光媒の花

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 2055
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087713374

作品紹介・あらすじ

もう、駄目だと思った。それでも世界は、続いていた-少女は無限の想像力でこの世界を生き延び、少年はたった一つの思い出にしがみつく。一匹の蝶が見た悲しみの先に広がる光景とは…渾身の連作群像劇。

感想・レビュー・書評

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  • 6作からなる短編集で、それぞれの話が少しずつ繋がっている。どの話も切ない印象を受けたが、希望の光が見える感じだったので後味は悪くなかった。

    余談だが…内容を知らないまま、この本と先日読んだ森見登美彦氏の「美女と竹林」を一緒に借りたのだが、どちらの本にも竹(笹)の花は数十年に一度一斉に咲き、咲いた後の竹(笹)は枯れてしまうという事が書いてあって、その偶然さに驚いた。

  • 子供の立場と悩み
    子供の悩みは大人の多くは理解でない。だから子供の悪さに対して親は上から一方的に叱る方が多くなる。子供目線での理解は難しいかも知れないが、ある書に子供にも理解する方法はあると。それは「叱るをやめて質問する事」だと言う。考えさせることで子供が社会の常理を理解することにつながると言う事らしい。

  • '21年8月14日…

    第三章「冬の蝶」まで読んで、中断。心が、引き裂かれてしまいました。

    僕には、ちょっとキツいかも…読み終えるかどうか、時間をおいて考えます。


    8月21日、読了。結局、読んでしまいました。そして、読んで良かった。

    とても良い、読書体験でした。道尾秀介さんに、感謝。
    感想は、あえて語らないでおきます。未読の方、是非読んでみてください。

  • 素直になるのは 難しい。血の繋がりがあるがゆえに、素直に甘えることができない。血の繋がりがないから、頼って甘えるのが怖い。人の感情って、もっとシンブルだったらすれ違うこともないのかなぁと思った。

  • *認知症の母とひっそり暮らす男性の封印された過去。ホームレス殺害に手を染めた小学生兄妹の畏れ。病に伏せる姉を見舞う、配送ドライバー青年の誤解・・・、一匹の蝶が見た、悲しみの先に広がる光景を描いた6章の群像劇。大切な何かを必死に守るためにつく悲しい嘘、絶望の果てに見える光を優しく描き出す、渾身の感動作*

    これは・・・もうお見事としか言いようがない。哀しく儚くやるせなく、救いがないかと思いきや、物語が進むにつれ、その先にある微かな光や希望や優しさがふわりと舞うような光景。陰があるから、ほんの少しの陽でもあたたかい。心にしんと染み入る読後感。また、素晴らしい本に出会ってしまった。

  •  六つの短編の主人公が入れ替わり、少しずつ話が繋がりミステリー要素も含めた連作になっている。
     それぞれの登場人物の秘められた過去。忘れられない記憶や深い闇を抱えて、必死で生きる人たちを描いている。
     悲しい境遇の少女が紙袋を裏返して「世界を全部入れちゃうことだってできるんだよ」といった言葉があまりにせつない。
    風媒花、虫媒花という例えもよくできていると思った。全体的にシリアスで重い内容だが、最後に一筋の光や希望がみえているのがよかった。

  • 数人の人生が重なりながら展開していく。

    高校男子が社会人女性に抱く甘い期待と緊張感は
    男として『分かるなぁ~』とほほ笑んでいたら
    本心はとっくに見抜かれていて事態はとんでもない方向に、、、。

    連動した各章は、心が痛かったり、寂しかったり 切なかったり
    少し希望を感じたりでした。

    一気に読んでしまいました。いや、これは面白かったです。

  • 道尾秀介さんの本は薄気味悪くモヤモヤした気持ちになることが多く、好きなんだけど調子がいいときでないと読めない。この本もまたひぃーっと引き気味になってしまっていたところ、いつの間にかだんだんと希望が持てる方向へ進んでいき、珍しく読後感がよかったです。光媒の花…光=希望、希望や優しい気持ちは連鎖する…読了後にタイトルについて考えたりするのも余韻に浸って心地よいひとときでした。

  • 一話が40ページ前後の六話の短編集です。しかも一話ずつリレーされていて最後の話が振り出しの話に繋がっています♪
    どれもが文体も内容も切ないような物悲しいようなホロリとしてしまう話です。
    たくさん出てくる童謡の歌詞も効いてますね。

  • 2016年5月21日読了。道尾秀介による連作短編集。どこか暗い翳を宿す人々による6つの話が最後に「光」に向かって収束する。冒頭の「隠れ鬼」は救いようも無く暗い話だが、読み終わると何となく救われたような、ちょっと明るい気持ちになれるのはさすが。世の中にはいろんな人がいて、いろんな辛い出来事もあるのだけれど、どんなときでも「少しほっとする瞬間」や「ほほえましい瞬間」はあるもので、ほんの些細な思い出であってもそれを抱いて一生生きていくこともできるし、そこから勇気を得て人生を変えようと踏み出すこともできる。そんなメッセージを感じた。

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著者プロフィール

1975年生まれ。2004年『背の眼』で「ホラーサスペンス大賞特別賞」を受賞し、作家デビュー。同年刊行の『向日葵の咲かない夏』が100万部超えのベストセラーとなる。07年『シャドウ』で「本格ミステリー大賞」、09年『カラスの親指』で「日本推理作家協会賞」、10年『龍神の雨』で「大藪春彦賞」、同年『光媒の花』で「山本周五郎賞」を受賞する。11年『月と蟹』が、史上初の5連続候補を経ての「直木賞」を受賞した。その他著書に、『鬼の跫音』『球体の蛇』『スタフ』『サーモン・キャッチャー the Novel』『満月の泥枕』『風神の手』『N』『カエルの小指』『いけない』『きこえる』等がある。

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