸っぱさときらめかしさにすっかりやられてしまったところです(*´ω`*)
      次は「桐島」を読もうと思っています。
      フーミンさんが引用なさっている文章が素敵で、ますます楽しみになってきました♪

      こちらからもフォローさせていただきました。
      これから末永く仲良くしてくださると嬉しいです。
      どうぞよろしくお願いします(*_ _)ぺこり。
      2014/06/05
  • タイトルになってる桐島くんが伝聞でしか出てこない。
    何処からこういう方法論が涌いてくるのか。
    朝井リョウ氏の脳味噌割って見てみたい(一応褒めてる/爆)。
    うっかり先に読んじゃった『もういちど生まれる』と流れは同じで
    やっぱり相関図書きたくなった。

    先ずは自分がイケてるかイケてないかを正確に判断して
    そのポジションからはみ出さないように振る舞う。
    そして、どのポジションにいる子もそれぞれに
    コンプレックスだったり悩みだったりを見えないようにこっそり抱えている。
    この話に出てくる子たちはみんな基本的に自分に自信がないんだな。きっと。
    『桐島』くんはその子たちそれぞれの『象徴』として登場する。
    憧れだったり、疎ましさだったり、自分を映す鏡だったり。
    目線として語られない子たち、例えば沙奈ちゃんとか竜汰くんとかが
    無邪気に発する棘が刺さってくる様が読んでる側にも刺さるのが
    チクチクしてちょっとイライラしたものの、
    最後の菊池くんの話のラスト、前田くんたちを眩しいと思う気持ちが
    ただひとつの、尚且つそれまでの全部をひっくり返すくらい強力な救いだった。

    いけ好かない(爆)、と思いつつ気になったのは実果ちゃんだった。
    彼女と彼女のお母さんが救われる日は来るのだろうか。

    大昔吹奏楽部員だった身としてちょっとだけ重箱の隅をつつくと、
    吹奏楽のコンクールは通常夏から秋に行われるので
    11月末に追い込みというのは若干違和感(爆)。
    まぁ全くどうでもいいことなんだけど。

  • 情熱大陸にも出演し、今をときめく新進気鋭の若手作家、朝井リョウ氏のデビュー作。映像化もされてますね。

    このタイトルですが、桐島は出てこないんですね。うまいですね。今の高校生たちの息づかいが伝わってくる作品で、読みやすくて、人気があるのがうなずける作品でした。

    学生時代の派閥・グループ(最近はスクールカーストって言うみたいですね)を見事に表現していて、今も昔も変わらないんだな、と懐かしく思いました。
    自分はそういうカーストがあまり好きではなくて、いろんなグループに片足をかける感じだったので、修学旅行のグループは、それぞれのカーストからグループ人数の関係で微妙に溢れてしまった人たちを集めた混合チームのリーダーをやって、それなりに楽しく過ごしたりするような学生生活でした。そんなことを懐かしく思い出し、こんな役回りもあるんだぜ、朝井リョウくん、そんな人がいることまでは描ききれなかったでしょう、と、なぜか作者に対抗意識をもたせてくれるくらい、リアルなイメージを沸かせてくれる面白い作品ですよね(^-^;

    主人公?の菊池宏樹くんのように、やんちゃしてることがステータスみたいなところもあって、普段は友人らに合わせてるけど、なんとなく自分に嫌悪感があった学生時代。全てが一致するわけではないけど、確かに、ページのどこかに17歳のあなたが見つかる作品でした。

  • 映画部の子が「映像は言葉を越える!」というようなことをいう場面があった。映画を先に観たから、なるほど言い得て妙だなと思った。原作には原作の良さがあるから映画と同列には語れないけれど、なるほどこの原作がああいう風に映像になるのかと思いながら読んだ。

    映画ほど桐島が中心ではない気がした。
    ヒエラルキー上位にいる何でも卒なくこなしちゃう菊池が、逆に自分には何にもないと諦観していて、ステージに上がって笑われてしまうような前田を眩しく感じる。この二人の対比は映画でとても好きなところだから、原作そのままで嬉しかった。

  • 2013年の顔、朝井リョウさんのベストセラー小説です。

    重松清さんが描く若者が、重松さんなりの経験や想像をこらして表現した、ある意味究極に俯瞰的であるのなら、本作はもう、主観を極めた等身大の高校生。
    モラトリアムの塊のような彼らは学生時代の朝井さん自身であるから、一見型破りな話し言葉の文体も全く無理なくすんなり入ってきました。
    各物語は、朝井さんの言葉を借りるなら「上中下」それぞれの視点から描かれていますが、それぞれに学校固有の息苦しさが感じられ、いわゆる普通の学生ものの小説よりも実はずっとサッドストーリーです。
    けれど前述の通り間違いなく等身大の彼らであるから、彼らなりの答えもとても現実的です。
    彼らは信じられない集中力があって、小さな世界とどうやって折り合いを付けるか、
    大人になってそういった世界から抜け出しましたが、本作を読むと「お前、ちゃんと考えてるか?」と叩きつけられてるような焦燥感を抱きました。
    予想よりずっと良かった。

  • 高校生の感性や価値観がいろんな立場から描かれてて、なんだか懐かしくもあり今となってはちょっと残念でもあり。
    わたしの高校はここまで上下がかっきり階層化してなかったような気もするからかな。
    ああ、そういうのあるよね~、そうそうそうなんだよね~
    って誰もが感じてしまうだろう微妙な感情描写がうまい。

    肝心の桐島くんが全く登場せず、その友だちや友だちでもない人の話が重なってつながっていって、最終的にみんな前向きな感じがよいと思う。
    これを二十歳そこそこで書いたのかー。
    デビュー作なので少々甘めですが、おもしろかったです。

著者プロフィール

朝井 リョウ(あさい りょう)
1989年、岐阜県生まれの小説家。本名は佐々井遼。早稲田大学文化構想学部卒業。
大学在学中の2009年、『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞を受賞しデビュー、後年映画化された。
大学では堀江敏幸のゼミに所属し、卒論で『星やどりの声』を執筆。2013年『何者』で第148回直木賞を受賞。直木賞史上初の平成生まれの受賞者であり、男性受賞者としては最年少。『世界地図の下書き』で、第29回坪田譲治文学賞受賞。
その他代表作に『少女は卒業しない』、映画化された『何者』がある。

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